×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

事件記者チャボ! 1984〜85年 メニューへ戻る

 「事件記者チャボ!」は、水谷豊主演の連続ドラマ。四国から出てきた新米新聞記者チャボこと中山一太の奮闘を描いたヒューマンコメディ。全26話。

 斉藤さんはその第13回にゲストヒロインとして出演している。

 ドラマは一応「事件記者もの」にカテゴライズされるのだが、スクープやら社内での軋轢やら社会の暗部だとか、そういう
シリアスな方向への傾斜はなく、あくまでチャボを中心とした多彩なレギュラー陣によるアットホームな雰囲気作りに力点が置かれているようだ。もっとも、自分は一部しか見ていないのだが。

 では、その第13回「チャボが怒ったらこわいぞ……」を紹介しよう。
 冒頭、いかがわしい繁華街の裏通り、チャボがルンペンに変装してゴミ箱を漁っている。

 サラリーマン風の酔っ払い中年男に、女の子が近付き、
 「おじさんっ遊びませんかぁ〜」と、声をかける。

 そう、斉藤さんである。
 男「へへっ、遊ぶって?」
 斉藤さん「やだ、遊ぶって言ったらぁ、ニャンニャンするってことじゃ〜ん」

 管理人、この台詞を聴いた瞬間、実に何とも言えない衝撃を受けたものである(しみじみ)。

 あの清純派の、白いソックスの足首が眩しい(やかましいわ)斉藤さんが、いきなり見知らぬ男に援交(当時はそんな言葉はなかったけど)を持ち掛けているのもそうだが、言うに事欠いて「ニャンニャンする」と言う、実に恥ずかしい言い回しを使っているところが、心を揺さぶったのである。

 斉藤さんにしても、役の上でも、実生活を含めても、初めて口にする言葉ではなかっただろうか? ……と言う一方的な希望を抱いて明日も生きていきます。
 斉藤さん「うーん、2枚!」
 男「2枚?」
 斉藤さん「うーん、じゃさーさーさー、1枚だけでもいいからぁ」
 親しく話しかけながら、斉藤さん、酔っ払いの懐に手を入れて財布を抜いてしまう。へべれけ男は気付かず、また今度と彼女から離れて歩き出す。
  
 しかし、それを見ていたチャボが、
 チャボ「だにやってるのさ?」
 斉藤さん「なによーっ」
 チャボ「旦那さん、財布だいじょうぶ?」
 呼ばれて慌てて戻ってきた酔っ払いに財布を返してやるチャボ。

 斉藤さん、「ばっきゃろっー!」と捨て台詞を吐いて走り去る。

 男にお礼だと何枚か紙幣を握らされたチャボ、カメラに向き直り、
 チャボの声「こんばんは、東和日報の中山一太です。何故僕がこのような格好をしているのかと言うと……」

 このまるっきりコント風のメイク、今のドラマではありえないよね。ま、そもそも主人公が本格派の浮浪者に変装する時点でNGだろうけど。

 彼はとある汚職事件の調査に絡んで、情報を得るためにこんな変装をして街を彷徨っているのだった。しかし、斉藤さんのエピソードとは関係ないし、特に面白くないのであまり触れない。
 チャボがそういう格好をするハメになった経緯が回想的に語られる。
 つまり、汚職に関連した殺人事件を目撃したらしい浮浪者に接触するためである。

 チャボと、東和日報の同僚たち。左から水谷豊の奥さんである伊藤蘭さん、園田裕久さん、キャップの藤岡琢也さん、渡部篤史さん。他に、井上高志さん、有川博さんなど、渋い実力派俳優で固めてある。
 ちなみにメインの舞台となるこの部屋は、警視庁の記者クラブ(東和日報の分室?)と言う設定である。だから、他のライバル社の部屋も同じフロアにあるので、
 毎朝新聞(日報?)の、須田(寺田農)が、ちょくちょく敵情視察に訪れたりするのである。若いなぁ。

 キャストは他に、刑事役で藤木悠、藤岡琢也の娘役で木の葉のこ(懐かしい!)など。

 この辺までが、アバンタイトル。
 オープニングタイトル。
 ヘリで吊り下げられたチャボが道路に降り立つ。
 伊藤蘭と合流して、様々な扮装をしながら歩く。実に微笑ましい。

 テーマ曲は水谷豊自ら作詞・作曲した「何んて優しい時代」である。
 斉藤さんの役名は礼子。
 老人メイクも厭わない伊藤さん。他に、二人で女装、二人で男装など、とにかく楽しいタイトルバックになっている。

