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山本理沙編 不良少女とよばれて
クリックすると該当部分へジャンプします。 第07話 第08話 第09話
 

  第07話「ダーティ・エンジェル」(1984年5月29日放送)

 トミーは葉山家をおとない、正直に笙子を連れ戻したいと恭子、そして彼女の両親に訴える。

 トミー「笙子さんを説得したら僕は必ず、恭子さんの元へ帰ります」

 これは非常に曖昧な約束で、トミーは結婚詐欺師の素質があるんじゃないかと思わせる瞬間である。葉山家の人たちからすれば、戻る、と言うことは戻って結婚式を挙げると受け止めるのが自然で、トミーもそう思わせるように仕向けているのだが、無論、トミー自身はこの段階では依然として笙子さんのことしか頭にないので、あくまで恭子さんの面倒を見るために戻ると言ったのだと、後に言い抜けできる余地を残している。
 恭子「哲也さん、笙子さんに会ってきてください。あたしは哲也さんを信じてます」
 と温かい言葉をかけてくださるのだが、うーん、でもついさっき「哲也さんが愛してるのは笙子さん」と自ら断言していたのに、この笑顔は少し解せない。
 トミー「恭子さん、ありがとう」

 こんな顔した奴の言うこと信じちゃダメーっ!

 もっとも、中条静夫からは去り際に「(笙子に会うのは)これが最後だ」と釘を刺される。彼はトミーの心底を読んでいたのだろうか。
 無論、これが最後にはなるわけがないのだった。むしろ始まったばかり。ヒーッ!
  
 その笙子さん、前回からの続きで、派手な衣装に着替えて、チェーンをふりまわしつつ、流星会の事務所へ向かっていた。しかしその表情は虚ろで、と言うか、眠そうだ。ぽや〜んと言う感じ。
  
 物凄いデザインのドアを開けると、松村雄基たちがお出迎え。これで誰もいなかったら、かなり恥ずかしかっただろうなぁ。
 松村「笙子! 待っていたぜぇ」

 今思ったけど、一発屋のすぎちゃんとか言う芸人は、この松村のキャラを参考にしてるんじゃないかな。

 松村「今日からお前はレディース流星会の会長だ」

 レディース流星会と言うのがあるそうです。

 もっとも、手下の女性に「レディース流星会ってなんですか?」と素で訊かれているのだが。

 松村は流星会を男子部と女子部に分け、女子部のことをそう呼ばせたいらしい。サークル活動かよ。
 ちなみにその女性は、横浜鑑別所で笙子に会ってるらしいが、出てたかなぁ。
  
 「ヤサに案内する」と言って、松村が笙子を連れてきたのは結構豪華な一軒家。彼の父親の家で、今は彼ひとりで住んでいるらしい。
 グラスにブランデーか何かを注いで一緒に飲む松村。
 笙子「家族と諍いがあったのね」
 松村「親父とは親子の縁を切った。この家と事務所のあるビルが手切れ金だ」

 と言うことは、あのビルそのものを彼は所有していることになる。家賃収入だけで流星会を運営できるくらいの規模らしい。しかし、松村の感じからしてそれだけの固定収入があるのならそもそもこんなアホなことしてないで、そのお金で事業でも始める方が似合ってると思うけどね。
 それに、安定した収入があるチンピラってのも嫌な感じである。結局親の金だしね。

 よせばいいのに、笙子は松村の両親のことを根掘り葉掘り聞く。案の定、松村は自分の世界に突入して語りまくる。
 シャンデリアをリモコンで点けたり消したりしながら。
 昔のイメージ映像。父親役は長谷川哲夫さんだが、この子供時代の松村、たった今気付いたけど、「反逆同盟」7話に出ている野坂研じゃないか?

 松村は9才の時、渓流で遊んでいて流され、母親に助けられるがそれがもとで母親を死なすと言う経験をしていた。
 だが、一年も経たないうちに父親が新しい女と再婚したため、松村はグレてしまったらしい。

 家庭内暴力を経て、遂には猟銃で父親を撃つと言う過激な行動に走る松村。さすがだ。
 松村「引き金を引いた瞬間、俺の魂は飛び散った」

 笙子(何を言うとるんじゃこいつは)
  
 さらに涙まで見せる松村。さすがにちょっと情けない。笙子も「結局マザコンかよ」と引いている。
 しかも笙子の胸に抱かれると言う甘えん坊ぶりまで発揮する。

 ここでOP。

 松村、頭を起こして、「笙子、お前は不思議な女だ。お袋のことは誰にも話さないつもりだったのによ」

 そうかぁ? なんか会う人会う人にべらべら語ってるっぽいが。あるいは酔っ払ったらいつも身の上話。部下に「またその話っすか」とか言われてたりして。

 松村「俺の涙は忘れてくれ……俺は事務所に戻る」
 行きかけた松村を笙子が呼び止める。そして名台詞を放つ。
 「朝男、あんたと一緒に地獄の底を歩いてみようか」
 松村「いや、いいです」(註・嘘です)
 さて、トミーが手掛かりを求めてジョーズにやってくると、男谷弁護士(タツ)とナメケイがいて、笙子の仲間たちと話していた。
 警察に知らせたことをくどくどと謝っているタツに対し、ゆかりは「所詮あんたらは向こう側の人間さ。友達ヅラしてあたいたちの前に来て欲しくないね」と、きつい一言。

 しかし、前回、笙子を助けるために思いっきり警察に抵抗した彼らが、何で何のお咎めも受けずに野放しになっているのだろう?

 ここで、男谷が彼らの顧問弁護士になるのならないのと、どうでもいいやりとりのあと、他のメンバーが店にやってきて笙子が流星会に入ったことを知らせる。
 相変わらずひとりでは外を歩きたくない格好の山本さんが説明する。
 「朝男がさ、流星会の女どもをレディース流星会として独立させて笙子に任せたんだってさ」

 ところで、山本さんも足を洗って学校に戻ったんじゃないの? まさかその頭で通学してるんじゃあるまいな。
 そこへちょうど笙子の父、名優・山本学がやってきて、トミーの手を握り、笙子を助けてくれと頼む。
 「私はあなたを責めてるんじゃありません。まして笙子と結婚してくれと言ってるんじゃありません……ただ、今、笙子を救うことの出来るのはあなたしかいない!」

 トミーはそれを真に受けて店を飛び出し、おアキ以外の面々もそれぞれ笙子のために動き出す。残ったおアキが山本学を訳知り顔で慰めるが、山本学は聞いてなかった。
 神社で、笙子が舞いを披露している回想シーンが少しある。
 その流れで、現在の笙子の様子が映される。これは彼女も父親も同じ場面を回想しているのだろうか。
 ナイフとフォークで優雅にお食事中の松村と部下たち。チンピラの割に行儀が良い。

 笙子の心の声「違う、違う、ここにいる私は本当の私じゃない!」

 さっき「地獄の底を歩こうね」とか言ってたくせに。
 松村が笙子に食べろよと促したとき、外から聞き覚えのある笙の音が聞こえる。
 笙子が窓から見ると、
 トミーが道端で笙を吹いていた。

 同時に、視聴者が一斉に吹いた。
 しかもその直後、ずかずかと事務所にやってきて笙子を連れ戻そうとするトミー。だったら何で笙を吹いていたのだろう?
 トミー「君が望んでいた世界はこんな世界じゃない筈だ」
 笙子「寝とぼけたこと言ってんじゃないよ」

 「寝とぼけたこと」って、比企さんも言ってましたね。
  
 ここでトミーはいきなり彼女にビンタすると言う意外な行動に出る。ただ、今までの非暴力主義トミーからすると、このタイミングで引っ叩くのは、ちょっと唐突かな、と。

 トミー「君はどうして僕を信じてくれなかったんだ? 何故脱走なんかしたんだ? 僕のことが本当に好きなら、どんなことがあっても信じることができるはずだ
 後半部分はなんとなく傲慢な発言に聞こえる。
 ポイッと婚約者を捨てた奴にそんなこと言われたくないしね。

 さらに「どんなつらいことがあっても耐えられる筈だ」とトミーの放言はとどまらない。
 横で聞いていた松村が「うるせえっ、目障りな野郎だぜ」と、視聴者の代わりにトミーの前に立ちはだかる。頑張れ松村、視聴者はみんなお前の味方だ。

 松村「俺が本気で怒る前に帰んな……笙子は俺の女だ」
 ここで笙子も、「あたいは朝男のうちに寝泊りしてるんだ。それがどんな意味かあんたにも分かる筈だよ」と援護射撃する。 
 そして、わざと朝男に抱き付いて見せる。

