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マニアックコラム006 ルリとケイのミホへの態度についての考察
最終更新2013/02/21

 今回はルリとケイの、ミホに対する態度、姿勢について簡単に考察してみたい。部分的にはシナリオの一貫性のなさを示す傍証にもなり、さらには「反逆同盟」の立脚点に関する微妙な問題をはらんでいるからだ。

 まず、全エピソードにおけるルリとケイのミホへの発言、接し方などについて具体的に列挙してみたいのだが、これが調べてみると意外なほど例が少ないことに気付かされる。理由のひとつに、ミホが完全に彼らの仲間になる20話以降を除いたシナリオ、特に前半部分では中山美穂が撮影に参加しない回が多いという物理的な事情がある。

 まず第1話で、ユミとミホが話しながら歩いているところを二人が物陰から観察し、ユミに対してルリが鉛筆を投げるシーン。ここでは専ら二人の関心は転入生のユミに向けられており、ミホの存在については一切触れられていない。
 3話では、ユミがリンチから解放されて自室で休んでいる際、ミホが見舞いに訪れている。この時、応対したルリはいささか度が過ぎるほどの激しい口調で追い返している。
 4話では、ケイがマインドコントロールされているところをミホに助けられ、その後、全員でユミの部屋に移動し、話し合っている。ただ、ルリ、ケイとも、ミホとはろくに目を合わせず、直接言葉を交わすこともしていない。
 7話では、「アジト」にいたユウスケにミホが弁当を食べさせているのを見て、ルリとケイはそれぞれ棘のある台詞を浴びせ、ルリに至ってはミホの手作り弁当を突き返すと言う行為に出ている。
 13話では、雄太の危ないところをミホに救って貰っているが、それを見ていたルリもケイも、単なる幸運として特にミホに関して感謝はしていない。
 15話では、ケイとぶつかったミホがケイに謝っているが、ケイは敵意剥き出しの反応を示したあと、逆刀に対してもミホのことを悪く言っている。
 19話でも、ミホのイギリス留学のことを聞いたルリとケイは、きこえよがしにミホに対する悪罵を並べ立てている。また、ユミが以前からミホと陰で協力し合っていたことを聞かされ、ルリとケイは少なからぬショックを受け、ルリなどは「反逆同盟は解散だ」とまで極言している。もっとも、ケイの方はそれほど感情を害した様子は見えなかった。

 そして19話の終わりに、それまで薔薇投げで助けられてきたことも考え合わせたのか、ルリとケイはミホを仲間として受け入れる決断を下す。
 20話以降はミホは同盟の一員として活動することになったため、ルリとケイの態度もがらりと友好的なものに変わってしまう。ただ、20話の冒頭ではルリがミホのことを「理事長のお嬢様」と底意あるがごとき呼び方をして、ユミにたしなめられている。


 ルリとケイのミホへの態度は、19話までとそれ以降でくっきり二分できるようであるが、おおまかなところは整合していても、部分的に矛盾するような箇所が見られる。20話以前では唯一、レギュラーが顔を揃えている4話である。ここでは敵対していた筈のミホが、ユミの部屋にまで上がりこんで、マインドコントロールの解説まで行っている。3話と7話の激しい反応からすれば、ここでも同様にルリとケイがミホが同席していることを拒絶しそうではあるが、ここではストーリーの流れとして、何はともあれミホがケイの催眠状態を覚まし、危機を救ってくれたことは反ミホ最右翼のルリでも否定できないだろう。よって、その流れでミホがユミの部屋まで同行するのをルリが拒絶できなかったとしても不自然ではない。ただ、あくまでその時限りの停戦であることは、ルリとケイがミホとちゃんと目を合わせず、直接会話をしていないことからも明らかだ。もっとも、ミホはそれから進んでケーシー先生のマインドコントロールの仕組みとその目的まで丁寧にレクチャーしているが、これは学園にとって不利な情報をもたらしていることになって、その点についてルリとケイが疑問を抱いていないのは確かにおかしい。

