×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

スピンオフ企画 スピンオフトップへ戻る
山本理沙編 不良少女とよばれて
クリックすると該当部分へジャンプします。 第04話 第05話 第06話
 

  第04話「ネバー・ギブアップ」(1984年5月8日放送)

 相模愛育女子学園の授業風景。
 まず、中村晃子の指導によるダンスレッスン。トキ子が意外と巨乳なのだった。
  
 ついで、福崎和弘による剣道。

 福崎は笙子を指名して、一対一で打ち合い、彼女を挑発する。笙子もカッとなって悪竜会の頃を髣髴とさせる熾烈な攻撃を見せるが、所詮、素人なので突きを食らって壁際までぶっ飛び、失神してしまう。冷静に考えたら、大の男がマジになって、か弱い女子をいたぶってるだけのように見える。
  
 また、グラウンドで笙子たちが走っていると、塀の外に悪竜会の面々がバイクや車でやってきて、堂本剛(笑)が中を覗く。
  
 ハードなジグザグ走行の後、「真っ直ぐ走るよりジグザグに走る方が得意だろう」と、彼女たちの境遇を皮肉って余計なことを言う阿部祐二だったが、
 五月「もう頭に来た! ナメケイ、許さないからね」
 ナメケイと言うのは、丹波圭太郎と言う役名の通称であるが、正確に何と言ってるのかいささか心許ない。

 怒ってみせる五月だが、実は彼女が密かに彼のことを愛しているのを踏まえると、
 五月「キスしちゃうから」
 と、冗談めかしてナメケイに迫る様子が実にいじらしく思えるのである。

 彼女の号令で、少女たちに襲われるナメケイであった。
 その様子を、キス攻撃には加わらないが、笙子やモナリザが笑って見ている。
  
 その騒ぎに紛れ、悪竜会のメンバーが塀の外から笙子に呼びかけ、彼女を元気付ける。
 また、レモンの間にメモを挟んで笙子に放り投げて寄越す。それには、山吹麻里(比企理恵)が警察に自首したことが書かれてあり、警戒するよう注意してあった。

 一方、中条静夫たちはトミーの両親に、トミーと娘・岡田奈々の結婚式を繰り上げて行いたいと申し入れていた。
 無論、トミーの母親に異存はなく、父親も賛成する。
 だが、トミーの気持ちを知っている岡田奈々は、浮かない様子だった。
  
 一方、坂上亜樹たちは笙子にメモを渡すことに成功したので、ジョーズで祝杯を挙げていた。
 それにしても、坂上亜樹、ここまで来ると不良少女でも何でもないな。芸人か?
 また、悪竜会も事実上解散したため、彼らもそれぞれ別の道を歩くことが山田邦子の台詞で示される。
 堂本剛(笑)はどこかで働いていて、晴子(かとうゆかり)はジャズシンガー、坂上亜樹は美容師を目指し……、
 我らが山本さんは高校に戻るらしい。
 山本「こうなったら、東大でも受験しよっか!」
 この、ひっくり返ったような喋り方、山本さんならではです。

 盛り上がる彼らだったが、そこでひとりの「ね、ね、ね、あちらさん、静かだねえ」と言う台詞とともに、カメラがパンして、
 ← 
 同じ空間にいたのに一切話し声を出さずに座っていたトミーとタツ(宮崎達也)たちを映すのが、ドラマと言うより舞台劇のようなわざとらしさである。

 しかし、なんでわざわざこんなところで会ってるんだろう、彼ら。

 トミーは、既に必要事項を記入した(笙子との)婚姻届を取り出し、タツに証人としてサイン(押印)してくれと頼む。
 さすがに、ここまで一方的な行動に走られると、タツも怖くなる。コイツ頭おかしいんじゃないか、と。

 タツはトミーに捨てられそうな岡田奈々のことを気遣うが、トミーは、彼女ならひとりでも大丈夫だと勝手なことをほざく。
  
 タツ「哲也、それはお前の勝手な思い込みだよ。そう言う人だってもろく崩れるって言う例がたくさんあるんだよ……恭子さんが不幸になったらどうするんだ? 笙子さんを幸せにするために、お前は恭子さんを不幸にしていいのか?」

 情理を尽くして説得するタツだったが、トミーは一向に聞く耳を持たない。
 と、ここで照明が暗くなり、晴子による生歌披露が勝手に始まる。
 タツ「お前は身勝手過ぎるぞ。俺が恭子さんの兄だったら、お前をぶん殴ってるところだ」
 全くもってそのとおりのタツの言葉だが、

 トミー「自分が身勝手だってことはよく分かってるよ。そのための非難は全て受けるつもりだ」
 居直るトミー。ダメだこりゃ。

 さらに、関係のない妹の話まで持ち出して、なんとしても笙子さんは不幸にさせたくないと訴える。
 で、タツもあっさり折れて、書類に記入してしまうのである。なんでだよ。
 トミーが内心しめしめと思っていると、「無駄だな、そんな紙切れは!」と、松村雄基が、ずかずか入り込んでくる。

 しかし、彼らが来た時は室内は暗かったのに、何で書類が見えたのだろう?
 松村「久樹哲也さんだな。笙子は俺の女にする。一人の女に惚れた者同士だ。よろしくな!」
 と、正々堂々と恋のライバル宣言をする松村だった。
 トミーは相手を見据えるが、握手には応じない。
 松村は、素早く婚姻届を奪うと、ライターで火をつけて燃やしてしまう。
 折角、タツを騙して、いや説得して証人になって貰ったのに書類を燃やされて小学生のように悔しがるトミーであった。

 ちなみにこのドラマでは、婚姻届は何回も破かれます。受難だ。

 ここでOP。
 少年院の食堂の様子。ここで早くも比企さんが不貞腐れた顔で入ってくる。
 そして、「関東流星会の副長」と言う肩書きを堂々と名乗り、笙子のことを「相模悪竜会会長」とわざわざ引き合いに出して挨拶する。

 ざわつく少女たちだが、ここで名古屋章の長い説教が始まる。

 長いので要約すると、人生における障害は大抵「人間」だが、最大の味方も「人間」である、ネバー・ギブアップ! と言うことだった。約4分の説教の後、名古屋章が室内を見渡すと、教官と少女たちは全員寝ていた。
  
 その後、比企と同部屋のトキ子が彼女にタイマンを挑むが、
 比企「笑わせんじゃないよ! てめえらチンピラとは格が違うんだ格が! じたばたすると、首の骨折るぜ、おらぁっ」
 凄い脅し文句を並べてハンパ者のトキ子を秒殺し、「今日からこの部屋のボスはあたしだ! あたしの命令に従ってもらうよ!」と、あっという間にその部屋を支配下においてしまう。カッコ良過ぎである。

 さて、部屋に戻った笙子は、仲間たちの話をよそにまたしても回想モードに突入。
 例の、「お前なんか水に流せば良かった」と言う母親の暴言の直後だろう、両親がまたしても派手な喧嘩を始めている。

 煎じ詰めれば、母親はセレブ生活がしたいので父親にもっと金を稼げと言い、父親は拒絶すると言う繰り返しである。
 母親「いい加減働け!」
 山本学「イヤじゃ!」

 こう書くと、おかん対ニートみたいだ。

 その醜い諍いに嫌気がさした笙子は、本格的に自暴自棄になっていく。
 とりあえず、不良っぽい感じで夜の盛り場を徘徊する。
 悪い仲間とアンパン(シンナー遊び)をする。

 ここでも「アンパンも全然気持ちよくなかった」と笙子に言わせ、テレビとして風紀上の配慮がうかがえる。
  
 そして、暴力沙汰を起こした末、その地域の不良グループに因縁をつけられてフクロにされる。その地元グループと言うのが、後の悪竜会のメンバーたちである。当時は、晴子がボスだったようだ。
 倒れた笙子さんを抱き起こしているのが、山本理沙さんで、この時は髪も普通で、制服もブレザーである。
  
 さらに「おらっこの野郎」と、強烈なビンタをお見舞いしている。

 一方的にやられる笙子さんがいささか情けないが、痛め付けて立ち去ろうとする晴子たちを、
  
 ギロッと凄い目で睨み付けて、
 「ちょっと待ってよね……あたし曽我笙子、こんな中途半端じゃ涙も出ないのよね。やるならとことんやろうじゃねえか」
 晴子「あたいを誰だと思ってんだい、あたいはねこの界隈を仕切ってるザキ(逗子……?)のおはるだよっ」
 笙子「あんたが誰でも関係ないよっ」
 晴子「このスカタン、あたいはねえ、ハンパじゃないよ! 分かってんのかい?」

 えげつない化粧の晴子さんは「スカタン」と言う言葉がお好きなようで、連発している。

 笙子「いいわ、生きるか死ぬかじゃないと面白くないモンね」
 笙子の眼光に恐れをなす晴子だが、坂上亜樹からナイフを受け取り、それでタイマンをする。
 しかし、死を覚悟している笙子の敵ではなく、あえなく負ける。
 これですぐ笙子が彼らのボスになったわけではないが、これが悪竜会結成のきっかけとなったのだろう。
 一転して、崖の上に立ち、足元に逆巻く波濤を見下ろしている笙子。
 彼女は自殺をしようとしたが、結局できなかった。

