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スピンオフ企画 スピンオフトップへ戻る
山本理沙編 不良少女とよばれて
クリックすると該当部分へジャンプします。 第19話 第20話 第21話
 

  第19話「グッバイ・フレンド」(1984年8月21日放送)

 前回の続き、遂にトミーが妹である葉子へ宣戦布告をしたシーンから。
 トミー「お前なぞ今日限り妹などは思わないぞ!」
 モナリザ「なぞ?」(念の為、嘘です)

 トミー「僕はもう手加減などしない、これ以上笙子さんに卑劣な真似を繰り返せば、絶対に許さないぞ!」

 無言のモナリザに、「何故黙ってる?」と問うと、

 モナリザ「二言目には笙子笙子と気取りやがって、あたしの方はあんたとは兄でもない妹でもないととっくに言ってあるよ!」
 トミー「縁が切れてすっきりしたとでも言いたいのか?」
 モナリザ「どぶねずみと兄妹の方がマシさ」
 トミー「なにぃ」
 カッとなったトミー、思わず伝説の右フックを放とうとするが、笙子に止められる。
 モナリザ「おい哲也、あたしが兄さん見捨てないでと言って、泣いて取り縋るとでも思ってたのかい?」
 続けて、「寝惚けんじゃないよ、コーヒーでツラでも洗ってきな!」と、例によって10年後には青春の思い出として笑い話のネタになりそうな台詞を吐くのだった。

 こういう場合でも、トミーも笙子も決して「コーヒーて」と茶化さないのが、大映ドラマの偉大なところである。良い奴も悪い奴も、みんな(はた迷惑なほど)一生懸命生きているのだ。

 お人好しの笙子は、トミーにモナリザと和解するよう懇願するが、トミーは耳を貸さない。
 二人の話を聞いていた章は、園長室へ招いて、
  
 章「実は来月、笙子君を仮退院させる予定なんです」
 と、ある種、爆弾発言をする。

 笙子の驚き顔は、「少年院を出たら、このドラマつまらなくなりません?」と危惧しているようにも……見えんか。
 ま、あと6回しかないのに、さすがにいい加減、笙子を外へ出さないと、原作者の原さんにぶっ飛ばされるんじゃないかとスタッフが考えたのかどうか、ようやく、舞台が外部へ戻る、いや移る兆しが見える。

 しかし……、同室の女の子たちより後に入ってきた上、少なくとも1回は自らの意志で逃走し、警察沙汰にもなっている笙子の方が、彼らより先に出ると言うのは、ちょっと納得できないなぁ。まあ、他の少女たちが具体的に何をしてここへぶちこまれたのか、データがないので何とも言えないが。……みんなモナリザみたいな人殺しだったらやだなぁ。
 無論、劇中では、笙子、涙ぐんで喜びを表していた。
 トミー「良かったね、後少しの辛抱だよ」
 ナレ「仮退院、それは笙子が夢にまで待ち焦がれていたただひとつの言葉であった」

 笙子の胸が(文字通り)躍る。
 章は妬みを生むから、そのことはしばらく発表しないでおくと話していたが、笙子はマリたち同室の友達にだけはそっと打ち明ける。マリは勿論喜んでくれるが、その台詞から、マリが現在19才だと分かる。

 マリが笙子の肩をどやしつけると、勢い余って笙子の持っていた鉢が落ちて割れてしまう。ハッとするふたり。
 だが、駆けつけた大磯たち教師の態度は妙に優しかった。
 そんな様子を観察していたモナリザは、笙子の退院が近いと察する。
 手下「組長、どこから聞き込んだのさ?」
 モナリザ「聞くまでもないさ、仮退院が近付くと教官は大抵のことは大目に見だすからね」

 ここでの生活が3年(だっけ?)を越すモナリザの、豊富な経験に裏打ちされた読みに感心する手下。同時に、「外に出たら何の役にも立たない知恵だなぁ」と思っていたことだろう。

 また何か悪事を企んでいるモナリザの顔を映しつつ、OPへ。
 しかし、「組長」はさすがにどうかと思う。

 さて、本編だが、
 …………うん、目の錯覚かな? それとも「ポニーテールはふり向かない」のDVDと間違えたかしら? と誰もが目をぱちくりさせてしまう、衝撃の映像から入る。

 キャバレーみたいなところで、見知らぬおっさんとデュエットをしているのは、あの清純可憐な恭子さんではないか。
 しかも店のマスターは、恭子さんが死なせた(と思いたがっている)子供のどさぐれ親父ではないか。

 客「釣りはいいよ」
 マスター「お客さん、一桁違いますよ。54000円です」

 その上、ぼったくりバーだった。ひえーっ。
  
 客「ビール2本だよ? ……このアマ、よくもうまいこと言って引っ張り込みやがったな! この野郎!」
 と、恭子さん、マスターの代わりに殴られる始末。

 しかし、普通、ホステスじゃなくて男の方へつっかかるだろう。

 客は、店を経営しているどさぐれ夫婦にボコボコにされる。
 彼らは、たぶん、恭子さんからふんだくった慰謝料でこの店を開き、あまつさえ、慰謝料の不足分として彼女をここでホステスとして働かせているのだろう。鬼畜め。
 そんな恭子さんの様子をじっと見詰めている怪しい男。
 夫婦からは店の看板商品などと言われつつ、自ら客引きまでする恭子さん。

 健気と言うより、ここまで来ると、単なるマゾである。
  
 そこへタツこと男谷弁護士が現れる。

 彼女を連れ戻そうとするが、夫婦がすぐ飛んでくる。
 タツは、なんだったら不法監禁罪で訴えるぞと言うが、夫婦はあくまで恭子さん自身の意志で働いて貰っているのだと強弁する。
 あまつさえ、亡くなった子供の写真を見せて、恭子さんを動揺させる。

 こいつら、このドラマの中でも最低最悪のキャラだよな。

 恭子は「どんな償いもすると誓ったんです。逃げるわけには行かないんです」と、ひたすら自己犠牲の道を選ぶ。
 結局彼女は店に戻るが、タツは金を払って、客として彼女と話す。

 それにしても、なんでタツはいい加減「恭子さん、あなたが好きです。結婚しましょう!」と、切り出さないのだろう? 見ていて歯痒くなる。

 ここで、かなり唐突に、恭子さんが「寂しい時には、朱雀の調べが聞きたくなります」と言い出す。
 朱雀と言うのは、トミーの吹く笙の名前である。
 そこへ、1話の婚約披露パーティーでの恭子さんの舞楽の様子が回想される。
 スタッフ、恭子さんにも舞いのたしなみがあることを今まで忘れていたんじゃないか? ……管理人も忘れてた。

 彼女に関しては、1話以来、舞楽のブの字も出てこなかったけど。
 恭子「私の青春はね、あの笙の音色に励まされて過ぎたわ……」

 渋い青春だなぁ。

 さて少年院では、マリがトミーの音楽の授業が楽しみだとみんなに話している。
 マリ「(笙子と比べて)あたいは未だにハンチクだ。何故だ? 何が違うんだ。はぁー、あたいはマジに一晩こうやって考えたんだよ! したら分かったよ!(ポンと膝を叩いて)笙子みたいにしゃきっとするには、何もかも笙子の真似すりゃいいんだってね」
 自問自答するあたりの、比企さんの演技はいかにもドラマと言う感じで、嫌いじゃない。
  
 さと子「笙子の真似ぇ?」
 マリ「笙子を支えてきたのは哲也さんの愛情、笙の音色だろう? だからあたいもいっちょあやかって」
 トキ子「笙を好きになろうってのかい?」
 弥生「驚いた。学園一の音痴がね〜」

 からかわれてムスッとした顔をするマリ。
 この画像ではわかりにくいが、ここでも喋っているマリの横で、弥生が表情豊かに演技をしている。とても可愛い。

 ジョーズで話しているトミーとタツ。
 タツは、恭子さんの現況については詳しく話さず、代わりに「心の支えが要るんだ」と、ラジカセを取り出して、トミーに笙を吹いて貰って録音しようとする。せめてそれを恭子に聞かせてやろうという涙ぐましい配慮だった。

 相変わらず、浮世離れした展開だ。
 トミーは、ちょうどこれから授業で笙を使うから、その時に吹き込もうと約束する。



 少年院の敷地の片隅にある小屋に、モナリザ以下白百合組の連中が集まり、密談している。
 モナリザは、その「朱雀」を盗めと部下に命じる。「朱雀」は、トミーが楽人になった時、静夫パパから譲られたとても大事なものらしい。さらにそれを利用して笙子の仮退院を阻止しようという考えらしい。

 部下たちも、リスクが大きいと二の足を踏むが、

 モナリザ「分かってるよ。今時タダで動くのは、地震だってことくらい」

 さりげなくスベるモナリザ  部下たちは聞かなかったふりをする。
 で、モナリザの出した報酬とは、すいかけのタバコだった。
 部下「わぁ〜、タンベ!」

 多分、職員の吸い差しのタバコを集めておいたのだろうが、貧乏臭いなぁ。

 そんな陰謀が進行しているとも知らず、元気に少年院へやってくるトミー。
 考えたら、10代の可愛い女の子がひと山いくらと言う感じで群れを成している施設へ堂々と通えるのだから、男にとってはかなり嬉しいボランティアではないだろうか? 実際の少年院は、こんな美人ばっかりじゃないだろうけど。
 音楽教室では、八千代がバンと机を叩き、
 「なに? 席を替われだとぉ?」
 「べーーーーーっ、だ!」

 あーあ、美人が台無し。
 
 八千代「お断り!」
 マリ「哲也さんの笙を近くで聞きたいんだよ」
 頼んでいるのは、マリだった。

 が、八千代は「てめえが東京流星会にいた頃の恨みを水に流せるかよ」と、割と根に持つタイプだった。
 マリも「この野郎、頭下げて頼んでるのによっ!」と、喧嘩腰になる。下げてないけど。
  
 ふたりがのたのたと取っ組み合いをしていると、笙子が止めに入る。
 八千代、笙子に頼まれると途端に折れて、「弱いなぁ姉貴には。勝手にしな」と、マリに席を譲る。
 ……って、ほとんど同じじゃねえか!