 でも、よく考えたら朝男の方が金持ってるし、少なくともトミーのように心移りしないだろうし、年も近いし、笙子が彼に惚れないのが不思議である。

 トミー「僕なら笙子さんを幸せに出来る」
 松村「ははははっ、俺も相当うぬぼれが強いが、あんたも相当なもんだなぁ」

 松村、一応、自覚はしていたらしい。
 笙子を無理に連れて行こうとするトミーを、松村「放せバカヤロウ」と殴る。

 トミーは「つらい人生を送ってきたのは君だけじゃない」とかなんとか、得意の口舌で松村と張り合うが、
  
 いきなり横から「このアホが!」と、ビール瓶で思いっきり頭を殴られる。スカッとするね。
 呻いてうずくまるトミーの髪も顔も全然濡れていないのは、空き瓶だったからだが、上の画像の砕け方を見るとどう見ても中身が入ってるようにしか見えない。撮影用の特殊な瓶だから、そう見えるのだろう。

 しかも、頭を押さえつつ、その後もトミーは平気で立って喋っている。うーん、しかし、ビール瓶で思いっきり殴られたら、とてもこの程度じゃすまない気がするのだが……さすが鉄人トミー。

 トミーは、松村にお茶汲みでも何でもするから事務所に置いてくれと頼む。さすが暇人トミー。
 笙子「哲也さん、もうやめて」
 それを聞いて思わず地が出てしまう笙子さん。

 松村は字義通り受け取って、トミーに雑用をさせるよう部下に言う。

 松村「笙子、今夜は朝まで踊ろうぜ!」
 ふたりはトミーを残して出て行き、トミーは食卓の片付けを命じられる。


  
 そしてそのことは、彼らをマークしている警察を通じて、早くも中条静夫に伝えられ、静夫も婚約は破棄して悪評の立った彼を舞楽界から追放してやると息巻く。正しい判断です。が、

 恭子「お父様、それだけはやめてください。哲也さんはあたしの元に帰ってくると約束してくれたんです」
 と、トミーの深謀遠慮が奏効し、彼が裏切った恭子が弁護してくれる。

 しかも、仮に結婚できなくても、舞楽界から追放するのはやめて欲しいと嘆願するあたり、恭子は完全にトミーの意のままになっているようだ。うーん、でもねえ、花嫁衣裳着て自殺しようとした割に物分りが良過ぎて嘘っぽい。

 最後、普通に車椅子から立ち上がり、
 恭子「私、笙子さんに会ってきます。私の夫になる人を不幸にはしません」

 松村は笙子と部下たちを引き連れてディスコにくりだし、さっきの言葉どおり踊り倒す。笙子も結構楽しそうだ。
 だが、ノリノリの松村と対照的に、笙子はだんだん悲しそうな顔になってきて、動くのをやめてしまう。
 松村「笙子、そんな顔しないでくれ。お前にそんな顔されたら、俺はどうしたらいいんだ!」
 笙子「朝男、あたしを強く抱いて、もっと強く抱いて! あたし、心がパンクしちゃうよ

 そんなユニークなことが言えるくらいなら、大丈夫ですね。

 松村の胸に抱かれながら、トミーとの幸せな時間を回想する笙子。
 その中に出てくるトミーの笑顔。いたいけな少女をもてあそんでる詐欺師にしか見えない。

 流星会の事務所の前には、タツに付き添われて恭子が待っていた。そこへ松村たちが帰ってくる。
 ただ、笙子さん、女としても小柄なので、この瞬間彼女だけ頭ひとつ分小さくて、いまひとつサマにならないのが悲しい。
 笙子は話があるから先に行っててくれと頼む。
 ちっちゃくて可愛い笙子さん。撮影現場では、岡田奈々が「麻衣子ちゃん可愛いー」とか言って頭をボンボン撫でていたことだろう(註・管理人の妄想です)。

 恭子「あなた少年院を脱走してこんなところで何してるの?」
 笙子「見りゃ分かるだろう? あたいは今不良してんのさ」

 この台詞も印象的である。
 個人的には「あたいは今、ギンギンに燃えてるのさ」と言って欲しかった。

 恭子さんは、「呆れた人ねえ」と、結構きつい一言。
 笙子の胸のうちを知らない恭子は笙子は哲也にはふさわしくないと断言する。
 恭子「笙子さん、あなたに哲也さんは渡しません」
 笙子「あたいが頼んで居てもらってるわけじゃないんだ、こっちだって迷惑してんだよ。とっとと連れて帰りな」
 恭子「そうさせていただきます」

 ここで笙子、さっきの一言に結構カチンと来ていたのか「あたいは哲也がいなくても自殺しないから安心しな」と皮肉をかます。
 もっとも直後に、言い過ぎたかしらと目を反らしてしまうあたり、いじらしい。それにしても、たぬきみたいやね。

 タツは「少年院に戻ってくれ」と訴えるが、笙子は「余計なお世話だ」と一蹴する。
 しかし、そもそも彼女は哲也の本心が知りたくて脱走したのだが、それ以前に、恭子から彼を奪ってはいけないと自ら身を引く決心をしたのだから、わざわざ不良に復帰しなくても、少年院に戻って、その上で哲也ときっぱり別れればいいのではないか、と言う気もする。笙子がこんなところにいたら、哲也に迷惑をかけるのはわかりきってるわけだし。

 笙子がふたりを部屋に案内すると、哲也は文字通りお茶を汲んでいた。スーツ着てそんなことするなよ。ちゃんエプロンつけなさい。
 チンピラたちにこき使われるトミーを見て、恭子もタツもやめるように訴えるが、
 トミー「僕は自分が惨めだとも、みっともない真似をしているとも思っていません」

 目障りだから帰れという笙子に、
 トミー「僕がここを出るときは君と一緒だ」
 笙子「あたいは朝男の女になったって言っただろう!」
 トミー「嘘だ」
 笙子「何が嘘なのさ、あたいは朝男に惚れちまったんだよ」
 トミー「嘘だ、僕は君を信じてる」

 しかし、トミー、何を根拠に笙子に愛され続けると思い込んでいるのだろう。自分自身、恭子から笙子へ鞍替えしてるのに、この確信は少しご都合主義的だ。

 松村は見兼ねたように割って入り、トミーに帰ってくれと言う。そして、
 いきなり笙子の唇を奪う。
 ドラマでは、これが笙子のファーストキスだっけ?

 無論、これはキスしてるふりだけだろうが。

 松村「これで納得いったかい?」

 松村は笙子を仮眠室のような部屋へ連れて行くが、笙子は「ひとりにして」と松村を拒絶する。
 どれくらい時間が経ったか、いまだに事務所に居座る三人。
 松村と笙子が入ってくるが、ほぼ同時に部下が「機動隊に囲まれた」と知らせてくる。

 松村「なにぃ」
 さすがに顔色の変わった松村は窓から外を見る。
 たかがチンピラグループ相手に大人気ない機動隊の皆さん。
 指揮をとるのは勿論、石山雄大さん。
 そんな石山さん自身、昔はこんなにグレていたのです(「ウルトラマン80」第26話より)。
 グレると言うより、人間やめてますが……。


 しかし、流星会ってそんなに悪いことしてるようにも見えないけどね。ビルだってれっきとした松村の所有物だし。
 こんなことしてる暇があったら、本物の暴力団でも摘発したらどうや。

 部下たちは笙子を売り渡せばいいと松村に言うが、無論、松村は突っぱねる。
 笙子も探しているのは確かだろうが、不良少女一人にこんな包囲網を築くほど、日本の警察は暇ではない。
 松村「本命は俺たち流星会よ、ふっ、ここで捕まってたまるかよ」

 トミーは相変わらず、最後まで笙子さんと一緒だいと駄々をこねるが、
 笙子「バカ! 何言ってんの? あたいと一緒にこんなところで捕まったら、あんたどうなると思ってんの?」
 乱暴な口調だが、トミーの将来のことを心配する彼女の本音が漏れている。
 続けて、良い子バージョンの口調に変わって、「恭子さんと逃げて、お願い、恭子さんと結婚して幸せになって、それだけがあたしの願いなの」と、訴える。
 笙子の本心を知り、思わず顔の綻ぶトミー。

 笙子にすれば、危急の際でついそんな風に言ってしまったのだろうが、ほんとに恭子と結婚させたいのなら、不良の芝居を最後まで続けるべきだったろう。トミーのような男には、逆効果である。

 松村が飛んできて、笙子を連れて逃げ出す。後を追おうとするトミーを引きとめようと言う恭子に対し、
 トミー「恭子さん、妹のためにも、僕は笙子さんを不幸に出来ない」
 何でここで妹が出てくるのかさっぱり分からない恭子さん。
 だが、続けて、
 トミー「恭子さん、僕はあなたと結婚します!」

 と言われ、そんなことどうでもよくなる恭子だった。

 しかしトミー、結局、誰と結婚するつもりなのか、これだけコロコロ気が変わる奴もいないね。
 それに、自分が結婚したいと言えば、その相手と自由に結婚できる風に思い込んでるのもむかつく。
 流星会のメンバーは、一部が木刀を持って突撃し、さらにバイクに乗ったメンバーも続々と事務所から飛び出して乱戦となる。

 事務所は繁華街にある筈なのに、急に人家の少ない広場になってるのがご愛嬌だが。
 混乱の中、後ろに笙子を乗せた松村のバイクは警官隊を突破して脱出する。バイクに乗った幹部も数名逃げ延びる。
 もっともこの時、松村雄基は(確か)二輪免許を持ってなかった筈なので、スタントが運転してると思うけどね。
 さらにトミーも、目の前に都合よく転がった無人のバイクを起こして、それで二人を追いかける。
 何でお前も二輪免許持ってんだよ?