 回想シーンから帰った笙子は、「ネバー・ギブアップ」とつぶやくのだった。
 そして暴走機関車トミーは、笙子の両親を訪ね、是非とも結婚させてくれと嘆願する。

 小林哲子「ロリコンかしら?」
 山本学「多分な」(註・管理人の妄想です)

 ちなみに設定上、トミーは笙子より10近く年上なのだ。

 その話を受けて、二人は笙子に面会に行く。
 トミーが自分と結婚したがってると聞いた笙子だが、トミーの将来のことを考え、ありえないと拒絶する。

 小林哲子「あなたが哲也さんと結婚しても、いますぐ幸せになれるとはあたしたちも思ってないわ。これまで以上に大変だと思う。でもね、お父さんとお母さんだけでもあなたたちの味方にならなきゃって、話し合ってきたのよ」
 温かい言葉をかける母親。

 笙子「ありがとう……お父さん、お母さん……でもダメ、あたしのために哲也さんの人生を台無しに出来ないもの……お断りして!」

 部屋に戻ってくると、同室の少女たちに冷やかされる。
  
 五月「君にしてあげられることはただひとつしかない。正式に君と結婚することです!」
 などと、哲也からの手紙のフレーズを口々に言い立てる。

 そう、こいつら手紙を盗み読みしやがったのである。
 当然腹を立てる笙子だが、彼らは「悪気はなかったのよ。あんたに興味があってさ」などと、ろくに謝りもしないのであった。
 それにしても、この部屋の少女たちはみんな個性があって、キャラが立ってるよね。
 モナリザは物静かに編み物か何かしていたが、笙子の恋人の名前が「哲也」だと聞き、気になるような顔を一瞬見せる。無論、この段階で、それが自分の兄だとは知るよしもなかった。「哲也」なんてありふれた名前だしね。

 哲也のことを聞かれ、
 笙子「あたしね、哲也さんがいなかったら落ちるとこまで落ちてたと思う。人を殺していたかもしれないし、殺されていたかもしれない。哲也さんがあたしを救ってくれたの」
 ここぞとばかりにのろける笙子。

 だが、彼との結婚は諦めていると話す笙子は、例の手紙を一生の宝物として生きていくと殊勝なことを言うが、その手紙が紛失している。
  
 案の定、手紙を盗んだのは比企さんだった。仲間と共に乗り込んで手紙を返せとガンを飛ばす笙子さん。
 しぶしぶ手紙を返そうとした比企さんだが、横合いからトキ子が奪って引き裂いてしまう。
 当然、激怒する笙子だが、トキ子は逆に笙子への恨みを述べる。

 ここでまた回想モード。
 ドブ板通りを集団で疾走する笙子たち。「みんなでやれば恥ずかしくない」が撮影時の合言葉です。
 ブレザー姿の山本さんもチラッと映っている。
  
 現役時代、ふたりは激しく抗争していた間柄。もっとも、相模悪竜会の方が断然優勢だったようだが。
 簡単に書くと、トキ子にはアル中の母親がいて彼女が面倒を見ていた。ある時、彼女の自宅にまで押し寄せてきた笙子たちにフクロにされる。と、騒ぎを聞きつけた母親が階段を降りようとして足を滑らせて転落して頭を打って死亡したと言うヤな昔話であった。

 母親の死を持ち出して、根が真面目な笙子を責めるトキ子。
 思わず土下座して謝る笙子。
 それを足蹴にするトキ子だったが、
 モナリザが割って入り、「およし、あんたのお袋さんが死んだのは笙子さんの責任じゃないよ。あんたとあんたのお袋さんが悪いんじゃないか」と、冷たく正論を叩き付ける。

 さらに、「他人に罪を被せるのは一番楽だけどね、でもそれは卑怯ってモンだよ」ときつい一言。
 後にモナリザと仇敵となる比企さんは鼻で笑って、トキ子を促して退室する。

 モナリザはああ言ったが、当然、笙子は自分を強く責めていた。
 笙子の声「知らなかったじゃ済まされない。あたしはなんて恐ろしいことをしてしまったのだろう。哲也さん、あたしはあなたと結婚できるような女じゃない」
 その夜、笙子を慰めようと、同室の少女たちが彼女を施設の外へ出ようと誘う。無論、ルール違反だが、彼らは何度もそう言うスリルを味わってきたらしい。もっとも夜間外出と言っても、夜の砂浜へ来て叫んだり行進したりすると言う健全なもの。まあ、少年院の制服着てるから、人気のあるところは無理だしね。金もないし。

 笙子の気持ちも多少晴れる。
  
 比企さんはその様子を目撃し、早速教師たちにチクるが、ちゃんとそう言うことを想定して部屋にはモナリザが待機していて、何かあれば懐中電灯で知らせるようになっていた。で、教師たちが部屋を覗くが、いつの間にか全員部屋に戻っていて、事なきを得るのだった。
 映像を見る限り、彼らはグラウンドに面した塀を乗り越えているようだが、あの高さを彼らが越えるのはいささか厳しそうだ。ハシゴでも用意してあったのだろうか。

 ……と言うか、そんなに簡単に乗り越えられるのならどんどん脱走者が出てきそうなものだが。

 さて外界では、親同士の話し合いで、いつの間にか哲也と恭子の結婚が進んでいた。既に結納も済んだとか。ま、トミー自身はいなくても、結納は可能だからね。
  
 しかし、相変わらず岡田奈々は顔色が優れない。
 そこへ、父親が来て、私立探偵を雇ってトミーのことを調べたが、彼の妹は死んでいないと意外な事実を伝える。
 ただ、「戸籍に死亡届がされていない」=「生きている」とも言えないと思うのだが……
  
 そのトミーは、自室で昔の妹の写真を凝視していた。これは明らかに伊藤かずえなのだが、作り手としてはモナリザだと視聴者に分かっても構わないと言うことなのか、まだ伏せておきたいので部分的にしか見せていないつもりなのか、よく分からない。

 トミー「陽子……僕は笙子さんと結婚することに決めたよ……お前は僕たちの結婚を祝福してくれるかい?」

 恍惚とした表情で写真に語りかけるトミー。笙子の両親が見たら、「ロリコンの上にシスコンかよ」と思うことだろう。

 そこへ入ってきた両親が、岡田奈々との結婚が着々と進んでいると話し、トミーを苛立たせる。

 岩本多代は、「あんな不良少女と結婚したら親子の縁を切ります」と息子を脅す。大映ドラマに出てくる母親って、こんなのばっかりである。

 もっとも、この場合、岡田奈々と婚約までしていたのに一瞬で心変わりしたトミーに非があるのは言うまでもない。

 トミーは理に詰まり、「あなたがたは笙子さんを陽子のようにさせても良いって言うんですか?」と、話をすり替えて攻勢に出る。両親は陽子に関しては負い目があるので、言い返せない。
  
 松村は、塀の外から、比企とトランシーバーで話し、早く笙子を外へ出せと急かす。

 ジョーズの様子。それにしても新育生(あらい いくお)さんはカワイイなぁ。
 隅の席に、トミーと岡田奈々が座っている。

 だから、なんでそんなところで話すの、君らは?

 岡田奈々は「哲也さん、あたしたちの結婚、どう思ってるの?」と、根本的な質問を放つ。
 トミーが答えようとしたとき、タツからトミーへ電話がかかってくる。

 トミーがこれ幸いとばかり電話に出ている間、岡田奈々はトミーの持っていた書類を見てしまう。
 それは、新しくトミーの作成した笙子との婚姻届Ver2.0であった。
 それを見ただけで、もう何もかもが明白になった。
 女として最大の屈辱を味わった岡田奈々がこんな顔になるのも道理である。
  
 トミーが電話を置いて、席を見ると、彼女の姿は消えていた。

 怪訝な顔をするトミー。振り向いた瞬間刺されないだけありがたく思え。
 さて、無神経野郎トミーは、岡田奈々の気持ちも知らず意気揚々と少年院を訪れ、今度は笙子との面会を許される。
 そして、婚姻届Ver2.0を笙子に見せる。

 普通ならキスすらしたことのない相手から漏れなく記入済みのそんなもん見せられたら「マジかよこいつ」と逃げ出すところだが、
 根は純真で世間知らずで男と言ったらトミーしか知らない笙子は嬉しさに涙ぐむのだった。騙されたらアカンて。
  
 笙子「哲也さん、あたしもあなたが好きです。今すぐでも結婚したい……でも、でも、待ってください、あたしはあまりにもたくさんの過ちを犯してしまった女です。まだその罪を償っていません。あたし、自分で納得できた時に、哲也さんにふさわしい女になれたと思った時に、この返事をします。それまでこれをあたしに預らせて下さい……」

 トミー「分かったよ笙子さん、その日がくるまで僕は君を待っている」
 この辺から「NEVER」が流れだす。

 庭に出た笙子は、哲也との愛の証である婚姻届Ver2.0を胸に抱いて、愛されることの歓びを全身で感じていた……

 そして今回のラストシーン。笙子の様子とはあまりに対照的な……
 暗い部屋で、ウェディングドレスを着た自分の姿を鏡に映している岡田奈々。

 このカットの岡田さんの美しさは、岡田奈々さんの女優歴の中でも白眉ではないだろうか。
 鏡台には、水の入ったグラスと睡眠薬(ラムネ味の)の入ったビンが置いてあった。

