明日への追跡 1976年 メニューへ戻る
第2〜8回 第9回 最終回

 「明日への追跡」は、NHK少年ドラマシリーズの一篇で、1976年5月から12回にわたって放送された作品。

 原作・光瀬龍、脚本・山根優一郎、音楽・大野雄二、演出・萩原具佳。

 NHK少年ドラマシリーズは比較的最近の作品だが、当時の事情で素材が残っておらず、長らく見ることが出来なかったが、最近になって、視聴者が放送を録画したものが発掘されて、現存している部分だけ、DVD化されて日の目を見ることになった。「明日への追跡」もそのひとつだが、第1回、9回、最終回(11回と12回を編集した再放送版)のみ、見ることが出来る。

 DVDは、NHK少年ドラマアンソロジー1として発売されており、有名な「時をかける少女」を原作にした「タイム・トラベラー」の最終回も収録されている。

 視聴者がビデオ録画した素材が使われているので画質はかなり悪いが、見る分には特に支障はない。むしろ、その画質の悪さが、あたかも当時の放送をブラウン管テレビでリアルタイムで見ているようなノスタルジックな気分にさせてくれる。

 第1回(1976年5月10日18:05〜18:25放送)

 冒頭、鎌倉かどっかの海岸に倒れている少年を、漁師が見つける。
 それが、物語の鍵を握る竹下清治と言う謎めいた少年。演じるのは、斉藤さんと後に「ゆうひが丘の総理大臣」で共演する長谷川諭さん。

 彼は記憶喪失らしい。やがて兄に引き取られて、主人公達のいる中学へ転校する。
  
 シンプルなOPタイトル。斉藤さんは主人公・落合基(沢村正一)に続いて2番目にクレジット。椿芙由子(つばきふゆこ)と言う、洒落た役名である。当然、この時はまだ友子名義である。

 そう言えば、「悪魔が来りて笛を吹く」では、椿美禰子(つばきみねこ)と言う役名だったな。
  
 ナレーター(田中信夫)「年が変わって5月、あの鎌倉で起きた奇妙な事件は今度は東京の郊外にある小さな町で世にも恐ろしい大事件となって現れたのである」

 いささか大袈裟なイントロダクションと共に、早速登場の斉藤さん。素朴な髪留めがいかにも初々しくて、可愛い。
 また、いかにもセットと言う感じの舞台も、これはこれで味がある。
 彼女が訪れた落合医院の息子が、主人公であり、彼女のボーイフレンドの基(もとい)なのだ。
 散らかった部屋を片付けようとする母親に、「ちゃんとバランスを取って散らかしてあるんだ」と説明する基。
  
 母親「じゃあ椿芙由子さんここへ通していいわね?」
 基「椿さん来てんのー? ダメだよ、ここは、すぐ行くからコーヒーでも入れといてくれよ」

 母親を演じるのは長内美那子さん。
  
 その芙由子は、父親であり、院長である英之(滝田裕介)と話していた。

 英之「将来は医者志望ですか。しかしえらいなぁ、いまからそうやって目標決めてるなんて」
 芙由子「でも、なれるかどうか分かりませんわ」
 母親「椿さんなら大丈夫よ。よく出来るんだもの」
 芙由子「そんなぁー、うちのクラスで本当の秀才は学級委員の北島君と、1年の3学期に転校してきた浦川礼子さんです」
 彼女は中学2年なのだ。
 勉強しない息子のことを嘆く母親に、
 「でも落合君、クラスで一番人気あるんですよ! 運動神経は抜群だし、ユーモアのセンスはあるし」
 と、明るく話す芙由子。

 斉藤さん、デビュー作(?)ながら、その演技力は既に確立されている感じだ。上の沢村正一さんも上手いんだよね。
 そこへ基がやってきて、
 芙由子「こんにちは落合君」
 基「オッス!」

 母親がちゃんと挨拶しろと口うるさく、「ちぇっうるせえなぁ」とぼやく。
 芙由子「落合君、これ借りてた本よ、とっても面白かったわ。どうもありがとう」
 基「いやぁ……話ってなんだ?」
 芙由子「……外へ出ましょうか」
 基「オッケイ、その方が良いや。じゃ行ってきまぁす」
 芙由子「お邪魔しました。さようなら」
 深々とお辞儀をして基の後へ続く芙由子。礼儀正しいのは良いことです。

