×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。




ゆうひが丘の総理大臣 1978〜79年 メニューへ戻る
01 02 03 06 19 27 28 34 38 40

 「ゆうひが丘の総理大臣」は、1978〜79年放送の連続ドラマ。望月あきらの同名漫画が原作の青春学園コメディ。中村雅俊主演、ユニオン映画製作、全40話。

 斉藤さんは中村雅俊の担当クラスの秀才女生徒としてレギュラー出演だが、出演しない回もある。またその前の「青春ド真中!」に比べると、彼女がメインになるエピソードの出現頻度は低いようだ。

 ここでは、全話についてレビューせず、斉藤さんの見せ場のある回を中心に、ざっくりと紹介していきたい。
 ちなみにまる1年放送なのに40話しかないのは、野球中継などで飛ばされることが多かったためだろう。

 素材は「チャンネル銀河」です。いつもお世話になってます。

  第01話「あっと驚く教師が来ました!」(1978年10月11日放送)

 第1話の監督は、斉藤とも子さんラブ(推測)で知られる斉藤光正さん。

 なお、例によってキャスト名については俳優の名前とごちゃまぜで表記します。

 初回と言うことで、オープニングの前に、主要キャスト(中村雅俊、神田正輝、由美かおる)の紹介を兼ねたシーンから始まる。
 まず、神田正輝演じる多野木念(おおの もくねん)は、数学教師で、女生徒に不自然なほどにモテモテ。ただし、カタブツなので騒がれても迷惑顔をするだけと言う贅沢な奴。斉藤さんとは何度も抱き合う羨ましい奴。きーっ。

 その先輩で、新しく夕日丘学園高校に赴任してきた英語教師・大岩を、中村雅俊が演じる。彼はドラマでは何故か三枚目で女性にもてないという役どころ。その代わりに、性欲旺盛で、美人と見るとすぐちょっかいを出す。
 電車で偶然見掛けた藤谷美和子の胸に、「夕日丘」のバッジが見えたので、彼女のあとをつけてくる。
 彼のことを痴漢だと思い込んだ由美かおる演じる桜子先生。大岩は初対面の彼女の乳首を触ろうとする。

 そんな奴いねえよ。これじゃほんとの痴漢である。

 だが、桜子先生は合気道の達人なので、
 空高く投げ飛ばされる大岩。ただ、スタッフが合気道のことを誤解している気がする……。
 ここでOPタイトル。

 テーマソングは中村雅俊「時代遅れの恋人たち」で、管理人、この曲はとても好きだ。特に「つながりはないものか〜♪」のあたりがお気に入り。
 斉藤さんは、最初は「友子」だが、途中で「とも子」に変わる。ドラマの撮影中、映画「悪魔が来りて笛を吹く」にも出ているのだが、それをきっかけに改名したのだろうか?

 ところで、ヒロインの由美かおるは、正直女優としてはヘッポコで、女性としても魅力に乏しいと(個人的に)思うのだが、
 OPで、二人と擦れ違った後で振り向いて笑うところだけ、妙に可愛いのだった。
 OP後、ほんとに教師なのか疑われて、他のレギュラー教師達にぐるぐる周囲を廻られる大岩。
 この作品、前作の「青春ド真中!」と比べると、全体的により漫画っぽい演出が増えたように思う。
 教師も、小松政夫とか、由利徹とか、名古屋章とか、前田吟とか、宍戸錠とか、無駄に豪華である。しかもそれぞれのキャラクターがデフォルメされた感じで、リアリティと言う点でも、「青春〜」に及ばない気がする。
 学園長である京塚昌子と話す大岩。彼は孤児同然の生い立ちで、苦労しながらアメリカの大学を出ている。その辺の経歴を買われて、学園長にスカウトされたのだ。しかし、学園の実際の運営は教頭である宍戸錠が取り仕切っていて、大岩のような成績第一主義ではなく人間味溢れる……つまり金八的教育方針とことごとく対立することになる。
 この辺は、「青春〜」の図式とほとんど同じである。

 ちなみに京塚昌子は桜子の叔母にあたる。もっとも、京塚氏は特別出演的存在なので、登場機会は少ない。
 教頭に案内されて担任クラスへ向かう大岩、体育教師の木原光知子と出会う。元水泳選手でモデルで女優で……と多方面で活躍された方だが、2007年に59歳で亡くなっておられる。

 このキャラクターもいかにも漫画的なエキセントリックさで、やはりちょっとやり過ぎと言う感じがする。それに、後半になると氏が多忙だったのか、ほとんど登場しなくなる。他にも売れっ子俳優が多く出演しているので、途中から実質いなくなるキャラクターが多い。
 担当の2-Cへ来た大岩。斉藤さんは、教壇の真ん前の席で、これも「青春〜」と同じ。役名は岡田君子。

 遠藤「先生、女生徒にウインクしたって本当ですか?」
 大岩「可愛いと思ったら正直にウインクした方がいい」

 質問している遠藤は、岡田と並ぶ秀才で、演じる長谷川諭は、斉藤さんとは「明日への追跡」で共演した仲である。
 可愛いと言われて喜ぶ藤谷美和子以下、4人の問題児。彼らと斉藤さんが女生徒レギュラーである。後半になると、この4人ばっかり出てきて、嫌になる。前から三番目が、後に浜田雅功の奥さんになる小川菜摘である。当時は島村聖名子名義。
 そこへ、三人のいかにも不良っぽい生徒たちが登場。彼らは「青春〜」から引き続きほぼ似たような役で登場。
 しかし、「青春〜」と違い、単に無気力と言うより、学校のはみ出し者代表と言う感じ。右端の井上純一も、「青春〜」ではぼんくらのようでいて実は頭が良いと言う設定だったが、「ゆうひ〜」ではただの劣等生である。
 席に着くとき、草川祐馬が斉藤さんの頭を撫でて、「おお、秀才ちゃん元気かね」とからかう。

 彼らは最後尾の席にふんぞりかえり、漫画雑誌を読み始める。無論、熱血教師・中村雅俊がそれを黙って見過ごす筈がない。彼らに雑誌を渡せと言うが、柴田(井上純一)は、「たかが教師じゃねえか。総理大臣みたいな顔するなよ」と相手にしない。
 それに対する「この教室じゃ、俺は総理大臣よりも上だ」と言う台詞が、タイトルの元になってるんだと思う。

 柴田たちはさっさと教室を出て行く。後を追う大岩だが、
 岡田「先生、授業の方はどうなるんでしょうか?」
 秀才コンビに呼び止められる。これが斉藤さんの最初の台詞だ。
 三人は憂さ晴らしに校庭をバイクで駆け回る。ただ、山川(清水昭博)は二輪免許がないのか、友人のケツに乗っている。
 今回は、この三人の心を開かせるのが、大岩の仕事である。
 体を張って彼らを止めようとする大岩。
 他の教師たちは彼らはいくら説得しても聞かないからやめておけと忠告する。神田正輝などは、今までに更生させようと努力してきたが無駄だったと嘆く。

 ちなみに由利徹と名古屋章は休み時間に将棋ばっかり指している。ここでの名古屋章は「不良少女とよばれて」などとは違って、無気力なダメ教師と言うキャラクター。

 大岩は、神田正輝の下宿先に上がり込むが、居心地が良いので結局そのまま最後までそこに住むことになる。
 下宿の一階は大家が経営している定食屋で、しばしば物語の舞台となる。
 母親の樹木希林を手伝っているのが、大学生の岡田奈々さんである。可愛い。
 また、篠ひろ子が下宿人の一人として登場。彼女は名古屋章の娘で、後に前田吟と結婚する。正直、このドラマでは、彼らの存在自体が不要だ。とにかくキャストの贅肉が多いのだ。
 樹木希林はさすがの風格を見せて、しょっちゅう大岩のことをボロクソにけなす。
 結局、岡田奈々が惚れている木念(神田正輝)の友人と言うことで、下宿させてもらうことになる。
 その夜、店じまいをしつつ、「モンスター 満月だわ わおーわおーわおー」と、ピンクレディーの流行歌を歌う岡田奈々がとても可愛いのじゃい。
 翌日、例によって学校へ来ない三人。
 大岩「誰か連絡受けてないか?」
 岡田(立ち上がって)「一時間目に来ない時は大抵欠席です」