 そう、彼女は、遂に乙女の最終手段、睡眠薬自殺をしようとしているのだ。
  
 手の平にたくさんのラムネ、いや睡眠薬を出して、口に含んで水で流し込む。

 どうでもいいけど、ラムネって美味しいよね!
 そして静かにベッドに横たわり、トミーの凛々しい写真立てを見ながら、
 岡田奈々「哲也さん、私は今、あなたと結婚します」
 と、つぶやく。

 劇中の名台詞のひとつである。ちょっと怖いけど。
 目をつぶり二度と醒めることのない眠りに落ちていく岡田奈々……

 ここで「つづく」のだから、当時の視聴者は次回が待ち遠しくてたまらなかっただろう。





  05話「ラブ・スクランブル」(1985年5月15日放送)

 岡田奈々の自殺も知らず、弾む足取りでジョーズにやってくるトミー。
 おアキに笙子からの手紙が来てるんじゃないかと尋ねる。
 おアキ「良い勘! しかし哲也さんも苦労よねえ、いくら○○がうるさいからって笙子ちゃんの定期便をうちに取り次いでるとはねえ〜」
 トミー「イジワルだなぁ、放して下さい!」
 冗談めかしてなかなかトミーに手紙を渡そうとしない山田邦子。これがいささかしつこくて、気の短い人間だったらマジ喧嘩になりそうだ。ふたりがごちゃごちゃやってると、わらわらと悪竜会のメンバーが店に入ってきて、たちまち人垣を作る。みんな暇だなぁ。

 見兼ねた堂本剛(笑)が、さっさと渡してやれと催促するほど、おアキは容易に手紙を手放さない。
 なお、「不良少女」からの手紙が実家に来ると、両親がうるさいのでここに送付するように決めているのだろう。
 おアキ曰く、「ラブレターって言うのは、凄く焦れてから読んだ方が凄く味があるんだよっ」

 この直後、おアキはトミーとタケシからダブルパンチを喰らう(註・喰らいませんが、喰らっても文句は言えない)。
 あと、山田邦子は早口で、台詞が聞き取りにくいので困る。

 漸くトミーが手紙を奪取する。
 しかもやっと読めると思ったら、後ろから全員が覗き込むと言う奇跡が起こる。
 全体的にこのドラマの登場人物、通信の秘密と言う概念が欠如している。

 笙子の手紙によると、とても嬉しいことがあったという。で、回想シーンで描かれる。
  
 要するに、少年院の善玉コンビ、ナメケイと瀬戸先生の提案で、笙子にみんなの前で舞楽を披露してみてはどうかと言うことになる。少女たちに自信をつけさせるために。まだ未熟で、稽古もしていないと言う笙子に、名古屋章は、だったらトミーに指導に来てもらえばいいと太っ腹なところを見せる。その後、「ただし、稽古は一日限りとする。ふぁははははははっ」と、狂ったように突然笑い出す。

 で、手紙には、トミーに少年院に来れる日時を至急教えてくれと書いてあった。
 無論、トミーに否やはない。それにいっつも暇なので、すぐにハガキに日時を記して投函するのだった。

 この時、「書いて、書いて、返事、返事、さあ早く、ほれ、よよいのよい! さあ早く、よよいのよい!」と、トミーの背後で囃し立てるおアキたちが、すげえむかつく……とか書いちゃまずいだろうなぁと思いつつ、もう書いちゃった。

 さて、前回の最後に潔く割腹じゃなくて、睡眠薬自殺を遂げた筈の岡田奈々だが、
 まだ生きていた。あらあら。救急車で病院へ担ぎ込まれる。
 ポストにハガキを出してルンルン気分のトミーだが、店の前でタツに会って暗転する。

 タツ「哲也探したぞ」
 トミー「どうしたんだ?」
 タツ「驚くなよ。恭子さんが昨夜、睡眠薬自殺を図った!」

 トミー「へー」
 タツ「何だその態度は!」
 トミー「いや、驚くなって言ったから……」
 無論、実際は「なにぃ!」と普通に驚くトミーだった。
 ふたりはすぐに病院へ駆けつけるが、岡田奈々の容態は予断を許さない深刻なもので、治療が行われていた。
 トミーの顔を見るや「帰って!」と激昂する三ツ矢歌子ママ。そりゃまあ、トミーの心変わりが自殺の原因なのは分かり切っているので、顔も見たくないと怒るのも道理である。一方、中条静夫の方は割と落ち着いている。
 最後は「あーはー」と泣き崩れる三ツ矢歌子。その色っぽく取り乱す姿を見て、
 「この人もアリだな」と、考えるトミー、なわけねえだろバカ。
 とりあえず病院をあとにし、港で朗々と懺悔するトミー。

 トミー「恭子さんが死んだら、何もかもおしまいだ。俺と笙子さんの愛も……」
 タツ「それはどういう意味だ?」
 トミー「人一人を犠牲にして、俺と笙子さんが一緒になったところで幸せになれるだろうか。イヤなれる道理がない。恭子さんの自殺と言う暗い影が一生付きまとうんだから……男谷、俺は決めた」
 タツ「決めたって何を?」
 トミー「恭子さんに万一のことがあったら、俺は笙子さんと別れる……それが俺に恭子さんに出来るただ一つの償いだ」

 しかし、もともと婚約を一方的に破棄して岡田奈々の心をズタズタにしている訳で、この時点でもう「人の犠牲の上に」笙子さんとの愛が存立していると思うんだけどね。また、笙子さんからすれば、恋人の元婚約者が自殺したからって、今までの話はなかったことにしてくれと言われる訳で、これもひどい話である。
 だから、最後のトミーの「恭子さん、生きていてくれ、生きていてくれよ」と言う祈るような言葉も、純粋に彼女のことを思っているというより、彼女の死でひたすら自分たちの幸せが壊されるのを心配しているとしか聞こえないのだ。

 そもそも、トミーはどういう経緯で彼女と知り合い、婚約するまでになったのか、その辺を描いていないのでトミーの岡田奈々に対する感情が測り難いものになっているのが、このドラマの欠点のひとつである。

 はい、ここでOPになります。

 さて、舞台は愛育女子学園。ラジカセから流れる雅な音楽の中、
 体育館で同室の少女たちが見守る中、踊りの稽古をしている笙子。
 同じ頃、比企理恵さんたちは茶室に侵入し、手当たり次第に備品を壊して暴れまくっていた。これは比企さん考案の笙子を脱走させるための下準備なのだった。
 練習のあと、仲間に向かって「見掛けより体力使うのよねえ。タイマンな方が楽なくらい」と、本邦初のスケバンジョークをかます笙子さんでした。大ウケする仲間たち。
 そこへひとりだけ不在だったモナリザが、さきほどトミーの投函したハガキを笑顔で届けに来る。
 ただ、表書には哲也のフルネームが書いてあるので、ちらっとモナリザが見て、それが実兄だと気付いてもおかしくはないと思うのだが、ここでもまだそう言う感じはしない。モナリザ、人の信書を盗み見るような行儀の悪いことはしないのだろうか。

 一方の少女たちは、「読んで聞かせなよ、あんたたちの関係はもうばれちゃってんだから!」と、相変わらず通信の秘密と言う概念がないのだった。

 請われるままに文面を読む笙子だが、手紙には稽古の日時は来週の月曜の午後1時とあるだけで、ラブレターっぽいことはほとんど書かれていない。ただ、末尾に「詳しいことは二人きりで話す」とあるのを聞き、「ふたりっきりで? 許せない」「このやろー」と笙子をふざけて追い掛け回す仲間たち。
 そんな彼らを冷ややかに見詰めるモナリザ。紛らわしいが、別に笙子の相手が自分の兄だからこんな顔をしているのではないだろう。
 が、そこへずかずかやってきた悪玉コンビが、茶室の備品を壊したのはお前だろうがと笙子を引っ張って行く。彼女は自分たちと一緒にいたと主張する仲間たちだが、片時も離れなかったわけじゃないだろうと福崎和弘は相手にしない。ただ、常識で考えて舞楽の稽古の合間にそんなことするバカはいない。
 もっとも、彼らが笙子を犯人だと決め付けるのは理由があり、実行犯の比企さんが笙子に命じられて一緒にやったと嘘の証言をしたからなのだった。
 一方の言い分だけ聞いて、笙子を犯人と決め付け、おでこを押し飛ばす福崎和也。

 お前、もう一度教育大学で勉強し直した方がいいぞ。
 とにかく、笙子は比企さんと仲良く茶室の片付けをさせられる。

 比企「あんたこの学園に来て何かを失ったと思わないかい? (中略)あんたなくしてるよ、熱い心を! 下らない世間に逆らう火のような魂をさ!」と、素面ではとても言えそうにない台詞を放ち、「好きなように暴れまわっていた頃のことを思い出してみな」

 根が素直な笙子さん、そう言われてほんとに回想モードに突入してしまう。
 今度は、笙子とタケシとの出会いが語られる。フクロにされてずたぼろになったタケシのところへ笙子たちが駆けつける。
 坂上亜樹「こいつさ、中学の同級生でタケシって言うんだ。ばっかだよなぁ、十人相手にひとりでゴロまいてさぁ」

 彼は元々亜樹の知り合いだったようだ。ゴロを巻くというのは喧嘩をすると言う意味で、そう言えば「あしたのジョー」にゴロマキ権藤さんっていたなぁ(知るかハゲ)。

 笙子「あんたどうしてそんなムチャしたの?」
 中森明菜ふう笙子に訊かれ、泣きながら「今朝、お袋が出て行った」と、訳の分からないことを言い出すタケシ。何の関係があるんだよ。