 英之「椿さんてなかなか良い娘さんだねえ。基の奴、あの子が好きなのかなぁ」
 母親「冗談じゃありませんよ。今からそんなんじゃますます勉強の方が……」

 教育ママ的な母親は、病院を基に継いでもらいたいと言うが、さばけた父親は、息子には自分で進む道を見付けて欲しいと話す。
 往来へ出てきたふたり。
 芙由子「落合君、今度駅前に新しい進学塾が出来たの知ってる?」
 基「ああ」
 芙由子「うちの母ったらねえ、そこへどうしても行けって言うのよ。良い高校に入るには今からガンガンやらなくちゃダメだって……」
 基「へー」
 芙由子「ねえ落合君、一緒に行かない?」
 基「冗談じゃないよ」
 芙由子「そう言うだろうと思ってたわ……」
 視線を落とす芙由子。
 基「行きたきゃ、北島か浦川礼子でも誘うんだな」
 芙由子「いやよ、浦川さんなんかー、あの人、近頃妙にあなたに関心があるみたいなんだもん
  
 芙由子「ねっ、いつかあなたにあげたペンダント、まだ持ってる?」
 基「ああ持ってるよ」
 芙由子「そう」

 連れだって歩き出すふたり。ただ、そのまま進むと、絵にぶつかります。
 ふたりは、その浦川礼子の家の前に立っている怪しい男を見掛ける。
 芙由子「ねえ、浦川さんの家よ」
 基「変な奴だなぁ、空き巣じゃないか」
 芙由子「そうかもね」
 ナレーション「その時基と芙由子は、自分達が恐ろしい運命に巻き込まれようとしていることに気が付く筈もなかった」

 CMはないが、ここまでがAパートと言う感じである。
 男は、やがて門の閂を外そうと身を乗り出したので、基が「どろぼーっ」と声を上げる。
 ゆっくり振り向くと、それは誰あろう、あの記憶喪失の少年であった。

 凛々しいなぁ。
  
 竹下は黙って走り出し、基が追いかける。
 芙由子「落合クーン」
 芙由子も走り出すが、そこでドアが開いて浦川礼子が現れる。
 礼子「あら、椿さん」
 芙由子「浦川さん、大変なのよ。今ね、お宅に忍び込もうとした空き巣を落合君がおっかけてったわぁ。あたしたちと同じ年頃の男の子よ」
 礼子「男の子……」
 礼子を演じるのは森田あけみさん。彼女も、後に「ゆうひが丘」の25話にゲスト出演しているようだが、同姓同名の別人かもしれない。
 大人っぽい美人だが、正直、演技はやや心許ない。

 基は、竹下清治を追いかけるが、清治は意味もなくテレパシーで警告し、妙な音を出して一時的に基を動けなくする。
 結局、見失ってしまうのだが、この不思議少年の描写は、はっきり言って失敗だ。ここでわざわざテレパシーを使って語りかける必要は全くない筈だし。
 少し遅れて芙由子と礼子が追いつく。
 芙由子「落合君! どうしたの犯人?」
 基「それが妙なんだよ。消えたんだ……」
 芙由子「気味が悪いわ」
 翌日、基たちの中学校。クラスは2-Aである。「反逆同盟」と一緒だ(だから?)。
 クラスメイトたちと談笑している芙由子。
 基が教室へ入ってくる。
 芙由子「あ、おはよー、昨日はどうも」
 芙由子の横に立っている女の子が「あら、昨日何かあったの?」と尋ねる。
 芙由子「ううん、別に」
 周りの男子が冷やかすが、ふたりとも否定する。
 基「そんななんじゃないって、俺たち」
 芙由子「そうよー変な邪推しないで」
 と、大人びた口調で礼子が「何を騒いでらっしゃるの」と入ってくる。

 男子「浦川さんか、なんでもないよ」
 男子「君みたいな優等生には関係ないことさ」
 礼子「そう、明後日から中間テストでしょう。皆さん遊んでらして自信あるみたいね」

 それだけ言って立ち去る礼子。

 男子「さっすがクラスの女王の貫禄だぜぇ」
 男子「やれやれ中間テストかぁ」
 基「おいみんな、テストが終わったらサイクリングでも行こうよ!」
 基の提案に、みんな飛びつく。
 芙由子「さんせぇい!」