 大岩は授業をほったらかして三人を連れてこようとするが、空振りに終わる。疲れて戻ってくると、
 岡田さんが教壇に座っていた。彼女はクラス委員と言う立場なのだろうか。

 岡田「先生」
 大岩「はあ?」
 岡田「先生を待ってたんです」
 遠藤「僕たち臨時のクラス会を開いたんです」
 岡田「あたしたちの決議を言います」
 遠藤「あの三人の為に僕たちが放って置かれるのは困るんです」
 岡田「英語は一時間でも多く授業していただきたいんです」
 岡田&遠藤「先生!」
 大岩「あーん?」
 岡田「昨日もほとんど授業になりませんでした」
 遠藤「そして今日は全然です」
 岡田「あたしたちは2時間も授業をロスしました」
 大岩「ふーん、俺がお前たちくらいのときは、授業が潰れると嬉しく思ったもんだけどなぁ」
 岡田「先生とあたしたちでは時代が違います」

 言い切っちゃった!

 大岩「時代? ははははっ参ったな」
 中村雅俊も苦笑する。
 大岩「そうあくせくするな。人生は長いんだ」
 岡田「そうでしょうか?」
 遠藤「受験までは長くありません」
 岡田「ええ、そうです」
 大岩「しかしなぁ、俺はあの三人をほっとけん。君たちも、この三人も、同じように俺の生徒だ!」
 三人の机を叩きながら言う大岩。

 岡田「三人の為にあたしたちを犠牲にするんですか?」
 大岩「三人ぐらいならほっとけってのか? ほっとけってのか!」
 大岩に怒鳴られて、目を反らす岡田さん。
 しかし、他のぼんくら生徒はともかく進学組の彼らが犠牲になってるのは事実なんだけどね。そもそも、義務教育じゃないんだから、やる気のない奴を無理に来させる必要もないと思うのだが、そんなことを言いだすと、熱血学園ドラマが成り立たないので、忘れることにする。

 岡田さんを代表とする進学組と、柴田たちおちこぼれとの対立は、終盤まで続くことになる。

 大岩「ようし、分かった。俺にちょっとだけ時間をくれ。あいつらを俺の方に向かせて見せる」
 岡田「失敗したらどうするんですか?」
 大岩「辞める、教師を辞める」
 大岩の発言に、驚き呆れる二人。

 責任感が強いのか、無責任なのか……。
 藤谷「せんせっ、そんなことゆっちゃって!」
 大岩「いや、約束する。だから一週間くれ……それじゃ三日だ!」

 自分で値切って三日で、彼らを通学させなければ辞職すると断言してしまう。
 この藤谷美和子の不思議キャラは、真面目な斉藤さんとは好対照を成している。その独特の雰囲気や言動は、かなり魅力的だ。演技も達者だしね。
 それを聞いた同僚たちは無謀だと大岩を諌める。この小松政夫のふざけたキャラはどうも好きになれん。
 大岩は、バイクに乗って彼らをどこまでも追いかける。

 多分、教師の仕事って、こういうことじゃないと思います。

 街中でもどこでも、三人の後を追い掛け回す大岩。
 なお、そんな彼らの様子を通り掛かった岡田さんが目にするカットがある。台詞はない。
 どこまでもしつこく付け回す大岩に、三人もいささかグロッキー。
 三人も多少は親しみを見せるようになるが、学校には行こうとしない。

 大岩「人生は一度きりしかない。一度しかないんだったら、面白く生きようってな。だからお前たちにも毎日楽しく生きて欲しいんだ」

 管理人の嫌いな金八と違い、押し付けがましくない説教。それでも、草川祐馬は「説教なんか嫌いだーっ」と叫んで走り出してしまう。

 最後は三人ともほとんどパニック状態になって「追い掛け回すのはやめてくれーっ」と川に飛び込む。

 結局三日の期限までに彼らを学校へ連れ戻せず、大岩は潔く学校を去ることにする。
 神田「しかし先輩、教育ってのは一日二日の勝負じゃありませんよ」
 大岩「そんなことは分かってるよ。だがな、やっぱり約束は約束だ」

 同僚たちの説得も聞かず、生徒たちに挨拶もせず駅へ向かう。
 クラスの生徒たちもその話題で騒いでいる。
 藤谷「君子、行かせちゃうのほんとに?」

 後ろめたそうに俯く岡田さん。まさかほんとに辞めるような非常識な人間だとは思っていなかったのだろう。

 なおここで、女生徒の声が「あんたたち、このままで平気なの?」と言っているのだが、今回レビューするまで、てっきり「あんたたち」と言うのは岡田と遠藤のことだと思っていたが、今回チェックしたら、その後に「ええっ平気じゃないよぉ」と言う別の女生徒の声が聞こえるので、自分の勘違いだった。二人を非難しているのかと思ったんだけどね。
 その後、クラス会を開いて大岩の辞任の賛否について改めて投票をしたらしい彼ら。それでも賛成17反対13なのが、ちょっと悲しい。何故か、ここでは藤谷が議長を務めている。

 藤谷「議長から一言言わせてください。あの先生が好きです!」
 男子「かわいいって言われたからだろう」
 まぜっかえす声に生徒たちが笑う。
 藤谷「違います! あたしが言いたいのは、この夕日丘学園にこのような先生がいたでしょうか、あたしはいなかったと思います。岡田君子さん何か一言ありませんか?」
 いきなり指名されてまごつく岡田さん。それでも立ち上がって発言する。
 岡田「あたしも、藤村さんと同様にあんな先生はいないと思います。なんだか、あたしが勉強勉強って先生を……」
 遠藤「いや違うよ。僕だって……」

 名残を惜しんで、町のあちこちをぶらつきながら駅に到着した大岩。
 視線を上げると、
 あ、やっぱり。

 今後、このパターン(駅に着いたらお出迎え、あるいは呼び止められる)が腐るほど出てきます。
 それでも大岩はストイックに彼らの間を抜けて駅へ入ろうとするが、照れ臭そうに「行くなよ」と言われ、振り向く。
 笑顔を見せる両者。
 これで彼らは学校へは来るようになるが、相変わらずぼんくらで、真面目に授業を受けることも稀なので、あんまり違いはないのだった。

 ま、大岩はあくまで自分の方へ向かせて見せると言っただけで、別に更生させるとは約束してないからね。

 この辺から、挿入曲と言うか、エンディングテーマの「海を抱きしめて」が流れ出す。「生まれてこなければ良かったなんて〜♪」と言う歌いだしの、なかなか良い曲だ。

 この曲がかかると、台詞とかはなくなって、イメージ的な映像が流れるのが、このドラマのパターンである。

 大岩が三人とじゃれながら学校へ戻ってくると、他の生徒たちが出迎えてくれる。
 ここで、岡田さんだけやや離れたところにポツンと立っているのが、そのまま彼女のポジションを現わしている感じだ。
 さらに、大岩の荷物を胴上げする生徒たち。この辺の臭い感じは毎回繰り返されるので、今後も覚悟が要る。この輪の中に斉藤さんが混じっているのかどうかは分からない。
 最後に、どうでもいい四行詩が表示されるのは、「俺たちの旅」と同じである。



 

  第02話「生徒を信じないでそれでも先生か!」(1978年10月18日放送)

 第1話のように逐次ストーリーを追っていくと、途轍もない時間がかかることが判明したので、以降は、斉藤さんの出番に焦点を絞って紹介していくことにする。
 冒頭、進学塾を終えて、他の塾生たちと一緒に夜の住宅街を歩く岡田さん。見え難いが、闇の中に白いソックスが浮かび上がっている。
 と、角を曲がってきたバイクと危うく衝突しそうになる。
 柴田「危ないッ」
 岡田「ひゃっ!」