 これが、マリが一番後ろとかだったら、分かるんだけどねえ。
 だが、そのトミーが廊下を歩いていると、黄色い頭巾で顔を隠した生徒が現れ、「朱雀」をひったくってしまう。慌てて追いかけるが、彼らは次々と「朱雀」を放り投げてリレーして、追跡をかわす。

 その様子を見ていた善子が、笙子にそのことを耳打ちする。
 モナリザはいつものようにニヤニヤと微笑んでいる。
 命より大事な笙を奪われて、今にも泣きそうなトミーだが、グッと堪えて授業に来る。男の子だもんね。
  
 トミーの笙を楽しみにしていたマリ、トミーが手ぶらなのを見てすぐ疑問を口にする。

 トミーは、暑さのせいで忘れてしまったと言い訳する。折角席を替わってもらったマリは「ええ、そりゃないよ〜」と嘆く。
 他人の不幸が嬉しい八千代は、ニンマリする。
  
 トミーが今日は自習にしますと言うと、生徒たちは競ってレコードプレーヤーに群がり、レコードをかける。と言っても、クラシックではなく、ポピュラーソング(チェッカーズ?)で、それにあわせて楽しそうに体を揺らすのが「自習」らしい。

 小さくて見えにくいが、八千代も気持ち良さそうに頭を振っている。
 トミーはだが、そんな彼らをよそに、話があるとモナリザを講堂へ連れ出し、いきなりビンタする。
 結構、利いたらしい。

 トミー「みんなの前で君の名前を出さなかったのは、僕の最後の情けだ……すぐに返したまえ」

 モナリザは、それは「情け」ではなく、それによって笙子とモナリザが争い、笙子の仮退院がふいになるのを懼れただけじゃないかと、トミーを嘲笑する。
 トミーとモナリザの会話には、ほぼ漏れなくついてくるオプションの笙子がたまりかねて口を出す。
 笙子「モナリザ、卑怯だよ」
 モナリザはさっさと立ち去る。笙子は追いかけようとするが、トミーに止められる。

 笙子「でもあの笙は哲也さんが唇から血が出るほど稽古に使われたかけがえのない品でしょ?」
 トミー「血は出てないけど……」
 尚もモナリザを追おうとする笙子を珍しくトミーが「バカッ」と強く叱る。

 トミー「君は僕が悔しくないとでも思ってるんですか。いっそあいつを窃盗犯として警察に訴えようかと思ったくらいです。でもそうしなかったのは、もう妹でもないあいつのためじゃないんだ。君をつまらないゴタゴタに巻き込みたくなかったんです。僕が耐えているのに、どうして君が耐えられないんですか?」

 うーん、しかし、だったらなおのこと、警察に訴えた方が良くないか?
 笙子「哲也さん、すみません」
 ぽろぽろと涙をこぼす笙子。

 泣くほどのことじゃないと思いますが……。

 例の小屋にて、首尾よく「朱雀」をゲットしてご機嫌なモナリザ。部下たちに約束のタバコを与えるが、ライターもマッチもないので何かないかと聞かれ、
 モナリザ「安心しな。素晴らしい道具があるから。これはカリウムさ」
 その小屋は、物置小屋になっているようだが、その棚に何故かこういうものが置いてあった。
 部下「カリウムってなぁに」
 モナリザ「金属元素の一つだよ。こないだ理科の実験のとき、苦労して手に入れたんだ」
 部下が瓶を弄ぶのを慌ててひったくると、
 モナリザ「カリウムは凄く敏感な元素なんだ。水や空気にもろに触れると発火するから、初めから石油の中に保管してあったんだよ……」

 しかし、そんな物騒なものが瓶ごと紛失してるのに、なんで学園側は気付かないのだろう?
 論より証拠と、バケツの中に黒いひとかけらを箸でつまんで落とすと、たちまち小さな爆発が起こる。
 その箸に付いた火で、タバコに火をつけるバカ。

 モナリザは「朱雀」を小屋のロッカーの中へしまう。
 裁縫の時間、笙子が裁縫箱を開けると、モナリザからの果たし状が入っていた。やたら字が上手い。
 何とかの一つ覚えで、「タイマンやろうぜ!」と言う趣旨だったが、笙子が勝てば「朱雀」を返してやると書かれてあった。
 場所は、さっきの小屋(農場倉庫)である。

 もう面倒臭いから、その手紙を証拠として章に見せれば?

 そうすれば、マリが死ぬこともなかったのに……。あ、言っちゃった。

 笙子は約束の時間の前にモナリザに会い、トミーと仲の良い兄弟だった頃を思い出して欲しいと言う。

 根が素直なのか、そう言われてすぐ回想モードに入るモナリザ。
  
 屋敷の庭で、笙を吹いているトミーに、昭和の初期風少女スタイル(なんじゃそりゃ)のモナリザがお茶を運んでくる。

 この、お下げバージョンのモナリザ、めっちゃ可愛いですよ。
 以前にも、タツをまじえた回想シーンはあったが、これは今回のために別に撮ったものである。
 これと、
 これが、同じ人と言うのが凄いよね。

 笙子「今の哲也さんは舞楽界から追われ、あの笙しか残っていない。モナリザ、あんたになら分かる筈よ。舞楽が、笙が哲也さんの命だってことが……返してあげて」

 モナリザ「思い出など、とっくに犬に喰わしてしまったさ」

 笙子「お、思い出を犬に……? どうやって?」(念の為、嘘です)
 笙を返してくれるのなら、なんだってすると、笙子は土下座するが、モナリザに「だからタイマンに応じろって言ってるだろ」と、蹴飛ばして靴で顔をぐりぐりする。

 ま、確かに、「なんだってする」のなら、タイマンにも応じないといけないのだから、この件に関してはモナリザが正しい。

 と、そこへ善子らしい声で「いい加減にしな!」と邪魔が入る。ハッとしてモナリザたちが振り向くと、
 変な人たちが集まっていた。

 目だけを見ても、マリたちだと分かるのだが、手下は一応礼儀で、「なんだてめえら」と誰何する。

 マリ「白百合組を散らす、野荒らし組!」

 ネーミングが完全に失敗していることに薄々気付いているマリだった。
 しかし、一度そう名乗ったからには、それで押し通すしかない。

 手下「そんなのがいつできたんだい?」
 八千代「たった今さ、ドタマかち割って掘り返してやろうかい?」

 途轍もなく迫力のある台詞である。
 白百合組もすぐ喧嘩腰になるが、
 モナリザ「よしな、バカを相手に怪我をしてもつまらない。笙子、今夜来なかったら笙は叩き壊してやる」
 ほんと、バカは相手にしたくないですよね、バカは。
 笙子は解放され、仲間たちがすぐ駆け寄るが、視界にまだモナリザたちがいるのにもう頭巾を脱いでしまう。意味ねえだろ。
 ……ま、白百合組に逆らうのは彼らしかいないんだから、どうせ最初から正体は分かっている。

 タイマンを受けるべきか、受けないべきか、ハムレットのように悩む笙子であった。
 マリ「笙子!」
 八千代「姉貴!」
 集団から離れて立っていた笙子に二人が叫んで近付く。
 マリ「良いこと思いついたよ、笙を探せばいいじゃないか」
 と、素朴な提案をする。
 八千代は「ちょっとお、そりゃあたいが先に考え付いたんだ! あんたあたしの頭ン中覗いて知恵を盗みやがったなぁ」と、ここでもマリに張り合う。ちょっとウザい。

 それに対するマリの「冗談は顔だけにしな。てめえの貧弱な脳味噌に湧くのは知恵どころか、ぼうふらみたいなもんじゃねえかよ!」と言う罵言に、つい拍手したくなる。
 八千代「黙れ、てめえなんか死んじまえ」
 と、スコップで戦いだす二人。元気一杯だね。

 ま、八千代はここへ来て間もないし、マリとは以前、敵味方になって激しく戦った間柄だしね。それに、彼女はマリがさんざんいじめられて落ち込んでいる姿は見ていないのだし。
 トミーは、「朱雀」を盗まれてしまい、ショウがないので(シャレ)録音できなかったとタツに知らせる。

 どう受け止めたのか、タツは「冷たいもんだな。お前は最初からその気がなかったんだ」と、トミーの不誠実をなじる。
 どうでもいいが、タツのネクタイが気になる。

 誰に盗まれたか聞かれても、トミーは答えられない。なんだかんだいって、まだ妹のことを見捨てられないのだろう。

 マリの進言に沿って、笙子たちは「朱雀」を捜す。
 ジャージに包まれたトキ子のお尻……ステキです(しょっ、正気か貴様)。
 腹ばいになってテーブル下を捜す八千代。

 だが、見付からないまま夜になる。
 笙子は気にしながらも、約束はすっぽかす。
 律儀に庭で待っているモナリザたち。
 しかし、なんで毎回、彼らは教師に見付からずにここまで来れるのだろう? 謎だ。

 モナリザは「自分はもう少し待つ」と、手下を部屋に帰す。

 笙子は結局、「朱雀」が心配になって布団から跳ね起きる。
 ただ、トミー自身、「朱雀」は物に過ぎないんだと言ってるんだから、そんなに拘らないでもいいと思うが。
 ひとりで指定場所へ向かうが、マリが待ち伏せしていた。
 マリ「あたしも付き合う。立会人としてね」
 笙子「マリ……!」
 二人で農場小屋の近くまで来ると、小屋に入っていくモナリザらしき人影が見えた。
 二人が節穴から中を覗くと、モナリザはバケツに火を焚いて、生母の写真に「哲也が命同様に大切にしているものを捧げます」と語りながら、「朱雀」を燃やそうとする。
 思わず中に駆け込む二人。
 モナリザ、さっきまで自分もたくさんの仲間と一緒だったことは内緒にして、
 「ひとりで来るかと思ったが、負け犬マリがお供かい?」
  
 マリはここで、笙子を外へ締め出し鍵を掛けると言う意外な行為に出る。

 マリ「悪いけどあたしが先に勝負を付けさせて貰うよ。真琴、元東京流星会副会長山吹マリ、負け犬かどうか見せてやるよ」
 拳を握って戦闘ポーズを取るマリ。
 ただ、それから繰り広げられる頂上対決が、あまりパッとしないのがトホホなところ。

 ま、「反逆同盟」のようにスタントじゃなくて、女優本人がやってるのだからしょうがない。
 しかもみんな運動神経鈍そうだしなぁ。
 格闘する二人の手前に、相当わざとらしく置いてあるカリウムの瓶。

 争っているうちに案の定、床に落ちて炎上する。
 と言うことは、別にモナリザはカリウムを使って笙子を焼き殺そうとなどは思っていなかったと言うことか?
 二人ともさすがに喧嘩はやめて、火を消そうとはかない努力をする。
 それより、扉の鍵を開けたほうが手っ取り早かっただろう。
 モナリザは機転を利かして、窓に何かぶつけて割って、そこから脱出しようとするが、
 「逃げるんだっ」と、ちゃんと敵のマリにも呼び掛けているのがいいよね。やはり根は善良な女の子なのだ。

 ま、マリを放置してさっさと逃げてしまうのはどうかと思うが。
 着地した際、肌身離さず持っている数珠を落としてしまう。
 マリも、そこから出ようとするが、
 つい「朱雀」が目に入り、それを取りに戻った僅かな遅れで、逃げられなくなってしまう。

 無論、安全を期して撮影されているのだろうが、ここもちゃんと女優さんが火に囲まれて演技をしているのが立派だ。
 木材に押し潰されて呻くマリ。
 で、鍵がかかっていたのに、笙子が戸口から入ってくる。火で扉が燃えたのかな。

 小屋が燃えると、校舎の火災ベルが鳴る。……なんで?
 激しく燃え盛る小屋をバックに、マリを背負って逃げようとしている笙子の姿。大迫力だ。
 駆けつけた教師や生徒たちの手で、必死の消火活動が行われる。
 大磯なんか、かなり近くで消火器を噴射していて、ちょっとかっこいいぞ。これも役者本人だろう。

 ま、実際は見た目ほど近くじゃないんだろうけどね。
 モナリザもさすがに「こいつはヤバイ」と言う表情だった。
 サブタイトルにもあるように、マリは今回で死んじゃうのだが、大映ドラマでは即死とか、意識不明のままと言うことは許されず、死ぬまでにたっぷりと他のキャラと愁嘆場を演じさせられるのだ。

 マリ「朝男、朝男……」
 と、こんな時でも、いやこんな時だからこそ、愛しい朝男の名を呼び続けるマリがとてもいじらしい。
 トミーも当然、病院へ駆けつける。……なんか、先の展開が読めるなぁ。