 さて本編。
 チャボが、仕事で、歌舞伎町のパンドラと言う喫茶店にいると、斉藤さん……礼子が入ってくる。

 ソバージュが見事に似合ってない。
  
 なにやら店内を物色していたが、ひとりでカウンターにいるチャボを見付け、甘えるように話しかける。
 礼子「ここぉいいですかぁ?」
 チャボ「えっ、あ、どうぞ」
 礼子「すいません」

 レモンティーを頼んだ後、
 礼子「おひとりですか?」
 チャボは、相手があの財布をすろうとしていた娘だとすぐ気付く。
  
 礼子「あのー、女の子に興味なんて、ありますぅ?」
 チャボ「あるよ、かなりあるけど」
 礼子「あたしが遊んでもいいわよー、なんて言ったら、大胆?」
 チャボ「へへへっ」
 礼子「どうしてもお金が欲しいんだっ」

 斉藤さん、清純派女優から脱皮しようと努力されている頃だと思うが、やっぱりこういう役は似合わないよね。
  
 チャボ「それで俺の懐を狙おうってワケ?」
 礼子「うふっ、いやだーっ」
 チャボの腕を肘で小突く。

 チャボ「見ちゃったんだよゆうべ、酔っ払いから財布を抜くところをさぁ……あんたね、そういうことしてると今に捕まって新聞に出るようなことになるよー」
 忠告するチャボだが、礼子は特に気にした様子もなく、
 礼子「いいもん! あたしね、新聞出た方がいいんだっ」
 チャボ「面白がってそういうこと言ってんじゃないよー」
 悪戯っぽい笑みを浮かべ、
 礼子「うふーん、チョッチョッチョッチョッ、ロッロッロッ……」

 舌を鳴らしながら、指を小さく動かして手招きする。
 この舌で発する音は、書き文字にするのは困難なので、気になる人は実際に聞いて下さい。
 チャボ「ええっ?」
 礼子(声を潜めて)「あたしさ、ほんとうは、父親を探してんだ! それであたしも東京出てきてんの。あたしが十の時にね、東京に出稼ぎに来て、それっきりになっている父親がいるのよー」

 そこへレモンティーが運ばれてくる。
 チャボ「クニどこ?」
 礼子「秋田……あちぃーっ」
 レモンティーが熱くて顔をしかめる礼子。グラスの水を注ぐ。

 チャボ「身寄りは?」
 礼子「父親のほかには誰もいないってワケ。だからさ、生きてれば会いたいのよねー」
  
 礼子「新聞に名前が出ればさ、ひょっとしてってことがあるじゃん!」
 手を叩いて、「うふふっ」
  
 礼子「……なーんて、なんかヤケクソみたいだねぇ」
 チャボ「なに、東京にいるってのは分かってるの?」
 礼子「うん、多分ね。随分前に品川の消印で5万円ほど送って来たことがあるから」
 チャボ「よし分かった。新聞に書いてあげるから、あんまりやばいことするんじゃないよ」
 礼子「新聞に書くって?」
 チャボ「いや、俺ね、何を隠そう、実は新聞記者なんだよ、東和日報の」
 礼子「またまたーっあっはははははっ、いやっ」
 本気にせず、顔を仰け反らせて笑う礼子。

 チャボが社員証を見せると、礼子は「ほんとだ」と目を丸くする。
 チャボはちょうど蒸発についての記事を書いていると言って、詳しい話を聞かせて欲しいと頼む。
 チャボ「住所は、住所どこ?」
 礼子「ううん、そんなもんあるわけないよーその日暮らしだもん、あたしなんてさ、毎日少しずつでも稼がないと」
 ここの喋り方、ちょっと岸本加世子に似ている気がする。
  
 ここで思い切り腕を伸ばして、「干上がっちゃうんだよねーっ」
 チャボ「あ、そう」
 礼子「うーん」
 チャボ「1万円だったね」
 礼子「うん?」
 チャボ「あ、いやいやいや、じゃあさ、これ遊んだつもりでさ、これ、とりあえず、今日は悪いことしちゃダメだよ」
 と、1万円を取り出して、礼子の前に差し出す。

 礼子「良いことならいいんだ?」
 チャボ「良いこともダメ!」
 礼子は万札を返そうとするが、チャボはそれを押し付け、
 チャボ「名刺渡しとくから、連絡くれないか?」
 礼子「うんうん、うんうん」
 何度も頷く礼子。
 チャボ「ほんとにくれるね?」
 礼子「ほんとにあげる」