 いいですねえ、健全で。

 と、礼子が突然振り向いて、
  
 礼子「落合君、あたしも連れてって」
 基「ああ、いいよ」
  
 そして、担任の草野先生がやってくる。一人の転入生を伴って……。

 無論、青春ドラマのお約束として、その転入生こそ、昨日の不思議少年なのだった。驚く基。

 先生に紹介された竹下清治は、みんなの前で挨拶する。
 清治「竹下清治です。僕は人間にとって一番大切なのは、名誉を守ること、そして不正を憎むことだと思っています。皆さん仲良くやりましょう」

 いきなり持論を展開する清治だが、後々考えれば、これはある人物に対するメッセージだったのかもしれない。
 どうでもいいが、草野先生の字が下手だった。
  
 その後、廊下で話している二人。
 芙由子「ええっ、竹下君が昨日の空き巣の犯人?」
 基「気が付かなかったかい?」
 芙由子「ぜんぜん! まあ、どうしたらいいのかしら」
 背後から、礼子が現れる。
 礼子「どうもしないわ。おふたりとも竹下君のことは黙っててあげるのね。ほんとにあたしの、う(とちった)ちへ忍び込んだわけじゃないんだし……それにあの人、自己紹介のときに言っていたでしょう。人間にとって一番大切なのは名誉を守ることだって……だから、黙っててあげましょう。いいわね」

 基「分かったよ」
 礼子が去った後、基が慌てて芙由子を階段の陰に押し込んで、身を隠そうとする。
 芙由子「どうしたの?」
 基「シーッ!」
 向こうから竹下が歩いてくる。階段を登って行く。
 彼が行ったあと、再び出てくるふたり。
 しかし、別に姿を隠さなくてもいいと思うが、どうせこれから同じ教室で勉強するんだし。



 第2回〜第8回

 しかし、ここから一気に9回まで飛んでしまうのが悲しいところ。
 ただ、DVDでは、この間に、残されていたスチールやシナリオを元にしたごく大雑把な粗筋が挿入される。
  
  
  
 こんな感じである。斉藤さんの出ているスチールだけ選んで貼ってみたが、これらのシーンが見られないのかと思うととても残念だ。いつか欠落部分の素材が発掘されることを祈ろう。

 ただ、ナレーションによる説明は、かなり簡略なもので、ストーリーがあまり飲み込めない。
 基本的に、礼子と清治が対立して、何かを求めて争っていて、それに基や芙由子、クラスメイトが巻き込まれると言う感じだ。正直、あまり面白そうでもない。

 その中で、芙由子が具合を悪くして寝込んでしまうシーンがあるらしいが、そのシーンは是非見たかった。

 あと、礼子がブルマ姿になっているスチールがあるのだが、当然、そのシーンでは斉藤さんもブルマ姿だった可能性が高い……。見たかったなぁ……。



 第9回(1976年5月24日18:05〜18:25放送)

 あっという間に終盤である。

 自分の部屋が放火され、それを竹下清治に助けられた基。今は、はっきり彼に友情を感じているようで、あれこれと尋ねる刑事に対しても、竹下は良い奴だと庇う。
 芙由子は、その清治を学校の中庭に呼び出し、
 芙由子「聞きたいことがあるのよ。あなたと浦川さんのことで。あなた、鎌倉の塩見ヶ丘中学から転校してきたんだったわね」
 清治「ああ」
  
 芙由子「浦川さんもそうなのよ。同じ中学ならお互いに知ってたでしょ?」
 口ごもる清治。

 芙由子「どうなの?」
 清治「知らなかったよ!」
 芙由子「でも……」
 清治「塩見ヶ丘は生徒数も多いし、クラスも違ってたみたいだから……それに向こうでも僕あまり学校へ行かなかったんだ」
 芙由子「竹下君、それは嘘だわ! 浦川さんはあんなに綺麗な秀才よ。誰だって一目見たらきっと覚えてる筈よ……あなただって……」
 清治「椿さん!」
  
 清治「僕は君にも落合君にも忠告した筈だ! 僕にこれ以上関心を持つな、危険だって」
 屈託顔で家に帰る芙由子。彼女の家は喫茶店のようで、父親がそのマスター。
 父親を演じているのは古川ロックさん。かの古川ロッパの次男である。

 父親「おう、おかえり」
 芙由子「ただいま」
 父親「どうしたい、元気ないな」
 芙由子「ううん、別に」
 父親「そうか……おい、元気を出せよ元気を、もうじきご飯だからな」
 ナレーション「芙由子は竹下のことを考えていた。北島の日記や基の推理が正しければ、竹下と浦川礼子の間には何か秘密がある筈だった(後略)」
  