 トミー「容態は?」
 ダメケイ「朝まで持つかどうか分からないそうです……」
 江田「あたし、今まであの子に厳しすぎて……」
 思わず泣いてしまう江田先生。
 笙子は、マリが命懸けで守った「朱雀」を手渡す。
 トミー「これは……」
 笙子「マリのお陰です」

 刑事がやってきて、朝男を留置場から連れてくるのは無理だと告げる。
 大映ドラマにしてはリアルだが、単に松村雄基のスケジュールの問題かな。やはり、ここは朝男に吠えて欲しかったところだ。

 また、マリの母親も再婚相手に気兼ねして来れないと言う。
  
 看護婦さんがマリが呼んでいると笙子に告げる。マリの枕元に立つ笙子。
 笙子「マリ……」
 マリ「あたい、死ぬのが怖い……怖くてたまんないよ……」
 縋るように訴えるマリ。感動のシーンだが、全然死にそうに見えないのが玉に瑕。
 笙子「何言ってるの、もうすぐ朝男も来てくれるって話だよ、しっかりして」
 偽りを述べて、マリを励まそうとする。
 マリ、口だけ動かして何か喋ろうとする。
 笙子「マリ、何が言いたいの?」

 いつの間にか、章やトミーたち教師もずらっと後ろに並んでいる。
 マリ「笙が……聞きたい……」

 章「マリ君はなんと?」
 笙子「聞きたいんだそうです。『シュガー抜きのサタデーナイト』を
 マリ「ちがーうっ」(念の為、嘘です)

 無論、マリはあれだけ聞きたがっていた「笙」を聞きたいと言うのだ。聞いたことないのに聞きたいと言うのもアレだが。
 トミー「それじゃあ吹かせてもらうよ。君も頑張るんだよ」
 医者「病室ではご遠慮ください」
 トミー「あ、すいません……」

 実際は、やっぱり怒られそうだが、所詮助かる見込みがないと分かっていれば許されるかも。
  
 トミーが心を込めて吹く、みやびな調べに涙を浮かべるマリ。そして朝焼けが訪れた時、

 医者「これはあるいは、持ち直すかもしれませんね……」

 えーっ、死なないのぉーっ?
 思わず不謹慎なことを言ってしまったが、やっぱりここはガクッとこのまま逝って欲しかった。

 マリ「哲也さん、ありがと! あたい、もっと笙を聴きたい、もっと聴きたいと思ったら、元気出てきちゃった。あたい元気になったら今度こそ、生き直すんだ、はは、笙子みたいにシャキッとさ、本も一杯読んでさ……それ、それから……」
            くたっ



 なんだ、やっぱり死ぬんじゃないか。
 今の医者の台詞、なんだったの? 要らないだろう、どう考えても。
   
 笙子「マリ、マリ、マリ! マリーっ!」
 冷たくなったマリの頬に顔を寄せ、号泣する笙子。

 かつて最大の敵だったマリこそ、最高の親友だったことに気付いた笙子。

 感動のシーンであります。「スクール☆ウォーズ」のイソップの死に匹敵する泣けるシーンです。

 どちらも、死人はひとりだけにしとけば素直に感動できたのに……。

  
 霊感で知ったのか、その瞬間、朝男も……って、あれ、松村いたのか。じゃあやっぱりこのシーンはリアリティを重視したと言うことか。

 朝男の声「マリ、俺はお前に冷たかった。だがお前の愛は半端じゃなかったな」
 そして、相部屋の男たちの笑声に「おっさん、知り合いが死んだんだ。今日一日笑わないでくれ」と、ギロッと睨みつけるのがいかにも朝男らしい。
 何しようが勝手じゃないかと言うおっさんたちを小気味良く蹴飛ばして、
 朝男「バカヤロウ! 人が死んだらよお、世界中はそのひとりのために泣くべきだぜ!」

 これも良い台詞だね。

 ……ただ、そもそもマリを少年院に無理矢理入らせたのは、朝男だったわけで、彼女の死の遠因を作ったのも朝男じゃないのか、と言う気もするのだが、今は言わないでおこう(言ってるけど)。
  
 速やかにマリの告別式が行われる。

 章「諸君、山吹マリは帰らぬ人となりました。私たちは二度と彼女に会えません。最早何もしてやれることはありません。ただひとつしてやれることは、マリ君のことを覚えておいて上げることです(中略)」

 葬式だろうがなんだろうが、章の説教は時と場所を選ばず始まるのだった。
  
 生徒たちの様子。八千代はあれだけいがみあったぶん、哀しみも大きいのか、ひとり涙ぐんでいる。
 さすがの白百合組の幹部(左上)も、悲しそうな表情になっている。

 章「僅かな縁だったけど、私はいつまでも君のことは忘れない」
 ここで、回想シーン、ただし、新撮のイメージシーンが流れる。
 章「君がちっとも規則を守らないで、私たちを梃子摺らせたことも」

 ラーメンをすするマリだが、どうやってラーメンにありつけたのか、謎である。と言うか、なんで回想シーンの頭に、ラーメン食ってる映像を持ってくるのか、謎である。
  
 章「つい昨日、いきなり後ろから私の肩を叩いて、園長先生、おはよう、と、言って……、くれたことも……」
 哀しみで言葉が途絶えがちになる章。

 ここのマリの笑顔、めちゃくちゃ心に沁みる。
 八千代「マリ、ごめんよ、あたいこないだあんたにさぁお前なんて死んじまえなんて言っちゃったりしてさ……なんで、なんで死んじゃったんだよーっ」

 焼香の時、八千代は遺影に向かって号泣する。
 笙子は冷静に心の中で「マリ、落とし前はつけてあげるよ」と、物騒なことを誓うのだった。

 しかし、今回の件、鍵を掛けて戦いを始め、笙を取りに戻ったマリ自身にも責任はあるとおもうんだけどね。モナリザにしても、カリウムは別に使うつもりで置いておいたわけじゃないようだし。

 それでも、「朱雀」を盗んでタイマンを持ちかけたモナリザに責任の大半があることは否めない。
 焼け落ちた小屋に立ち、「こんなことになるなんて……」と、茫然としているモナリザ。
 背後から覗く笙子の顔。こ、怖い。
 笙子「何故みんなにほんとのことを言わないんだ?」
 モナリザ「冗談じゃないよ。過失致死なんかで少年刑務所送りになりたかないね」

 笙子はどうせ警察にばれるから、自首をしろとすすめる。
 モナリザがそれを拒絶すると、笙子は「マリが浮かばれない。タイマン、受けて立つ」と宣言する。

 タイマンが好きだねえ。

 で、早速、互いに棒を持って木立の中でタイマンが始まる。
 笙子「たとえ死んでも恨みっこなしだよ」
 モナリザ「ああ」

 まず死なないと思いますが。

 続く、モナリザの「生き残った方がくたばった奴の骨壷を蹴飛ばすまでさ」と言うのも凄い台詞だ。ついさっきマリのお葬式をやっていたと言うのに。
 そして始まるいつものドタバタアクション。これでどうやったら死ねるんだ?
 もつれあって斜面を下るシーンがあるが、ここは、スタントがやってるっぽい。不自然にロングだしね。
 って、まだ葬式の途中だったのかよ。欠席するモナリザもだが、途中で抜け出す笙子も笙子だ。

 警察が、例の数珠を持って章に会いに来る。

 数珠を見た章は、即座に長沢真琴のものだと断言する。
 刑事「長沢真琴は今どこに?」

 ここから「NEVER」が流れ出す。
 そのモナリザは、引き続きタイマンの真っ最中。
  
 ジャンプして、木の枝にぶらさがり、得意そうな顔になる。
 向かってきた笙子に枝にぶら下がったまま蹴りを放つ。
 ここも、どちらもスタントのようだ。
 もっとも、次には何故か攻撃したモナリザの方が不利になっているので、あまり意味のない攻撃だったようだ。
 へろへろになりながら、戦い続ける二人。
  
 考えたら、アイドルがくんずほぐれつ、汗だくになって戦っている訳で、なんか、いいよね。

 これでジャージじゃなく、ミニスカだったらなぁ……。国宝級の映像になっていたのに。
 結局、勝負はドローに終わり、そこへ彼女を捜していた警察がやってくる。尚も逃げようとするモナリザだが、確保される。

 えーっと、モナリザは、これで少年院からいなくなるんだっけ? 後半はちゃんと見ていないので記憶が曖昧だ。
 ま、少年院自体、笙子が仮退院したら出てこなくなるんだけどね。
 トミー「バカな奴だ。なんてことをしてくれたんだ。少年刑務所へ行けば、人生の裏街道を歩むだけだ。あいつはもうおしまいだ」
 しかし、モナリザってもう二十歳過ぎてるから、普通の刑務所に行くんじゃないのかなぁ?

 モナリザはさっきのタイマンで、足を挫いていて歩けない。大磯は「こいつ、足を挫いたふりなんかしやがって」と、刑事の目の前でモナリザを蹴り倒してしまう。下手するとお前も逮捕されるぞ?
  
 トミー、縁は切ったと言いながらそれを見て思わず飛び出す。
 トミー「待ってください。ほんとに立てないんです。……葉子、兄さんにおぶされ!」

 再び、モナリザのことを葉子と呼ぶトミー。
 戸惑うモナリザだったが、トミーに無理矢理担がれて運ばれる。

 笙子の心の声「哲也さんは、モナリザを少年刑務所なんかに送りたくないに違いないわ」
 で、あろうことか、笙子、彼らの前に立ち、「火を出したのはモナリザではありません。あたしです」と、とんでもないことを口にするのだった。

 ここはひとつ、「犯人はマリです」と、死人に罪を被せ……、すいません、二度と言いません。

 そして、刑事の前に手を差し出すところで終わる。恭子さんと言い、彼女と言い、マゾばっかりだ。



 

  第20話「ネバー・ドロップ」(1984年8月28日放送)

 前回の最後から場所を園長室へ移し、笙子を尋問している大人たち。
  
 章「農場小屋に火をつけたのは本当に君なのか?」
 笙子「はい、私です。私は作業場で、マリと二人でモナリザを待ち伏せしていたんです。色んなことで頭に来てたし、一度は決着をつけようと思ってましたから……あたし、モナリザの顔を見たら、頭に血が昇っちまって……」
 章「君はそのビンの中にカリウムが入っていたのは知っていたのか?」
 笙子「カリウム……?」

 そう言えば、彼女は何故小屋に火がついたのか、知らなかったんだよね。迂闊。

 大磯「焼け跡から発見されたビンは、数日前理科室から盗まれたカリウムのビンだと分かった。カリウムは水や空気に触れただけで発火する危険な化学物質だ……お前は当然それを知っていたんだな?」
 念を押された笙子、かなり分かりやすくうろたえながら、「は、はい、知っていました」
 トミー「笙子さん!」
 たまりかねて、トミーが叫ぶ。
 「僕は信じない、君はそんなことのできる人間じゃない。君は僕の為に葉子を庇っているんだ」
  
 図星を指された笙子だが、硬い表情から、ギロリングし、そう、久しぶりの不良モードに移行する。待ってました!