 そこへ同僚の有川博が来たので、チャボは礼子の前から離れる。結局、礼子は1万円を受け取る。

 その後、再び事件が動き出すが、どうでもいいのでカット。
 なんつー眼鏡だ。

 ちなみに今回、奥村公延、丹古母鬼馬二と、「反逆同盟」に出たことのある俳優が二人も出ている。こちらの方が先だけど、同じく日テレで、ユニオン映画制作なのだ。

 チャボは知り合いの喫茶店で、礼子を雇ってもらうよう頼む。
 ここでは、いかにも斉藤さんらしくハキハキと明るく挨拶している。
 店のママ(レギュラーだろう)に簡単に引き合わせて、
 チャボ「俺ちょっと仕事があるから、それからね、泊まる所はキャップに頼んであるから」

 それに対する礼子の反応、

 「わぅん! ありがとございます!」

 これが、めっちゃくちゃ可愛いのである。
 チャボは、また冗談のような変装で情報収集に当たる。

 そうそう、この椎谷謙治さんも、「反逆同盟」に出てるんだよね。当然、ここでも悪役。
 早速ウェイトレスをしている礼子。
 礼子「いらっしゃいませーっ」
 客「あれ、新しく入ったの?」
 礼子「そうなんです、礼子って言います、よろしくぅー」
 実に愛想良く応対し、向かいの席に腰を下ろしてしまう。
 カウンターからその様子を窺っているツル(伊藤蘭)、彼女はチャボに密かに想いを寄せているので、礼子の存在が少し気になるのだ。
 ママ「お父さんね、生きてれば52なんですって」
 ツル「蒸発した人間なんて出てくんのかしら?」
 ママ「明日の朝刊に出るんだって」
 ツル(声を潜めて)「あたしはね、マユツバだと思ってんの、悪いけど、だってさあ、美談過ぎるでしょう? 一太さん、まんまと引っ掛かってんじゃないのかなぁ」
 礼子は、キャップの鬼丸(藤岡琢也)の家に下宿させて貰っていた。と言っても、娘のめぐみ(木の葉のこ)の部屋を一時的に拝借しているのだが。

 ノックの音に、礼子「はぁーい、どーぞー」
 めぐみが顔を出す。
 めぐみ「ごめんね、ちょっとお化粧の道具!」
 礼子「あっ、どうぞどうぞ」

 ちなみにめぐみは婦警をやっているのだ。
 礼子「すいません!色々ご厄介になっちゃって」
 めぐみ「いえいえいえ、自分のお部屋だと思ってリラッスク(噛んだ?)してください」
 礼子「はい! ね、ね、ね、これ(ウォークマン)借りても良い?」
 めぐみ「うん、いいよ、おやすみなさーい」
 礼子「おやすみなさーい」
 礼子「すごいね、かっこいいじゃん」

 下では、キャップとその母親が彼女について話している。
  
 母親「あの子ね、二十歳なんだよ、それをさ、枕探しみたいなことまで致しましたと、かわいそうに正直にそう言ってさ……あたしもう涙が出ちゃったわー」

 枕探し……もう死語だろうけど、情趣のある日本語ですね(そうか?)
  
 で、チャボの書いたその記事が、新聞に載る。
 ここ、感心したことには、見出しだけじゃなく、本文まできっちりストーリーに沿った文章になっているのだ。

 もっとも、礼子が喫茶店で働くようになった経緯などは、嘘八百の出鱈目記事である。
 礼子「北の酒場どおりには長い〜♪」
 歌いながらテーブルを拭いている礼子。

 ママ「大丈夫よ、これを見ればお父さん絶対名乗り出てくるわよ」
 しかし、肝心の礼子は「でもさあ、東和日報を見るとは限らないしさぁ」と、あまり期待していない口ぶり。

 ママ「そんなこと言うもんじゃないわ」
 礼子「髪の女が〜♪」

 チャボは浮浪者に扮して、汚職に絡む殺人事件についてあることないこと吹聴してまわっていたが、それを信じた椎谷健治にネタを買ってやると倉庫へ連れて行かれ、彼と彼の仲間に危うく口封じのために殺されそうになる。しかし、間一髪で警察が駆けつけて事なきを得る。