 松村はともかく、トミーがバイクの運転ができると言うのはかなり嘘っぽい。キャラと全然合ってない。
 トミーの場合も無論、吹き替えである。スタントの人は懸命に顔を隠しつつ運転しているが、バレバレである。
 がらがらの道を飛ばす松村たち。警察から逃げ出したのに、こんなに整然と走っているのも変といえば変だが。
 アップになると、一見松村が運転しているようだが、これは台車に乗せて撮影しているのだろうか?
 松村は、この先に山荘があるからひとまずそこへ隠れようと言い、笙子も頷く。

 松村、色々持ってるんだね。
 しかし、トミーがキャラに似合わぬレーシングテクニックを駆使して、たちまち彼らに追い付き、部下たちを抜いて松村と並走する。これも台車に乗せているだけだと思うが、それにしてもかなり説得力のない展開だ。

 トミー「笙子さーん、少年院に戻りたまへーっ!」
 笙子「哲也さん、どこまでついて来るつもりなの?」
 トミー「少年院へ戻りたまへーっ」

 だが、パトカーが彼らのゆくてを塞ぎ、あっさりとバイクから降りる松村たち。
 警官に赤ちゃんのように抱きかかえられる松村。カワイイ。
 トミー「笙子さん、もっと素直になったらどうなんだ!」
 トミーは笙子を物陰で口説いていた。
 トミー「僕の為に君に不幸になって欲しくないんだ……誰にも僕の為に不幸になって欲しくない……」

 やかましいわっ(by恭子さん)

 さらに「そんなの妹ひとりでたくさんだ」と、もったいぶった言い方をして笙子さんに自分の妹について聞いて欲しいトミー。やっぱり、シスコンなんだろうなぁ。

 笙子「哲也さん……」
 不思議なのは、ここでトミーがまたバイクにまたがり、笙子をそれに乗せようとすることだ。さっきの感じだと、すぐ近くにパトカーがいるんだから、そこで潔く捕まえてもらうのが手っ取り早いんじゃないの? 少年院を脱走しただけじゃなく、警官隊と乱闘騒ぎをしているのだから、そのまま少年院に戻って済む話ではないと思うのだが……。

 笙子も説得に応じ、トミーの尻に座る。
 走り去る彼らを抵抗していた松村が見付ける。と言うことは、トミーたちは来た方向へ走って行ったのだろう。
 トミー「いいかい、愛育女子学園まで突っ走る、しっかり掴まってるんだ!」

 いや、だからタイムリミットがあるわけでもないのにそんなに急いで戻ることはないのでは?
 そもそもそのバイク、人のだぞ。おまけにノーヘル。

 トミー「聞こえてるかい?」
 笙子「はい、聞こえています」
 トミーの背中に顔を押し付ける笙子。
 トミー「泣いてるのかい?」
 笙子「泣いてなんていません」
 トミー「笙子さん、泣くな、今泣いたら僕たちの負けだ」

 え、なんで?

 と思った笙子だが、面倒なので「はいはい」と相槌を打つのだった。
 トミーはさらに、「僕たちは遠い未来の為に今生きてるんだ、だから泣くな泣かないでくれ」と、訳の分からないことを言う。
 黙って運転しろ。
 しかし、何故か警察の手を逃れた松村及び部下一名が、彼らの後を追っていた。

 ちなみにこの撮影の時、松村さんは足にバイクが転倒するかして、大怪我をしたんだっけ?
 DVDの座談会でもそんな話をしていたと思うが……

 三台で追いかけっこをしていたが、
 あっさり崖から転落するトミーと笙子。(普通は即死です)
 松村「哲也ーっ!」

 あ、間違えた。(註・わざとです)
 「笙子ーっ!」だった。



 そんなスペクタクルは露知らず、流星会事務所から家に帰ってきた恭子、妙に晴れ晴れした表情で、
 「あたし、哲也さんと結婚します! 笙子さんのことでもう悩んだりしないわ。あの人は哲也さんを不幸にするだけ。笙子さんには哲也さんを渡さないって決心して帰ってきたの」

 自殺しようとしたと思えないほど前向きだが、実際、トミーからはっきり「結婚しましょう」と言われた直後だから、強気なのも納得できる。

 で、すぐさっきの続きに戻る。
 谷底で、倒れているふたり。

 ナレ「助かる筈のない深い谷であった。愛は時として信じられない奇跡を生む。笙子と哲也は生きていた」

 「愛」の一言で片付けちゃった!
 しかも、トミーが足を捻挫して立てないだけで、他は二人ともほぼ無傷である。ありえないけど、愛の力は無限なのだ。
 もっとも、この時、トミーを助け起こそうとした笙子が、偶然、トミーが持っている妹の写真、つまりモナリザの写真を見てしまうのはさすがにやり過ぎだろう。
 笙子「哲也さん、どうしてあなたがモナリザの写真を?」
 トミー「モナリザ? 何を言ってるんだ。これは僕の妹の写真だよ」

 笙子「妹、あなた妹の写真持ち歩いてるの?」
 違うところに食いつく笙子であった、訳ねえだろ。

 正しくは、「妹?」だけ。
 トミー「葉子って言うんだ。僕が原因で非行に走ってしまった、5年前事情があって別れた、今はどこで何をしているのか分からない」
 そこへ、松村が諦め切れずに「笙子ーっ」と叫びながら探しに降りてくる。部下の人も付き合いが良い人ですね。

 笙子「朝男……」
 トミー「行きたまへ笙子さん、僕のことなら大丈夫だ」

 強く促されて、笙子はひとりで歩き出す。

 ナレ「『朝男ごめん、あたしはあんたと同じようには生きられない』心の中で朝男への別れを告げた笙子は少年院に戻るべく無我夢中であった。(中略)哲也と恭子の幸せな結婚を祈ろうと決意していた……」
 バックに「NEVER」が流れる中、ひとり山道を歩く笙子を映しつつ、「つづく」。





  08話「ラブ・ララバイ」(1984年6月5日放送)

 冒頭から既に少年院内の懲罰房へぶちこまれている笙子さん。
 その日課は、なんと、朝8時から夜8時まで、12時間正座をすると言う、人権無視の内容であった。

 この時、笙子さんの足が痺れすぎて、10万ボルトの高圧電流が発生し多数の犠牲者が出たことは今でも相模愛育学園での語り草となっている。
 ここから、彼女の回想と言う形で、10日前、笙子が堂々と少年院へ戻ってきた様子が描かれる。

 笙子「曽我笙子、ただいま戻ってまいりました。申し訳ありませんでした」
 名古屋章「謝って済むことじゃなーい!」

 さすがに温厚な章も吠える。

 ……ま、今回の脱走事件の元凶は、彼らの前にしゃあしゃあと座っている福崎和広、中村晃子の教育者失格コンビだと思うんだけどね。

 名古屋章は何故自分に相談してくれなかったと嘆く。最初は彼女に2週間の懲罰房入りを命じるが、中村晃子は脱走未遂の比企理恵でさえ1週間だから、彼女は4週間ぶち込むべきだとムチャを言い出す。

 当然、良識派のダメケイ、瀬戸先生は抗議する。
 笙子さんを間にして激しく口論するダメケイと福崎。

 頭越しに余裕で会話が出来る笙子さんの背の低さが露呈した瞬間である。

 よしゃいいのに、笙子さんは自ら4週間、つまり1ヶ月の懲罰房入りを志願する。

 彼女の気持ちとしては、1ヶ月も外界と遮断した生活を送れば、トミーのことを忘れられるのではないかと言う思惑もあったのだ。もっとも、ちょっと考えれば、むしろそう言う状況ではトミーのことばっかり思い描いてしまうのは目に見えている。この辺は、ライターの筆が滑ったと言う感じだ。

 それでも、最初はトミーの幻影ばかりが目にちらつく。
 ちっちゃなトミーが笙子さんの口の中へ入っていく(ように見える)映像。

 それでも、彼女はあと20日もこの中にいれば、トミーのことを完全に忘れられるはずだと根拠のない確信を持っていた。
 一方、そのトミーは、静夫パパから舞楽関係の活動をしばらく遠慮しろと言う意味のことを言われる。無論、彼が10コ近く年下の不良少女・笙子にいれあげているという噂が総務府でも流れているからだ。あいつロリコンじゃないのか、と。
 恭子「お父様、哲也さんははっきりあたしと結婚すると仰いましたのよ。ひどいわ、舞楽は哲也さんの命です」

 遂に実力で笙子から哲也をゲットバックした恭子さん、すっかり元気である。
 ただ、彼女が言うほど、哲也が舞楽に打ち込んでいるとは到底思えないのもまた事実。序盤で、笙子に指導していたシーン、婚約披露パーティーやテレビ番組で笙を吹いていた時くらいしか、そう言うシーンはなかった。あ、前回、笙子にアピールするために吹いていたけどね。

 どう考えても、自分の特殊性癖(ロリコンとかシスコンとか)を満たしてくれる理想の女性を得ることの方に命を賭けているとしか……。

 静夫パパはここで、トミーの妹・葉子のことに言及するが、はっきり言って今回の件とは何の関係もないだろう。まあ、娘の婿になる男だと思えば、その家族関係をクリアにしておきたい気持ちは分かるが、ここで持ち出す話題ではない。

 妹のことについては言い淀むトミー。
 その後、人工的な土砂降りの中、傘を差して歩くふたり。
 どうでもいいが、トミー、足はもう良いのか?

