×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

スピンオフ企画 スピンオフトップへ戻る
後藤恭子編 ねらわれた学園
(1997年版)

 「ねらわれた学園」と言えば、薬師丸ひろ子主演のカドカワ映画が著名だが、こちらは1997年に公開されたマイナーな方の作品である。

 「ねらわれた学園」は眉村卓の傑作SF小説で、謎の転校生による全体主義的な学校支配の恐怖が描かれている……確か。
 もっともこの1997年版は原作とはだいぶストーリーが違っていて、なんとかいうエリート塾も出て来ない。

 さて、我らが後藤恭子さんはこの作品に教師役として出演している。ただし、既に芸名は藤本恭子に変わっているので、すぐに彼女が出ているとは気付かないかもしれない。「反逆同盟」終了から、ちょうど10年後にあたり、後藤さんは26才くらいか。

 ちなみに「反逆同盟」放送時の裏番組のひとつ「月曜ドラマランド」では、奇しくも新田恵利主演で「ねらわれた学園」を放送しており、しかもその時の「反逆同盟」は後藤さんがメインの第15話「プッツン気分!初恋しちゃった」なのである。



 ここでは簡単なストーリーの流れと、後藤さんの全ての出演シーンを紹介していきたい。

 ちなみに素材として使っているDVDは既に廃盤で、中古でも結構手に入りにくいのだ。

 なお、監督は清水厚、脚本は佐藤嗣麻子である。
 全体的な雰囲気はむしろオカルトホラーの傑作「エコエコアザラク」(1994)に近い。
 舞台となる飛鳥山学園では、生徒会選挙が行われていた。
 そこへ現れる謎めいた美少女、高見沢みちる。演じるのは佐伯日菜子さん。彼女はテレビ版の「エコエコアザラク」でヒロインをやっていたなぁ。
  
 彼女の立つ校庭が、画面ごと二つに引き裂かれ、
 その間からタイトルが浮かび上がる。
 サブタイトルは「THE MESSIAH FROM THE FUTURE」


 さて、生徒会長には高見沢みちるが選ばれる。

 本作のヒロイン、楠本和美(演・村田和美)は図書委員で、図書室の受付に座っていると、
 我らがおケイこと、後藤恭子さんが登場!

 役名は……ええっと、なんだったけ? まあ、とにかく図書室担当の先生である。
 ここでは、藤本としておこう。

 藤本「遅くなってゴメンね」
 楠本「いいえ……暇ですから」

 彼女はヒロインの楠本とは親しく、物静かで優しい先生と言う役どころ。ストーリー上では特に重要ではないのだが、出番は多い。
 図書室の控え室のようなところへ入ってくる藤本さん。男子生徒二人がパソコンに向かっている。

 藤本「あなたたち、ゲームをするんだったらどいてちょうだい」
 生徒「もうちょっとだから……」
 藤本「ここはゲームセンターじゃないんだから。学園のホームページ作りたいって言うから……ちゃんと作ってる?」

 そういやもうこの頃から、ホームページとかあったんだよね。しかもこのホームページが物語の発端となっていようとは、誰が想像し得ただろう。
 再びカウンターに出てくる藤本さん。

 藤本「楠本さん?」
 楠本「あ、はい」
 藤本「コリン・ウィルソンはどこか分かる?」
 楠本「はいっ」

 楠本が本棚の奥へ行き、コリン・ウィルソンの蔵書を取ろうと背伸びしていると、背後から伸びた手がそれを取ってくれる。
 振り向くと、
 かっこいいざかりの柏原収史が立っていた。いや〜ん。
 彼は、関クンと言い、楠本が何となく気になっている男の子だった。

 この、高見沢、関、楠本と言うのは原作どおりのネーミングである。

 楠本「ありがとう」
 関「図書室って暇だね」

 このシーンは二人の淡い恋の始まりであると同時に、後のシーンの伏線になっている。

 さて、高見沢みちるの正体に気付いた女生徒(楠本の友人)は、屋上から落ちて重傷を負う。
 楠本は翌日、雨の中、電車で通学。乗り込んできた関クンを見て微笑む。

 村田和美さんも、やっぱり綺麗なんだよね。今何してるのかしら?(余計なお世話)

 楠本が学校へ行くと、屋上から落ちた女生徒のことで、もうひとりの楠本の友人が騒いでいた。どうやら、他のクラスメイトは何故かその友人のことを記憶していないらしい。生徒たちの様子も少し変である。事故現場に居合わせた教師も、彼女のことを知らないと話す。
 一方、高見沢みちるは風紀粛正の為に「巡回パトロール隊」を組織し、校則違反者を次々と摘発して行く。
 図書室で、藤本先生に友人のことを話している楠本。