 面白いのは、その言葉で回想シーンの笙子がさらに回想シーンに入ることだ。つまり、不良になる前の母親の思い出。
  
 夫婦喧嘩で家を飛び出して一ヶ月ぶりに帰ってきた母親に、家事を押し付けられてきた笙子が「もう顔も見たくないわ」と怒鳴るシーン。
 しかし、回想シーンのキャラが回想すると言うのもあまりないよな。
 ちなみに笙子の大きい方の妹(右端)が、ちょっと可愛い。
 回想シーンから帰ってくる、回想シーンの中の笙子。ややこしいなぁ。
 背後で、タケシが介抱されている。

 亜樹「タケシは5人兄弟だけど、親父が全部違うんだよ」

 余計なトリビアを教えてくれる亜樹。知るかっ。
 笙子は、カウンターのウオツカをつかむと、それをいきなりタケシの顔にぶちまける。激しく悶えるタケシ。
 笙子「叫びたいだけ叫べばいいのさ、体の中が空っぽになるまで叫びなよ、叫んで叫んで哀しみを全部追っ払っちゃいな!」

 いかにも笙子らしいショック療法でした。しかし、さすがにウオツカはまずいのでは?
 そして「タケシをやったのはどこのどいつだい?」と尋ねる。タケシの仇を取るつもりらしい。
 で、その相手が、えー、名前忘れたけど、後の悪竜会の幹部の人だったというオチ。
 タイマンとなるが、弱いので笙子に瞬殺されてしまう。これが契機で、彼らも悪竜会に吸収合併されてしまったのだろう。
 ちなみに台詞はないが、山本理沙さんもしっかり映ってます。ただ、現在のセーラー服バージョンと、過去のブレザーバージョンと、二種類のスケバンメイクをしなくてはいけないので、大変だ。他の人もそうだけど。
 やっと回想シーンから戻ってきた笙子に、「もう一花咲かせたらどうなんだよ。脱走しようよ、あたいとさ、その気なら手筈はできてんだ……シャバに戻ろうよ、え〜?」と、本題を切り出す比企さん。
 もっとも、前回、笙子たちは簡単に施設から外へ出ていたので、その気になれば脱走なんてひとりで十分可能だろう。
  
 笙子は返答せず、庭で名古屋章が少女たちの散髪をしてやっているのを見る。
 少女「あたいさぁ、ちっちゃいときに死んだ父ちゃんによくこんな風に髪を切ってもらったのを思い出しちゃった」

 比企「気になんのかい? 脱走したらあの山猿が怒るだろうって」
 笙子「怒られるのは平気さ。ただ、悲しまれるのだけがたまんないんでね」
 比企「じゃあ断るって言うのかよぉ、折角あんたのためを思って……」
 煮え切らない笙子に比企が苛立つ。
  
 その言葉をとらえ、笙子は「何があたしのためだい? ざけんじゃないよ。東京流星会の西村の差し金だろう?」と、ズバリ指摘する。ズバリ指摘されて思わず目を反らしてしまう比企さんでした。
 結局作戦が失敗に終わった比企さんは、去り際、「シャバに出ればレコにも気軽に会えるってのによぉ」と、親指を動かしつつ捨て台詞を残す。
 その言葉の連想からか、壁のカレンダーを見詰め、トミーに会えるまであと5日とつぶやく笙子。とすれば、この日はGW直前の5月2日と思われる。当時は憲法記念日と子供の日の間の4日は、平日なんだよね。
 一方、岡田奈々の容態は……
 医者「睡眠薬中毒と肺炎により、中枢神経の機能がことごとく低下しています。お気の毒ですが、お嬢さんの命は明日まで持つかどうか……」
 と言う、割とシャレにならない深刻度。

 トミーの両親がやってきて、中条静夫に謝るが、中条静夫もすっかり諦めてしまった様子。
 しかし、トミーはそこでとある名刺を取り出す。

 芥川ナレ「名医と噂の高い泉博士は舞楽の愛好家としても聞こえていた」

 その程度の偶然にいちいち突っ込んでいては大映ドラマは見れないので、スルーします。
 早速トミーは泉博士にまとわりついて、岡田奈々を診てくれと嘆願する。
 遂には相手の書類ケースまで奪って強要するトミー。子供か。
 トミー「来てくれるまで絶対返さないモンね」 子供か。

 10分後、駆け付けた警察官に補導されるトミー。嘘だけど、現実だったらそうなる可能性の方が高いだろう。

 泣く子と地頭(地頭って何?)には勝てないので、博士はトミーとともに岡田奈々のところへやってくる。担当医も、相手の名前を知って協力的になる。で、博士の持参した電気ショックマシーン、AEDですか、それを試そうということになる。
 博士の指示で看護婦さんが岡田奈々の胸をはだける。
 それを抜かりなく見ているトミー。考えたら、婚約者といってもまだ肉体関係はないのだから、彼女の裸を見たことはないんだろうね。
 もっとも、泉博士も遠慮気味に、彼女の胸と言うより鎖骨の辺りに機械を置いているので、あまり嬉しくない。
 それにより、命そのものは助かるのだが、それまでの治療の副作用などで彼女は植物人間になる可能性が高いという。最先端の医学でも治せないと告げられ、絶望する両親。だが、博士は医者も匙を投げた脳性麻痺の幼児が、両親の懸命の介護で奇跡的に回復したと言う自身の鉄板ネタを披露し、「人の真心は時に奇跡を起こす。患者が最も愛する人がそばにいれば……」と話す。
 それを受けて、トミーがしゃしゃり、いや、進み出る。
 トミー「僕の役目です。僕が恭子さんのそばに……」

 つまり、まだ自分が岡田奈々に愛されているという自信があるわけだね。
 確かに、トミーに振られて自殺までしようとしたのだから、そう受け取るのは間違いではないが……。
 両親もトミーにお願いし、さらに中条静夫から総務府には休暇願いを出しておくからとお墨付きまで貰い、堂々と仕事をサボって看病に専念することとなる。ま、今でも全然仕事してないけど。
  
 彼女の枕元につきっきりで、ヒゲを剃る暇もないアピールのトミー。ヒゲ剃る暇くらいあるだろ。
 そう言う事情で、笙子へ舞楽の練習には行けないと言う手紙を書くトミー。この場合は、名古屋章に直電して、行けなくなったと伝えておく方が良かっただろう。
 何故なら、その手紙を見た悪玉コンビが、「ラブレターが多過ぎる」「備品を壊した懲罰の意味も込めて」と、手紙をすぐ渡さずにロッカーにしまってしまうからだ。しかもトミーが来れなくなったことを、笙子に伝えさえしないと言う非道ぶり。

 お前らほんとに教育者か?
  
 最初の目論見が外れ、松村に任務の困難を訴える比企さん。
 松村「バカ、お前が本気じゃねえからだ。麻里、お前の腹は読めてんだぞ。お前は俺に惚れてる。だから笙子を逃がすより死ぬほど痛め付けてやりたい。それが本心だろう! だがな脱走させるまで笙子に指一本さしやがったら俺がタダじゃおかねえ」

 こいつも比企さんの愛情を利用して、彼女に無理難題押し付けてるわけで、トミーほどじゃないが、クソヤローだな。
 そんな彼らの様子を監視している山本さんたち。後ろの子は仲間に伝えに行くとその場を離れる。

 一方、トミーは病院のブラインドを閉めようとして、「哲也さん」と言う声を背後に聞く。そこへ彼女の両親がやってくる。
  
 トミー「今、恭子さんが僕の名前を呼んだような気がして……」
 三ツ矢「恭子が?」
 トミー「ええ、でも多分空耳でしょう」

 と言ってるそばから、彼女は手を動かし、目を開ける。
 岡田奈々「哲也さん……」

 さすがに意識を取り戻すのが早過ぎでは? やっすい奇跡だなぁ。
 さて、笙子は実家から取り寄せた正式の衣装をまとって練習に備えていた。
 めっちゃ可愛い。

 はしゃぐ仲間たちだが、ひとりモナリザは水を差すように、
  
 モナリザ「彼は来ないよ」
 笙子「何故?」
 モナリザ「何故でも」

 種明かしをすれば、悪玉コンビが手紙を読むのを聞いていた、のだろうか? 後に彼女はこの学園内で影の組織を仕切っていたことが判明するので、独自の情報網を持っていて、それで知っていたのかもしれない。
 続いて、

 モナリザ「恋は壊れやすいのよ。ビタミンCのようにね」

 と言う、懐かしドラマ特集などで取り上げられることの多い名台詞を放つ。
 よほど恥ずかしかったのか、言ったあとすぐに部屋を出て行く。

 立原ちえみは「気にしない気にしない、モナリザは時々気障なこと言うんだから」とフォローする。
 さて、少年院の外に陣取っている松村たちを見張っていたふたりだが、彼らに勘付かれ、急襲される。
 晴子「ヤチ!」

 山本さんの役名が二宮八千代で、仲間内では「ヤチ」と呼ばれているのだろう。
  
 逃げようとするが、つかまってフクロ叩きにされるふたり。
 山本さんのお腹がモロ出しになる。
 それを心地よげに見ている松村だが、田舎の気のいいヤンキーが「今年は豊作かな」と田んぼを眺めているようにしか見えない(見えるか!)。
 ぼこぼこにされた二人はジョーズに戻ってくる。
 山本「腕がぁーっ、腕がぁっ」