 で、椎谷さんの線から、汚職の張本人(西沢利明)もあっさりと逮捕されて、そちらの事件は片付く。
 と、ツルがある情報をチャボにもたらす。
 ツル「一太さん、あのー、礼子って子ね、お父さん7年前に死んでるわよ」
 チャボ「えっ」
 キャップ「どういうことだ?」
 ツル「悪いけど調べてみたんです。昭和52年に父・正三、東京の出稼ぎ先で死亡、母56年に死亡……」
 チャボ「えっそれ本当ですか、ツル先輩?」
 ツル「52年にね、竹芝桟橋に変死体が上がって着衣や所持品から本人だって彼女の母親が上京して確認してんのよ」

 ガクッとするチャボ。嘘の記事を出してしまったと、キャップはチャボを叱り付ける。
 チャボとツルは……って、どっちも鳥じゃねえか。
 とにかく、二人はすぐ彼女に会いに行く。

 礼子「あ、どーもっ色々とすいません」
  
 チャボは店のママに断って、彼女を奥のテーブル席に連れて行く。
 チャボ「ちょっとひどいんじゃないの?」
 礼子「うんっ?」
 チャボ「お父さん、7年前に亡くなってるね? 何がお父さん探しだよ!」

 指摘されて一瞬表情を固くするが、
 礼子「えっへ、どうして分かっ たぁ?」

 ここ、斉藤さんがやたら歯の間から舌を出すので、そのまま舌を噛み切るんじゃないかと心配になる(なるなよ)。
 ツル「どうして分かった、じゃないわよ。どうしてそういうことするの?」
 礼子「そう言うことったって、あたし、なーんにも悪いことなんかしてないもーん」
 チャボ(訛りながら)「あのねー」
 礼子「あたしはいいって言ったのに、あんたが勝手にお父さん探しの記事書いたんでしょう?」
 少し身を乗り出し、
 礼子「あたし、頼んだぁ? ねえ、頼んだ?」
 チャボ「え……いや、頼んでないけどもさ」
  
 おっかぶせるように、
 礼子「だったらいいじゃないのさーだぁーれも困る人なんかいないんだからさっ」
  
 礼子「ふんっ、ようく出来た話じゃないかっ、なぁーみだが出ちゃう」
 あくまで反省の色を見せない礼子に対しツルが説教をかます。

 ツル「あなたねー、この人がどんなに心配したか分かんないでしょうねー単純でお人好しで人の話を何でもすぐ鵜呑みにする人だから、でもねあなた、今から10年先か20年先か分かんないけど、きっとこの人と出会ったことをそりゃ懐かしく思い出すときがあるわよ? 絶対あるからー!」

 説教になってなかった。でも、心が温かくなる台詞ですね。
 だが、礼子はあくまで「ふーん」と白けた態度を変えない。

 ダメだこりゃと言う風に顔を見合わせるチャボとツル。

 このままだと、後味が悪いだけの話なのだが……。
 そんな時、東和日報へ礼子の記事を読んだと言って、その、死んだ筈の父親がやってくるのである。
 演じているのは、名優・奥村公延さん。

 戸惑うキャップたちだが、彼の説明によれば、7年前の死体は彼の衣服を着ていた別人だったが、彼は社会と縁を切りたいと思って、そのまま自分が死んだことにしてしまったらしい。
 当然、そのことは喫茶店にいるチャボに知らされる。電話口で驚いているチャボを覗き込んでいる礼子。
  
 席に戻ってきたチャボ、単刀直入に、「お父さん、いたよ」と告げる。
 チャボ「今、記者クラブにいるから行こう」

 礼子「だ、誰がいたって?」
 状況が飲み込めない礼子。
 チャボ「お父さん……」
 礼子「あっ、なぁに言ってんだよ、あたしの父ちゃんは死んだんだってば!」
 チャボ「違うんだよ、うー、間違いだったんだよ、らしいんだよ、とにかく来てさ」

 ぽかーんとしている礼子に、
 チャボ「早くぅ!」
 チャボの剣幕に、礼子も思わず立ち上がる。
 倉皇として記者クラブへ戻ってきた三人。
  
 礼子「父ちゃん……」
 正三「礼子か?」
 礼子「父ちゃん」
 正三は娘の前に進み出ると、頭を下げ、
 正三「済まなかった……おめえがこんなに必死になって探してくれてるなんて……俺は死んだことになっていたのに……それでも諦めねえで、おめえはまあ」
 感激する父親だが、礼子は急に「知らないねこんな人は!」と叫ぶ。
 礼子「あたしの大好きな父ちゃんは死んだんだ! 知らないね、女房子どもほったらかして消えるような奴は!」
 そのまま部屋から飛び出そうとするが、
  