 笙子「ふざけんじゃねえよ! あたいはねえ、あんたが考えてるようないい子ちゃんじゃないんだよ! 少年刑務所に送られるかもしれないってのによぉ、身代わりなんか買って出られるか!」

 ただ、トミーの前で今まで何度も態度を豹変させてきたせいで、説得力は全くないのだった。

 トミーはそれには触れず、「じゃあ何故名乗り出たんだ?」と、当然な指摘をする。
 痛い所を衝かれたが、笙子も負けておらず、「不良の仁義って奴だよ。死んだマリに対する……あたいも相模悪竜会の頭を務めた曽我笙子、こんなことでシラを切ったら、あたいの格が落ちるってもんだよ」と、あくまで不良キャラを押し通そうとする。

 ……いや、だから、シラを切るも何も、最初から疑われてなかったしねぇ。

 笙子は尚も、モナリザをぶちのめせなかったのだけが心残りさとうそぶく。
 トミーは無論、その場にいる章たちも笙子の心底は十分理解できていたと思うが……、
 大磯「バカモン!(ボカッ)」

 約一名、全然分かってない奴がいた。
 笙子「アンタばかぁ? 演技だっての!」
 グーで思いっきり殴られ、思わず本音を口走ってしまう笙子であったが、嘘である。

 正解は、「大磯、いい気になるなよなぁ!」でした。
 ま、実際、笙子の中には「なんであたしがわざと不良を演じているのか分かんないの?」と言う苛立ちが含まれていたのではないだろうか。

 大磯は笙子の襟首を掴むが、見兼ねた章が「やめなさい!」と、強い口調で止める。
 一応、章は、笙子の言い分を聞いて、処分を決めるまで懲罰房へ入っていろと命じる。
 章と二人きりになったトミー、懸命に笙子の無実を訴えるが、形式的にはともかく、章は笙子の気持ちを知っていた。

 章「哲也さん、笙子君は真琴君に対して、最後の賭けに出た、と思われませんか? 賭けと言うより、祈りと言った方がいいかもしれません」
 章「正直に申し上げましょう。私は今30年の法務教官としての私の人生を笙子君の祈りに賭けてみたいと言う誘惑に駆られているんです。私は捨て身の行動が人間を立ち直らせると言うケースを何度か体験しているんです。負ければ無実の者を少年刑務所に送り込むことになる。無論私も職を辞することになるでしょう」

 トミー「……」(意味が良く分からなかったらしい)
  
 笙子、モナリザの様子が映し出される。
 トミーはモナリザに会って訴える。
 トミー「笙子さんは君を救うために、身代わりを買って出ただけだ」
 モナリザ「笑わせるんじゃないよ。どうして笙子が……」
 トミー「それは、君が母の恨みの世界から一歩も出ることが出来ない悲しい女だからだ。そんな君に笙子さんは人間らしい心を取り戻して欲しいと願っているんだ」
 モナリザ「笙子にあたしの恨みが分かるのかい? あたしは長沢真琴、あたしは母さん、母さんはあたしなんだ!」
 トミー「君のお母さんは、君に恨みの世界で修羅のように生きて欲しいと望んだのか?」
 モナリザ「ああ、そうさ、あたしは母さんの望みのままに生きてるのさ!」

 定番の説得方法を試みるトミーだが、ヤケクソになっているのか、モナリザはひたすら強弁する。
 ただ、「修羅」と言うのはあまりにオーバーだ。実際のところ、少年院でちょっと悪いことしてるだけだからねえ。
 トミーはマリのことを持ち出し、「マリの死に誠実に向き合ってくれ」と熱弁をふるう。
 マリのことを言われると、さすがにモナリザの眉も曇る。

 開き直って、「どうしろと言うんだ?」と尋ねると、トミーは「火を出したのは自分だと名乗ってくれ」と頼む。

 ……厳密に言えば、出火はマリとモナリザによる過失だと思うが、まあ、カリウムを盗んだのはモナリザだしねぇ。
  
 モナリザ「哲也兄さんはあたしに少年刑務所に行けって言うのかい?」
 思わず、「兄さん」と呼んでしまうモナリザ、可愛いのう。

 トミー「罪のない笙子さんを少年刑務所に行かせるわけにはいかないんだ!」
 モナリザ「笙子さえ助かれば、あたしなんかどうなったっていいんだ!」

 ……ま、実際、どうなったっていいんだろう。笙子さんのためなら、婚約者の恭子さんさえ、ボロ雑巾の様に捨ててしまうトミーだからねぇ。
  
 モナリザ「あたしが養女と知って非行に走ったときだってそうだったよ、あたしのことを少しも分かってくれなかったじゃないか」
 昔のことを持ち出して、なじるモナリザ。
 モナリザ「あたしのことなんかどうでもよかったんじゃないか、バカ、哲也兄さんのバカ、バカ、バカ、バカ……」

 まるで恋人のように激した感情に任せて、トミーの胸板を可愛く叩くモナリザに、久しぶりに妹萌えを覚えるトミーであった。

 トミーはそのことについては(適当に)謝りつつ、しつこく本当のことを言ってくれと頼む。
 モナリザ、若干面白い顔になりつつ、
 「笙子なんて、少年刑務所に行けばいいんだ! どうしようもない女になればいいのさ! 哲也兄さんの苦しむ顔を見ればあたしも本望さ!」
 あくまで、呪いの言葉を吐き続ける。

 しかし、その言い草、少年刑務所にいる人たちに失礼じゃないか?

 ちなみに撮影時、
 スタッフ「次は少年刑務所編になるんですか?」
 監督「無論だよ!」

 などと言う会話が交わされていたらしい。嘘だけど。
 さすがのトミーも、怒りを通り越して呆れる。
 トミー「お前と言う奴は……」
 モナリザ「なんだい、哲也兄さん」
 トミー「二度と兄さんと呼ぶな。君は僕の妹じゃないと言ったじゃないか。たとえ笙子さんが少年刑務所へ行っても、僕は笙子さんを愛し続ける!」
 トミーの厳しい言葉に、悲しそうな目をするモナリザ。
  
 説得を諦めたトミー、それだけ言って去って行く。
 モナリザ「バカヤロッ、笙子なんてお前にかっこつけてるだけさ! 少刑行きが決まればビビって泣きを入れるに決まってるよ!」
 その背中に、さりげなく「少刑」と言う専門用語を混ぜて吠えるモナリザであった。
 笙子、不安に怯えつつ、トミーの為にこの道を選ぶことに何の迷いもないと、芥川ナレに気持ちを代弁してもらう。
 「お父さん、お母さん、許して、でも、あたしは大丈夫……」

 笙子の両親も、こんなマゾ娘を持って大変である。笙子の弟や妹だって、そのことで苦しむかもしれないのだから、笙子の自己犠牲的な行為、実は「愛」を大義名分にした単なる自己中心的な行為なのかもしれない。

 ここでOP。
  
 八千代たちが3号室で話している。ネームプレートが映るのだが、そう言えば、八千代と善子は別の部屋だったっけ?

 八千代「あたいは腹を括ったよ。このままじゃ、笙子姉貴の少刑送りは本決まりだ。あたいたちが死ぬ気で真琴をフクロにして、自白させようじゃないか!」

 また、フクロか……。

 そこへ、白百合組の幹部たちが現れて、笙子がいなくなったらここは自分たちの天下だと豪語する。
  
 八千代「ふざけんじゃねえよ! そんな脅しに乗るあたいたちだと思ってんのかい!」
 相変わらず気持ちの良いタンカを切る八千代。

 八千代「ちょうどいいや、まずはお前たちから血祭りに上げてやろうじゃねえか!」
 血の気の多い八千代の突進に、トキ子たちも雄叫びを上げて続く。
  
 例によって乱闘になる。八千代は、相手の頭を壁に思い切り打ち付け、それから投げ飛ばしている。
  
 メインキャラ不在のこの集団キャットファイトシーン、かなり熱が入っている。
 と、その場にいなかった弥生が走ってきて、
 「みんなー、笙子が家裁に行くよ。少刑行きが決まるんだっ!」と、大声を出す。

 敵も味方も、動きを止める。
 弥生「裁判で決められたら、もうどうしようもないよ」
 あれ、モナリザいたの? 乱闘には加わっていないが、その様子を見ていたらしい。
 久しぶりの私服で、家裁へ連れて行かれる笙子。

 さっきは冗談で書いたけど、本気で「少年刑務所編」が企画されていたりして……。
 だが、以前からドラマの内容に不満を抱いていた原作者の原さんがその噂を聞きつけ、撮影所に乗り込んで「おまいらいい加減にしろ」と飛び蹴りを食らわしたため、ボツになったのではないだろうか(だろうか、じゃねえよ)。
 八千代たちや、モナリザたちも見送りに出てくる。
 モナリザ「お別れだね、笙子」
 笙子「葉子さん、あたしの最後のお願いを聞いて下さい。……哲也さんと和解して下さい。お父様とお母様を許してあげて下さい」
 いつになく丁寧な言葉遣いの笙子、さっきの不良キャラと落差があり過ぎだよ。
  
 笙子「葉子さん、あたしたちが今まで憎しみを滾らすことで哀しみの世界から逃れようとしていたんじゃないでしょうか? あたしも父や母を憎み、不良に走った女です。葉子さん、あたしはあなたに憎しみや恨みから自由になって欲しいんです。長沢真琴ではなく、久樹葉子としての人生を生きて欲しいんです。だってあなたはたくさんの可能性を持ってる人なんだもの……葉子さん、あたしの最後のお願いです。憎しみを光に溶かして下さい!

 最後の最後で気取った台詞を吐かずにいられない笙子だった。

 無言のモナリザ。セミの鳴き声が響く。
 笙子は振り向いて、車に乗り込もうとするが、
 モナリザ「お待ち、待ってよ笙子! その車に乗るのはお前じゃないよ」
 笙子「……?」
 モナリザ「真犯人は八千代だよ!」
 八千代「うっそぉ〜ん!」

 ……と言うようなベタなギャグ、管理人は割と好きだ。

 正解は、
 モナリザ「園長先生、カリウムを盗み、火をつけたのはあたしです!」

 でした。

 そう、ギリギリで、笙子、そして園長は「賭け」に勝ったのだ。
 章「良く言ってくれた! 私は君がそう言ってくれるのをずぅーーっと待ち望んでいたんだ」

 だが、往生際の悪い笙子は、尚もあたしが犯人ですぅと悲劇のヒロイン願望に突き進むのだったが、
 モナリザはさっさと車に乗り込んでしまう。

 ……どうして女の子のお尻はこんなに素晴らしいんでしょう?(真顔で言うな真顔で)
 モナリザ、最後の最後で良心に目覚めたと言っても、あくまでその不遜な態度は変わらず、
 「勘違いするんじゃないよ、あたしはお前の情けに負けたんじゃない。自分の罪を他人になすりつけたとあっちゃあ、かつてカミソリマコと呼ばれたあたしの格が落ちるからね」
  
 もっとも、その後、表情を和らげ、「笙子、お前と会えて楽しかったよ」

 トミー「葉子、ありがとう、どんな審判が下ろうと、父も母も僕も、何事も君と一緒だってこと、忘れないでくれ」
 モナリザはその名の通り謎めいた笑みを浮かべ、家裁へ移送されて行く。

 笙子へのわだかまりは解けたかもしれないが、依然、トミーや両親への不信は消えていないようだ。

 しかし、こういう場合、直前で移送する人間が入れ替わってるんだから、ほんとはそのまま車に乗せてゴーと言うわけには行かず、また建物に戻って書類とか手続きのやり直し、と言うことになるんだろうね。不粋な話だが。

 芥川ナレ「数日後、長沢真琴こと久樹葉子は、少年刑務所送致と決定した」
 護送車の中で、ぶつぶつつぶやいているモナリザ。
 「憎しみを光に溶かす……そんなことできるもんか!」