 晴子はそうでもないが、山本さんは腕を折られた様子。
 慌てたおアキが「ヨシ坊、何か添木になるものない?」と叫ぶと、
 ヨシ坊こと、新育生が「これどう?」と、しゃもじと言うか、へらの様な物を取り出す。
 普通だったら、おアキの「野菜炒め作るんじゃないんだよ」の台詞で、次のシーンへ行くのだか妥当だが、
 このドラマではほんとにそれで腕を固定してしまうのである。

 山本「いたっ、いったい!」
 そんなモンで固定されたら、そりゃ痛いわな。
 約束の練習時間が近付く中、モナリザにあんなことを言われたが、無論、トミーが来ると信じて待つ笙子。
  
 待ちきれず、ひとり稽古をする笙子。ここ、めちゃくちゃ可愛いのだ。幼稚園のお遊戯みたいで。
 だが、当のトミーは依然として岡田奈々のそばに座っていた。約束の時間が迫っているのを見て気になるトミーだが、笙子への手紙が握り潰されているとは夢にも知らないのだった。
 割と家庭的なトミーは、綺麗に剥いたリンゴを勧めるが、
 岡田「あなたは、何故ここにいるの? あたしへの同情なら、やめてください」
 トミー「同情じゃない、言った筈でしょ。僕は君が元気になるまでずっとそばにいるって」

 岡田奈々、今何がしたいと問われ、「お前を殺したい」と言いたいのグッとおさえ、外へ出たいと言う。
 彼女を車椅子に乗せて、屋上へ出てきたトミー。そこから近所の幼稚園の様子、はためく鯉のぼりなどが見える。
  
 だが、その一見恋人のような様子を影から盗撮している奴がいた。雄太みたいな奴だが、彼は松村の指示で、彼らの様子を撮影するために張り込んでいたのだ。
 兄妹らしい園児を見て、トミーの妹について岡田奈々は尋ねるが、トミーはどこにいるのか全く知らないと言う。
 そして、シスコンらしくいつでも持ち歩いている写真を見せるが、今回ははっきり伊藤かずえだと分かるので、ドラマとしてもモナリザ=トミーの妹と言うことを明かしているのだろう。無論、瓜二つの別人と言うこともなくはないが。

 てなことをやってるうちに約束の1時をとっくに過ぎ、
 しょぽーんとする笙子さんでした。これもまた可愛い。
 また、山本さんはトミーたちのいる病院で治療を受けていた。
 処置室から出てきてビービー泣いている山本さん。
 山本「傷が痛むんじゃないよ。カミソリのヤチと言われたあたいが流星会のガキにフクロにされたかと思うと、悔しいんだよ!」
 タケシ「おい、行こう。いつか笙子が言ったぜ、悔しい時悲しい時は思いっきり叫べってよ」

 もっとも、ガキにフクロにされたと言っても、この時、山本さん、まだ15才なんだけどね。
 タケシ、屋上へ山本さんを連れてきて、「叫べ」と一言。笙子の言葉をそのまんま実践するつもりらしい。

 山本「ばっかやろーっ」
 亜樹「ばかやろーっ」
 タケシ「バカヤロー!」

 いや、何で他の二人も叫ぶんだよ。
  
 三人がふと振り向くと、トミーが現れる。
 トミー「君たちは……」
 タケシ「何やってんだ哲也さん、今日は笙子のとこに行ってやってるはずじゃねえのか」
 岡田「笙子さん……?」
 タケシ「てめえ、半端な真似しやがったらぶっ殺すって言ったの忘れたのか!」
 トミーの様子では、忘れてたっぽい。

 彼らは今からでも少年院へ行けと詰め寄るが、トミーは岡田奈々のことを思い浮かべてから、静かに拒否する。
 タケシ「その人とよりを戻そうってのか? 恥ずかしくはねえのか」

 トミー「僕は誰に対しても恥じるようなことはしていない」

 そう、婚約者がありながら10才年下の未成年の少女に一目惚れして婚約を破棄し、その少女に婚姻届を送ったり、今度は自殺未遂した元婚約者を(自分の将来の幸せの為に)看病してるだけだからね。

 が、タケシは「ざけんじゃねえ!」と思いっきり殴る。

 ま、そりゃそうだな。
 トミー「暴力はよしたまへ!」
 そろそろ僕はオカマじゃない! とか言って急に強くならないかなぁ(番組が違う)。
  
 それに対し、
 山本「利いた風な口を利くな! バカヤロー!」

 と、山本さん、吊っていた腕を外し、それでトミーをぶん殴る。ギプスなので確かに攻撃力は高いだろう。

 ただ、治療した医者から言わせると、「バカじゃないの」と言うことになる。

 さすがに亜樹に止められるが、「腕なんかどうだっていいよ」と、執拗にトミーを殴り続けるのだった。
  
 山本「バカヤロ、このヤロー、(亜樹が止めに入るが)うるっ、バカヤロー」
 ほとんどフクロ状態のトミー。

 しかしトミーはどんなに殴られても数時間で回復する鉄人なので安心である(1話参照)。
  
 トミーがぼこぼこにされるのを見ていられない岡田奈々は、必死に立ち上がってやめさせようとするが、ふらっと意識が遠のいて倒れてしまう。駆け寄るトミー。
 その後も山本さん、号泣しながら「バカヤロー、バカヤロ」と叫び続けるのだった。

 さすがにここまで感情的になるのはオーバーじゃないか?
 彼らがそんなことしてるうちに、時刻はもう4時。ずーっと待っていた笙子もさすがに哲也は来ないのだと絶望する。
  
 それを見計らって、比企理恵が産地直送のスクープ写真を持ってきて、笙子に見せ付ける。それにはトミーと岡田奈々の仲睦ましい様子がありありと写っていた。

 比企「相手は相手でよろしくやってんだよぉ」
 笙子「哲也さんはそんな人じゃない」
 比企「じゃあこの写真はどうなんだよ! あたいは今夜脱走する。今夜10時、その気になったらC号棟の裏へ来な」

 言い捨てて去っていく比企。
 泣きながら、その写真を引き裂く笙子。遂に彼女はトミーの気持ちを確かめるために、脱走することを決意する。
 直前、同室の芸能人志望の太めの子にそのことを打ち明ける。
 その後ろ姿を見て、
 モナリザ「もう止められないよ」

 落ち合う二人。この辺から「NEVER」開始。

 その前に、比企はトキ子たちに命じて警戒している教師たちの囮をつとめるのだが、トキ子、比企の為ならともかく憎んでいる笙子の脱走の為にわざわざそんなことするかなぁ? ま、笙子のことは聞かされてなかったのかもしれないが。
 比企さんは、塀の上の鉄条網をワイヤーカッターで切る。どこからそんなもん調達したんだ?
 しかし、前回のシーンではそんな鉄条網なんか見えないけど……。
 笙子は比企さんの背中を土台にして塀を乗り越える。
 と、道路に転がった彼女の前に、流星会のバイクや車のライトが無数に光る。
 松村「笙子ぉ! よく出てきたなぁ。俺の女になるためによぉ。笙子、俺と来い。お前にふさわしい男は俺だぁ」

 相変わらず自信に満ちたお言葉。勘違いもここまで来るとかっこいい。
 が、笙子はひたすら険しい目付きで睨み付ける。
 何はともあれ、命令を果たした比企さん、彼女も塀から降りようとするが、そこへ突然、投げ縄のようなものが飛んできて、彼女の首に巻きつき、彼女はそのまま塀の中へ逆戻りしてしまう。

 意想外の展開だが、芥川のナレもないまま、「つづく」のだった。





  06話「メイ・ストーム」(1985年5月22日放送)

 前回のラストからそのまま続いて、松村に笙子が連れて行かれそうになるが、
  
 突然、彼らの前にたくさんの木材が降って来る。
 同時に、「笙子、逃げな」などという声がする。映像では一瞬だが、赤頭巾をかぶって塀の上から木材を投げつけている笙子の同室の少女たちの姿が映る。
 ところで、木材と一緒にクラッカーの紙吹雪のようなものまで混じってるのはどういうことなの?
 クラッカーを鳴らして彼らを威嚇したのなら分かるけど。

 とにかく彼らが足止めされている隙に、笙子は反対側へ猛然と走り出す。
  
 しかも、向こう側から堂本剛(笑)のバイクがやってきて、「笙子、乗れ!」と彼女を尻に乗せ、ウィリー走行で急発進する。
 たぶん、ここはどちらもスタントだろう。

 それを見て松村たちは車やバイクのところへ急いで引き返す。
 騒ぎを聞きつけて現れた福崎和広は、その途中、踏み潰される。意外と弱かった。
  
 笙子「タケシ!」
 タケシ「ワケはあとだ。しっかりつかまってろ!」

 ここ、笙子は確かに伊藤さんだが、ライダーの方はなんとなく別人のようにも見える。どうでもいいことだが。

 笙子の心の声「哲也さん、会いたいの。一目だけでもいい、あなたに会いたいの」

 こうして無事、松村たちから逃げ切ることが出来た。
 しかし、タケシはなんでこんな絶妙のタイミングで救出に来れたのか? 笙子が脱走しようとしていることを、外にいる彼らが知り得よう筈がない。と、すれば、タケシは松村たちの動きをマークしていたのだろうか。
 一方、惨めにもロープで引っ張られて逃げ損ねた比企さん。
 「ちっくしょう。誰だい、誰だい、あたいをこんな目に遭わせやがったのは!」