 やがて、決心したようにカバンからアドレス帳(メモ帳?)のようなものを取り出した芙由子、カウンターの上の電話の後部のスイッチを入れて、電話をかける。
 芙由子「あっすいませんけど、神奈川県鎌倉市にある塩見ヶ丘中学の電話番号知りたいんですけど……」
 その後、基に電話がかかってくる。基はすぐに出ないで、テーブルの上のおかずをつまみ食いしながら、
 基「母さん、電話誰から?」
 母親「椿さんよ」
 基「なんだよ、ガールフレンドなんて言うから、誰かと思っちゃったよ。あいつかぁ」
 母親に催促されてやっと受話器を取る基。
 基「もしもし、俺だよ、なんだい?」
 それに対する斉藤さんの反応がめっちゃ可愛い。

 芙由子「なんだい、じゃないわよぉ! そっちの話みんな聞こえてんだから!」

 笑いながら怒る斉藤さん。
 芙由子「そうよ、あいつで悪かったわねえ。いいわ、竹下君と浦川君のことで大ニュスーを手に入れたんだけど、教えてあげないから!」
 基「ま、ま、待ってくれよぉ。謝るよ。俺が悪かった……ぅぅほんとだよぉ……うん、ほんとだって、すまん!」
 電話の向こうの相手に対して頭を下げる基。
 その様子に、顔を見合わせて笑う二人の女性。左の人は第1回には出てこなかったが、看護婦の典子さんで、演じるのは木崎雅子さん。
 漸く機嫌を直した芙由子が話し出す。
 芙由子「あのね、あたし今日思いついて、鎌倉の塩見ヶ丘中学に電話してみたのよ。竹下君と浦川君のこと聞いてみようと思って……」
 基「それで、竹下のクラスに浦川礼子はいなかったのか?」
 芙由子「ええ、そうなの。でも先生が浦川さんのこと良く覚えてて、あんなに目立つ生徒はいなかったって」
 基「じゃあ竹下だって、当然彼女のことを知ってる筈だよな」
 芙由子「うんええ、そうよ、あっそれからね、竹下君が塩見ヶ丘中学に来たのは去年の11月9日だそうよ」
 基「11月9日?」
 芙由子「それもね、当時鎌倉で建設工事をやっていたお兄さんに連れられて手続きに来たんだけど、それまで竹下君、何処の中学にいたのか、一体何処の小学校出身だったのか、さっぱりわかんなかったんですって」
 基「なんだってーっ」
 芙由子「それで、学校では特別に許可して転校じゃなく入学と言うことにしたらしいのよ」
 基「中学1年の11月に入学?」
 その夜、清治は夜空に浮かぶ光と、会話する。
 向こうの声は聞こえないが、清治の言葉からして、あと5日以内に、何か大切なものを見つけ出し、入手しなければならないようだ。
 学校。基と一緒に階段を降りて来た芙由子。このポコポコした(どんなんや)歩き方がとても可愛い。
 と、礼子にでくわす。
 礼子「おはよう。落合君、もう体のほうは良いの?」
 基「ああ」
 芙由子「浦川さんも久しぶりね。ずっと欠席だったけど、どうかしたの?」
 礼子「ええ、ちょっと色々用事があって」
 そう言って意味ありげに基を見遣る。
 基は「行こう椿さん」と、逃げるように礼子から離れる。
  
 例によって中庭で話す二人。
 芙由子「まあ、浦川さんが夜中にあなたの部屋へ?」
 基「まるで幻を見ているみたいだった。このことは誰にも言うなよ。俺も君だから言ったんだ」
 芙由子「分かったわ」

 欠落回で、礼子が清治も探しているあるモノを手に入れようと、基の部屋に侵入したエピソードがあったのだろう。
 芙由子「でも、浦川さんがそんなことをするなんて……なんだか気味が悪いわ」
 基「浦川礼子の正体も洗ってみる必要があるな」
 芙由子「でも彼女のうちはちゃんとした家庭よ。お父さんは有名な貿易会社の重役さんだし、竹下君とは違うわよ」
 基「そうかなぁ」
  
 と、清治が現れて通り過ぎる。

 芙由子「噂をすれば影ね」
 基「とにかく今日、俺は竹下の家へ行ってみるよ。昨日君の情報にあったお兄さんに会ってみるんだ」
 芙由子「なんだか心配だわ。気を付けてね」
 基がアパートへ行くと、清治の兄はこの頃ずっと頭が痛いとかで仕事にも行かずゴロゴロしていた。
 清治のことを聞いても、要領を得ない。