 ですよね。

 笙子ももう少し分かりやすい表現を使えば良かったのに。

 で、モナリザのいなくなった白百合組は、あっという間に非勢に立たされる。
 八千代「やいやいやい、笙子姉貴がいなくなったら毎日が楽しみなんつったのは、どこのどいつだい! ツラだしな、このスコップで張っ倒してやるよ!」

 八千代、もうこういうポジションを完全にトキ子たちから奪ってしまったね。山本理沙さんのスケバン演技が実に見事なので当然だけど。
 取り囲まれて、急に怯えた表情になる白百合組の人たち。
 しかし、笙子が胸を左右に揺らしながら仲裁に飛んでくる。
 見え見えの展開ですね。
 笙子「仕返しはやめようって、みんなで約束したじゃないか!」
 山本理沙さん、やはり汗かきなのか、ここでもブラの紐がうっすら見えるくらい、多量の汗をかいておられる。
 ま、撮影は7月か8月だろうから、暑くて当然なのだが。

 だが、今までのことを思えば、八千代たちは簡単には引き下がらない。
  
 白百合組も「とことんやろうじゃないか!」と、笙子の出現で逆に戦意を取り戻すのだった。なんでだよ。

 と、良識派の二人が飛んでくる。

 だが、ダメケイは「笙子君に任せましょう」と、恵子先生を引き止める。教師たちの笙子への信頼は絶大であった。仮退院が近いけど、既にモナリザに代わって学園の指導者のような風格を見せていた。
 笙子「ただし、あたしは汚いことはキライだ。勝負はタイマンで決めようじゃないか」
 そして、「エリカ、民子、優子、ゆかり、出な。こっちはあたし、ヨッコ、八千代、トキ子だ」と、それぞれ4人ずつ代表が出て、それぞれタイマンで決着をつけようと提案する。

 笙子の台詞で、白百合組の幹部の名前がはっきりする。
  
              エリカ                    民子
  
              優子                     ゆかり

 漢字は適当である。
 もっとも、タイマンと言っても、
 笙子「勝負は一発張り手、1センチでも動いた方が負けだよ」と言う、比較的穏当なものだった。
 先行の笙子たち、「ばかやろーっ」と罵倒しながら、一斉にビンタする。この時、一番手前の善子の乳首が確認できるので、気になる人はコマ送りして見ましょう。

 白百合組も、すぐ「ばかやろーっ」とお返しをする。

 笙子「さすがだよ。動いた奴はひとりもいないじゃないか」
 エリカ「そっちもいないじゃないか」
 互いの根性を賞賛するふたり。

 この場合の「動いた」と言うのは、足元がふらつくことを指すのだろう。
 笙子「この勝負は分けだよ……みんなそれでいいね。エリカ、昔のことは忘れようじゃないか。」
 笙子「白百合組は今日を限りになくなったんだ!」
 その流れで、過去の諍いを全てチャラにしてしまう笙子。ま、それはいいのだが、
 芥川ナレ「その日を境に、愛育女子学園から争いごとがなくなった」
 と言うのは、あまりに安直過ぎるだろう。
 一方、朝男もえらそうなこと言っていたわりに、少年院へも送られず、そのまま鑑別所から出てくる。

 しかし、ほぼ同格の笙子が送られたのに、何故朝男がそうならなかったのか? たぶん、調査の時に、「ごめんなさいもうしませーん」と泣いて反省したからだろう。

 ドラマ的には、ここで朝男に少年院に行かれると、笙子たちと絡めなくなるから、だろうか? 朝男って、この後、どうなるんだっけ?
 さて、門前には、お金持ちのパパが車でお出迎え。
 朝男「おやじぃ、まさかあんたが大金をばら撒いて俺を出してくれたんじゃないだろうな」
 パパ「バカなことを言っちゃいかん。私はね、私とお前のこと、全てをありのまま、検事さんや家裁の審議官に話して、お前に関して全責任は私が負うと誓ったんだ」
 朝男「ひと夏棒に振っちまったが、とにかく助かったぜ」
 パパ「ところで朝男、これからどうする?」
 朝男「鑑別所の中でじっくり考えた。おやじ、俺は何か事業が始めてぇ」
 パパ「そうかぁ、よくそう考えてくれた」

 何か朝男、すっかり丸くなっちゃってて、ちょっとがっかりだな。
 「新・東京流星会を結成して、全国制覇だぁーっ」とか言って欲しかった。

 パパはまた、その前に外国へ行き、見聞を広めてきてはだうだい? と提案する。朝男も「悪くねえなぁ」と簡単に話に乗ってくる。
  
 さて、再び少年院の日常。笙子の後ろの弥生、可愛いけど、笙子が退院したらもう出てこなくなるんだよねぇ。

 しかし、大磯役の福崎さん、こんなムチムチしたジャージ女子たちと一緒にいられて、羨ましい限りです。
 中村晃子さんのサービスショットもあります。
 ワキ全開の笙子さん、魂が抜けたような表情ですね。撮影がよほどきつかったんでしょうか。

 早速、朝男、パパと成田まで来るのだが、何を思ったか、この段階で「おやじの金で海外留学なんてゾッとしねえな」と、やおら、高いチケットを破いてしまうのである。
 朝男「いまさらあんたの敷いたレールに乗っかるわけにはいかねえよ」
 パパ「そういうことはもっと早く言ってくれないか? チケット代……」

 それでも、「俺の人生だ、もう粗末にしねえよ」と、パパを安心させる。

 朝男「それによ、どんな外国より日本の方が面白いぜ。あばよおやじ、元気でな」
 さっさと空港を出て行く。単に言葉の通じない外国に行くのが怖かっただけかもしれない。

 タクシーに乗り、「横浜!」と告げる。
 朝男、これで当分は出ないんだっけ? よく覚えてないや。これっきりと言うことはないと思うが。確か後に何か事業をやってるみたいな感じで出るんだよね。

 ストーリーは、これから、モナリザとトミーとの和解、笙子の雅楽の修行、そして、
 恭子さんにまつわるロス事件的展開と言う、三つの軸で進んでいくことになる。

 最低夫婦は、バーで働かせるだけじゃなく、彼女に売春婦の真似事さえさせようと言い出す。
 恭子「それだけは許して下さい。他のことなら、どんなことでもします。客を取るなんて……」

 母親は例によって死んだ子どものことを持ち出し、「一生恨んでやる」と睨みながら、亭主に覚醒剤を打たせている。
 亭主は、ついでに恭子にも注射針を刺そうとする。抵抗する恭子。
 そこへ飛び込んできた男谷、遂にキレる。
 「許さん、許さんぞ!」

 亭主をブン投げる。
 タツ「恭子さん、あなたはこんな泥沼で生きる人間じゃない筈だ!」
 恭子「泥沼でいいんです。あたしが泥沼で生きることで、この方たちの心が少しでも収まるなら、あたしはそれでもいいんです」
 タツ「……じゃあ、客取れよ」
 恭子「えっ?」
 タツ「泥沼で生きるんなら、客も取って、覚醒剤も打てよ」
 恭子「いや、それは……」

 などと言うことを言ってやりたくなるほど、歯痒い恭子さんの心得違い。
 と言うか、夫婦が彼女のことを金蔓としか思っていないことに、さっさと気付けっての。
  
 タツは、強引に彼女を連れて行こうとする。引き止めようとする母親を振り捨てるが、その前に、前回、恭子さんをじっと観察していた男が、スッと立ち、懐から札束を出して、マスターに投げる。

 男「今日から恭子さんは私が預りますよ。いいですね」
 マスター「そりゃあ、酒井さんがそう仰るなら」
 顔見知りらしいマスター、すんなりと折れるが、母親は「冗談じゃないよ」と抗議する。
 酒井「やめて下さいよ奥さん、この人はねあなたたちのような世界に生きる人じゃないんです」

 チンピラのマスターとは格の違う雰囲気を持つ男、酒井、彼は何者なのであろうか。……どうでもいい。

 酒井「恭子さん、今日から私の会社を手伝って頂けませんか。あなたがこのような世界で苦しんでいるのを見るのは、私には耐えられない。この人たちへの慰謝料は給料から払えばいいでしょう」
 タツ「あなたはどなたですか?」
 酒井(名刺を出して)「ロイヤル貿易の酒井と言うものです」
 タツ(う、読めん……まずい……恭子さんに馬鹿がばれてしまう)
 タツ(ああ、裏に日本語も書いてあって本当に良かった!)

 酒井「男谷さんは弁護士さんだそうですね」
 タツ「ええ」
 酒井「私はアクセサリー類を主として扱ってるんですが、外国との取引には色々面倒なことが多くて困ってるんです。今度法律のことで色々相談させて下さい」
 酒井はさっさと恭子さんを連れて行こうとする。タツが慌てて止めるが、
 恭子「男谷さん、あたしのことは忘れて下さい」

 要するに、「あなたはタイプじゃないの」と言うことである。
 恭子さん、何故か唯々諾々と酒井に従う。店の前で男の車に乗り、タツの制止も無視する。
 タツ(恭子さんは哲也を待っているんだ。もう哲也以外に恭子さんを救える人間はいない。俺ではダメだ)

 妙に自己評価の低いタツであった。れっきとした弁護士である自分より、無職で婚約破棄の前歴があってロリコン気味のトミーの方がなんでこんなにもてるのか、そろそろ疑問に思った方がいいぞ。
  
 そしてまた少年院の様子。木刀を持つ八千代が凛々しい。
 大磯の声「正眼に構えて、上段、下段」
 善子と共に、大磯から剣道の指導を受けている。
 と、木刀を下ろし、八千代「大磯先生、むっつりしてる割には、かっこいいこと知ってるじゃん!」と軽口を叩く。

 大磯「おい先生をからかうな、脇構え!」
 まんざらでもない大磯であったが、指導は厳しい。
 白百合組の連中も、コーラスなどして、学園生活を素直にエンジョイしていた。

 一方、笙子は、
 章「笙子君、君の仮退院が決まった。仮退院の日は、演芸会の翌日、8月28日、みんなには演芸会の終わった夜に伝えるつもりだ」
  
 章に退院日を告げられた笙子は感情を抑え切れず、園長室を飛び出す。
 トミー「笙子さん」
 笙子「怖い……あたし、怖い」
 トミーの胸に縋り付いて、「哲也さん、あたし本当に退院してもいいの? マリは死んだわ。葉子さんは少年刑務所に行ったわ。それなのに、あたしだけこんな……」
 トミー「笙子さん、マリさんは君の心の中に生きてるよ。葉子とは新しい出会いがあるはずだ。僕たちはそれを信じよう」

 ま、今までほとんどのエピソードが少年院を舞台にして描かれてきたのだから、外へ出て、視聴率が維持できるのか笙子が不安に思うのも無理はない。
 実際は意外なことに、少年院を出た後の数話が一番視聴率が高いのだ。これはロス疑惑に材を採ったような恭子さんのエピソードが話題を呼んだためだろうか? あるいは、少年院編があまりに長くて視聴者が飽きていたのかもしれない。個人的には、退院後の話は全然面白くなかったけどね。視聴率など、作品の評価と何の関係もない。
 その恭子さん、OL風になって、ロイヤル貿易に勤めていた。化粧は相変わらず濃いけど。
 酒井「僕の会社はこんなに小さいけれど、いつか一流企業にしてやろうと思ってるんですよ。その為には恭子さんの協力が必要なんですよ」
 恭子「あたしなんてそんな力は」
 酒井「あなたは上流階級のお嬢様だ。あなたのお友達、お友達のご主人、そしてお父様やお母様のお知り合いを僕に紹介して貰いたいんですよ」
 恭子「えっ? ええ、それくらいのことでしたら」

 ブラインド越しに、ビルの下からこちらを見ているタツの姿が見える。酒井はブラインドを閉め、
 「僕はあなたを大切にしますよ。二人にやった金なんか惜しくない。あんな奴らのことは忘れなさい。恭子さん、私があなたを守ってあげます。ここで存分に働いてください」
 恭子「はい、ありがとうございます」
 だが、そんな彼らを見る社員の目付きがどうも怪しい。
 タツ(恭子さん、その男は危険だ。信用しないで下さい!)