 恭子「でも良かったわ。お父様はあたしとあなたが結婚さえすれば、舞楽界の復帰を認めるって言うんですもの。お父様はやはり、あなたの才能を高く買ってるのよ」

 トミー「わかってます」

 この台詞、「自分には舞楽の才能がありあまっていることはわかってます」と聞こえてしょうがない。実際は、「静夫パパに高く評価されていることはわかってます」と言うことだろうが、凡人ならば普通、「そんなことはないですよ」みたいに謙遜するところだが、さすが鉄人トミーである。
 恭子「笙子さんは今、どうしてらっしゃいますの?」
 と、勝者の余裕を見せて、恭子はわざとそう言ってみる。
 恭子「あなたのことですもの、学園に電話して笙子さんのその後の消息くらい聞いたはずですわ。違いまして?」
 トミー「笙子さんは今、懲罰房です。もう11日目だそうです」
 悪びれずにそれを認めて話すトミー。少しは悪びれろ。

 恭子「それくらいの処分は当然だと思いますけど……あなたはほうっておけないんでしょう? 行っておあげになったら?」
 結婚の約束をしてるからと、妙に強気の恭子さん。

 トミー「恭子さん?」
 恭子「あたし、きっとできた奥さんになりますわね」
 しかし、この感じだと、恭子もまだトミーが笙子のことを愛しているのだと認識しているようで、それを承知の上で結婚しようとしているのかと、いささか疑問である。

 まあ、ともかく結婚してしまえばこちらのものだと思っているのだろうか。
 自分の傘を投げ出し、トミーに抱き付く恭子。

 やっぱり岡田奈々は可愛いね。自分のような凡人なら、もうこの人とチャチャッと結婚して笙子さんのことも妹のことも忘れちゃうところだが。

 恭子の「信じてますあなたを」と言う言葉に、
 「フッ、せいぜい信じるがいいぜ」と、内心思うトミーでした(註・管理人の妄想です、が、多分正解です)。

 ここでOP。
  
 ……と思ったら、違ってた。

 笙子たちと他のグループとの激しい乱闘シーン。
  
 その中のひとりが、「曽我笙子はどこだーっ! 出て来ーい!」と叫ぶ。

 笙子「お前か、湘南猛虎会の会長ってのは?」

 しょ、湘南猛虎会…… なんか、関東にある阪神タイガースの応援団みたいやね。

 その会長は笙子にタイマンを挑み、笙子は応じる。
  
 男は笙子の振り回す木刀をヌンチャクで挟んで動けなくすると言う味なことをするが、結局ぶっ飛ばされる。
 笙子の勝利に歓声を上げる仲間たち。回想シーンのたびにいちいち集まってご苦労様です。

 坂上亜樹「ねっ、あたいたちのグループ、今まで名前もなかったけどさ、虎をやっつけたんだから、これからは悪いドラゴン、悪竜会って名乗ろうじゃない!

 と、ここで意外にも「悪竜会」と言う名前の由来が明らかとなる。
 しかし、虎をやっつけたから、竜、と言うのも何か変だが。

 さらに、ここで堂本剛(笑)が、「俺たちの縄張りはハマから湘南、つまり相模の国だ。相模悪竜会のほうがイカスぜっ」とアイデアを盛り込み、正式に「相模悪竜会」と言う名称が誕生する。

 なお、ここでは山本理沙さんの姿はないようだ。
 笙子「相模悪竜会? それでいこう!」
 この回想シーンでの不良メイクは、なかなか似合ってます。
 しかしその回想は、福崎の不粋な怒鳴り声で中断される。どうやら夢を見ていたらしい。
 さっさと起きろと促す福崎。

 まあ、いけすかないキャラだけど、笙子にセクハラとかしないだけ、健全なドラマではある。
 実際の少年院だと、そう言うの絶対あるだろうな。
 正座をする笙子の目はさすがに虚ろである。

 ナレ「笙子は初めて哲也の夢を見なかった……哲也を忘れようとする努力が実ったのだと笙子は寂しい満足を覚えていた」

 そうすると笙子は、10日連続でトミーの夢を見ていたことになる。何が「哲也さんのことを忘れられる」だ。完全にトミーの虜じゃねえか。

 ここでOP。
 笙子の部屋に食事を持ってきたモナリザ。前回の最後に、笙子は彼女とそっくりなトミーの妹の写真を見ているのでそのことを思い出す。
 笙子「葉子さん!」
 モナリザ「葉子さん? なんのこと」
 笙子「あなたには兄さんいない?」
 モナリザ「兄さん? いいえ、妙なことばかり言って、笙子、だいぶ参ってるんじゃない?」

 笙子はなおも言い掛けるが、そこへ福崎がズカズカ入ってきて「さっさとメシ食えメシ」と一喝する。
 その後の笙子の険しい表情は、「あの野郎、いつかぶっ殺してやる!」と思っているようにしか見えない。
 実際は、モナリザの素性について考え込んでいる……のだと思う……たぶん。
 少年院の塀の外に停まった車の中では、まだ諦めていない松村が、トランシーバーで比企理恵と話していた。
 今回は放送が6月と言うこともあってか、不自然なほど雨のシーンが多い。撮るのに苦労しただろう。お金も余計にかかるし。

 松村「そうか、懲罰房12日目……笙子も物好きな奴よ、俺のそばにいればそんな目に遭わずに済むものを」
  
 もう一度笙子を脱走させろとムチャを言う松村に、さすがの比企理恵も「今は無理だ」と告げる。窓にぶら下がっているテルテル坊主が可愛らしいね。

 なお、今回初めて登場したと思うが、画面左下の女の子、最初は五月かと思ったけど、違う人で、比企理恵の仲間らしい。なかなか綺麗である。

 比企理恵はそれよりも、前回彼女を引っ張り落とした何者か……彼女の言う「魔物」の正体を突き止めることに躍起になっていた。彼女は塀から落とされた時、「魔物」たちが赤いスカーフのようなものを巻いていたのを見ていた。また、自分にそんなことをするのは、自分とタイマンはれるくらい強い奴に違いないと、比企理恵は論理性のかけらもない発言をして、手下にそう言う奴を見付けろと命じる。
 「魔物」を見つけてどうするのかと部下に訊かれ、
 比企「縛り首さ、自殺に見せかけてね」

 さらっと怖いこと言うな。



 少年院に、トミーを先頭にぞろぞろと笙子の仲間たちがやってくる。左後ろに山本さんの姿が見えるが、特に台詞はない。
 彼らの声援を受け、トミーはひとり門の中へ入って行く。

 トミーは、笙子を懲罰房から出してくれるよう名古屋章に直談判する。しかし、章は一度決めたことだからダメと突っぱねる。そして4週間の懲罰期間を終えたら、面会を許可すると言う。
 その頃、笙子の隣の懲罰房へ入れられていた女の子が、耐え切れずに暴れ出し、ばったりと倒れてしまう。福崎が服を引っ張ったときにブラの紐が見えてしまう。セクハラである。
 高熱を出していた彼女は、医務室へ運ばれる。

 しかし、実際問題、いくら懲罰とはいえこんなことやってたら、外部に知れたら大問題になりそうだ。当時の感覚は分からないけど。
 そろそろ2週間になる笙子も、かなり意識が朦朧としている様子。

 他の生徒たちの会話から、今の女の子は懲罰5日目だったらしい。うーん、さすがに5日でそんなになるかなぁ? まあ、それと比較して笙子のド根性を表現する意味もあるのだろう。
 笙子のことを心配する同室の少女たち。右端が五月で、さっきの比企理恵の仲間とちょっと似てる。髪型も似てる。
 その女の子を医務室へ運ぶ途中の教師たちに「笙子を出せ」と迫る少女たち。ひとりは中村晃子の胸倉を掴んでぶん殴ろうとするが、「あなたも懲罰房へ入りたい?」と冷静に言われ、動けなくなる。