 ちなみに清治の兄を演じているのは及川ヒロオさん。「不良少女とよばれて」で、ホームレスを演じていた。
 先に書いておくと、実はこの人は兄でも何でもなく、清治によってニセの記憶を埋め込まれているだけなのだ。

 その後、清治と礼子が激しく睨み合う。そのやりとりで、二人とも地球人ではないらしいことが判明する。

 そして「つづく」のだが、DVDには、ご丁寧に、欠落回の第10回の粗筋も収録されている。



 最終回(1978年3月25日18:05〜18:39:30放送)

 最終回だが、DVDに収録されているのは、再放送時に11回と12回を再編集したものになっている。放送日時が離れているのはその為だ。
  
 事件の調査のため、鎌倉へやってきた基と芙由子。
 基「これが建長寺か」
 芙由子「社会で教わったわ。随分古いお寺ねえ」
  
 地図を広げる基。
 基「浦川礼子の家があったのは雪ノ下2丁目13番地だから……」
 芙由子「そう! このすぐ近くよ!」
 基「よし、まずそっちを調べよう」
 芙由子「ええ」

 沢村正一さんの顔がぶれている画像を貼ったことをお詫びしておきます。
 あくまでここは「斉藤とも子さんファンページ」ですので。
 地図を頼りに、浦川礼子の住んでいた家を探す二人。
  
 ただし、ここからはセット撮影に移行。

 芙由子「ふわぁ、ここよ!」
 基「うん、沢田さんか、きっと浦川礼子の後に越してきたんだな」
 芙由子「そうね」
 基「浦川礼子はこんな家に住んでたのか」
 芙由子「へえ」
 基「でも、この家にはなんの秘密もなさそうだな」
 芙由子「そりゃそうよ」

 玄関先で話していると、この家の主婦が買い物から帰ってくる。不審がる主婦。
 芙由子「いえ、あの、それが」
 主婦「どうしたの?」
 基「以前この家に住んでた浦川さんのことなんですが……」

 しかし、主婦は聞く耳を持たず、空き巣ではないかと疑う。二人は慌てて退散する。
  
 角を曲がってホッと一息つく二人。
 基「参ったなあ、あのおばさんには」
 芙由子「ほんとぉ」
 基「パトカーにでも捕まったら大変だからなぁ」

 しかし、ちょうどそこは、竹下清治の住んでいた家の前だった。
 芙由子「そうだわぁ! ここが竹下君の住んでたうちよ」
 基「やっぱり」
 芙由子「あー偶然ねえ。空き家みたいね」
 基「入ってみるか」

 二人は、ガラス戸を開けて、中に入る。
 芙由子「なんだかあたし……」
 基「怖いのかぁ?」
 芙由子「あらっ、怖くなんかないわよ。でも」
 基「じゃあ来いよ」
 芙由子「行くわよ!」
 基「入ってみよう」
 芙由子「イヤよ、あたし」
 基「大丈夫だよ、俺がついてるよ」
 襖を開けて先に進む基。
  
 「キャッ」と言う悲鳴に振り向くと、芙由子が両手で顔を覆っている。

 基「なっ、なんだ、蜘蛛の巣じゃないか、脅かすなよもう」
 言いながら、彼女の髪や顔についた蜘蛛の糸を払ってあげる優しい基。
  
 芙由子「ごめんなさい」
 申し訳なそうにつぶやく芙由子。うう、可愛い。
 背後で、ガンガタッと物音がしたので、再び驚く芙由子。
 芙由子「はっ」
 しかし、正体は真っ黒な子猫だった。
 黒猫「にゃーおー」
 普通は安心して笑い合い、調査を続行するところだが、何故か二人はすっかり怖気づいてしまう。
 芙由子「落合君……」
 基「出よう」

 だが、部屋を出かけた芙由子を、基が呼び戻す。
 芙由子「どうしたの」
 基「あれを見てくれよ」

 基の指差す庭に、さっきの主婦の姿が見えた。
 芙由子「それじゃあ」
 基「そうだ、町名、番地は違うけど、浦川礼子の家と、竹下清治の家は裏では続いてるんだよ」
 芙由子「気付かなかったわ」
 基「鎌倉へ来て良かったよ。来て見なきゃこんなことわかりゃしないからね」
 頷く芙由子。
 芙由子「でも、あの二人は隣同士で、つい目と鼻の先に住んでたなんて……どほいうことかしらこれ」
 基「うん」
  