 お前も少しは仕事しろよ。
  
 さて、早くも演芸会。何組かのグループに分かれて、色んな演芸を披露すると言うものらしい。
 すっかり良い子になった白百合組の人たちは、チェッカーズの「ギザギサハートの子守唄」とか言う歌を合唱する。

 管理人、こういうシーンは恥ずかしくてとても見ていられないので、DVDで鑑賞する時は早送りしてしまうのだが、今回レビューするにあたり、初めてまともに見たが、やっぱり死ぬほど恥ずかしかった。

 これは1年に1回あるようだが、今まで、モナリザたちは何をやってきたんだろうか? ま、以前は彼女が白百合組のリーダーだと知られていなかったから、弥生たちと普通に参加していたのだろう。
  
 ノリノリの弥生が可愛いので貼っておく。彼女たちの出番も今回で終わり(?)だしね。
 八千代と善子は、部屋も違うのに、何故か二人だけで「剣舞」を披露する。さっきのは、演芸会のための練習風景だったわけね。ま、二人は最近入ってきたので、ペアにされたのだろう。
 坂上亜樹、完全な男の子である。何故か、キリッとした山本さんのアップがない。
 八千代、抜き打ちで斬られる時、顔を歪めるのだが、演技なのか、刀が当たったので本気で痛かったのかは不明である。

 大磯も、練習の成果があったと、園長と顔を見合わせてニンマリする。
 で、笙子たちはコミカルなお化粧で、民謡の「どじょうすくい」を披露する。なんで舞楽じゃないの?
  
 踊りながら、ここへ来てからのことを回想する。
 トキ子たちと初期の抗争や、マリと一緒に最初に脱走を企てた時のこと、マリの死や、モナリザとの争いなど。
 弥生たちもちゃんとお化粧して踊っているのだが、彼女たちのアップはない。

 心ここにあらずと言う感じで踊っていた笙子、ザルからビクへ(本物の)どじょうを移す際、床にこぼしてしまう。
 慌ててしゃがんでそれを拾う。みんなはそれを見て笑っていたが、やがて笙子が全力で泣いているのに気付く。
 八千代「姉貴、なに泣いてんだよー、何があったんだよ!」
 八千代だけでなく、他の生徒たちもステージに駆け寄る。
 と、章が立ち上がって、
 「諸君、静粛に! 今夜諸君に話すつもりでいたが……、曽我笙子君の仮退院が決定した! 笙子君は明日、ここを出て行く」

 突然の発表に、静まり返る生徒たち。
  
 同室の生徒たち、八千代たち、他の生徒たちも言葉なく笙子を見詰める。

 章「どうした諸君、笙子君の退院を祝福してやらんのか?」
 生徒たちは以前、押し黙っている。

 笙子は堪えきれなくなったように、ステージの袖へ消える。
 翌日、園長室で「誓約書」を読み上げている笙子。
 「誓約書、私は相模悪竜会会長として法と秩序を乱し、社会や家族に多大な迷惑をかけたことを心から反省し、二度と再び非行の世界に戻らないことを誓います。曽我笙子」

 章「よろしい」
 仮退院する場合、生徒は必ずこういう「誓約書」を書かされ、読み上げる決まりになっているのだろう。
 章「君は私の言葉の全てを心の奥深いところで、受け止めてくれた。私の言葉は、心は、君の全身に染み渡っている。いやむしろ、私が君から教わったことのほうが、多かったかもしれない。私は君を生徒として迎え入れ、いま、世に送り出すことを誇りに思っている。君は私の生徒、私の娘だ」
  
 笙子「園長先生!」
 章「私は父として、静かに君を見送ろう! さあ行きたまえ、荒海の中へ」
 笙子「はい」
 章「哲也さん、娘を頼みます」
 トミー「はい!」

 勝手に笙子を自分の娘にしてしまった章。こういうのって、話の勢いで一度言うにしても、その後もずーっと「娘」とは、あまり言わないだろう。
 いびられてきた江田先生ともがっちり握手する笙子。
 笙子「ありがとうございました」
 江田「さようなら、寂しくなるわね」
 他の教師たちとも握手を交わし、
 誰もいない自分の部屋に「さよなら、みんな」と、言葉をかける。

 なお、彼女、両親には迎えに来てもらわず、トミーと一緒に退院するらしい。
 玄関に行くと、案の定、八千代たちが群れをなして笙子を待ち構えていた。
 八千代たちは分かるんだけど、
 エリカ、お前らちょっと前まで笙子とガチで敵対してなかったか? 出迎えるのはともかく、涙ぐむのはあまりに白々しい。
 善子「笙子、昨日はごめんよ。あんまり突然なんであたしたちみんな何て言ったら良いのか分からなかったんだ」
 八千代「姉貴が出て行っちまうなんて寂しいし、悲しいし、何がなんだか分からなくてさ」
 昨夜の態度について詫びる八千代たち。

 笙子「みんな、みんなありがとう!」
 「笙子」「おめでとう」などと言いながら、花束を渡す面々。

 エリカ「お別れだねえ笙子」
 笙子「ありがとうエリカ」

 しかし、前にも書いたが、トキ子たちより笙子が先に退院すると言うのはやっぱり違和感があるなぁ。

 花束を抱えて歩き去る笙子に向け、
 エリカ「〜雪解け、間近のぉ、北の空に向かい〜♪」

 と、何故かエリカが口火を切り、「いい日旅立ち」を歌い始めるのだった。
 なんでよりによってエリカなの、と思うが、彼女たちは一応合唱部らしいからね。

 ちなみに、2話で笙子が警察へ出頭する時も、山口百恵の「ゲームイズオーバー」を仲間たちが捧げている。それを念頭に入れての演出であるのは明らかだ。
 八千代たちも、それに和して歌いだす。

 この場合、笙子のためと言うより、彼女たち自身のためのはなむけの歌と言うべきかも知れない。何故なら、笙子はこの後も引き続き活躍するが、彼女たちはこれがこのドラマでの最後の出番になるんだからね。

 個人的には、弥生役の百瀬まなみさんとの別れがつらい。
 彼女、80年代の大映ドラマにしか出演していないようだ。もったいないことだ。
 笙子、涙をこぼし、何度も振り返りながら門へ向かう。
  
 少年院内の主要キャストが揃った集合写真。また、笙子を部屋から見送る章たちの姿も。

 章「ネバーギブアップ……!」
  
 八千代たちも涙を流す。

 通用門から外へ出た笙子、「さよならみんな、さよなら私の愛育女子学園!」
  
 もう一度、やや寄りで(番組上の)卒業組を映して行くカメラ。

 参加した女優さんたち、今も大切な青春の1ページとしてこの撮影のことを心にしまっていることだろう。
 そしてこれがいよいよラストカット。

 みんなお疲れ様でした!

 彼女たちは、これっきり出てこないと思うが、ひとりふたりくらい、退院して笙子に会いに来る、みたいなシーンがあっても良かったかな。自分、これ以降のエピソードはちゃんと見ていないので、ひょっとしたらあるのかもしれないが。

 しかし、折角の感動のシーンなのに、芥川ナレが「二人には試練と言うにはあまりに厳しい日々が待ち構えているのである!」と、断言して水を差すのだった。「あろうか」じゃなくて「ある!」と言うのがヤな感じ。

 この笙子の退院のシーン、意外とあっさりしているが、その前にモナリザの退場がたっぷり時間をかけて描かれているから、これくらいでいいのだろう。レビューする方としてもあまり長々と愁嘆場が続くのも大変なので、歓迎したい。



 

  第21話「エバー・オンワード」(1984年9月4日放送)

 山本理沙さんはもう出てこない筈なので、これ以上レビューする意味はないのだが、どうせ後4話なので最後まで書くことにする。ただし、今までより簡略に。
 シャバへ出た笙子は、最初に横浜の港へやってくる。いかにもドラマと言う感じだ。

 トミー「笙子さん、これから君の新しい人生が始まるんだ」
 笙子「ええ、ええ!」
 トミー「笙子さん、君は明日から舞楽を始めるんだ。ずっと考えていたんだが、僕は君と一緒に民間舞楽を始めたいんだ」
 気の早いトミー、早速これからのことを話し始める。

 笙子さんとしては、正直、一週間くらい骨休みがしたいところだったのではないかと思うが。そりゃ、トミーは無職だから明日からでもいいかもしれないけど、退院したばかりと言う笙子さんのことも思い遣って欲しいところだ。

 笙子「民間舞楽を?」
 トミー「そう、奈良時代に仏教と共に中国から伝えられた舞楽は元々庶民のものなんだ。人々は晴れた空の下で行われる舞楽を見ることにより(中略)舞楽を通じて奈良時代の人々のたおやかな心を今の人たちに伝えたい同好の人たちを集めて、民間舞楽を始めるんだ」

 しかもトミー、今初めて打ち明けたプランだと言うのに、稽古場や会の名称まで決めてしまっていると言う。さすがにこれはちょっと身勝手と言うか、独断専行が過ぎるのではないか?