 ここ、岡田さんは斉藤さんへ本人が演じているようだが、バイクは井上純一かどうかはちょっと分からない。下手をすれば事故につながる撮影なので、ここだけスタントが演じている可能性はある。
 険しい顔でバイクを見るが、ヘルメットの下から覗く顔は級友の柴田だった。
 岡田「柴田くん!」
 名前を呼んでそばに歩み寄る。
 柴田はぶつかりそうになった時に岡田さんが落とした教科書などを拾い、無言で渡す。

 岡田「ありがと」
 柴田「学校の勉強だけじゃなくて、塾もかい。考えただけでヒステリーが起きそうだぜ」
 それだけ言って、爆音を響かせて走り去る。
 その後ろ姿を見送る岡田さん。

 この後の展開から、この時彼女と会ったことが(アリバイとして)、柴田を冤罪から救うのかと思ったが、全然そうじゃなかったのでやや拍子抜けだった。
 さて、翌日の学校、大岩は意気揚々と教室へ入ってくるが、早速上からメリケン粉(?)が落ちてくる。
 ……ま、ドラマでしかありえないイタズラですね。
 そのくらいのことでは怒りもしない大岩は、そのまま教壇に立つ。

 机の上に置いてある花瓶を見て、「ビューティーフル……誰か知らないが……」と、持ち上げようとする。

 ここで、それを見る生徒たちの様子が映される。他の生徒たちは二段構えのイタズラが成功するかどうかハラハラしているが、ひとり岡田さんは、冷ややかな顔をしている。
 そして、花瓶に結んであったくす玉が割れ、再び盛大に粉が大岩を襲う。前列の生徒たちは悲鳴を上げて後ろへ避けているが、撮影の際には最初から斉藤さんは席にいなかったと思う。一瞬なので分かり難いが、彼女らしい後ろ姿は見えない。
 さすがにこれには大岩も激怒して、犯人と決め付けた山川の顔をチョークで塗り潰す。大人気ないなぁ。

 あくまで無罪を主張する山川だったが、柴田が割って入り自分がやったと白状する。
 木念はもっと厳しくした方が言いと忠告するが、大岩は昔は自分も教師に同じようなことをやったもんだとむしろ上機嫌である。
 だが、教頭たちが悪質な暴走グループのひとりを映した写真を新聞でたまたま見て、柴田なのではないかと疑う。
 柴田は否定するが、その時間にはバイクであちこち走り回っていたとしか言えず、明確なアリバイがない。

 今回は柴田のエピソードが中心ではあるのだが、並行して元恋人同士だった篠ひろ子と前田吟の関係、篠ひろ子と父親である名古屋章との関係など、教師サイドのどうでもいいエピソードについても同じくらいの時間を割いて描かれる。

 どうでもいいので、全部カット。
 疑惑の渦中にある柴田、夜中に岡田さんの家を訪れる。
 オーバーオールの斉藤さんが可愛いのである。

 岡田「どうしたのこんな夜に?」
 柴田「どうしてあんなこと教頭に言った?」
 岡田「えっ、なんのこと?」
 柴田「オートバイで出掛けてったことだ」

 柴田はあの夜出会った彼女が、教頭にチクッたのだと思っているらしい。
 なお、実際に聞かないと分からないが、斉藤さんの「なんのこと」と言う何気ない一言、なんと言うか、いかにも純真無垢な、小さな子供のような素朴な台詞である。
 岡田「なんのことよぉ」
 柴田は、ジッと岡田さんの顔を見詰める。
 岡田「あっ新聞の写真のこと? あたし、なぁんにも言ってないわよ」
 柴田に背を向けて、門扉を動かしながら、
 岡田「あたし、信じてるわ。あなたじゃない」
 柴田「……」
 岡田「柴田くん、少し歩かない?」
 柴田「えっ?」
 岡田「散歩!」
 柴田もその気になるが、ちょうどそこで玄関が開いて岡田さんの母親が彼女を呼ぶ。
 その為、柴田も彼女の肩を押し、「帰れよ、お母さん呼んでるじゃないか」と促す。

 それでも岡田さんは躊躇していたが、柴田は「早く帰れよ!」と強く言って、さっさとその場を離れようとする。

 柴田の場合、特に自分の母親とのことで悩んでいるので、岡田さんの母親の登場で散歩する気分ではなくなったのだろう。
 その後ろ姿を一瞬つまらなそうに見ていた岡田さんだが、
 振り向いた柴田に、必殺の笑顔を見せて、「信じてるわよあたし、あなたじゃないってこと!」
 母親の呼ぶ声が再び聞こえ、「はーい、じゃあ!」と、にこやかに手を振って家に戻って行く。

 斉藤さん、「青春ド真中!」の頃と比べて、髪が中途半端に伸びて、ちょっとおばさんっぽくなってしまったのが少しだけ残念だ。

 この雰囲気からすると、後に二人は恋愛関係に発展しそうだが、実際は全然そんなことはなかった。もっとも、斉藤さんと井上氏は既に「青春〜」で、大恋愛を経験してる間柄なんだけどね。
 その後、柴田はバイクで母親に会いに行っていたと話す。柴田は親と離れてアパートで一人暮らしをしているのだ。念の為、大岩と木念は柴田の母親の住む街へ来る。
 どうでもいいが、途中、大岩が鎖につながれているペットのサルをからかうシーンがあるが、「男はつらいよ 寅次郎頑張れ!」(1977年)でも、中村雅俊演じる青年が似たようなことやってたなぁ。全くの偶然だろうけど。
 柴田の母親を演じるのは八木昌子。
 だが、彼女はその夜、息子は来ていないと話す。
 柴田のアパートへ来て、なにくれと世話をする桜子先生。その女らしい仕草についむらむらした柴田は彼女に襲い掛かる。……そんなことやってる場合か?

 ちょうど大岩がやってきたので、特に何の事件も起きなかったが、柴田は母親の家まで行ったけど、照れ臭くて会わなかったと打ち明ける。確か、そう言う話だったと思う。

 疑惑が晴れないまま、学校へ警察が来たと知った大岩は柴田が逮捕されるのではないかと教頭へ談判しに行くが、実は真犯人が捕まって、柴田の容疑が晴れたことを知らせに来ただけだった。
 関係ないけど、その刑事の一人、「セーラー服反逆同盟」11話に同じ刑事役で出てた人じゃないかなぁ。
 柴田の疑惑が晴れ、また明るい学園生活が戻る。

 今回の青春イメージ映像は、みんなでウサギ跳びをすると言う、痛いものだった。
 ここでも、斉藤さんの姿は確認できなかった。参加しているとは思うけど。



 

  第03話「泣いて笑ってこれが青春!」(1978年10月25日放送)

 斉藤さんがメインのエピソード。「青春ド真中!」で既に何本か撮られているが、この作品では初めてである。しかし、全40話中、はっきりと彼女がメインと言えるのは、2つか3つくらいしかないのが寂しい。ま、あまり多くても大変だが。
 草の斜面に座り、他の生徒たちがテニスをしている様子を眉間に皺を寄せて見ている岡田さん。
 通り掛かった木念が「岡田」と、声を掛ける。

 そう、また神田正輝との絡みである。
 「青春〜」「ゆうひ〜」通して、二人の関係を描いたエピソードが4、5本は撮られてるんじゃないかと思う。
 木念「どうしたんだよ、ぼんやりして」
 岡田「別に……」
 木念「どこか分からないところでもあるのか」
 岡田「ありません」
 木念「あ、そう」

 じゃなくて、
 岡田「ここのところの……」
 木念「これはね、」
 熱心に教えてくれる先生を、熱っぽい眼差しで見詰める岡田さん。
 談笑しながら一緒に歩いているふたりを、と言うか、岡田さんを見ているのはボンクラ三人組。
 冬木「お前まだ見惚れてんのかよー」
 山川「いんだよなぁ、岡田君子さん!」
 柴田「あんな奴のどこがいいんだよ? ツンケンしちゃってよぉ〜」