 その頃、基の友人が、清治や礼子をそれぞれ引き止めるシーンが描かれる。これは、基たちの調査の邪魔をさせないための計略だろうが、やや唐突に感じる。たぶん、第10回か、再編集でカットされた部分に、基たちが彼らに協力を求めるシーンがあったのだろう。

 再び鎌倉。
  
 芙由子「これからどうするの?」
 基「うん、塩見ヶ丘中学に聞きに行ってもいいんだけど、あいにく日曜だからなぁ……二人で手分けしてあいつらのことを知ってるひとを探そうか」
 芙由子「そうね、じゃああたし浦川さんのこと聞いてみるわ」
 基「俺は竹下だ。今ちょうど12時だから、2時にここで待ち合わせることにしよう」
 芙由子「オーケイ!」

 ここの台詞、アフレコなのだが、リップシンクがかなりずれている。
 二人は別れて、聞き込みを行う。
 しかし、中学生に、そんな真似は無理だと思うけど。

 基は、清治を発見した漁師に会い、あれこれと聞き出す。

 礼子の影も見えるのだが、芙由子に接触するシーンがあったのではないかと思う。ただ、再編集なのでカットされたのかもしれない。

 基は待ち合わせ場所へ戻るが、約束の時間になっても芙由子の姿はなく、さらに浦川礼子らしい姿を垣間見て、礼子にどうかされたのではないかと、父親や友人に連絡する。

 そして、警察も加わって芙由子の捜索が行われる。
 最後は、洞窟の中で、本性を現わした浦川礼子と、基と友人達が対峙する。

 基「椿さんを返せ」
 礼子「そんなに椿さんが心配? では、交換することにしない? あなたのペンダント」
 礼子「落合君、見て!」
 彼女が振り向くと、意識を失っている芙由子の姿が浮かび上がる。

 で、基はペンダントを渡そうとするが、
 当然、そうはさせじと清治が参上する。
 最後はやはり、派手な超能力バトルが繰り広げられる……と言いたいが。
 まあ、別に円谷プロが撮ってる訳じゃないので、こんなもんだろう。

 清治が勝ち、礼子に乗り移っていた異星人が捨て台詞を残して逃げて行く。

 清治は、基に事情を説明する。

 ごく簡単に書くと、彼らは滅亡の危機に瀕した異星人で、この地球へ移住を考えていると言う。その現地調査のために訪れた清治の父親は消息不明となり、清治は移住の可否を決める調査報告書を求めにやってきたのだ。同じ星に住む礼子の一族は、清治に言わせればエゴイストで、地球人のことなど構わず、移住しようという考えらしい。
 結局、その報告書の争奪戦だったわけだ。

 最後、清治が基のペンダントに加工されていた報告書を読むと、既に地球環境は悪化しているので、異星人が移住するのはやめるべきだと書かれてあった。ちなみに清治の父親は既に死んでいた。

 清治は、別の星へ移住を試みると告げて、故郷の星へ帰って行く。
 思いっきり合成だが、美しい夕陽を眺める基と、父の英之。

 芙由子が救出されるシーンはない。カットされたのか、最初からなかったのか。
 平和が戻った学校。
 基「竹下の奴どうしてるかなぁ」
 芙由子「さあ、今頃、X7号と戦ってるんじゃない?」
 基「うふっ、でも俺、いつかまたあいつがこの地球に戻ってるような気がするんだな」
 芙由子「あたしもよ!」
 基「むふっ」

 X7号と言うのは、礼子に乗り移っていた異星人の名前である。
 最後、何やらはしゃいで男子生徒たちが中庭に突入してきて、意味もなく基をもみくちゃにする。
 それを見て大笑いする芙由子と礼子。

 礼子は、単に異星人に操られていただけなので、すっかり普通の女の子に戻っているのだ。
 清治の方は、体も異星人だったようで、姿が見えないようだ。
 そしてエンドマーク。

 一部しか見られないことを差し引いても、あまり面白くはない。ただ、斉藤さんの魅力を堪能するには、十分な内容であった。当時の中学生の素朴な感じ(あくまでドラマだけど)も、好感が持てる。


 なお、DVDには、「タイム・トラベラー」と「続タイム・トラベラー」の音声も収録されている。
 「タイム・トラベラー」の映像は最終回だけの収録だが、こっちの方がドラマとしては面白そうだ。