 このカット、口の形がちょっと小川範子に似ている(知るかっ)。

 笙子脱走の報を受け、当然、非常点呼が行われる。
  
 中村晃子「脱走したのは曽我笙子と山吹麻里の二名……はぁー!」
 言ってるそばから、年配の職員に遠慮がちに連れてこられて列に並ばされる比企さんの姿が見える。
 「……曽我笙子ひとりです」

 早速警察に連絡すると共に、周囲を捜索に出る職員たち。
 一方、笙子と麻里のいた部屋の少女たちは、連帯責任と言うことか、廊下に正座させられる。

 いつも思うことだが、連帯責任って何だよ?
 話し合う職員たち。笙子への手紙をロッカーにしまってあると聞き、名古屋章はあれこれと喋り立てる中村晃子に「すまんが、ワシにその手紙を見せてくれないか」と命じる。
  
 それを取りにいく彼女と入れ替わりに、笙子と同部屋の少女と、比企さんが尋問の為に連れて来られる。

 比企「あたしは笙子に脅かされて、ばっくれる手伝いしただけだよ」
 名古屋「人に脅かされて何かをする人間かねえ、君は?」

 そう指摘されて、「フッ、さすが園長先生、鋭いねえ。ほんとはあたいもばっくれる気だったんだけどさぁ、笙子ってのは最悪だねあの女、あたいを塀の上から突き飛ばしたんだよ!」と、本当のことを言ってるふりをして、また微妙に嘘を絡めて話す比企さんでした。

 名古屋「それじゃ君はどうして木に縛られていたんだね?」
 しつこく追及する学園長。比企さんを引っ掛けたロープの端は木に結ばれていたのだ。
 比企「はっ、そいつはあたいのほうで聞きたいねえ。この少年院には魔物でも住んでんじゃないのぉ?」
 表情豊かな比企さん、やっぱり可愛い。

 しかし、魔物って……十代の女の子が使う言葉じゃないよね。
 ちなみに隣に立ってるこの人がその「魔物」です。

 比企の声「だけど断っとくよ〜、あたいはその魔物を突き止めて必ず叩きのめしてやる」
 ここの、「必ず」の発音が素晴らしい。
  
 「バカモーンッ!」
 比企の止め処もない放言に、たまりかねた狂犬・福崎和広が吠える。松村たちに踏み潰されてご機嫌斜め(約15度)なのだ。

 襟首を掴み、「いつまでいきがってんだ、ああん? 独房に入って頭を冷やしてこーい!」
  
 そして、比企さんの頭を思いっきり突き飛ばす。この時、比企さんが五月の体に当たって、五月がちょっとびびってます。

 比企「ってえなぁーちくしょうーっ」
 それでも去り際に捨て台詞を残していくあたり、さすがです。
 残った少女たちにも声を荒げる福崎先生。
 「あたしが(連帯)責任を取る」と言うモナリザに、竹刀を突きつけて、「貴様も独房だっ」と怒鳴る。

 いくらドラマとは言え、小さい男だ。
 そこへ中村晃子が手紙を持ってくる。その封筒をいささかわざとらしくモナリザの目の前に置いて、「舞楽の稽古に行けなくなった。めんごめんご」と言うトミーの手紙を音読する名古屋章。だから、通信の秘密を遵守しろバカ。

 モナリザは、差出人の名前をまじまじと見詰め、なんとも言えない表情になる。ここで初めて、笙子の相手が自分の兄だと分かったのだろう。住所もピッタリ一致してるからね。
 ただ、前回、トミーからのハガキを笙子に取り次いだのはモナリザなので、普通はその段階で気付くと思うんだけどね。

 そのモナリザの目付きに、名古屋章も気付いて彼女の顔を見詰めるが、特に何も言わず、
 名古屋章「この手紙を笙子君に渡してさえいれば……」
 もっともな慨嘆に、中村晃子は反省するどころか、
 中村晃子「えんちょっ!」と、逆ギレする気配すら見せるのだった。

 名古屋章「いや、君の責任だと言ってるわけなんだよ」
 中村晃子(ズッコケながら)「言ってんのかいっ」

 と言うのは無論ウソだが、公平に見て、名古屋章がそう考えたとしてもおかしくないだろう。紛れもなく、こいつらの配慮のなさが原因なのだから。

 正しくは、「いや、君の責任だと言ってるわけじゃない。ただ、哲也君の身辺に何か緊急を要する事態が発生して笙子君がそれを知ってさえいれば!」であるが、内心、彼女たちのせいだと思ってことが滲み出ている台詞だ。
 ナメケイ「笙子君は、哲也君に裏切られたと思って、それで……そうなんですね園長?」
 それに対し、
 名古屋章「メイ・ストぉーム!」

 ナメケイ「メイ・ストーム? 春の嵐……それがどうしたんですか」
 名古屋章「いや、言ってみただけ」
 ナメケイ「じじい!」

 じゃなくて、
 名古屋章「今、笙子君の体の中を春の嵐が吹き荒れている。その嵐が収まらない限りは、彼女はここへは帰ってこん」
 中村晃子「園長がそんな暢気なことを言っては……」

 何か言いかけた中村晃子を黙らせるように、「ワシは笙子君を信じている!」と、大声を上げる。
 中村「何を信じてると言うんですか」
 名古屋章「恋する乙女を走らせた春の嵐、メイ・ストーム……ワシは青春とは命懸けで生きなきゃあ輝かないものだと思っている。学問、スポーツ、恋、なんでもいい、ただひたぶるに生きるときだけ、青春はその輝きを見せるのだなんとかんとか……」

 気がついたら、名古屋章の長い説教が始まっていた。
 みんな内心「また始まったか」と思っていたことだろう。

 笙子は彼女の意思できっとここに帰ってくると信じていると結ぶ名古屋章。

 ここでOP。
  
 岡田奈々は既に退院して、自宅で療養していた。
 トミー「あなたはもうすっかりよくなった。とりあえず僕はうちに帰ります」
 一方、ジョーズにはいつものメンツが揃っていた。
 電話が鳴り、待ちかねていたように取るおアキ。
 「ハイこちらジョーズ……タケシ、遅いじゃないの……笙子さん脱走したの? 分かった、じゃあ、今からそっちに……」

 と言うことは、さっきも書いたようにタケシはいつも少年院付近を監視していて、ここへ定時連絡をしていたのだろうか。まあ、少年院と言うか、松村たちの動向を、かな。
 その時、ドアが開いて、石山雄大たち刑事が入ってきたため、慌てて誤魔化そうとするおアキ。
 おアキ「何言ってるの? 今から来ようッたってダメに決まってるでしょー。お店終わり、お店終わりなのーっ、わかる? あんたねえ、警察の旦那の目もうるさいの、わかる? 分かったでしょう」

 それとない……と言うか、かなり露骨だが、おアキの警告を理解し、向こう側のタケシはすぐ電話を切って電話ボックスから出る。
 石山雄大刑事は笙子の脱走を知らせる。おアキたちは初めて聞いたふりをする。
  
 笙子から連絡があったらすぐ知らせてくれと言う刑事の言葉に、
 おアキ「分かりました刑事さん。みんなも分かったわね」
 少女たち「は〜いわかってまぁ〜す」
 と、どう考えても協力する気ゼロの対応。

 刑事は、当然、笙子の実家にも行く。
 刑事「娘さんがまたとんでもないことをしでかしてくれましたな」
 山本学「笙子がどうかしたんですか?」
 刑事「                    」←何か面白い回答をみんなで考えましょう(人任せにするなよ)

 正解は、
 刑事「脱走です」
 驚く両親、そして笙子の弟妹たち。しかし何で家族総出で掃除してるんだろう?

 彼らはすぐトミーにそのことを伝えようと電話するが、あいにく、岩本多代が出たので取り次いでくれない。携帯電話が普及した今ではほぼ消滅した展開ですね。

 その岩本多代、笙子を近付けさせないためもあるだろうが、トミーに岡田奈々の家に寝泊りして世話をしろと言い、トミーは承諾する。ただ、結婚についてはやはり否定的だ。母親は、トミーに振られるとまた彼女は自殺しますよと脅す。やだなぁ。

 母親は、舞楽の名門・葉山家と縁組することしか頭にない様子。
  
 早速、トミーは葉山家にやってくる。
 三ツ矢「恭子、哲也さんがお見えですよ。今日からうちに泊まって、あなたの看病してくださるそうよ」
 岡田「まぁ……暇なのね
 トミー「どう?」
 岡田「ええ……」

 トミーの心が笙子に移っているとは承知していても、やはり嬉しい岡田奈々であった。
 トミーは車椅子に彼女を乗せ、海上をウィンドサーフィンしてる様子がよく見える高台へ来る。
 立って歩いてみようと勧めるトミー。
 だが、ちょうどそこへ角刈りも爽やかな男谷が飛んできて、笙子が脱走したことを知らせる。彼は名古屋章から電話を受けたという。一応、彼は笙子の弁護人だったのだ。
 矢も盾もたまらず、トミーは笙子を探しに駆け出しそうになるが、
  