 どうやら、山川は岡田さんが好きらしい。
 柴田はああ言っているが、「青春〜」では、同じ井上純一が斉藤さんと大恋愛をしているので、いささか混乱する。別の作品だから当然なのだが、「ゆうひ〜」では、エピソードごとに人間関係がリセットされるケースが多い。たとえば山川はこの回では岡田さんに惚れるのだが、後のエピソード(何話だっけ?)ではそういう感情を持っていたこと自体、「なかったこと」にされているような態度を見せている。
 柴田たちは、大岩に彼女との仲を取り持ってくれと相談する。
 柴田たち、ここでは、まだ「ソーリ」とは呼ばず、「センコー」と呼んでいる。

 大岩はラブレターを出せとかアドバイスするが、山川はそういうことができないシャイな性格なのだ。
 大岩「できないのかぁ、男かお前は」
 山川「もういいよ! 俺は劣等生で向こうは優等生だから、それで勝手にダメって決め付けてんだよ」
 大岩「そんなことは言ってないよ」
 山川「先生はねえ、学力の差で人間の価値までも決めてるんだ、そういう先生なんだよぉっ!」
 大岩「関係ないことで喚くなよ」

 ここの、中村雅俊の表情が、演技と言うより素に近い感じで笑っているように見える。「ゆうひ〜」はまだ始まったばかりだが、その前に「青春〜」で1クール分教師と生徒として撮影していて、既に中村雅俊には彼らが本当の教え子のように愛しく感じられていたのではないだろうか?
 で、大岩の授けた作戦は、柴田たちの悪友に岡田さんを襲わせ、それを山川が現れてかっこいいところを見せようと言うプリミティブなものだった。

 撮影でしばしば出てくる松林を教科書を読みながら登校している岡田さんに、物語序盤でちょいちょい出てくる柴田たちとは別のクラスのボンクラたちがいちゃもんをつける。

 「やめてよーはなしてよー」と抵抗する岡田さん。
 打ち合わせどおり、そこへ山川が現れて彼らを叩きのめす……筈だったが、ドジなのでぐだぐだになってしまう。
 と、別の人物の手が伸び、チンピラたちの腕をひねる。ハッとして視線を向ける岡田さん。
 ここで、急にカメラがロングになり、女性の影がチンピラたちを次々と投げ飛ばしていく様子が映される。
 これは合気道の達人、桜子先生だが、実際に投げているのは由美かおるではなく、スタントの女性だろう。小さくて見難いが、合気道の心得のある女性と思われる。

 何故か助けに入った山川も投げられる。
 だから、合気道ってこういうのじゃないと思うのだが……。

 思わず隠れて見ていた大岩たちが飛び出し、ついべらべらと計画を喋ってしまう。
 それを聞いて険しい表情になる岡田さん。ますます怒る桜子先生。
 「バカな教師の顔は見たくない」と、岡田さんは家に帰ってしまう。この、斉藤さん演じる女生徒は、何かショックを受けるとすぐ早退したり、学校を休んだりするのである。

 その後、前田吟と篠ひろ子の恋愛問題について、大岩が助言したりするのだが、どうでもいいので、カット。
 その岡田さん、自宅で飼っている小鳥にえさをやっている。ちなみに「青春〜」ではウサギを飼っていた。
 岡田「ミーコ(ピーコ?)、ミーコ、ほら、ご飯上げようね〜」

 嗚呼、ワシも斉藤さんに飼われたい!(やかましいわっ)

 そこへ、教頭に指名された木念がやってくる。
 噴水のある公園へ連れ出し、さっきのことで大岩の代わりに謝る木念。

 この、斉藤さんの垂直落下式の胸、いいですねえ。
 木念「だから、明日から学校へ出て来いよ」
 岡田「行きます、明日」
 木念「そうか」
 岡田さんは、両親が共働きで一人っ子なので、普段は誰も家にいないと話す。
 木念「寂しいだろう?」
 岡田「でも、いないほうが……」
 木念「どうして?」
 岡田「二人顔見合わせるといつも喧嘩ばっかり、親って不思議ですね。子供の前でも平気で憎み合うことが出来るんですから」
 その言葉に深刻な表情になる木念。
 岡田「でも、あたしはあたし。大学を出て、きちんとした仕事を持って自分なりに生きて行くつもりです」
 木念「うん……」
 岡田「先生、応援しもらえますか?」
 木念「ああ」

 笑顔を見せ合うふたり。
 ちなみに「青春〜」でも、確か斉藤さんの両親は共稼ぎで影の薄い……と言うか、一切出てこないのだが、「ゆうひ〜」ではちゃんと俳優が演じ、時折ストーリーに絡んでくる。

 その後、前田吟と篠ひろ子をくっつけようと、大岩が努力するが失敗すると言うエピソードがあるが、どうでもいいので、全てカット。
 木念の数学の授業を、熱心に受けている岡田さん。

 それにしても、今頃どうしているだろう? 後ろで大あくびしてる人(知るかっ)
 しかし、家に帰ると両親がガミガミ深刻な喧嘩をしている。
 たまらなくなって家を飛び出し、土手に立って夕陽を見詰めている岡田さん。そこへ帰宅中の木念が通り掛かる。

 冷静に考えたら物凄い偶然だが、ドラマなんてみんなこんなものである。
 木念の顔を見て、一気に涙が溢れる。斉藤さん、「青春〜」の時と比べると髪型がおばさんっぽいのが残念だ。
 岡田「せんせい、せんせいっ」
 木念「どうしたんだ、何があったんだ」
 やや落ち着いた岡田さん、「先生、明日日曜日だけど、勉強教えてもらえますか? 家にいるの辛いんです」と言う。
 木念「よしっ」
 笑顔を見せ合う師弟。
 翌日の日曜の様子がスケッチ的に描かれる。喫茶店の二人。
 神社の参道を歩く二人。
 ラーメンを食べる二人。
 食べる前にチラッと木念の方を見るところなんか、とても可愛い。
 波打ち際で追いかけっこをする二人。
 砂浜に転んだ岡田さんを、木念が気遣う。
 波に洗われる斉藤さんの素足。

 ………………

 これって、ただのデートなのでは?
 そんな二人の様子を、たまたま通り掛かった大岩が見てしまう。
 その後、木念、自分が岡田さんを愛していることに気付いてしまう。
 「デート」での、彼女の様子が木念の回想として映し出される。細かいことだが、こちらは「デート」シーンとは別のフィルムが使われている。
 だが、クソ真面目な木念、教師と生徒と言う関係を前に、懊悩する。
 それに目敏く気付いた大岩が木念に話し掛ける。このシーン、好きだわ。