 もっとも、ルリとケイのミホへの激しい反感は、理事長の娘と言うその立場だけに向けられたものではないようだ。上記の具体例を仔細に見ていくと、それぞれのケースにおいてルリとケイが極端とも思える態度を取る理由なり事情なりが窺える。
 たとえば、第3話では、ミホが彼らの元へやってきたのはユミがリンチまがいのひどいしごきを受けたすぐあとである。ミホは、その最中に「きっと助ける」などと心の中で約束しながら結局手をつかねて見物していた。少なくともルリはミホがユミの苦境に「何もしなかった」ことを知っている。しかも盟友のユミがひどい目に遭ったばかりで、ルリの心中は当然荒れ狂っていた筈だ。そこへ、理事長の娘ミホがいけしゃあしゃあと見舞いにやってきた。ルリが手厳しく追い返したのも頷けるだろう。
 7話でも、実は見過ごされがちなのだが、20話以前にミホが「アジト」にいるのをルリとケイが見た唯一のシーンなのだ。つまり彼らにとっては聖域とも言うべき部屋(もっとも彼らも勝手に入り込んでるんだけどね)にミホが勝手に入り込み、しかもユウスケに弁当を食べさせている。二人は元々ミホがユウスケを保護したことを知らないわけで、彼らにとってはミホの行為が「お嬢様の気まぐれ」以外の何物でもなかったのだ。
 15話のケイの場合、ミホとぶつかって大切なデモテープが床に落ちたと言う事実がある。しかも直後に愛しの逆刀が彼女の美貌を賛美する言葉を口にしている。ケイの機嫌が悪くなるのも道理であろう。
 最後の19話では、ミホのイギリスへ留学すると言ういかにも特権的なニオイのする噂に対し、高い授業料や寄付金をふんだくられているルリ、ケイが激昂するのは当然と言える。

 注意しなければならないのは、最初に二人がミホを見たシーン、つまりユミに鉛筆を投げたシーンだが、そこではミホについては何の関心も示していないことだ。無論、理事長の娘と言うことで消極的な反感は抱いていただろうが、後に見られるような激越な反応は一切うかがえない。
 二人の態度が硬化するのは、3話以降だが、忘れてはならないのは、第2話で、二人の理解者であった牧野先生が無残にも殺害されていることだ。ミホ自身は逆にそのことで高沢を追及しているくらいだが、無論二人はそんなことは知る由もなく、「反逆同盟」結成とあわせて、学園そして理事長の娘と言うミホに対して敵愾心が一気にヒートアップしたことは想像にかたくない。

 しかし、である。
 二人のミホ、と言うより、黒鳥学園の教育方針に対する反抗について考える場合、重大な疑問が湧く。それは12話でルリ自身がいみじくも口にしているように、高校は別に義務教育ではないのだから、教育方針に不満があるのならば、黒鳥学園を退学すれば済む話ではないかと言うことだ。他の不良たちならば校長が言っているように他に行き場がないからという言い訳ができるが、ルリ、ケイの場合、過去はともかく現在はどう見ても普通の女子高生で、他の学校でいくらでも青春を謳歌できただろう。いわんや、わざわざ通常より高いであろう授業料を払い、しばしば理由のない寄付金を求められる環境にとどまっている状況において、である。

 ただ、おかしなことに「反逆同盟」が結成された時点では、彼らが悪態をつきつつ学校を去らない動機が生じている。つまり牧野先生の死である。ドラマではあっさりと流されていて、その後、名前が会話にのぼることもないため忘れがちだが、ルリ、ケイが意地でも転校せず「反逆同盟」活動を続けねばならない大きな理由として、当然牧野先生の死が重く存在していることは間違いない。
 よって、それ以降、彼らが「反逆同盟」として戦い続けるのは理解できるのだが、問題はその前である。ルリとケイは、牧野先生が殺される前の段階で、既に「反逆同盟」を作ることを計画していたと話している。しかし、彼らがあくまで学校を去らずそう言う危険な活動に身を投じる理由が見当たらないのだ。牧野先生の熱意にほだされた、と言ってしまえば簡単だが、納得できる説明にはならない。
 これが、クラスメイトの森口のように、両親が黒鳥出身と言う立場で、その影響もあって学園改革に命懸けで取り組んでいる、と言う立派な動機付けがあれば分かるのだが、ルリとケイの場合、そう言う設定がすっぽりと抜け落ちている。ただ、それに該当する設定そのものはちゃんと用意されていた。ルリは学園が仕組んだ事故でアスリートとしての道を閉ざされたことへの恨み、ケイは同じく学園によって恋人を失ったことへの恨み……どちらも思いっきり私怨であるが、とにかく牧野先生の死ぬ前に「反逆同盟」に参加する理由にはなっている。

 しかし、二人の過去についてはドラマでは結局語られることは一度もなかった。
 これはシナリオの欠陥のひとつだろう。

 話が脇道にそれたが、結論すると、若干の矛盾はあっても、全篇にわたるルリとケイのミホに対する態度の変遷にはそれなりの理由、納得性がある、ということである。以上。



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