金田一耕助の冒険 1979年 メニューへ戻る

 「金田一耕助の冒険」は、大林宣彦監督の劇場公開作品。

 金田一耕助が唯一解決できなかった「瞳の中の女」をモチーフにして、金田一シリーズそのものから当時のCFまで、様々なパロディを織り込みながら、石膏像盗難事件に巻き込まれる金田一と等々力警部の活躍を描いたドタバタコメディ。

 「金田一耕助の冒険」と言うタイトルは、「瞳の中の女」を収めた連作短編集のタイトルである。映画のストーリーは「瞳の〜」と、同書所収の「柩の中の女」のストーリーを組み合わせたような感じである。

 猟奇殺人事件と聞くと胸をときめかし、その癖殺人事件を最後まで止められない金田一耕助(古谷一行)と、それをウンザリしたようにたしなめるメタフィクション的な等々力警部(田中邦衛)のコンビのやりとりが楽しい。随所に仕込まれたギャグ、パロディも笑える。

 ただし、一見めちゃくちゃのようでいて、それなりに本格ミステリーとしてのストーリー、伏線などがしっかりしているのはいいが、メインプロットの、芸術家の師弟の確執や石膏像を巡る複雑な争いがそもそも魅力に乏しいので、映画そのものはあまり面白いとは言えないのが残念だ。

 その中で、斉藤とも子さんは「友情出演」と言う括りで、開始25分から30秒ほど出演している。「友情出演」と言うのは、同年正月公開の金田一映画「悪魔が来りて笛を吹く」に、斉藤さんがヒロインとして出演しているためだろうか。
 公開は1979年7月14日なので、斉藤さんが「ゆうひが丘」に出演中の79年前半に撮られたのではないかと思うが、よく分からない。
 
 事件の手掛かりを求めて、「金田一耕助の冒険」(分冊版)を読んでいる金田一。

 金田一「しかし、事件も解決しないのに先生、先生なんて慕われちゃうんだからなぁ、わたしっつうのは過保護な探偵ですねえーっ、ふふふふっ」

 と、画面外から、「先生、先生!」と言う美しい女性の呼び声が。
 金田一の目の前に、白いドレスを着た斉藤さんの姿が浮かび上がる。

 斉藤「先生、先生!」
 斉藤「あたくし……」
 次のカットでは、当時の、大林監督自身が撮った「マキシムコーヒー」のCFを思わせる映像、音楽となり、金田一が斉藤さんをだっこして、階段を昇っている。
 うっとりしたように目を閉じる斉藤さん、金田一は「コオフィ」と言いながら、くちづけをする。
 次のカットでは現実世界に戻っている金田一。
 本家CFのように、女性コーラスが「マァーキィシィム」と歌い、最後に金田一がコーヒーカップのふちを指で弾く。チーン!と澄んだ音が鳴る。

 これはマキシムのCFのパロディなのだが、あいにくと自分はそのオリジナルを見たことがないのでそれとの比較は出来ない。

 ちなみにパンフレットによると、斉藤さんの役名は「金田一を慕う少女」となっている。
 なお、この作品の独特のテイストは実際に見ないと分からないと思うが、それを象徴する画像を貼っておく。

 猟奇的な殺人現場に嬉しそうにやってきた金田一に、等々力警部がみんなが言いたくても言えなかった台詞を言い放つシーンだ。
 ちなみにエンディングロールでは、斉藤さんの名前は志穂美悦子と、原作者の横溝正史の間にある。

 映画のヒロインは熊谷美由紀だが、是非斉藤さんに演じて欲しかった。年も同じだし。