 大岩「お前さ、俺になんか言いたいことがあるんじゃないのか」
 木念「なんだか俺、自分が分からなくなってしまったんです。岡田に勉強教えたり、心配してるうちに、どうにも自分でも分からない、おかしな気持ちになっちゃって……」
 大岩「そうかぁ、とうとうお前も初恋の味を知ったか。豊かな人生の出発点だ。どーんと踏み出せ」
 木念「でも俺、こんな気持ちになっちゃあいけないんです……俺は教師です。教師なんです……」
 ある朝、木念が出勤中、山川が思い詰めた様子で現れ、岡田さんとの仲を取り持ってくれと訴える。何とも答えられない木念。なお、木念が抜けたトンネルの壁に、「マ○コ」としか読めない落書きが見えて、興趣を殺ぐ。
 大岩は、柴田たちに木念の気持ちを話す。柴田たちは生徒の為に木念は身を引くべきだと言うが、
 大岩「うるさいっ、教師も人間なんだ。お前たちと同じ、青春を生きてるんだ……山川にそう言っとけ、教師も生徒も関係ないってな」
 木念に想いを寄せている岡田奈々などは、木念の恋を聞いて機嫌が悪くなるが、その後も二人の親しい関係は続く。
 公園のベンチで勉強している二人。なんでそんなとこで勉強すんだよ。
 公園には仲の良い三人家族がいて、その様子を悲しそうに眺める岡田さん。木念の視線に気付き、気まずそうに立ち上がる。
 岡田「先生、他行きましょう」
 木念「ああ」
 今度は、砂浜に腰を下ろして勉強している二人。だからなんでそんなとこで……。
 しかし、岡田さんは物憂そうで勉強に身が入らない感じ。ま、そりゃそうだろう。
 木念は彼女の家まで送ってくる。
 岡田「じゃあ」
 木念「じゃあ明日学校で」
 ところが、間の悪いことに(ドラマ的にはナイスタイミングだが)、玄関先で彼女の両親がまたしても喧嘩している。母親の口ぶりでは、父親には愛人がいるようだ。
 思わず背中を向ける岡田さん。父親の勝部演之は、彼らに気付かずズンズン反対側へ行ってしまう。
 斉藤さんの頭のボサボサした感じ、いいですねえ(なんでもええんか)。
 その夜、勉強する岡田さんだが、家庭の悩みでそれどころではないご様子。
 母親が、居間のソファに電気もつけずに悄然と座っているのを見、ふらふらと外へ出て大岩たちの下宿の近くまで来る。
 大岩「木念、岡田が来たぞ……」
 木念「岡田が?」
 すぐ階段を降りる。
 木念「どうした、また何かあったのか」
 岡田「もうあたし、耐えられません……とても耐えられません」
 思い詰めた目の岡田、「先生、あたしを先生のところに置いて下さい!」
 木念(そんな夢みたいに都合の良い展開があったのか……教師やってて良かったぁ)
 と、思っていたかどうかは定かではないが、木念、「えっ」と驚く。
 岡田「置いて下さい!」
 木念「でもぅ、大岩先生と一緒だし」
 岡田(食い気味に)「じゃああたしをどこかへ連れてって! どこでもいいんですぅ! 連れてって下さい!」
 岡田「お願い先生……」
 目に涙を溜めた岡田さん、遂には木念の胸に飛び込み、がっちりと木念の背中をつかむ。

 斉藤さんの必殺技が発動した。
 この、「涙ウルウル」→「せんせい!」→「胸に飛び込む」と言う三段攻撃、前作の「青春〜」や、その前の「赤い絆」においても確認されている。
 私は神田正輝になりたい……
 しかし、木念、やがて岡田さんの体を離し、
 木念「岡田、そりゃだめだよ……」

 ダメだこいつ。
 木念「だめだ」
 岡田「どうして? どうしてなんです先生?」
 木念「家へ帰りなさい、帰るんだ! 後のことは僕が何とかするから」
 しかし、裏切られたと思った岡田さん、木念の言葉など耳に入らない。
 岡田「先生……」
 踵を返し、どたどたした走り方で木念の前から走り去る。
 大岩が降りてきて「岡田ーっ」と、少し後を追う素振りを見せる。
 大岩は教師としてではなく、男として木念を責める。
 大岩「岡田はお前を頼ってきたんだぞ。お前しか頼る奴がいなくて、縋り付いてきたんだったら、どうして受け入れてやらないんだお前!」
 木念(鼻をすすって)「あの子はさみしいんですよ。さみしさ紛らわすために僕が必要だったんです……あの子のために他にしてやらなきゃいけないことがあるんです、教師としてそれをしてやらなくては!」
 大岩「だけどお前……」

 それ以来、岡田さんは学校に来なくなる。家を出て、中学時代の先輩のアパートへ泊まっているらしい。

 責任感の強い木念は、岡田さんの両親に個別に会い、もっと子供のことを思いやってくれと頼む。父親に対しては土下座までする木念であった。
 桜子先生は、アパートに居候している岡田さんに会いに来るが、
 岡田「お話したくありません。誰とも会いたくないんです」と、逃げるように部屋に駆け込む。
 ちょうどそこへ帰ってきた岡田さんの先輩に話を聞く桜子。
 土砂降りの中、傘もささずに突っ立っている木念に、大岩が話し掛ける。
 大岩「風邪引くぞ。桜子先生から聞いたんだけどさ、岡田は明日静岡行くそうだ」
 木念「えっ」
 大岩「彼女の先輩の実家がそこで洋品店をやっていて、先輩が帰るんで一緒に行って、働かして貰うそうだ」

 「洋品店」って、素敵にレトロな日本語ですね。
 そこへ柴田たち三人が通り掛かる。
 木念は、ふらふらと雨に打たれながら、「岡田に何もしてやれなかった。僕はダメな人間だ」と、失意の淵に沈む。
 結局、片思いのまま、告白も出来なかった山川だが「(大岩)先生、多野先生に元気になるように言ってよ」と、同じ女性を愛した木念を気遣う優しさを見せる。
 おめかしして、先輩と一緒にアパートから出てくる岡田さん。これから静岡へ行くのだ。
 と、橋の上で、大岩が彼女を待っていた。
 岡田さんは依然、誰の話も聞こうとしない。
 大岩「ちょっと話聞いてくれ」
 岡田「今更聞くようなことありません」
 大岩「どうしてそんな風に言うんだ?」
 コケコッコーとニワトリの鳴き声。
 岡田「多野先生はあたしから逃げたじゃないですか。あたしが一番必要としてるときに、逃げたじゃないですか!
 岡田さんの痛烈な言葉に、黙りこくる大岩。
 岡田「多野先生もやっぱり大人なんです。結局自分のことしか考えないんです。あたしがどんな思いをしてたか、どんなさみしい気持ちで先生のところへ行ったか……でも、もういいんです」
 さっさと行こうとする彼女を大岩が呼びとめる。
 大岩「木念はそんな奴じゃない!」

 大岩は、木念が彼女の両親の間をかけずりまわったこと、教師として自分を責めていることなどを強く訴える。
 そう言われて、岡田さんも少し心が動いたが、翻意させるまでは至らず、先輩の言葉に再び歩き出す。
 岡田「さよなら」
 大岩「岡田、向こう行ったら幸せになれよ」

 最後は笑顔になって送り出す大岩。
 先輩と一緒に駅へ向かうが、いかにも後ろ髪を引かれる風情。ぐしゃぐしゃ。

 最初見ていたとき、いつものパターンで、直前で引き返すのかと思ったが、
 そのまま電車に乗って出発してしまった。ひょっとして、しばらく斉藤さんは出ないのかなぁとさえ思ったが……、
 その直後だろう、いつもの砂浜で話す二人。
 大岩「岡田、とうとう行っちまったな」
 木念「でもその方が良かったかもしれません」
 二人が腰を上げ、歩き出す。と、大岩が何かに気付いて目を上げる。

 ひょっとして……、
 岡田「せんせーい!」

 はい、やっぱり岡田さんでした。
 どのタイミングで決意したのか不明だが、結局引き返してしまった様子。
 ま、それはいいが、

 洋品店の仕事は?

 このシーン見るたびに気になる。
 ここで、すぐ抱き合わないのがこのふたりの奥ゆかしいところ。
 岡田「わたし、学校へ戻ります」
 岡田「そして、家へも戻ります!」
 木念「いいのか、それで?」
 岡田「わたし、よく分からないけど、それが一番いいような気がするんです」
 木念「僕はこれからも何の役にも立たないかもしれない。いいのかそれでも?」
 岡田「先生はわたしのために悩んでくれたじゃないですか。苦しんでくれたじゃないですか。そういう人がいてくれるだけで、あたし、やっていけるような気がするんです……先生、ありがとう」

 しかし、このエピソード、「青春〜」の12話とそっくりなんだよね。もっとも、オンエア時には12話は放送されなかった(DVDには収録)んだけどね。
 その後、大岩にも「大岩先生!」と駆け寄って挨拶する行儀の良い岡田さんでした。
 人生の哀歓を感じた大岩と木念、美しい夕陽に向かって走り出す。

 後は「生まれてこなければ良かったなんて〜」と、エンディングのイメージカットとなります。
 夕陽に向かって指で何か書く岡田さん。
 元気良く手を振って登校する岡田さん。
 なんとなく和解した家族。
 もっとも、後のエピソードにも彼女の両親の不仲についての描写がある(確か)ので、彼らの関係が完全に修復したわけではないだろう。
 路上で、大岩とぶつかって驚く桜子先生や生徒たち。この中で、珍しくはっきり斉藤さんの顔が見える。
 自転車で二人乗りして坂を下る大岩と木念が転んで、大口を開けて驚く桜子たち。