 笙子は座ったまま眠りこけ、性懲りもなく(シャレです)トミーが面会に来たと言う夢を見ていた。ダメだこりゃ。

 笙子の懲罰は遂に3週目に入る。
 立原ちえみは、笙子の為に「パンスト」しようよと言い出す。

 五月「パンスト?」
 女の子「ハンストのことじゃない? ほらっ、ハンガーストライキ」
 立原ちえみ「そうそう、それっ」
 乗り気の少女たちだが、モナリザは半端なことをしても無駄、飢え死にする覚悟でやらなきゃ笙子は取り戻せないと厳しい一言。俯く少女たち。
 モナリザ「あるのならあたしも加わる。どう? どうなの?」
 こうして、3号室の仲間たちによるハンストが行われる。と言っても、彼らは作業などもしなければならないので大変である。
 そんな様子を冷ややかに見る比企理恵。そこへ「魔物」らしい人物がいると手下が報告に来る。それは5号室の女子で、事件当時部屋にいなかったらしい。また合気道三段の腕前らしい。
 その候補者は紛らわしく赤いタオルを巻いている。比企理恵は手下に小手調べに襲わせてみるが、彼女、
 体格がいいだけで、実はてんで弱かったことが判明する。ほのぼのするシーンです(どこがだっ)。

 もっとも、喧嘩が強いと言うのが「魔物」の条件と言う前提自体、比企理恵が勝手に思ってるだけなんだけどね。



 性格の悪い中村晃子は、ハンストをしている3号室の生徒たちの様子を笙子に見せて、
 「あなたを出して上げられる条件がひとつだけあるわ。懲罰房より苦しい罰を受ければね。それならみんなも納得するでしょう」
 と、持ちかける。

 笙子「仲間たちのためなら何でもします。何をすればいいんですか?」
 中村「うふふふふっふーっ、この学園には懲罰房より苦しい罰則はないわ」

 笙子「なんだとこのババア!」
 と、笙子は怒りのあまり中村晃子にドロップキックを放つのであった。……と言うような展開だったら良いな。

 それにしてもこの態度、とても教育者の端くれとは思えない。
 一方、トミーはジョーズでタツと会っていた。他に行くとこないんか?

 タツ「舞楽も出来ない、笙子さんにも会えない。お前の気持ちも分かるけど、ふっ、元気出せよ!

 かつてこれほどまでにいい加減な励ましの言葉があっただろうか?

 下線部分は、「良い夢見ろよ!」でも「とりあえず死ねよ!」でも、なんでもいい感じ。
 で、何故かいつもの連中も横にいるのだった。どいつもこいつも暇だな。
 そういや、山本さん、制服がいつの間にか夏服になってるなぁ。

 晴子は中華街で買ったと言うお菓子をトミーに勧める。
 ここで珍しくヨシ坊が二人の前に立って、「これ好きでしたね、笙子さんも」と漏らす。と、同時にしまったと言うように口に蓋をする。
  
 と、坂上亜樹がヨシ坊の足を払って転がす。彼女が短めのスカートを履いて誰が得をするのだろう?
 坂上「ばっかだねあんたもう、また思い出させちゃったじゃない」
 ヨシ坊「すいません。『気配りのススメ』読み直します……」

 当時、そう言う本が流行っていたのだろうか。それにしてもヨシ坊はいささか弱腰過ぎる。
 そこへ別のメンバーが駆け込んできて、笙子のいる少年院の音楽講師に空きがあると手柄顔に報告する。
 山本「なぁんだぁもう、それがバタバタと知らせに来るほどのこと?」

 後ろから真ん中に出て喋る山本さんだが、風邪でも引いたのか声がおかしい。
  
 晴子「にぶいねえ、音楽なら哲也さんの専門だよぉ」
 意味ありげにトミーを見る。トミーもすぐ、音楽講師としてそこに就職すれば笙子に近付けるのだと言う真性ストーカー的発想に到達する。

 もっとも、このことが、トミーとモナリザを引き合わせ、物語後半の泥沼愛憎劇の発端となるんだけどね。

 次のシーンでは早くもトミーが名古屋章に電話して、音楽講師(ただしボランティア)になりたいのぉと甘えた声を出している。
 しかし、章は、生徒たちの音楽の授業における態度は滅茶苦茶なので、よした方が良いと忠告する。
 イメージ映像の中で、卵などをぶつけられる音楽講師。3号室の生徒たちまで加担して騒いでいるところを見ると、彼らはこういう堅苦しい音楽そのものが嫌いなのだろう。

 一方的に電話を切られ、悄然とするトミー。
 そこへ鬼より怖い静かな微笑を浮かべた未来の奥さん・恭子さんが登場!
 恭子「音楽講師になって笙子さんのそばに行きたい、そういうことですのね」
 トミー「恭子さん、もう少し余裕を下さい、もう少しです」
 恭子「分かってますわ。わたしはあなたを信じるほか、何も出来ない女です」

 さて少年院。比企理恵の部下たちは「魔物」は誰だか分からないが、他に可能性があるのはモナリザだけだと告げる。
 そのモナリザを含めた3号室の少女たちは引き続きハンストを行っていた。
 ここで、立原ちえみが吐き気を訴える。

 そう、ドラマでは妙齢の女性が吐き気を訴えた場合、100パーセントの確率で妊娠していることになっているのだ。
 立原ちえみは、仲間たちの問い掛けに、入所する前に「三人の男に抱かれた」とサラッと答える。
  
 彼女を医務室へ運ぶよう指示した後、一人立っていたモナリザに、比企理恵が試しに石を投げてみる。と、モナリザは咄嗟にその石をキャッチしてしまう。

 その動きから、比企理恵はモナリザこそ「魔物」だと決め付ける。ま、正解なんだけどね。

 その夜、比企理恵は事務室へ忍び込み、生徒の個人票を調べ、モナリザの本名や生年月日などが一切不明なのを知る。
 依然として懲罰房の中の笙子だが、ここでは何故か前より元気そうだ。
 食事を運んできたちえみに、(妊娠しているのだから)食べろと勧めるが、ちえみも我慢して食べようとしない。
 そこへ悪玉コンビがズカズカ入ってきて、福崎が「懲罰房の者と話してはならん」と、身重のちえみを引っ叩く。最低ですね。
 そのちえみを抱き起こす笙子のお尻が色っぽいので思わず貼ってしまう管理人。最低ですね。

 仲間たちのハンストを見ていられない笙子は、さっき中村晃子の言っていたより厳しい罰……トミーへもう二度と会わないと言う手紙を書くことを申し出る。

 笙子さん、今までにもう何回か「哲也さんとは二度と会わない」と言ってると思うけどね。
 そう言う趣旨の手紙を貰い、例によってみんなで読んでいるトミー。通信の秘密は……。
 その頃、笙子は、約束どおり手紙を書いたので18日目にしてさっさと部屋に戻って、みんなもハンストをやめて八朔か何かを食べている。うう、見てるだけで口の中が酸っぱくなる。

 結局、笙子、一ヶ月と言うコースレコードは作れなかったわけで、いくら仲間たちのことを思ったとはいえ、なんとなく釈然としない。

 笙子は、ちえみが子供を産むべきかどうか意見を聞かれ、瞬間的に自分が母親から言われたきつい一言などを反芻し、
 笙子「冗談じゃないよ、ガキなんか産んでどうすんのさ!」
 と、思わず激しい言葉を搾り出す。
 意外な反応に、唖然とする仲間たち。

 笙子「産むのは簡単だけどさ、どうやって育てるのさ? あんたたちの中で、生まれてきてああ良かったって言えるほどいい思いをしてきた者が一人でもいるのかい? あたしはね子供のことを考えて言ってんのさ。父親だってどこの誰だか分からないって話だしさ、ろくでもない世の中に生まれたって目から血が出るほど苦労するだけさ」

 め、目から血が出るほど……って、ユニークな表現ですね。

 トミーに会えないと言う苛立ちも一緒にむごい言葉を吐き続ける笙子。立原ちえみは耐え切れずに泣き伏す。
 そして、次のシーンでは早くも堕胎の承諾書にサインするちえみ。
 そんな折、どういう手段で章を説き伏せたのか、いけしゃあしゃあと音楽講師に成りすまして笙子たちの前に現れたのは、元祖ストーカー、トミーであった! しかし、この行動力には敬服する。
  
 笙子は思い掛けない再会に瞳をウルウルさせるが、モナリザの方は愕然としていた。

 モナリザは、トミーに気付かれないうちに後ろのドアから出て行く。

 トミーはとりあえず音楽(フルート?)の実演をしてみせるが、一部の生徒たちは早くも彼にぶつける卵などを用意していた。それを見て険しい表情になる笙子。もし投げようとしたら力尽くで止めようとしただろう。
 トミー「では、天下の名曲を」
 と、しかつめらしく吹き出したのは、なんと、「チャルメラ」のメロディであった。
 これには生徒たちも大受け。つかみはバッチリのトミーであった。
 ……要するに、女心を手玉に取ることにかけては世界一なのね。

 トミーは続けて、学校の授業は「音学」であり、本来は「音楽」であるものを小難しくして君たちを音楽嫌いにしてきたのだと話し、不良少女たちの共感を得る。
 それを聞いて、投擲用の卵(と言っても、中に粉を入れたもの)をバラバラと床に落とす一部生徒たち。後始末が大変だ。
 ま、そもそも、笙子さんに会いたいと言う不純な動機からの講師志願なんだけどね。

 この時、トミーは「ふふふ、よりどりみどりだぜ」とか考えていたに違いない(註・本当です)。

 その後、トミーは念願の笙子との二人きりの時間を持つ。
 当然、福崎は約束が違うと名古屋章に詰め寄るが、太っ腹の章は、「哲也さんは既に準職員だから、教師と生徒が会うのは面会とは言わないだろ」と却下する。怒りのあまり机を強く叩く福崎。そんなに人の幸せが憎いんかお前は?
 トミーから「辛かっただろうね18日間」と言う殺し文句を言われ、思わずその胸に飛び込む笙子。

 ついさっき「二度と会わない」とか手紙で言ってなかったか?