 チャボ「礼子ちゃん!」
 礼子「どきなよぉ」
 チャボ「どかない」
  
 礼子「どきなよーっ」
 礼子は半べそかきながら、チャボを押しのけようとするが、チャボは彼女の腕を掴んで通さない。

 チャボ「礼子ちゃん、今別れたら、もう、一生会えないぞ」
  
 正三「礼子、行くなら行ってもいい……」
 カバンから紙包みを取り出し、「これだけは持って行ってくれ、これは10年前の正月に帰るつもりでお前の土産に買ったもんだ。帰りそびれて、それからもずーっと持ってた。別に忘れたわけじゃなかった。……さ、持ってけ」

 包みの中には、赤いマフラーのようなものが。
  
 礼子「なんで、なんで父ちゃん、いなくなったんだよーっ」
 感極まって、父親に抱き付く。拳で父親の肩を叩いて言葉にならない言葉で責める。
 正三「勘弁してくれ、ごめんしてな」(はっきり聞き取れない)
 礼子「うう……」
 泣きながら、しっかりと抱き合うふたり。
 その様子を抜かりなく写真に撮る記者もいる。
  
 キャップがふたりを椅子に座らせる。
 正三「ありがとうございました。皆さん、ありがとうございました」
 横に座った礼子、素早くマフラーを首に巻く。

 正三「あの、あの記事はどなたが?」
 キャップ「うん、彼だ」
 と、チャボを指差す。
  
 親子は立ち上がり、改めて頭を下げて礼を言う。
 正三「ありがとうございました」
 チャボ「ああ、いいえっ」
  
 礼子「あたし、分かんなくなっちゃたよ、ぐす、分かんないよ、夢だよこれは……」
 泣き笑いの表情を浮かべてつぶやく礼子。

 二人は秋田へ帰ることにし、みんなから激励される。
 礼子「中山さん、ほんとにどうも、ありがとうございました」
 チャボ「良かった!」

 警部の藤木悠、キャップに付き添われて廊下へ出て行く二人。
 その直後、渡辺篤志が、「皆さんカンパのほどをよろしく」と、その場にいる同僚たちから、親子への餞別を募る。
 こういう温かい気持ちの発露、今の日本(のドラマ)ではあまり見られない光景である。

 そう言えば「反逆同盟」でも、奥村公延は山本理沙からカンパされていたな。
 渡辺「チャボ、お前も出すだろう」
 チャボ「パス」
 渡辺「あー? 出せこの野郎!」
 渡辺の怒声にみんなが笑う。

 チャボ「出しますよ、冗談ですよぉ」
 渡辺「俺も冗談だから、へへっ」

 今苦しいと言いながら、大枚1万円(だろう)を出すチャボ。
 戻ってきたキャップに、ツルがお金の入った缶を差し出すと、
 キャップ「お前ら安っぽい同情なんかしやがって、こういうこといちいち新聞記者がしてたらなぁ、いくら給料もらったって足りゃあしねえぞ……嫌いだね、こういう真似は」
 ツル「そうですね」

 ぶつぶつ言いながら、キャップも1万円をカンパするのでありました。

 チャボ&ツル「あ、よろしくありがとうございました!」

 事件が片付いた後、四国にいるチャボのおばあちゃん(乳母、演・千石規子)への報告と言う形で締め括られる。

 チャボ「広い東京では、こんなこともあるんですねえ、おばあ↑ちゃん! でもエリート野郎の胸糞の悪くなる汚職事件の陰で、ほんのちょっぴり俺の心は慰められました。おばあ↑ちゃん! 新聞記者って悪くないなぁって考える今日この頃です」
  
 また、ラストは大抵、チャボとツルのほのかな心の交流が描かれる。

 ツル「一太さん、今頃どの辺かしら、礼子ちゃんとお父さん、そろそろ新潟、ね。新潟から秋田までまだ4時間あるわねぇ」
 チャボ「駅弁買って、そろそろ10年ぶりで親子水入らずの夕食が汽車の中で始まる頃ですかねえ、ツル先輩」
 ツル「一太さん、良かったね!」
 チャボ「ほんと、あ、ツル先輩、送って行きます」
 ツル「あ、すいませんねえ」
 チャボ「さっき先輩僕のこと、単純でお人好しって言ってませんでした?」
 ツル「でもね、この複雑な世の中、一太さんみたいな人がいるとホッとするのよ〜」
 あれこれ言葉を交わしつつ、大量の排気ガスを撒き散らしながら走り去るチャボの車を映しつつ、「つづく」のだった。