 終わりです。



 

  第06話「ライバルって何ですか!」(1978年11月15日放送)

 冒頭、くだらないことで張り合う大岩と木念の様子を映してから、
 学校の廊下に定期テストの結果が貼られるのを見ている生徒たち。

 岡田さんは自信なさそうだが、遠藤君は自信たっぷりであった。
 だが、僅差で岡田さんが遠藤君に勝ってしまう。
 思わず口元の緩む岡田さん、愕然とする遠藤君。
 クラスメイトの女子も彼女を祝福する。
 だが、彼女にとって一番嬉しいのは、
 木念の「岡田、よくやったな」のさりげない一言。
 この嬉しそうな顔! なお、右にいるのがハマちゃんの奥さんです。

 周囲の生徒たちは成績にあやかろうとしてか、彼女に握手を求める。
 悔しそうな表情の遠藤君だったが、つと、岡田さんの前に立ち、
 遠藤「岡田君、僕にも握手してくれないか」
 岡田「ええっ?」
 遠藤「素直に敗北を認めるよ」
 岡田「そんなこと……だって今までずっとトップ奪われ通しだったんですもの」
 遠藤「しかし、次の定期試験では譲らない」
 岡田「ええ、あたしも負けないわ」
 そんな二人の様子を頼もしそうに見詰めている教師たち。

 今回のテーマは「ライバル」と言うことで、
 柴田が以前同じ学校に通っていて、何かにつけて張り合っていたライバルが、今度彼女を見せびらかしにやってくると言う。
 冬木「でもそんなに可愛いのかよ、その彼女よぉ」
 柴田「らしいんだよなぁっ」
 冬木「ああ、そう、そりゃちょっとでも悔しいねえ」
 そこへテスト結果を見てきた山川が、岡田さんが遠藤君に勝ったと興奮してやってくる。
 それにしても、清水昭博さん、たまに香取慎吾に見えてしょうがない。

 冬木は「俺に任せとけ」と、柴田の為に急遽彼女を作ってやろうとする。
 水門の上から、女生徒の品定めをしていた冬木、「あいつにしよう」と指差したのは、
 今話題になっていた岡田さんであった。相変わらず斉藤さんの脚は綺麗だな、と。

 山川「だけどあいつ、定期試験トップだぜ」
 冬木「だから箔がつくんだよ」
 風が強いので、髪も教科書もめちゃくちゃになってる岡田さん。何もこんな時に教科書広げなくても……。
 三バカトリオは彼女の前に立ち、
 冬木「ねえ、ちょっとあいつと付き合ってくんない?」
 岡田「えっ?」
 色々と誘われるが、
 岡田「お断りします。あたし、勉強しなくちゃいけないし、無理です!」
 きっぱり断る岡田さん。
 山川「お断りします、あたし勉強がありますから、ふん」
 冬木「無理です、か」
 山川「冗談じゃないよ」
 岡田さんの背中に悪態を付く面々。

 ただ、このドラマ、一話ごとに人間関係がリセットされるようで、山川は3話では、その岡田さんにベタぼれして、かなり煩悶していたようだが、ここではそういう感情が最初からなかったかの如く描かれているのがちょっと気になる。

 冬木は諦めず、他の女子生徒に声をかけるが、誰もなりてがいない。

 その晩、下宿の下の定食屋で、木念は岡田と遠藤のトップ争いこそ、真のライバル関係であり、人生であり、女のことばかり考えている大岩は間違ってると演説する。
 大岩「おい木念、人をアホみたいに言うな」
 薫「アホじゃない」

 岡田奈々さん、可愛いな。
 大岩「ガリガリ勉強するだけじゃダメだって言ってんだ。人生にはもっと大事なことあるだろうが」
 薫「ソーリの大事なことっていやらしいことばっかりじゃない」

 岡田奈々さん、可愛いな。

 その後の話の流れで、木念が「薫さん可愛いですよ!」と力説すると、
 思わずニッコリしてしまう薫。

 岡田奈々さん、可愛いな。
 さて、その後、いつものように木念の数学の授業を受けていた岡田さん、ふと何かを取ろうと右手を机の中に入れると、何か覚えのないものが入っている。
 恐る恐る取り出してみると、メッセージを添えたプレゼントが出てきた。
 今までそんなことをされた経験のない(のかどうか知らんが)岡田さん、喜ぶよりまずギョッとして周囲を見回す。
 昨日の今日なので、あの三人の顔を思わず見るが、普段と変わらない様子だった。
 その場はプレセントをそっと机に戻し、授業が終わった後、職員室の前で誰かを待っている岡田さん。ちょうど出てきたのは名古屋章。大抵のドラマなら、うってつけの相談相手のはずの章だが、このドラマでは基本的にはやる気のない、ぐーたら教師なので、岡田さんの助けにはならない。

 今度は桜子先生がやってきて、
 桜子「どうしたの、大岩先生に何か用?」
 岡田「はい、あのう……いえ、なんでもないんです、さよならっ」
 迷っていたが、結局何も言わずに去って行く。

 こういう場合、やはり彼女が真っ先に相談しようとする相手は大岩と言うことになるだろう。担任だしね。木念には、恥ずかしくても、とてもそんなことは打ち明けられないのだ。

 職員室に入った桜子を、小松政夫がオペラに一緒に行かないかと誘い、実際に朗々と歌い出すが、はっきりいって滑っている。
 夕暮れ時、川のそばに立っている岡田さん。
 カバンから大事そうにプレゼントを取り出し、包装を解くと、
 こんなファンシーなグッズだった。開くとオルゴールが鳴る奴。
 今のすれっからしの女子高生なら、そのまま川に投げ捨てそうだが(管理人の偏見です)、
 初めての異性(かどうか分からんけど)からのプレゼントに、岡田さんはとても嬉しそうなのだった。
 さて、別の日、また木念の授業中、岡田さん、何かを期待するかのようにそっと手を机の中に伸ばす。
 と、果たして、再びプレゼントがいつの間にか入れられてあった……よく考えたら、朝登校した直後に見付かりそうなものだが。

 岡田の声「柴田くん……違うわ、あの人である筈がないわ」
 どういう根拠か、柴田は落選。ついで、隣の遠藤の顔を見て、
 岡田の声「そうだわ、きっとそうだわ。……やっぱり違うわ」

 違うんかい!
 岡田の声「遠藤君がこんなことしてくれる筈ない。あたしのこと好きな筈ないもん」
 もう一度、三バカトリオの顔を見直してから、
 岡田の声「誰? 誰なの? 一体誰なの?」

 心の中で訴えかける岡田さん。

 木念の声「岡田、岡田……」
 木念の声に反応がない岡田さん。

 木念、机を強く叩いて、「岡田ーっ」と喝を入れる。
 ハッとして前を向く岡田さん。

 岡田「は、はい」
 木念「どうしたんだ、さっきから何度も呼んでいるのに」
 岡田「すいません」
 木念「黒板に出てこの問題解きなさい」
 岡田「黒板には出れません」

 「はい」と素直に応じて前に出る岡田さん。木念がやや心配そうに見守っている。

 昼休み、木念は早速岡田を呼び止め、どこかへ連れて行く。
 大岩は、持参した味の素のような調味料を自慢げに自分の昼飯にふりかけ、他の教師の弁当などにも請われるままにふりかけていく。
 大岩の台詞からすると、アメリカで売られているアイテムらしいが。
 そこへ慌てた様子で木念が飛び込んでくる。
 大岩「机の中に送りモン?」
 木念「ま、見せてはくれなかったんですけどね。先輩が担任だし、耳に入れといた方が良いと思って」
 大岩「結構なこっちゃないの。勉強に身が入らないほど動揺してるなんて、がり勉の岡田にしちゃ上出来だよ」
 木念「何を言ってんですか先輩!」

 バンと机を叩いて叫ぶ木念。

 大岩「お前こそ何コーフンしてんだよ」
 桜子「大野先生は成績のことを心配してらっしゃるんじゃないですか」
 木念「そうですよ。こんなことであいつの成績に響いたらどうすんですか」