 なお名称は「笙の会」だそうです。
 トミー「この名前以外考えられない。もう決めたんだからね。反対は許さない」
 冗談っぽく言っているが、割とマジっぽいトミー。

 トミー「笙子さん、僕と一緒に民間舞楽をやってくれるね」

 笙子「イヤです!」……って言ったらドラマ的には面白いんだけど、恋の奴隷となり、トミーにほとんど洗脳されている笙子は簡単に「はいっ」と応じるのだった。

 しかし、笙子さん、少年院に入ってからほっとんど舞楽の稽古もしてないと言うのに、無謀だなぁ。ま、ドラマには出てこなかったが、ちゃんとトミーの指導を受けて練習していたのかもしれないが。
 抱き合った後、二人は自然に唇を重ねるのだった……明らかにキスのふりしてるだけだが。

 ところで、二人がキスするのってこれが初めてだっけ? 前にもしてたかなぁ。

 その話の後、やっと実家へ顔を出す笙子。考えたら、2話の最後に警察へ出頭して以来だから、20話近くぶりの実家である。脱走した時も、実家には立ち寄ってないからね。

 両親や弟妹と再会し、挨拶する笙子。例によって「あたしが悪い」「お母さんが悪い」「いやお父さんが」「お前が」「いやいや、あたしが」「誰がなんと言おうとお母さんが!」などと、謝罪合戦が行われる。
 オープニングを挟んで、横のフスマを開けると、実は悪竜会の元メンバーやヨシ坊たちが勢揃いして待っていたのだ。家庭内の微妙なやりとりを全部聞いていたわけで、相当気まずかったのではないだろうか。

 一同「笙子、お帰りなさい!」
 驚喜して、ひとりひとりと言葉を交わす笙子。ヒロシ(長谷川諭)とヨシ坊のボーダーコンビの笑顔が眩しい。
  
 笙子「お晴、今何やってんの、どこで歌ってるの」
 晴子「隆一とバンドを組んでね、あ、隆一……」傍らの青年を紹介し、「色んなところでライブやってるんだぁ」
 直美(字は適当)「今度LPを出すんだよ笙ちゃん!」

 LPと言うあたり、実に時代を感じさせて良いね。CDは発売されたばかりで、まだ普及していない頃だろう。
 ちなみに左から2番目のちょっと面白い顔をした直美は、笙子のことを「笙ちゃん」と「オバケのQ太郎」みたいな呼び方をするのだ。
 笙子は景子たちに改めて結婚の祝いを述べる。まだ子供は産まれていないが、順調らしい。その景子が働かせて貰っているジョーズのおアキの姿が見えないのに気付いた笙子に、
 ヨシ坊「笙子さん、ママが急用で来られないんで、僕が名代で参りました。本日は誠におめでとうございます」
 と、説明がてら口上を述べる。
 笙子「ママ、元気なの?」
 ヨシ坊「はい、元気なだけが取柄の人ですから」
 直美「まー、ナマ言っちゃって! あとでどつかれても知らないよーだ!」
 そのおアキ、洗い物をした後、ワインの入ったグラスを持ち、
 「笙子ちゃんおめでとう、飛んで行って祝福してあげたいんだけど、少刑にいるマコのことを考えると、今のあたしにはそれはできないんだ。あたしはここで、ひとりで祝福させて貰う。笙子ちゃん、おめでとう。あんたには二度と会えないかもしれない」

 長々と、ひとりで喋りながらグラスを傾けるおアキだった。そんな奴ぁいねえよ。
 しかし最後の台詞はちょっと意味深だ。

 そうやっているうちに、音もなく玉子がふらふら入ってきて、アキの背後に立つ。
 気配を感じて振り向いたアキ、「うぎゃあああああああ!」と悲鳴を上げ……てもおかしくはないが、実際は特に驚かない。しかし、ドアを開けたら何か音がするんじゃないの?

 玉子「ママ、何ひとりでぶつぶつ言ってるの?」(←もっともな質問)
 玉子さん、いかにも人生どうにもでもなれ風に気だるい感じだった。
 玉子の呼び声に、彼女の仲間がぞろぞろ入って来る。これがその辺に転がっていた暇な人にそれっぽいメイクを施してスタジオに連れて来たと言う適当な感じの不良たちだった。

 おアキは笙子が退院してみんな集まってると言うが、
 玉子「関係ねえよ。笙子が退院したからってあたしの人生が変わるわけじゃねえんだ。それより早くみんなに飲ませてやってよ」
 おアキ「お玉、お前いったい何考えてんだ?」
 たまりかねておアキが強い口調で言うと、
 玉子「あたしは相模悪竜会をもう一度始めようと思ってるんだ。頭はあたいだ!」
 と、凄いことを言いだす。

 原作者の原さん、やっと笙子が少年院から出てきて舞楽の話になるのかと思いきや、また何か不良の抗争が始まるような展開に、テレビの前でひっくり返ったのではないだろうか。まあ、多分、見てなかっただろうけど。
 さて、笙子たち、晴子の音頭で乾杯していた。こういう時、誰が未成年で誰が成年なのかはっきりするのだが、晴子は笙子たちより年上だったことが判明する。ビール持ってるからね。
 笙子は無論、バヤリースである。盛り上がらねえな。

 ここはやっぱりビールだろ。元相模悪竜会なんだしさ。

 仲間から今度はトミーとの結婚式だねと言われるが、もうそのことについては拘りはないのか、笙子は否定しない。なんか、今までモナリザのためとか、恭子さんのためとか、色んな場面で「哲也さんとは結婚しない」とか言ってたような気がするので、ちょっと混乱してしまうのだが。

 トミーはそのことには触れず、民間舞楽の件を話し、笙子の父親にも協力を求める。山本学は快諾する。
 そこへチャイムが鳴り、健一たちが玄関へ行く。笙子が「お玉じゃないの?」と言うと、
 剛たちは、一斉に下を向く。分かりやすい。
 直美「笙ちゃん、お玉は来ないと思うな」
 由美子「お玉の奴、少々荒れてんだよ。両親が離婚することになっちまってさ」

 笙子は顔を曇らせる。晴子は心配ないと言うのだが。
 だが、相変わらず活動的な笙子は、即座に立ち上がって玉子のところへ行こうとする。
 そこへ健一たちが大きな鯛を持って戻ってくる。

 健一「西村朝男って言う人がねえ、これ、姉ちゃんにあげてくれってさ」
 笙子「朝男がぁ?」
 健一「おめでとうって言ってたよ」
 剛「西村は高級麻雀荘の経営が大当たりで、凄い羽振りだそうだぜ。それにここんとこ、進学塾の経営にも乗り出したって言うぜ」
 と言う訳で、朝男、あっという間に実業家として成功していたのだった。

 しかし、世の中そんなに甘くないと言うか、いくらなんでも(物理的に)早過ぎないか? 父親と別れてから、笙子が出てくるまでほとんど時間は経ってないと思うが。ま、例によって金持ちのパパから資金を出して貰ったのだろう。
 神社の前に止めた車の中から「笙子、おめでとう」と祝福の言葉をつぶやく朝男。
 さあーますます絶好調の晴子たち。 お前らいい加減帰れ!(by山本学)

 鯛のせいで、玉子のことは結局うやむやになってしまった。
 翌日、トミーの用意した会館のような建物に、看板を出すトミーと笙子であった。
 一方、すっかりOLが板についた恭子さん、元気に電話番をしていたが、酒井がやってきて、どこそこのホテルへ取引相手が待っているから先に行っててくれと何やら怪しい指示を受ける。
  
 さて、ジョーズでは、珍しく夫婦揃って盛装していた。
 おアキ「うーん、ヨシ坊、馬子にも衣装って言うけど、なかなかのもんだなぁ」
 景子「良夫さん、とってもステキよぉ」

 店を手伝っている景子に誉められ、照れるヨシ坊がとても可愛い。

 ヨシ坊「でもなんか薄気味悪いなぁ」
 おアキ「何が薄気味悪いのよ、(あたしの)顔?」
 ヨシ坊「だって、急にホテルへ行って、食事して一泊しようなんて言い出して……」

 二人でどこかへ出掛けるらしい。これは、さっきの意味深なおアキの台詞と関連してくるんだったよな、確か。
 で、妊婦の景子に店を任せてさっさと行ってしまう二人。さすがに景子一人じゃ荷が重いのでは?
 まだ誰も入会しないので、二人だけで練習しているトミーと笙子。

 これじゃ、あんまり客を呼べそうにないなぁ。
 そこへ男谷がやってきて、笙子に退院祝いを述べる。そう言えば、二人が会うのもだいぶ久しぶりだ。トミーと話があるから席を外してくれと言われ、笙子は素直に出て行くが、
 タツ「哲也、恭子さんが大変なんだ!」
 去り際に聞いた男谷の言葉に、「そうだ、まだ奴がいたんだ!」と言うような表情になる。
 タツ「恭子さんは今、酒井と言う男が経営するロイヤル貿易で秘書をしてるんだが、酒井と言う男は極めて危険な人物なんだ」
 トミー「危険な人物と言うと?」
 タツ「中学時代から札付きの不良だった男で、万引き、窃盗、放火、婦女暴行、殺人以外は全てやってのけた男で、8年も少年刑務所にいた男なんだ」

 個人的に彼のことを調査したのだろう、熱弁をふるうタツ。文章で見ると、〜以外はやっていた、つまり、何もしていないと言うギャグに見えてしまうが、実際は、婦女暴行の後に間があるので、殺人以外、と言う意味である。

 しかし、万引きと窃盗って、一緒だろうが。

 タツ「酒井は恭子さんを利用しようとしているに違いないんだ」

 トミーは笙子さんたちのことを念頭において、少年刑務所にいたからって、今もワルだと決め付けるのはどうか、と疑念を呈する。
 タツはそれを認めつつ、今も酒井は覚醒剤がらみで警察からマークされているようだと話す。
 タツ「恭子さんは俺に会ってくれないんだ。哲也、悔しいけど恭子さんを救えるのはお前だけだ」
 トミー「ある人を救おうとすれば、その人と一生を共にする決意がなければ救うことは出来ない。恭子さんを救うことが出来るのは僕じゃない、男谷、お前だ!」

 トミー、もう恭子さんと関わりたくないのなら、はっきりそう言えばいいのに。
 タツ「哲也、お前、面倒臭いんだろう?」(言ってません)
 トミー「うん」(断じて言ってません)

 トミーは自分が愛するのは笙子さんだけだと言い切る。タツは、恭子さんが愛しているのはトミーだけだと応じるものの、結局諦めて出て行く。
 彼らの会話をごっそり聞いてしまった笙子さん、またいつものあれを始めそうな顔付きになる。

 さて、おアキとヨシ坊、某ホテルで楽しく食事をしていたが、なんと、そのホテルこそ、恭子さんが酒井に行ってくれと頼まれたホテルだったのだ! あるよね、そう言う偶然!(ねえよ)
  
 恭子さんが指定された部屋へ行き、挨拶して包装された箱を渡すと、夫婦らしい男女はいきなり紙を破いて箱の中から白い粉を取り出し、それを溶かして注射でそれぞれの腕に打つのだった。

 すぐに覚醒剤だと悟り、顔を引き攣らせる恭子さん。

 ……しかし、いくら中毒だからって、人が前にいるのにいきなり打つやるいるかぁ?
 しかも、しかも、ドアの間からあの鬼畜夫婦がこちらを見ているではないか!

 と言うか、まだこいつら出るのかよ。
 そう言えば、彼らも覚醒剤打ってたね。
 同じ頃、おアキたちは自分たちの部屋へ向かっていた。あるよね、そう言う偶然!(ねえよ)
 恭子さんは逃げようとするが、夫婦に捕まって部屋に引き戻されてしまう。あらがう恭子さんのパンツが見えないかと思ったが、見えなかった。(真顔で言うな)
 その間に、中毒夫婦はそそくさと部屋を出て行き、入れ替わりに酒井たちがやってくる。
 酒井「見てしまったようだね、恭子さん」
 恭子「私に知り合いを紹介させて、何をしていたんですか」
 酒井「覚醒剤ですよ、恭子さん」
 恭子「あなたって人は……!」

 酒井はこれからも恭子さんに働いて欲しいと言うが、無論、恭子さんは応じようとはしない。鬼母が馬鹿の一つ覚えの「あたしの子供を殺したくせに」と言うマジックワードを口にするが、さすがの恭子さんも目が覚めたのか、相手にせずそこを出て行こうとする。
 当然、彼らが黙って行かせる筈がなく、酒井は覚醒剤の注射を手に、恭子さんに迫る。
 普通はまあ、もっとエッチなことになるんだろうが、相手が清純派の岡田奈々さんなので、覚醒剤を打たれると言う、女優的にはソフトな演出になる。
 必死に抵抗する恭子さんだが、膝はしっかりとくっつけたままである。当然、パンツは見えない。

 白い腕に迫る針、叫ぶ恭子さんのアップと言うところで、
 同じホテルにいるおアキたちにスイッチする。
 おアキ「ヨシ坊、今日はずっとこのまま、海を見てようね。あたしなんだかとってもセンチになりたいんだ!」

 セックスせんのかい!