 岡田奈々は咄嗟に立ち上がってよろけて、トミーをおびきよせる。
 岡田「哲也さん! ううっ……」
 トミー「恭子さん! しっかり」
 岡田「いや、どこにも行かないで、あたしのそばにずっといてください」
 さらに、「笙子さんのところには行かないで、行ったらあたし、死にます!
 と、究極の脅し文句を放つ。
 実際に、自殺未遂をやらかしているのだから、この脅しは破壊力がある。

 結局、タツが「哲也、お前は恭子さんのそばに居て(行って、と聞こえる)やれ。笙子さんが俺が探す」と言うことになり、
 岡田奈々の作戦は大成功。
 恭子さん、「自殺未遂してほんとに良かったわぁ」と思っていたことだろう(思うか!)。
 もっともトミーは、彼女を抱きつつ、「笙子さん、君は今どこにいるんだ?」と、別の女性のことを全力で気遣っていた。
  
 場面は一転して、どこぞのライブハウス。晴子がジャズシンガーとしての第一歩を踏み出していた。
 無論、仲間たちも客席に混じっているが、山本さんはいつものようにアフロヘアなのが気の毒だ。考えたら、他のメンバーは割と普通の格好してるのにね。
 と、私服姿の笙子が花束を持って入ってくる。
 仲間たちの間に座る笙子に、ひとりが「笙子おねえが悪竜会の頭やめてからさ、みんな学校に戻ったり、仕事見つけたり、いろいろなんだ」と話す。向かい側の山本さんの「中にはまだ突っ張ってバカやってるのもいるけどさ」と言う言葉に、含み笑いする一同。ただ、ちょっと前まで笙子が「あたいたちの世界を作ろうよ!」と鼻息を荒くしていたことを考えると、こいつらの転身もいささか胡散臭い。
  
 ステージで歌う晴子は、かなりはっきり涙を流しつつ、笙子を見詰め、笙子も「おはる、おめでとう」と心の中で祝福するのだった。
 一曲歌い終わったあと、
 晴子「あたいの初めてのライブに昔の仲間がこんなに集まってくれてほんとに感激だよ……それに今日はあたいの、いやあたしの親友まで駆けつけてくれたんだ」

 まだ、不良少女時代の喋り方が抜けない晴子。
 と、拍手の中、笙子がステージに上がって花束を渡す。
 ここは、脱走中の笙子にしてみればいささか華やか過ぎる舞台で、客席の隅でそっと見詰めているだけの方が良かったと思う。ただ、晴子の言葉から、客席にいたのはほとんどかつての悪竜会メンバーだったとすれば、それほど不自然ではない。
 その次の曲を、体を揺らし手を叩いて聴いている山本さん。
 そこへ、松村たち流星会の連中がやってくる。手下が先客を追い払い、「どうぞ」と松村に座らせる。
 笙子「騒ぎは起こさないでよ。今日はおはるの晴れの日なの」
 松村「分かった。その代わりライブが済んだら付き合ってもらうぜ」
 笙子「いいわ」
  
 普通に歌い続ける晴子だが、その途中、さりげなく手を額に乗せたり、イヤリングに触れたりする。それを見て、頷く笙子。
 山本さんたちも、仲間と頷きあう。
 そして曲のクライマックスで客席が暗転する。かなり長いことそのままで歌い続けるが、2番になると照明が戻る。
  
 と、案の定、笙子たちの姿が消えている。松村はすぐ気付いて「探せーっ」と命じる。
 慌てふためく彼らを見て微笑む晴子。この角度だと、彼女もかなり美人だね。
  
 薄暗い美容院に集まっている笙子たち。
 坂上亜樹「まさかこのブロックサインがだよ、悪竜会の『逃げろ』の合図だとは流星会の奴らも知らなかったろう」
 まんまと松村たちを出し抜いて、嬉しそうな笙子たち。
 奥のシャドーの濃い娘「笙子、哲也さんに会うために抜けたんだね」
 小さく頷く笙子に、山本さん、「どうなってんだい、哲也さんは笙子と結婚するって言って、婚姻届に名前まで書き込んだんじゃない」と不審顔。

 彼女の台詞がきっかけとなり、仲間にせがまれて、笙子は婚姻届Ver2.0を誇らしげに披露する。
 ひとりは、判子を押したら自分が市役所に届けると積極的だが、笙子は、自分が哲也さんにふさわしい女になるまではどーのこーのと、変なこだわりを捨てない。

 その店が、亜樹の勤めている店だと知り、迷惑がかかると笙子はすぐにも出て行こうとする気組みを見せるが、
 亜樹「あたい美容師になることに決めたよ。(中略)大丈夫だよ笙子、ママたちは箱根に一泊旅行に行ってて、明日まで帰ってこないんだ……笙子にあたしの勤めてる店を見て欲しかったってこともあるけど、それ以上に、笙子の頭をセットしたいんだ。そんな頭じゃ、哲也さんと会えないじゃないか」

 麗しい友情。
  
 笙子「ありがとう」
 亜樹「いいからいいから、腕はまだ半人前だけど、カット・セットして、好きな人にあわせてやるよ」

 そして、互いに涙をこぼしつつ、亜樹が笙子の髪を洗い始める。

 もっとも亜樹、ほんとうに半人前の腕で、めちゃくちゃな髪型にしてしまい、血を見る大喧嘩になる(なりません)。
 ふたりがはけたあと、山本さんが「ちょっとちょっとちょっと、みんなと相談したいことがあるんだけどさ」と、みんなに提案する。
 これは、結局、哲也とコンタクトを取る作戦会議だったのか、笙子の為に服や靴を揃える相談だったのか、よく分からない。
  
 一方、独房で反省させれているモナリザと比企さん。
 対照的な態度が、それぞれの性格をよく表している。
 そのモナリザの昔の写真に語りかけているトミー。筋金入りのシスコンであった。

 トミー「陽子、お前は今、どこで何をしているんだ。兄さんは今切羽詰っている。恭子さんが僕の為に死のうとした。そして今度は笙子さんが僕の為に脱走した。……正直言って、兄さんはこんなイケメンに生まれたことを後悔している。どうしていいか分からない。こんな兄さんをお前は許してくれないだろうな」

 もて過ぎることに悩むトミー。
 後に、トミーは妹であるモナリザからも異性として愛されていたことが判明する。

 お、お前なんか死んでしまえ!(もてた試しのない管理人の魂の叫び)
 その直後、トミーは中条静夫と同乗して、どこぞのパーティーに行こうとするが、待ち伏せしていたタケシたちが笙子に会ってくれるよう直訴する。トミーは停めてくれと頼むが、静夫パパはそのまま走らせる。

 車に追いすがって転ぶタケシたち。ここはかなり豪快に転んでいて、右側の女の子なんか、背中が剥き出しになっている。
これは予定通りのアクションなのか、勢い余ってほんとにこけちゃったのか、判然としない。
 ついで、タケシたちは男谷弁護士の事務所に押しかける。

 タケシ「笙子のことはもう知ってんなぁ」
 タツ「知っている」
 タケシ「笙子は哲也に会いに来たんだ。それなのに野郎、逃げ回りやがって……」
 タツ「哲也は逃げ回ってるわけじゃないよ」
 女子「それじゃあなんだってのよ先生。いい加減なこと言うとこの事務所バラバラにしちまうよ」
 タツ「哲也は今笙子さんに会うわけには行かないんだ」
 タツは、自分が密かに思いを寄せる恭子さんのことを慮り、哲也と笙子の接触には反対する。
 無論、そんな裏面の事情を知る筈もないタケシは「責任もって会わせろ」と強要する。
 タツ「よし、俺が笙子さんと会おう」
 タツの折衷案に対し、面白い顔の女子「あほー! あんたが会ってどうすんだ?」
 女子「代用品が利くかっての」

 タケシ「哲也でなければダメだ! 話になるかよーっ」
 これだから偏差値の低い連中とは話にならんと言う面持ち(あくまで管理人の妄想です)のタツ、「自分が責任を持って二人を会わせる」とその場を取り繕う。
 人の言葉を疑わない、ある意味純真な彼らは、喜び勇んで笙子の隠れている港の倉庫へひた走る。
 笙子は、しっかりとめかしこんで、他の仲間たちと談笑している。
 晴子「笙子、グーだよ。そのヘアスタイルもワンピースもばっちしじゃん!」
 笙子、彼らに貰った靴を履いて、亜樹と晴子にもう帰れと指示する。

 仕事をさぼろうかなどと言う亜樹に対し、
 笙子「ダメ! 何言ってるの。おはるはレッスンがあるんだし、ヨッコは誰よりも早くお店に顔出さなきゃダメじゃない」

 と、久々に悪竜会のトップの顔で叱る。

 晴子「叱られちゃったぁー、じゃあヨッコ行こうかぁ」
 ふたりはそこを離れようとするが、入れ違いにタケシたちが朗報を運んでくる。
 タケシ「笙子、哲也が来るぞ。男谷先生が連れて来るって約束したんだ」
 笙子「哲也さんがぁ?」

 小動物的な笑顔を見せる笙子。

  
 倉庫でひとり愛するトミーを待っている笙子。と、階段を降りてくる革靴。
  
 当然、トミーだと思って喜び勇んで立ち上がるが、それはトミーではなく、角刈りのタツだった。
 笙子「男谷先生、哲也さんは?」
 問い掛ける笙子。

 しかし、考えたら、二人が顔を合わすのはこれが初めてじゃないのか。一応、笙子が逮捕された時、彼が弁護を担当したと言う感じになっていたが、ふたりが直接顔を合わすシーンはなかったと思う。