 大岩「こんなこと、こんなこととはなんだよ? こんなことが大事なんだよ」
 以下、その場にいる教師たちを巻き込んで、恋か勉強かと言う、不毛な議論が続く。

 最後に、将棋盤に向かっていた章が、ぼそっと「誰かのイタズラじゃないのかね」とつぶやいて、みんなの視線を浴びる。
 プレゼントの件は女子たちの間で噂になる。
 春子「誰か春子にも愛を与えて、ああ〜」

 いいなぁ、藤谷美和子。
 さて、冬木たち、まだ柴田の恋人作りが諦められず、今度はラブレターを書いて、それを文房具店で大量にコピーし、女子生徒全員の机の中に入れて行こうと言う作戦に出る。

 この、出費を惜しまずくだらないことに必死になる姿、これが青春なんじゃないかと思う。
 一方、岡田さん、いかにも人待ち顔で、水門のあたりをうろうろしている。
 座ったり、立ったりして、ひたすら待ち続ける。
 ちょうどそこへ桜子が通り掛かり、
 桜子「誰か待ってるの?」
 岡田「いえ、そんなことありません。なんでもないんです。ただ、ちょっと来て見ただけなんです。さよなら」
 地平線の向こうへ駆け出す岡田さん。
 冬木たちは、他の悪友(3話で岡田さんを襲った)も引き連れて、夜の校舎に忍び込んでいた。
 冬木「いいか、女生徒の机にだけ、ラブレター入れるんだぞ」

 当の柴田はあまり乗り気でないようだったが、冬木に押し切られて決行することになる。
 自分たちの教室へゆっくり近付くが、何かの気配を感じて物陰に隠れる冬木たち。
 このシーン、好きだ。

 息を潜めていると、彼らの教室から遠藤君らしき人影が出てきて、すぐ帰って行った。
 不審に思う彼らだが、とりあえずラブレター配布作戦を実施する。

 他の二人には別のクラスを任せ、三人は自分たちの教室へ入り、片っ端からラブレターを入れていくが、
 真ん中の列を担当した山川、岡田さんの席は最前列なので、すぐにプレゼントに気付く。
 山川「愛をこめて……、なんだこりゃ?」
 柴田「プレゼントか」
 冬木「やるじゃねえの、あいつ」

 当然、彼らは遠藤君が差し出し主だと考え、むしろ感心した様子だった。
 もっとも、教室からこっそり出てきたからって、遠藤君が贈り主とは限らないんだけどね。ただ、何か忘れ物を取りに来ただけかもしれないし。

 見られていたとは知らない遠藤君、自分の部屋に帰ってきて「してやったり」と言う顔をする。つまり、それによってライバルの岡田さんの成績を下げようと言うせこい作戦であった。
 一方の岡田さん、机に向かっているが、とても悔しそうな傷付けられた表情を浮かべていた。

 どのタイミングで受け取ったのか不明(プレゼントに同封されていた?)だが、「今日の四時 水門で待ってます 来て下さい 好きです」などと綴られた手紙を見ながら、「ひどい、ひどいわーっ」と叫んで、
 机に突っ伏してしまう。すすり泣く岡田さん。
 定食屋に大岩たちを訪ね、桜子先生がさっきのことを相談している。
 誰か待っていたらしいのに、岡田さんが寂しそうだったと言う言葉に、二人とも考え込むが、

 横で聞いていた樹木希林、「ねえそれちょっとイタズラじゃないの? ほら、良い女によく付け文するじゃないの」と、慧眼を働かす。
 木念は、「それだ、あいつらだ!」と、いきなり店を飛び出す。慌てて追いかける大岩。
 木念は冬木たちの仕業と決め付け、柴田のアパートへ大岩と一緒に行く。

 大岩「遠藤が岡田の机の中に贈り物を?」
 木念「本当かそれは」
 柴田「俺たちがやったんならやったって言うさ」
 冬木「別に信じて貰わなくたって結構だぜ」
 大岩「いやいやお前たちだと思ってたわけじゃないんだよ。しかしどうして遠藤だと知ってんだ?」
 柴田「見たんだよ」

 彼らは見た通り話すが、さっきも言ったように、遠藤君が机の中にプレゼントを入れるところを見たわけじゃないんだよね。ま、今回はほんとに遠藤君が犯人だから問題ないけど。

 自分たちの下宿に戻る大岩たち。
 木念「僕には信じられません。あの遠藤があんな不真面目なことするなんて」
 大岩「とにかく、そーっとしておくことだ。教師が口出しするこっちゃないんだよ」

 この時点では無論、彼らは遠藤君が本気で岡田さんに恋をしていると思っているわけだ。

 今だったら何の問題もないことだろうが、教頭たちは成績優秀な二人が色恋沙汰になるのをけしからんことだと憤る。桜子先生のとりなしで、担任の大岩にこの件は一任されるが、生徒の恋愛に教師が首を突っ込む必要はないと考えている大岩はあまり気乗りしない。
 それでも遠藤君を海岸に呼び出し、そのことについて聞くが、遠藤君はバカバカしいことだと頭から否定する。大岩は彼が照れているのだと思い、
 大岩「どうして隠すんだ? 岡田を好きなら好きでいいじゃないか」
 遠藤「隠してなんかいません」
 大岩「どうしてそんなに知られまいとするんだ?」

 照れていると言うより、あくまで冷淡な彼の態度に大岩は不審を抱く。
 大岩「実はな、お前を見た奴がいるんだよ」
 仕方なく、大岩がそう言うと、

 遠藤「嘘だ、見た者がいるなんて嘘だよ。僕は神経を使ってた。誰もいなかった。そんなこと嘘だよ!」

 自分から白状してしまう。
 大岩「お前、ほんとはアホだろ?」

 と言うのは管理人の妄想で、実際は「なに言ってんだお前、自分で言ってることが分かってるのか?」でした。

 ほぼ一緒だな。
               ガーン!(と言う効果音が実際に流れる)

 錯乱した遠藤君、海に飛び込んで「トップになるからいけないんだよーっ」と、言わなくていいことまで口にしてしまう。ここは、「岡田君のことが好きだったんです。でもやっぱり、勉強の方が大事だから……」などと、適当に誤魔化しておいた方が無難だったろう。
 大岩「お前ぇー、岡田をトップから引き摺り下ろすためにあんなことをしたってのか?」

 こういうことには過剰に怒る大岩。

 遠藤君が頷くと、「ばかやろっ」と、とりあえず殴る。
 遠藤「もっと殴ってください、僕は最低だ。わかってる、わかってるんだーっ」
 大岩「岡田の気持ちを傷付けることを分かっててなんでやったんだ?」

 遠藤君、自分の父親や兄が常に成績トップだったこと、自分も負ける訳には行かなかったと訴える。

 大岩「だけどな、遠藤、そんなことは理由にはならんぞ」

 遠藤君、今度は大岩の胸にしがみつき、重ねて自分の家庭内での息苦しい立場について切々と語る。

 しかし、大岩は、岡田の気持ちはどうなるんだと、同じことを言い聞かす。

 その後、大岩は桜子先生に「遠藤はもう子供じゃないんです。自分でしたことの責任は自分で取るしかないんですよ」と、突き放した言い方をする。

 遠藤君、大岩の言葉に後押しされて、その夜、岡田さんの自宅を訪れる。
 岡田「遠藤君! どうしたの?」
 遠藤君、岡田さんを外へ連れ出す。ここは橋の下かな?