 しかし、笙子はたちまち恭子さんの自殺未遂の映像を思い浮かべ(……と言っても、その細部は知らないはずだが)「哲也さんは恭子さんと結婚すべきだ」と、トミーの体を押し戻す。

 トミーは「恭子さんはガラス細工みたいな人だから云々」と言い、最終的には恭子さんを捨てる気マンマンの本心を明かす。つまり、恭子さんに結婚しようと言っているのは、また自殺でもされちゃたまらんぞと考えているからであり、最初からトミーの心は笙子の方を向いていたと言うことなのだ。

 ある意味最低だね。最初から本気で結婚する気がないのなら、キッパリとそう言えよ。仮にそれで恭子さんが自殺したら、その罪を一生背負って、笙子さんと添い遂げろ、と無責任な視聴者は思うのであるが……。

 トミーは、これからはいつでも会えるからと結論を急がない。
 そして、先ほど出てきたお菓子を笙子に差し入れする。全てにおいて卒がないトミー。
 普通の女の子らしく喜ぶ笙子。

 トミーと差し向かいでいるだけで、「生きてるっていいなぁ」と、さっきと全然違うことを口走る。


 同時刻、
  
 当て馬に過ぎない恭子さんは、宣材写真のような凛々しいトミーの写真を見ながら、
 「哲也さん、あたし、信じていいのね?」

 ダメだと思います。

 さて、笙子はトミーとの逢瀬もそこそこに、これから病院へ行って堕胎手術を受けようと言うちえみに会いに行く。
 話なら後でしろと言う中村晃子に対し、
  
 笙子「うるさいなぁ」
 中村「なんですって」
 笙子「文句あったらあとでまた説教しな!」

 一瞬、悪竜会会長の顔になって一喝する笙子、ここはとてもスカッとする。
 笙子「景子(立原ちえみのこと)、子供を始末しちゃいけないよ、産むんだよ、どんなことがあっても……昨日あたし落ち込んでたからさ、ひどいこと言ってゴメンよ」

 後ろで中村景子がびっくりしているのは、笙子の言うことがコロコロ変わるから、ではなく、笙子に一喝されたからである。

 笙子は彼女のことを「不良少女のレッテルを10も20も貼られたあたしたちの代表」と誉めてるのか貶してるのか分からない表現をした後、「景子、お母さんにおなり」と、励ます。

 堕胎をやめると宣言した彼女に対し、中村晃子は不満そうに書類(堕胎の承諾書)を返す。しかし、いくら悪役とは言え、ここはさすがに女性として、堕胎をやめる決意をした立原ちえみに温かい眼差しを送るのが人情と言うものだろう。

 とにかく、ちえみは書類を引き裂き、子供を産むことになるのだった。

 一方、モナリザはひとり庭で赤いスカーフ(?)を手にして意味ありげに見詰めていた。
 そこへ、いつも元気な比企理恵が、手下と共に角材持って登場。この辺から「NEVER」が流れる。
 不意を衝かれたモナリザだが、手近にあった傘などで応戦する。
 スタントによる空中回転まで披露し、タダモノでないことを示す。どう見ても男だけど。
 石突で次々相手の腹を刺して倒すモナリザ。
 そこにたまたまやってきたトミー、たまたま落ちていた例のスカーフを拾い上げる。
 そのイニシャルから、自分がかつて妹に買ってやったものだと知るトミー。

 その視線の先には、激しく戦っているモナリザと比企理恵の姿。
 結局、比企理恵も倒され、地面に横たわる。
 そこへ声をかけるトミー。
 「葉子、葉子じゃないか」
 モナリザは一瞬驚くが、
 モナリザ「あたしのことを言ってるの、久樹哲也さん、だったら何かの間違いじゃない? あたしには哲也なんて兄はいないもの」
 と、完全否定する。

 そこへさらに笙子もやってきて、向かい合っている二人を険しい目で見ている、といったところで今回はおしまい。





  第09話「ジューン・ブライド」(1985年6月12日放送)

 前回の終わりから始まる。
 トミーは妹の葉子だろうと話しかけるが、モナリザは頑なに否定する。

 モナリザ「人違いしないで下さい。あたしの名は長沢真琴です」
 トミー「長沢真琴……」

 なんだ別人なのか、じゃあ安心して口説こう、と考えるトミーであった(註・たぶん嘘です)。
 トミーは早速それを名古屋章に告げて、モナリザの罪状などについて聞こうとするが、名古屋章は、モナリザが妹ではないと言っている限り、トミーを肉親とは認められず、それを教えることは出来ないと拒絶する。この石頭!

 ダメケイ「一体あなたたちにはどんなことがあったんですか」
 ダメケイの不用意な問い掛けに、トミーは待ってましたとばかりに独演会を始めようとする。

 トミー「僕と葉子は5年前……」
 が、
 名古屋章「哲也さん、私は今ここで、あなたと長沢に何があったのか、聞かんことにしましょう」
 と、出鼻を挫かれる。

 さらに、「なぜならあなたと長沢が(中略)心を重い鉄の扉で(中略)これはワシの人間としての確信です」と、いつもの長話を披露する。
 無論、トミーは聞いていなかった。「チクショウ、人の話邪魔しやがって」

 とにかく、名古屋章はふたりが心を開いて話し合うまでモナリザのことについては話せないと告げる。
 哲也と会わせようとモナリザを探す笙子は、講堂から聞こえてくる笙の音に、てっきりトミーだと思って入ると、意外にもそれはモナリザの吹いていた笙だった。
 笙子「あなた久樹葉子さんなんでしょう。何故哲也さんを兄と認めないの?」
 モナリザは互いのプライバシーには干渉しないルールだと突っぱねるが、自分が葉子だと半ば認めた形である。モナリザは、笙子の脱走を助けたのも善意からではなく、笙子が「落ちるところまで落ちれば良い」と思ってしたことだとうそぶく。

 もっとも、モナリザ、その時点では笙子の相手がトミーだとはっきり知っていたわけじゃないと思うので、それは後から考えた言い訳だろう。その後、モナリザも笙子の為にハンストまでしてるくらいだからね。
 モナリザ「哲也はあたしの敵!」
 笙子「だって、あなたたちは兄妹なんでしょう?」

 モナリザは自分たちのことには関わるなと言う。
 なんかこの辺から、単なる不良、恋愛ドラマじゃなくて、秘められた血縁関係からの愛憎劇と言う、悪い意味での大映ドラマシリーズらしさが表面化してしまい、少なくとも個人的にはこの路線変更(?)には賛成できない。

 まあ、トミーと笙子の恋愛だけでは、2クールもたせるのは厳しいと言う事情もあってのことだろうが、トミーとモナリザとの近親憎悪がメインテーマに躍り出てからは、ドラマ全体が急につまらなくなってしまった気がする。

 それはそれとして、ここでOP。
 珍しくひとりで酒をかっくらっているジョーズのおアキ。扉をガンガン叩く音に対し、
 「24時間バカばっかり言ってるわけじゃないんだよ。え゛っ、24時間顔が変わらないって? ばぁか言ってんじゃないよ」
 と、ひとり芝居で応じるのだった。
 しょうがなく、おアキが鍵を開けると、入ってきたのは酔っ払ったトミーを連れたタツであった。
 それにしても、いつも仲の良いことで