 ま、別に見たくないのでいいけど。
 夜になって、漸く恭子さんがふらふらとホテルから出てくる。
 部屋に戻ると、体を投げ出して咽び泣くのだった。

 と言うことは、しっかり覚醒剤を打たれたのだろう。エッチなことまではされなかったようだが。
 翌日、トミーたちが店に行くと、ヨシ坊がひとりでメソメソしていた。
 笙子「良夫さん、どうしたんですか」
 ヨシ坊「ママが、ママが消えちゃったんですよ、こんな手紙残して」

 文面は、「ヨシ坊、私はわけがあってみんなの前から姿を消すことにした。どうぞ私を探さないでくれ。ヨシ坊に対する私の愛は生涯変わらない。そのことを信じて景子さんとお店をしっかりやっておくれ。さようなら。アキコ」と言うものだった。

 ヨシ坊「ひどい、ひどいよ、僕が夫として不満なら、そう言ってくれれば……」
 笙子「そんなことじゃないと思う」
 ヨシ坊「これはどういうことです? ママはどこへ行ったんですか? ホテルで食事して海の見える部屋で一晩語り明かそうなんて言うから、どうも変だと思ったんだ」

 トミーは考えていたが、
 「もしや、ママは葉子のところへ行ったのかもしれない。葉子の力になるために」

 それにあわせて、実際、少年刑務所のモナリザのところへ面会に行っているおアキの姿が映し出される。
 そこへ、直美たちが飛んできて、玉子が乱闘をしていると知らせる。慌てて止めに行く笙子たち。
 新しい相模悪竜会の旗を立てて、チンピラたちと殴り合う玉子たち。
 久しぶりの乱闘シーンで、スタッフの皆さんも気合が入っています。
 笙子は彼女たちの前に来て、やめろと説得するが、

 玉子「うるせえんだよ笙子、でけえ面すんな。確かにお前は前の会長だったかもしれないけどね、悪竜会の新しい会長はこのあたしなんだ、そいつが気にいらねえんなら、あたしとここでタイマン張るかい?」
 (中でも外でもタイマンか……)
 さすがに、何でもかんでもタイマンで決めようとする不良たちのルールに疑問を感じ始めた笙子さんであった。嘘だけど。
  
 そこへ遅れてトミーもやってくる。
 ちなみにこの日は撮影が中止になりそうなほど風が強い。主要人物はスカートじゃないので、パンツが見えたりはしない。

 笙子「哲也さん、黙って見てて下さい。お玉、本気であたしとタイマンを張ると言うの?」
 玉子「ああ、本気だよ!」
 言いながら、いきなり平手打ちをする玉子。
 この時の笙子の目付き、ちょっと怖い。
 笙子「お玉、気が入ってないじゃないか。そんなもんじゃあたしを倒せないよ」
 玉子「バカヤローッ」
 面白い顔になりつつ、玉子はビシバシと笙子の顔を叩き続ける。

 笙子はひたすら無抵抗で打たれ続ける。
 やがて、段々玉子に変化が訪れ、平手打ちも力がなくなってきた。
 最後は泣きべそをかきつつ、「おネエー!」と叫んで笙子に抱き付くと言う、お約束に発展するのだった。

 なんなんだ、お前は。軟化するにしても、あまりに早過ぎるだろ。
 人目も憚らず、笙子に縋り付いて自分の切ない気持ちを訴える玉子。

 彼女を信じてついてきた不良たちの立場がない。
 そんな二人を見ながらトミー、(父兄の相談を受けて、不良少年の更生をさせていけば金になるな)と思うのだった。
 その後、喫茶店の海の見える席に陣取った笙子たち。トミーは、玉子に自分たちの手伝いをしてくれないかと提案する。
 他にすることがないと言う玉子はすぐ話に乗り、隣の雅子も(って、そう言う名前だったのか)参加を申し出る。
 ここの笙子の台詞で、玉子が珠算2級であることが分かる。
  
 トミーが、勘定を払って行こうとすると、目の前に、恭子さんと酒井の姿が……!
 あるよね、そう言う偶然!(ねえよ)

 しかし、トミー、彼らの分まで払っているようだが、完全なる無職で少年院の音楽の教師もさっさとやめちゃったと言うのに、生活費とかどうしてるのかしら? 民間舞楽のビルだって、少なからず賃貸料が要るだろうに。退職金がそんなにあるとも思えないが。

 互いにハッとするが、他人行儀ながらきちっと挨拶を交わす。酒井に促されて、すぐその場を離れようとする恭子さんに、トミーは「男谷があなたを待っていますよ」とだけ言うのだった。
 二人はワル仲間の集まっている部屋に行くが、恭子さん、自ら腕をまくって、「酒井さん、あたしに覚醒剤を!」と、ショッキングな台詞を放つ。

 どうやら、ヤケクソになっているらしい恭子さん。あるいは、真性のマゾとしての本能がそうさせるのか?
 笙子たち、玉子の提案で、雅楽の発表会を開いて一般の人たちに知ってもらおうと言うことになり、あちこちに宣伝のための看板を勝手に立てて行く。
 ロイヤル貿易の入っているビルの前で人待ち顔のタツ、中から恭子の母、歌子が出てくる。タツが恭子さんの両親に酒井の危険性を訴えて、歌子に恭子さんと会うよう頼んでいたのだ。
 しかし、社長と出掛けていると言うことで、恭子さんには会えなかったと言う。
  
 明日また来ますと、車に乗りかけた歌子、たまたま、その看板を見てしまう。

 あるよね、そう言う偶然!(ねえよ)
 笙子さん、父・山本学の指導の下、稽古に余念がなかったが、そこへトミーに電話があり、偉そうな男の声で、「総務府の楽人だったものが、不良少女と民間舞楽をやるとは何事だ。即刻中止せい」と言う一方的な要求を突きつけられる。

 トミーは笙子たちに電話の内容を話すが、こんな圧力には屈しないと断言する。

 こういうところは、実際に原さんが民間舞楽を始める際に体験したことに基づいているんじゃないかと思う。日本のダメなところだね。
 無論、電話は、歌子→静夫パパと言う経路を経て、雅楽関係者がかけてきたものだろう。

 笙子は静夫パパに会って許可してくれるよう頼んでくると言うのだが、別に、民間で舞楽するのに総務府の許可は要らないと思うけどね。
 その静夫パパ、プロの楽人たちと稽古していると、行動力のある笙子が突撃してくる。
 この、笙子が静夫パパに許可を求めて卑屈に頭を下げ続けるシーン、管理人はほとんど早送りしちゃうね。

 静夫はしかし、民間舞楽をやるのに私に許可を求める必要はないと言い、さらに実際にちゃんと踊れるのか、目の前で舞って見せろと意地悪な要求をする。まだ修業中の身ですからと固辞する笙子だが、ねちっこく迫られてしょうがなく踊って見せる。

 しかし、その場にいたベテランたちからクソミソにけなされてしまう。見てて辛いシーンである。早送りしよう。
 舞楽は生半可な稽古では会得できないのだよと、静夫パパは、自ら手本を見せるが……。
 笙子とあんまり変わらなかった。そりゃそうだ。どっちもただの俳優だからね。

 しかし、劇中では、
 ナレ「その時笙子は全身から火が噴き出すほど己を恥じていた。威風堂々、自由闊達に舞う葉山の姿は、舞楽の底知れぬ深さを感じさせていた。この人の前で舞うとは、なんと言う無謀な試みであったろう。笙子はただただ恥じ入り、泣き出したい思いに駆られていた……」

 と言うことになるのだった。

 しかし、試みって、こいつらが無理矢理笙子に踊らせたんじゃねえの?
 それに、40年くらい経験の違う葉山の舞に劣るからって、初心者に毛が生えたほどの笙子がそんなに悔しがることもないと思うが。

 で、笙子、今度は「弟子にしてください」などと言い出すのだった。
  
 で、ひたすら土下座して弟子にしてくださいと懇願する笙子の姿が延々と映し出される。
 しかし、葉山夫妻にとっては、それでなくとも恭子を不幸せにした憎むべき女、と言うことで、門前払いを喰らう。

 本来、舞楽の道を描くのがドラマの趣旨だから、この必死な姿も当然なのかもしれない。
 ……ただ、今までさんざん少年院での抗争や愛憎劇に費やされてきた時間のことを考えると、笙子がここまでして舞楽を習いたいと願う気持ちが、ちっとも説得力を持って迫ってこないのだった。作っているスタッフ自身、舞楽に興味がなさそうだしね。

 だからつい、なんで雅楽じゃなきゃだめなの? アイドルじゃだめなの? とか、ドラマの設定を全否定するような根本的な疑問が湧いてしまうのだ。
  
 土砂降りでもひたすら土下座する笙子さん。そんな都合よく雨は降りません。
 心配したトミーがやってくる。
 笙子「哲也さん、あたしは身の程知らずでした。舞楽の何たるかを知らず、もう一人前のつもりでいたんです! そのことを葉山先生の舞を見て、思い知らされました」

 トミー、それを聞き、「ええっ、あの程度の練習で、一人前のつもりだったのぉ?」とたまげるが、口には出さなかった。この21話まで、舞楽の稽古シーンって数えるほどしかなかったぞ。

 トミーは例によって笙子さんの好きなようにしろと言って、さっさと帰る。葉山の弟子になって苦労するのは笙子さんなので、トミーはあまり気にしないのだった(ひでえ)。

 ま、葉山夫妻は、笙子さんのことより、娘の恭子さんのことが気掛かりなのだった。

 その恭子さん、高級クラブで、酒井に結婚してくれないかと言われていたが、
 そこへあっという間に実業家として成功しちゃった朝男が客としてやってくる。あるよね、こういう偶然!(ねえよ)
 実業家になっても喧嘩っ早いのは変わらず、酒井を無視して恭子さんを連れ出そうとして、一触即発になる。多分、蛇の道はヘビで、朝男には相手がどういう男か一目見て分かったのだろう。

 酒井が支配人を呼びつけ、朝男を叩き出させようとするが、
  
 支配人「なんだね君は」
 朝男「やかましい」(バコッ)

 いきなり支配人をぶん殴るのだった。朝男、あんた何時だってサイコーだぜ!
 更に群がるザコどもをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、大立ち回りを演じる朝男。ステキだけど、進歩がねえなぁ。
 あくまで恭子さんを送っていくと言う朝男だが、恭子さんは彼を捨てて、先に店を出て行ってしまう。

 酒井「とんだ三枚目だな。元東京流星会会長、西村朝男君だね。あんたの顔はよおく覚えておくよ」
 悔しそうな朝男のアップと同時に、「NEVER」がスタート。前回は流れなかったね。
 ふと、葉山が庭を見ると、雨に打たれながら、笙子があのままの姿勢でいた。
 (おしっこはどうするんだろう?)と、素朴な疑問を抱く葉山だったが、管理人の妄想です。

 翌朝、葉山は笙子の熱意に負け、と言うか、多分いい加減迷惑だったのだろう、弟子ではなくお手伝いとしてなら中に入るのを許そうと言葉を掛けるのだった。

 こうして、笙子が葉山家に乗り込むと言う、予想だにしなかった展開となるのだった。

 果たして、笙子は葉山に勝てるのだろうか?(そういう問題じゃない)