 楠本「みんな知らないって言うんです。山形先生まで」
 藤本「そんなことってあるわけないわ」
 そこへずかずかとパトロール隊が入ってくる。

 すっくと立ち上がって、
 藤本「ここには風紀を乱すような生徒は来ませんよ! 静かにしてくださいね」
 毅然として対応する藤本さん。

 彼らが立ち去った後、
 藤本「あのパトロールは行き過ぎだわ」
 と、一言。彼女は、まだまともなようだ。

 関クンが楠本に会いに来る。藤本さんは気を利かせたのか、席を外す。
 関は、屋上から落ちた楠本の友人のことを覚えていた。このシーンはなかなか美しい。
 ここでまた控え室にやってくる藤本さん。こうして見ると、彼女の出番は不自然なほど多い。あまりアップがないのが残念だ。

 藤本「またゲームぅ?」
 生徒「違います、ホームページですよ」
 小さく頷く藤本さん。
 生徒「校内パトロールへの皮肉ですよ」

 その夜、しつこく落ちた友人のことを探し回っている楠本の友人は、当時は珍しいケータイ電話で、自宅にいる楠本と話していたが、妙なノイズ音がしたと思ったら、プツリと回線が切れる。

 楠本は心配になって、ちょうど行き合わせた関クンと一緒に探し回り、神社の境内に彼女のケータイだけ落ちているのを見付ける。
 ふたりは友人の自宅へ向かうが、
 出てきた彼女の弟も、自分には姉なんかいないと答える。

 このお子様を見てると、グーで殴りたくなる管理人であった。
 友人は結局どこへ行ったのか分からないまま。
 それでも、それがきっかけで仲良くなったふたりは、翌日、一緒に登校する。

 二人が学校へ来ると、助けを求めるようなテレパシーが聞こえる。
 そして放課後の図書室に、二人を含めた数人の生徒が集まってくる。ここでは省略したが、彼らはそれぞれ様々な特殊能力を持っている、一種のミュータントなのだった。
 藤本「それじゃあとはよろしく」
 一言言って去っていく藤本さん。

 彼らは高見沢みちるの登場で、学園がおかしくなっていることを話し合い、翌早朝、校舎に忍び込んで秘密を探ることにする。
 約束どおり、早朝の学園にやってきた同志。ちなみに右奥の女の子が、お笑いコンビ「パイレーツ」の浅田好未さんである。
 彼らは二人一組になって学園内を探し回るが、既にパトロール隊が彼らを待ち伏せしており、彼らは次々と消されてしまう。
 図書室にひとり逃げ込んだその浅田さんは、遠くに藤本さんの姿を見て助けを求める。
 浅田「先生、助けて! パトロールが……」
 首を傾げて、
 藤本「パトロール? パトロールなら……」
 藤本「ここにいるわよ」

 この無表情で淡々と喋るのが、かなり怖いシーンとなっている。
 しかし藤本さん、演技中に頻繁に瞬きする癖は、この時も治っていない。

 彼女の言葉と共に、パトロール隊員たちが物陰から現れる。そう、藤本さんもいつの間にかおかしくなっていたのだ。
 そのリーダー格の女性を演じているのは、歌手の我那覇美奈さんじゃないかと思うが、よく分からない。

 彼女はスカートをまくりあげて、太腿を露出させる。藤本さん、撮影時に「ルリみたい」と思ったことだろう(思うか!)。
 怯える浅田さん。
 緊張が高まったところで、パタッと音楽がやみ、藤本さんが本棚の影から顔を出し、
 「静かにね」
 と、一言。
 パトロール隊員は、太腿にさしておいた武器を取り出す。
 この時、スカートが完全にまくれてパンツが見える……筈だったが、しっかりと短パンのようなものを履いておられた。
 近未来的な銃で、浅田さんは粒子のようになって消されてしまう。

 生き残った楠本と関クンが図書室の控え室に逃げ込むと、パソコンに「1997年11月11日。我々新人類が世界を支配し始める。その第一歩がこの学園である」と言う文章が表示されている。
 そこへまたまた藤本さんが登場。

 藤本「生徒の作ったホームページよ。パトロールへの、皮肉だそうよ」

 関クン「そうだったのか……」

 何気ない台詞だが、彼のこの一言は、一種の伏線になっている。
 当然、楠本は先生に助けを求めるが、例の奇妙なノイズが聞こえ、藤本さんは視点を固定させたまま動かない。

 楠本「先生も、変わってる!」

 息を呑む楠本。しかし、見てるほうはその前の時点で彼女がおかしくなっているのは分かっているので、このシーンを効果的にするには、その前の浅田さんとのシーンは削るべきだろう。