 もっと酔いたいんだと言うトミーに、おアキは快く酒を出す。
 酔った勢いで、トミーは葉子のことをべらべら話すが、長沢真琴と言う名前を聞いて、おアキの顔色が変わる。

 おアキ「長沢真琴? 哲也さんあなた今長沢真琴って言ったわね?」
 トミー「ああ、確かにそう言った」
 おアキ「長沢真琴……マコ!」

 かなり分かりやすく思い出すおアキ。
  
 それにあわせて、濃いメイクをして指の間にカミソリを挟んで、チンピラたちを攻撃するモナリザの映像が流れる。

 タヌキ顔の伊藤麻衣子さんと違い、伊藤かずえさんがやると決まってるね。

 おアキ「カミソリ・マコ!」
 トミー「ママ、君は妹を知っているのか?」
 当然そう迫るトミーだが、おアキは知らぬ存ぜぬで押し通す、が……、
 おアキ「マコのことは話せないんだ。口が裂けてもマコのことは何にも話せないんだよぉ。不良の仁義なんて生易しいものじゃないんだ。あたしには口が裂けても言えない恩義がマコにはあるんだ……あたしが話せるのはマコが悪竜会時代の笙子ちゃんにそっくりだったってことだけ……」
 と、最終的には彼女のことを知っていたと認める。話せないとか言って結構べらべら喋ってるな。

 タツがトミーに率直に尋ねる。
 「哲也、一度聞こうと思っていたんだが、お前と葉子さんは誰の目にも仲のいい兄妹だった。葉子さんは物静かで、音楽の好きな少女だった」
 今度は、もっと昔のモナリザの様子が回想される。庭でバイオリンを弾いている。

 タツ「俺にも葉子さんのような妹が欲しいと、羨ましかったよ」
 と、うっかり自分もシスコンだったと告白するタツであった。
 若き日のシスコン・コンビの肖像。さすがに、タツはあまりに変わらなさ過ぎでは? 服が違うだけじゃねえか。

 タツ「哲也、その葉子さんが何故非行に走ることになったんだ?」
 タツの質問に対し、トミーはあっさりと、しかし衝撃的な答えを返す。
 トミー「葉子は、僕と結婚することを強く望んでいたんだ」
 さすがのおアキもびっくりして振り向く。
 タツの方は「そ、そんな夢みたいな設定があるのか」と言うようにごくりと唾を飲み込んでから、
 「しかし、哲也、お前と葉子さんは兄妹じゃないか」と、当たり前の疑問を呈する。
 トミーは虚脱したように座り、ほろりと涙を落とす。
 まだ何も言ってないのに、おアキも涙をこぼす。

 一方、葉山家。

 静夫パパは例によって私立探偵の調査から、モナリザが不良だったこと、暴走族の少年の死亡事故に関わっていることなどを知り、トミーとの縁談はやめるべきだと話す。
 しかし、娘の恭子は大反対で、トミーが笙子に関わり合っていたのは、愛していたからではなく、その妹のことがあったからだと主張し、遂には、
 恭子「私は哲也さんと結婚します。それが許されないなら、あたしは一生結婚しません!」
 と、まで言わせてしまうトミーのモテモテぶり。ワシにも少し分けてくれ。

 母親の方は、また恭子に自殺でもされたらと結婚させてやりたいようだが、静夫パパのほうはそれよりも、葉山家の体面のほうを重んじて、6月10日のホテル横浜での結婚式はキャンセルすると宣言する。

 その後、「娘の一生には替えられん」と言っているが、葉山家の世間体のことを優先しての決断と自分で言ってるので、なんかピントのずれた台詞だ。
 次のシーンで、またモナリザの昔の写真。てっきり、またシスコンのトミーが見ているのかと思ったが、
 父親の高橋昌也の方だった。
 昌也「葉子、お前は素晴らしい娘だった……」

 管理人の頭がおかしいのだろうが、この父親の述懐が、妙にいやらしく聞こえてしまう。
  
 ここでまた回想シーン。非行に走る前の葉子と、トミーがそれぞれ楽器を演奏している。
 昌也の声「葉子、お前は豊かなモノを持った娘だった」

 背後で何か吹いている昌也の視線や、モノローグの抽象的な言い回しから、管理人は反射的に「豊かな胸」と言うように脳内変換してしまうのだ。
 なおもくどくどと写真に語り掛ける昌也。一瞬だけ、暴走族ふうの一団の走る様子が映される。
 最後に、「葉子! 好きだ!と叫ぶ昌也。

 昌也「許してくれ、私はお前に対して取り返しのつかぬ過ちを犯してしまった」
 と言う台詞も、なんか、スケベなことでもしたのかと勘繰ってしまう。

 実際、後に分かる真相から考えて、「お前に対して〜過ちを犯す」と言う言い回しは、あまり妥当とも思えない。

 それと、いまさらだけど、こんなはっきりとした独り言を延々と話す奴もいないよね。
 そこへ、妻の岩本多代が入ってきたので、慌てて本の間に写真を隠す昌也。

 例によってトミーの結婚について話題にする多代。
 多代「哲也にもっと賢い生き方をするように、あなたから言ってください」
 昌也「賢い生き方か、賢い生き方が必ずしも人間を幸せにするとは限らんよ。……休ませて貰う」

 寝室に下がろうとするが、多代はめざとくモナリザの写真を見付けてしまう。
 多代「待って! これはなんですの?」
 昌也(隠していたエロ本を母親に押さえられたような気まずい顔で)「……」
 多代「あなた、まだ葉子のことが忘れることが出来ないんですか」
 昌也「忘れられるわけないじゃないか。葉子は私たちの娘なんだ」

 昌也は、モナリザの写真を妻の手からもぎ取ってさっさと廊下へ出る。
 そして、さっきまで妹のことで泣いていたトミーが帰ったのにでくわす。娘の写真をぶらさげたまま……。

 その夜、少年院では、同じ部屋の離れたところにいるモナリザが泣いているのを笙子は気付く。

 芥川ナレ「笙子は決して真琴とだけは争いたくないと思っていた」
 芥川ナレ「何故なら、いつかきっと哲也と葉子とそして笙子の三人が憎しみやいがみ合いのない世界で光に包まれて共に生きられる日が来る。笙子はその日が来るのを信じ(後略)」

 笙子の想像の世界で、やたら爽やかにはしゃぐ三人……ひとりだけ裏返っているのは、これは心霊写真ではなく、トミーが調子に乗ってジャンプしながら体を反転させているのである。

 あのう、あと、笙子さん、恭子さんは? 恭子さんは最初からこの幸せな輪の中から排除されているの?
 さて、松村雄基たちは、しぶとくも警察の手をかいくぐり、少数の幹部と前回言っていた山荘に隠れていた。
 しかし、それ以外の部下は、みんな警察に捕まり、捕まっていないものも後難を恐れて彼らに非協力的であった。

 報告を受けて、
 松村「そんなことだろうと思ったぜ」
 女幹部「やつらとことんあたいたちを潰す気だよ」
 松村「潰されてたまるかよっ」
 松村「俺たちはただ好き放題に生きたいだけだ! それが目障りって言うんなら、とことん戦ってやるまでよ!」

 この決意表明、かつての笙子たちのように、「あたいたちの世界を作ろうよ」などと言う夢想的な大義名分を掲げない分、いっそ潔くてカッコイイと思う。

 実際、松村たちって、そんなに大して悪いこともしてないと思うんだけどね。
 松村は、この山荘もすぐ警察に知られると見て、さっさとそこをバイクで飛び出す。
 そんな状況でも、「笙子ーっ! お前に会いてぇーっ!」と叫ばずにはいられない松村でありました。

 少しは状況判断と言うものをしろ。
 少年院では、笙子たちが菜園で自分たちの丹精した大根などを収穫していた。
 ちえみは、お腹の中の赤ちゃんが動くのだと不安がるが、優しい瀬戸先生は赤ちゃんが元気な証拠だと安心させる。
  
 ここで別の女の子が「圭太郎に質問! 赤ちゃんはどうして生まれるんですかぁ?」と言うありがちな質問をし、

 ダメケイが「なにっ」と、うろたえる。
 ダメケイは救いを求めるようにちらっと瀬戸先生を見るが、瀬戸先生はクスッと笑って目を反らす。

 ダメケイ「それは、つまり、おしべと、めしべがっ!」
 と、錯乱気味に説明しようとするが、
 密かに彼に惚れている五月に、「誤魔化すなよダメケイ、ちゃんと教えて!」と突っ込まれる。

 あれ……今気付いたけど、ナメケイじゃなくて、ダメケイだったかな? ……げっ、今から全部訂正するのか。

 ダメケイ「だから、つまりだなぁ、……景子先生助けて下さいよ!」

 女の子たち「うわぁーっ、ダメケイが照れたぁーっ、ダメケイが照れた(以下繰り返し)」
 ダメケイ「うるさいなぁーっ」

 ありがちだが、実にほのぼのとしたシーンである。

 また、ダメケイは瀬戸先生のことが好きなんじゃないかと言う雰囲気も感じられる。普通過ぎる組み合わせだが。
  
 彼らとは離れて作業していた笙子とモナリザ。笙子がモナリザに対し、必殺のタヌキ笑いをぶちかますが、モナリザは敵意剥き出しの表情を向ける。
 そして、笙子キチガイの松村からの笙子を脱走させろと言うしつこい命令にいささかウンザリしている比企理恵。
 もっとも、ここでは松村の指示を受けた幹部と話しているのだが。