 タツ「哲也は来ないよ。笙子さん……哲也は君と会うことができなくなったんだ」
 笙子「何故?」
 タツ「笙子さん、俺の話を冷静に聞いてくれ」
 タツ「恭子さんが自殺を図ったんだ」
 笙子「なんですって?」
 続けてタツは、トミーの献身的介護で恭子が奇跡的に助かったことなどを話す。
 笙子「聞きたくない、そんな話なんて聞きたくない!」

 半狂乱になって叫ぶ笙子。

 タツ「恭子さんは哲也なしでは生きていけないんだ」
 笙子「そんなのいやだっ、あたしは哲也さんが好き……哲也さんもあたしを好きだって言ってくれた……」
 タツ「無慈悲なようだが、哲也にふさわしい女性は君じゃない。恭子さんだ」

 でも考えたら、タツは恭子のことが密かに好きなのに、あえて哲也と恭子を結び付けようとしているわけで、トミーよりよっぽど男らしい態度ではないだろうか。
 タツのきつい一言に、昔の顔になって振り返る笙子。

 タツ「君は哲也に甘え過ぎだ。恭子さんを悲しい目に遭わせて、その上君は哲也を苦しめてるんだ」
 トミーのワガママを棚に上げて、一方的に笙子を責めるタツ。
 さらに、
 タツ「君には悪いが、警察に連絡しておいた」
 と言う台詞とともに、石山雄大以下、刑事たちが登場。笙子を逮捕しようとする。
 しかし、タケシたちが武器を持って加勢に現れ、乱闘になる。
  
 タツも、後ろから山本さんたちに襲われる。山本さんの「○○、男谷」と言う台詞、なんと言ってるのか聞き取れない。
 さらに「裏切り者」「バカヤロー」と、罵られ殴られ、散々な目に遭うタツであった。

 もっとも、山本さんはまだアクションに開眼しておらず、棒を持ってウロウロするだけである。
  
 混乱に乗じ、笙子は一人逃走する。その行く手に、車が現れて「笙子ぉーッ、急げーッ」と、こういう時はやたら頼もしい松村雄基が叫ぶ。笙子はこういう場合なので、何も言わずに後部座席に滑り込む。こうして警察から逃れることが出来た。

  
 乱闘で、少女たちにボコボコにされて落ち込むタツ。
 どうして先に笙子に会わせてくれなかったのかと、タツをなじるトミー。

 ここは男谷の事務所で、ナメケイも同席している。

 タツ「だが、俺はあえてああした。俺が悪役を買って出んことにはな」
 ナメケイ「まずいことになった。笙子君の過去の事件を調べて、僕もわかったんだが、一度闘争心に火がつくと、彼女はエネルギーの塊になってしまう」
 笙子を探しに行くと言うトミーを、タツが止める。
 タツ「待て哲也!」
 トミー「男谷、どいてくれよ」
 タツ「どうしてもと言うなら、俺は貴様と絶交する!」
 トミー「男谷、行かせてくれ……」(おいおい、絶交してもいいのかよby男谷)
 タツ「ばかーっ!」

 遂にタツの怒りが頂点に達し、必殺の右ストレートが唸る。
  
 タツ「貴様、恭子さんをこれ以上不幸にするつもりか!」

 トミー「男谷、君は恭子さんを……」
 ようやくタツが恭子のことを想っていることに気付くトミー。
  
 埠頭で、松村と向き合っている笙子。

 松村「俺は身震いがするほど笙子が好きだ。お前のためなら命を投げ捨てても惜しくはねえ……伊達や酔狂で言ってるんじゃないぜ」

 続けて、「悪いがお前のことは全て調べ尽くした」と言う松村の言葉をきっかけに、またしても回想シーンに突入する笙子。
 笙子の声「あの頃のあたしは、晴子たち伊勢崎町グループに新しくメンバーになったタケシやヤスオたちといつも一緒だった……夜はうちにも帰らず、焚き火をして海で過ごした……焚き火をしていると決まって……」
 顔馴染みのホームレスがやってくるのだった。

 笙子は邪険に対応するが、頭から拒絶するほどではない。
 ちなみに、笙子とタケシの間に立っているのは、パッと見気付かないが、山本理沙さんなのだ。今よりよっぽど大人びて、綺麗だ。よく見ると下にセーラー服を着てるんだけどね。
  
 おっちゃんたちから貰ったスルメを分ける笙子たち。
 笙子「ほら、八千」
 スルメにかぶりつく山本さんが久々に可愛いのじゃい。
  
 そこへ、笙子の両親がのこのこやってきて、帰ってくれるよう口々に訴える。
 山本学「私はお前にこんなことをして欲しくない。お前に不幸になって欲しくないんだよ」
 笙子「バカヤロウふざけんじゃないよっ、何が不幸だ。あたいはね、あんたたちと暮らしているより、仲間といたほうが楽しいんだよ、幸せなんだよ。あたいは今ギンギンに燃えてんだ

 笙子さんは今、ギンギンに燃えているそうです。
 火のついた材木を振り回して追い払おうとする笙子を、ホームレスのおっちゃんが宥める。
 「なっ、笙子ちゃんを産んでくれた親でねえか」

 笙子はいたたまれなくなったようにその場を離れる。

 しかし、その後、そのホームレスたちが数人の若者に襲われて全員死亡! と言う劇的な展開となる。
 及川ヒロオさん、オールアップです。
 笙子「ちくしょう、ゴミみたいに殺しやがって」
 怒りに震える笙子。
 相模悪竜会の組織力は半端なく、あっという間にその犯人をつきとめてしまう。
 背後でゲームに興じている容疑者のぼんくらたちについて話しているタケシたち。その左隣が山本さんですね。

 タケシ「頭は○○って言う高校生だ。半分は中学生だろう」
 ヤスオ「奴ら学校じゃあ結構マジな生徒で通ってるらしいぜ」
 晴子「あいつらがぁ? うっそぉ〜信じられねえよ」
 高校生「面白くねえよ、こんなんじゃ刺激になんねえよ」

 ま、確かに面白くなさそうなゲームだ。

 彼らはまたホームレス狩りをやろうと話している。
 埠頭で待っている笙子に報告しに来る晴子たち。
 笙子「それじゃあやつら、面白半分でやってるって言うのかい」
 晴子「可愛い顔してさあ、たまんないじゃん!」

 彼女たちは、ホームレス狩りをしようとした少年たちを伏兵で撃破するのだった。

 回想シーン終わり。
  
 松村「笙子、俺はあの事件のお前を知ったときに、俺は確信した。俺はやっと、地獄の底でも一緒に生きられる女を見付けたとなぁーっ」

 笙子は依然、険しい表情は崩さないが、「朝男、助けてくれてありがとう」と礼を言って、ひとり去って行く。
 部下「会長!(行かせていいんですか?)」
 松村「ほっとけ、笙子は必ず俺のところに来る。そうシナリオに書いてある。

 トミーは、改めて自分の気持ちを知らせるべく、岡田奈々のところへ向かう。

 同じく笙子も、葉山家にやってきていた。何しに来たんだろう。あ、自殺を図ったと言う恭子のことが気になったのか。
 この辺から「NEVER」がスタート。ただし最初はインストである。
  
 塀を乗り越える笙子さんのスカートがまくれて、パンツが見えるんじゃないかと言う気がするが、どっちにしろこれはスタントの女性なので、早まって興奮しないように。
 庭越しに、ウェディングドレスを前にして露骨に沈み込んでいる岡田奈々の姿が見える。
 それを見ただけで、笙子は何となく胸が詰まる感じ。同じ男を愛している間柄ですものね。
 そこへ絶妙のタイミングで両親が現れ、笙子にもはっきり聞こえる声で、
 三ツ矢「結婚式の日取りが決まりましたよ。6月10日です。ホテル横浜にキャンセルがあったの」
 岡田「そんなに早く……」
 中条「早いに越したことはない、何だ嬉しくないのか」
 岡田「哲也さんが愛しているのは私ではなく笙子さんなんです!」

 岡田奈々も、笙子のことを気遣っていた。しかし、静夫パパは、(笙子と結婚して)自分の娘を不幸にする奴(トミー)はこの雅楽の世界にいられなくしてやると鼻息を荒くする。

 この辺から「NEVER」のボーカルが入る。
 彼らの会話を聞いた笙子、心のよりどころである婚姻届Ver2.0を取り出し、
 やぶく。

 Ver2.0の最後であった。引き裂いたそれを地面に捨て、笙子は去って行く。
 無論、恭子や、哲也の将来のことを考え、結局自ら身を引くことを決意したのだ。
 そこへ、入れ違いのようにトミーがやってくる。笙子の後ろ姿をチラッと見かけ、彼女の落としていったVer2.0の残骸を拾う。

 今回は、ここでスパッと切っておいた方が良かったかな。
 実際はさらに、
 現役復帰を示すアフロヘアを装着した笙子が、流星会の事務所にやってくるシーンまで描いてしまう。
 チンピラ軍団の癖に、堂々と看板出してんじゃねえよ。
 入念にメイクをした状態の笙子のバストアップで「つづく」。