 そこへパトロール隊が突っ込んでくるが、関クンが彼らを押さえ、楠本は逃げる。

 で、なんだかんだでふたりは学校を抜け出す。
 一方の高見沢みちるは、講堂に生徒を集め、生徒たちの中にいる、後に人類を支配することになる「新人類」たちを選び出して抹殺してしまう。

 ネタばらしをすると、高見沢みちるは未来の「旧人類」が送り込んできたアンドロイドで、例のホームページの記述を真に受けて、「新人類」を事前に抹殺しに来たのだった。ほとんど「ターミネーター」である。

 関クンはひとりで学園へ向かう。楠本も走って後を追う。
 彼らを待ち受ける高見沢みちる。逆光を受けてシルエットになっているのがなかなかかっこいいのだ。
  
 偏った構図で対峙するふたり。この一連のシーンはスタイリッシュで、自分は好きだ。お金はかかってないけど。

 残る新人類である楠本を殺すべく、ジャキンと武器を装着する高見沢みちる。絵になります。

 彼女は、屋上から関クンに近未来ガンで撃たれるもののすぐに復活してビームを放ち、校舎に穴を開ける。
  
 屋上で身を寄せ合い、彼女がドアからやってくるのをふたりが待ち構えていると、いきなり空から彼女が降ってくるシーンのショック度も高い。

 とどめをさそうと迫る高見沢みちる。佐伯さんはやっぱりいい女優です。演技は下手でも、その眼力が素晴らしい。

 最後は再び銃で撃たれてグラウンドに落ちる高見沢みちる。

 そして、関クンは自分が未来の「反体制マスター関」であることを告げ、「新人類」の発生は、彼女がこの時代に送り込まれたことで時空が歪んでどーのこーのと、一気に説明する。

 ちなみにここで出てくる「京極博士」の京極は、原作に出てくる黒幕的な人物と同じである。原作でも、漠然とした表現だが、未来から過去を修正にしに来ると言う意味では、「ターミネーター」の方が「ねらわれた学園」に似ていると言うべきかも知れない。ただ、未来の映像や、高見沢みちるがアンドロイドだったと言う設定などは、明らかに「ターミネーター」の影響である。
 戦いが終わり、穴の開いた校舎だけが残された。大胆なビジュアルである。

 で、未来人だと打ち明けた関クンは、あっさりと楠本の前から消える。彼に関する人々の記憶も消して。
 この淡々とした別れは、かなり遣る瀬無いものがある。
 関クンの立っていた壁に手を付いて「さよなら」とつぶやく楠本。

 こうして事件は解決し、学園も元通り……正確には高見沢みちるが来る前の時間にまで戻る。当然、その世界には関クンもいない。楠本も彼がいたことすら覚えていない。
 ラスト、図書室で本の整理をしている楠本。高い位置にある棚に本を戻そうと苦労していると(踏み台を使え)、後ろから誰かの手がそっと支えてくれる。
 (関クンの記憶はないのだが)「ハッ」として振り向くと、
 それは関ではなく、藤本先生であった。これが序盤のシーンと照応しているのだ。

 ふたりは「ふふふっ」と笑い合い、藤本さんは小さく頷いて彼女から離れる。
 最後、角を曲がっていく姿が、藤本さんのラストカットになります。
 うーん、最後くらいアップが欲しかった。
 関クンの消えた場所に座り込んでいた楠本、しかし気を取り直したように元気に立ち上がる。
 この時、スカートの裾をつかんで持ち上げている仕草が、少しはしたないけど、色っぽい(やかましいわ)。
 堤防の上を歩いていく姿を映しつつ、エンドロール。
 エンディングテーマははかなげな歌声が耳に残る良い曲で、たぶん、村田和美が歌ってるんだと思うが、何故かクレジットには曲名が出てこない。

 ちなみに、これは同じ村田、柏原のキャストでテレビシリーズも作られている。その際のエンディングテーマはエビ沢キヨミが歌っていたと思うが、そちらも良い曲だったな。ドラマの方は、自分の記憶では延々と禅問答のようなことをしている退屈なものだったが。
 なお、藤本さんの名前は、トリの佐伯さんの直前で、かなり丁重な扱いだ。

 総括すると、低予算だが、なかなか面白い作品だと思う。吉野公佳主演の「エコエコアザラク」を楽しめる人なら、同じように楽しめると思う。

 後藤さんは、脇役の中ではもっとも出番が多いけれど、演技と言いルックスと言い、「反逆同盟」の懐かしい記憶がなければ、それほど印象には残らない。ま、自分はこちらの方を先に見たんだけどね。



 なお、DVDには予告編やコンテ、メイキングなどが収録されている。メイキングに素顔の後藤さんが出ていればとても嬉しいのだが、あいにくと彼女は一切映っていない。かわりに佐伯さんの作品のイメージとは遠いお茶目な様子が映っている。ただ、画質がめちゃくちゃ悪い。