 比企「笙子を出せっつったってねえ、当人にその気がないんだから仕方ないよぉ……山崎、会長に伝えてよ。あたしはもう壁の中なんてウンザリだ。ここを抜けるよ」
 山崎「そりゃ無理だ。会長は笙子をレディース流星会の会長に任命したんだぜ。そこまで笙子に惚れ……」
 比企「ちっくしょう〜あたしを差し置いて」

 折角の山崎さんの台詞も最後まで聞いてないマリでありました。

 しかし、流星会そのものが壊滅状態の中で、レディース流星会もへったくれもないと思うが。
 その後、比企さんは笙子に喧嘩を売り、彼女の運んでいた野菜などをひっくり返し、足でぐりぐり潰してしまう。
 非暴力を貫く笙子はひたすら耐えるのみ。

 以後、この手のシーンがウンザリするほど出てきます。
 正直、この辺からドラマ全体がつまらなくなってるくるんだよね。

 その後、静夫パパの妻・三ツ矢歌子が、婦人会の行事か何かでこの少年院へ見学へ行こうということになる。歌子は、この際だから、笙子さんがどんな娘なのか見ておきたいと言う。
 その誘いを岩本多代にもする。最初は葉子のことを思い出すからと断ったリアルサザエさん多代だったが、夫との会話の後、変心してそれを受ける。
 その少年院の食事風景。珍しく俯瞰の映像である。
 食事中、名古屋章は、その婦人会が見学に来ることを生徒たちに話す。

 さて、当日、三ツ矢歌子を先頭に、着飾った奥様連中が施設にやってくる。無論、多代の姿もある。
 菜園で作業をしていた笙子を、歌子も多代もバッチリ見る。ま、彼らは彼女がここへ収容されていると知った上で来てるんだけどね。
 笙子の心の声「哲也さんのお母様だ。それにもうひとりの方は恭子さんの……」
 内心のつぶやきさえ丁寧な笙子さん。

 彼女の方はふたりがやってくるとは知らなかったので、驚くと同時に、屈辱を感じて、それを芥川ナレが代弁してくれる。
 芥川ナレ「恋する乙女に、これ以上の拷問があるだろうか」

 それはそれとして、当然、そこには多代の娘である葉子がいる。ふたりが互いに気付くのをハラハラしながら見守っている笙子。
  
 で、あっさり再会するふたり。モナリザは、母親に対し、憎悪の眼差しを向ける。
  
 思わぬ事態に、多代は気が遠くなってしまう。さすがにそのまま完全に気絶するほどではないが、気分が悪いからと即座に帰宅することを申し出る。他の婦人たちに支えられながら、モナリザの方を見ることもなく去って行く。

 モナリザの方は、何事もなかったように作業を続けている。

 多代の反応から、笙子はトミーが葉子のことを両親に話していないこと、また音楽講師をしているのも秘密にしていることを察し、歌子にトミーの姿を見られてはいけないと強く念じる。
  
 場面変わって、珍しくタツの事務所へやってきた恭子さん。トミーは今日は仕事が休みなので(いつも休みとしか思えないが)、
ここへ来ていないかと訊ねにきたのだ。

 その後、これまた珍しくふたりで公園を散歩する。タツが恭子さんのことを密かに想っていることを考えると、胸が締め付けられるシチュエーションである。
 が、話題はモナリザ=葉子についてのムードのないもの。

 恭子は、トミーが笙子に夢中になっていたのはあくまで妹がわりとしてだったと信じ込み、トミーとの結婚とその後の生活を揺るぎないものとして見ていた。

 恭子「これからはどんなことがあっても哲也さんを信じます」

 しかし、これまでにもトミーに婚約を解消されたり、トミーと笙子との婚姻届まで見させられてきた割に、そこまで徹底的に信じていると言うのも、なんか変じゃないか? まあ、色々あったけど、最終的にトミーの心が自分のところへ戻ってきたのだと信じているのかもしれないが。

 その女泣かせトミー、例によってジョーズにやってくる。
 モナリザ=マコについての用件だと察したおアキは、その場にいた夫のヨシ坊に「あっちへ行ってな」と指図する。

 ヨシ坊「どうして僕を粗末にするんですか。卑しくも僕はあなたの夫ですよ、夫」
 珍しく口を尖がらせて不平を言うヨシ坊。この表情なんか、「ウルトラマンレオ」時代を思い起こさせる。
 振り返って、トミーに頭を下げる。
 おアキ「やかましいね。女にはね夫に触れられたくない秘密ってのもあるんだからぁ、あっち行っててくれないかな、粗大ゴミ君!
 さすがにひど過ぎ。
  
 ヨシ坊「ったくもう二枚目には弱いんだから」
 聞き取りにくい声でぼやくヨシ坊。後ろで「いやぁ二枚目でゴメンネ」と言う感じのトミーがむかつく。

 おアキ「今日のあたしの髪型が関取のようだって?」
 ヨシ坊「言ってない、言ってないです。粗大ゴミ、消えます」

 だが、トミーの用事とはおアキに葉子のことを聞くためではなく、それは自分で聞き出すからと、少年院に音楽講師として行く前に時間があるので、単にコーヒーを飲みに来たのだった。
 おアキに「キリマンジャロふたつ」と頼まれ、
 ヨシ坊「はいっ、哲也さん、美味しいコーヒー入れますからねっ」

 ヨシ坊、可愛いなぁ。
 そのトミーが行く予定の少年院では、瀬戸先生の指導で、ケーキ作りが行われていた。
 トミーの授業は2時間で、壁の時計は10時半である。

 このままだと、トミーと歌子を会わせてしまうと焦燥に駆られる笙子。しかし、どうしようもない。
 人殺しのような目付きでケーキを作る笙子さん。
  
 そこへ比企理恵が近付いて、「タイマンはいつやるんだ」と鬱陶しいことを聞いてくる。笙子が改めて断ると、
 ポケットの中の黒い粉を笙子の作っている材料の中にぶちこんでしまう。
 「なんじゃこりゃあ〜!」となる笙子。

 ほんと、これ何?

 管理人だったらとりあえずヘッドバッドするところだが、笙子はそのアクシデントを利用して、とある作戦を思いつく。

 具体的には、その黒い物体の入った材料で作ったケーキを、にっこり笑って歌子に食べさせようという恐ろしい計画であった。
 つまり、それによって歌子の機嫌を損ね、トミーが来る前に帰って貰おうということだ。
 当然、異物入りケーキを口にした歌子は「鵜ッ」となるが、百戦錬磨の歌子は、これは誰が作ったのかと言う問いに立ち上がった笙子に、「とても美味しい。一人で食べるのはもったいないから娘の恭子にも食べさせましょう」と、残りをハンカチで包んで和やかなムードを崩さないまま、問題を処理する。

 いや、だから、その黒い粉って一体なんだったの? 気になるなぁ。

 試食会の後、モナリザは笙子に「みんなに迷惑がかかるから今後そう言うことはするな」とよそよそしい態度で注意する。無論、モナリザは歌子の素性など知らないので、笙子の思惑までは分からない。

 うーん、結局、あの粉がなんだったのか、分からないままか。コショウとか、そういうものかな。
 笙子は、さと子(船橋あられ)に、トミーが来たらとにかく休講にしてくれと言うよう頼む。
 トミーの来るのを待ち構えて、玄関から出てきたさと子。この子も、よく見るとなかな可愛いよね。
  
 車から降りてこちらに来るトミーに話しかけようとしたとき、例によって福崎が邪魔され、使命を果たせない。
  
 音楽室(?)で、トミーが来ないように祈っている笙子。
 歌子たちもしっかりと授業参観のように部屋の後ろに勢揃い。
 しかし、さと子が戻ってきて作戦が失敗したことを知らされる。万事休す!

 教室に行こうとしていたトミーだが、ダメケイに呼び止められ、母親が見学に来たが気分が悪いとすぐ帰ったことを教えられる。
  
 さらに、再び廊下でモナリザと会う。この辺から「NEVER」が流れ始める。
 トミー「葉子、お母さんと会ったかい?」
 モナリザ「何のお話なんですか? 私は長沢真琴。私に は父も母も、兄もいません」
 トミー「そうか、それじゃ真琴君、ジョーズのおアキが君によろしく伝えてくれといっていたよ」
 モナリザ「ジョーズのおアキが?」
 トミー「彼女は今、ジョーズと言う店を経営して、元気で頑張ってるよ」
 モナリザ「そう! あのおアキが」
 旧友のことを聞いて、トミーの前ながらつい笑顔になるモナリザ。
 トミーは、モナリザの手を引いて教室へ入ってくる。
 笙子さんの数々の苦労が全部水の泡である。
 生徒も参観者も全員女と言う、トミーにとってはパラダイスであったが、
 その中に、天知茂の「美女シリーズ」の初代美女・三ツ矢歌子がいるのだった。
 歌子「哲也さん……」
 トミー(えーっと、誰だっけ?)

 気まずい雰囲気のまま、「つづく」のであった。