 岡田「どうしたの遠藤君? 変よ」
 遠藤「すまない……僕は最低なんだ」
 岡田「ええっ?」
 眉を上げて怪訝な表情になる岡田さん。

 遠藤「プレゼントしたのは、この僕なんだ。君の勉強の邪魔をしようとして僕がやったんだ!」
 一気に自分の罪を告白する遠藤君。
 岡田「嘘! 嘘でしょ?」

 若干、斉藤さんの目が怖い……。
 遠藤「僕は卑怯だ、最低なんだ。岡田君、許してください。こんな僕を許してください!」
 泣きながら謝る遠藤君。
 その様子を悲しそうに見ていた岡田さん、許すかと思いきや、
 何も言わずに部屋に戻り、改めて嗚咽する。そして例のオルゴールの箱を机から払い落とす。はずみで、オルゴールが鳴り出す。それをBGMにして、
 岡田さん、遠藤君の様子が対比して映し出される。
 音楽が終わった後も、岡田さんの表情は悔しさで一杯。到底許してもらえそうにない。

 「青春ド真中!」の奇しくも同じ6話で、斉藤さんは柴田(じゃないけど)にイタズラ目的で……いや、性的なイタズラと言う意味じゃなく、からかう目的で言い寄られて良い感じになった挙句、イタズラだったと知らされて激しく傷付けられているのだが、今回のケースはそれに比べるとだいぶ罪が軽いと思うんだけどね。その割に、斉藤さんの怒り方が一緒なのだ。

 で、それ以来、彼女(と遠藤君)は学校を休んでしまう。今だったら、「そんなことくらいで学校休むなっ」と逆に怒られそうだ。
 教頭たちは大岩を突き上げるが、例によって大岩は本人たちの問題だというような気のない顔。その場にいた桜子先生がまた彼をとりなす。
 大岩「桜子先生が俺を信じてくれたように、俺も遠藤を信じてみたいんです」
 岡田さんは、部屋に篭って膝を抱えていた。
 遠藤君は、庭で参考書を燃やしてヤケクソになっていた。
 大岩が岡田さんに会いに来る。
 大岩「よおっ」
 岡田「先生……、なんでしょうか?」
 大岩「うーん、ちょっと頼みがあってな」
 大岩はそれだけ言って、歩き出し、岡田さんもそれに従う。
 岡田さんの家がどこにあるのか不明だが、やかで細い道を抜けて、いつもの海岸へやってくる二人。
 岡田「なんですか先生……、どこまで行くんですか?」
 大岩の視線を辿った岡田さん、ハッとする。
 そこにはいつになく男前の遠藤君が立っていた。

 これは事前に大岩と打ち合わせしていたのだろうか? いつも彼がここへ来ることを大岩が知り、岡田さんを連れて来ただけか?
 岡田さん、「あたし、帰ります!」と、すぐ引き返そうとする。
 大岩「岡田!」
 岡田「会いたくありません」
 その声で、遠藤君が振り向いて彼らの存在を知る。

 大岩「遠藤は苦しんでるんだ。自分のしたことをほんとに苦しんでるんだ」
 岡田「そんなこと勝手です……失礼します」
 一礼して立ち去ろうとした時、
 遠藤の声「ああーっぐわおあえきえーーーーーっ」

 と、途轍もない雄叫びが響く。
 ギョッとして振り向くと、遠藤君が大声で叫びながら海へ突っ込んでいく。
 岡田(とうとう狂ったのかしら?)と言うような顔になる岡田さん。

 無論、これは遠藤君が岡田さんの存在を知った上での謝罪パフォーマンスであった。
 波に呑まれながら、ひたすら沖を目指す遠藤君。
 大岩「遠藤はほんとに苦しんでるんだよ」
 岡田「ただのアホじゃないんですか?」
 大岩「ま、そうだけど」

 ほとんど背丈まで深みに進んでいる遠藤を見て、遂に岡田は駆け出す。
 岡田「やめて、やめてぇーっ!」
 以降は何故かスローモーションになる。
 岡田「遠藤君、やめてぇーっ!」

 岡田さん、そのまま海へ突き進んでしまう。
 ここは、二人ともちゃんと俳優本人が海へ飛び込んでいるようで、大変だ。
 撮影は、9月くらいだろうから、それほど冷たくはなかっただろうが。
 ……と思ったけど、放送が11月半ばだから、10月と言うこともありうるか?
 しかし、ここ、教師である大岩が何もしないで後ろで見物しているのは、さすがにどうかと思う。二人に何か事故があったらどうすんだよ?
 もっともよく見たら、実はそんなに深いところにいるわけじゃないようだ。
 岡田「遠藤君、やめて」
 遠藤「来るなーっ」
 しかし、遠藤君は自業自得だけど、被害者の岡田さんまでこんな目に遭うのはいささか釈然としない。
 元々パフォーマンスだった遠藤君、そのうち波に押されて浅瀬に戻ってくる。
 この時の彼の表情がいかにも「しめしめ、うまくいったぜ」と考えているようで、素直に感動できない。
 二人の和解を見て、大岩もはしゃいで突っ込んでくる。

 こうしてこの一件はうやむやのうちに解決する。個人的にはもう少し違ったパターンが良かったな。これでは「青春〜」の6話とほとんど同じではないか。

 以下はいつものように「生まれてこなければ良かったなんて〜♪」と言う歌と共に、イメージシーンとなる。
 また仲良く机を並べて勉強している二人。
 遠藤君が消しゴムを彼女に手渡そうとする。彼女に貸そうとしているのか、借りたのを返そうとしているのかは不明だが、横合いから大岩の手が伸び、ニヤニヤしながらその表面に書かれてあるメッセージを読む。

 ラブレター絨毯爆撃以来、触れられなかった柴田の彼女作りについても、
 ラスト、墓に供えてある花を藤谷美和子の頭に挿してやる柴田。そんなもん挿すなよ。
 結局、藤谷美和子に臨時の彼女になってもらったらしい。
 ただし、あくまでアルバイトとして雇ったらしいが。

 藤谷さん、足首が細くてとても可愛いのである。
 お金を懐にしまい、柴田と仲良く腕を組んで歩き出す。
 そんな彼らを冬木と山川も応援している。
 墓の真ん中の坂を一緒に降りて行く、柴田のライバルとその彼女。ただ、ロングなのでライバルの彼女が可愛いのかどうかは分からない。

 しかし、ライバルがブレザーで、彼女がセーラー服、柴田が詰襟で、藤谷がブレザーって、よく考えたら変じゃない?
 もう一度、岡田さんと遠藤君の顔を映し、最後は例によって教師と生徒たちによるじゃれあい。
 おしまい。

 前半、斉藤さんがプレゼントにまごついたり、冬木たちがくだらないことに必死になってるのは面白いが、後半の展開がやや期待外れだったかな。



 

  第19話「まごころの叫び!」(1979年2月21日放送)

 だいぶ久しぶりの斉藤さんメインエピソード。監督は無論、斉藤光正氏である。

 冒頭、大岩が柴田たちに悪戯を仕掛けられるが、動物的勘で察知して逆に彼らを散々な目に合わせると言う、いつもの枕があり、
 直後、今度は大岩が男子女子連合軍によって罠に落ちると言う一幕がある。

 藤谷「だっはっはははっ、トカゲの感触はどぉでした? にゃははははっ」
 桜子先生の声帯模写(と言っても、由美かおる本人が喋ってるんだけど)で大岩を騙し、コロコロと喜ぶ藤谷さん。
 普通はそこで終わりそうなものだが、中学生のように元気の良い彼らは、今度は大岩が追いかける番になって、校庭をはしゃいで走り回る。と、ベンチで遠藤と仲良く勉強していた岡田さんもそれに巻き込まれ、目を白黒させる。

 ただ、放送は2月である。さすがにわざわざそんなところで勉強する奴はいないだろう。
 大岩は彼ら優等生など眼中になく、二人を挟んでワルガキどもに吠える。

 大岩「貴様らーっ、断固として許さんぞ!」
 まるで自分たちが怒鳴られたように、思わず立ち上がってしまう二人。

 二人の間を突き抜けて、大岩、柴田たちに向かって行く。
 結局、グラウンドで遊んでるだけなんだけどね。
 遠藤「なんだっちゅうんだよ」
 ひたすら呆れる遠藤に対し、
 岡田さんは何となく寂しそうな顔になる。
 そんなある日、真面目な木念は、C組の劣等生たちを指名し、昼休みに数学の補習授業をやるから参加しろと言いだす。
 ちなみに6話から今までの間に、女性陣は変化はないが、男性陣は冬木役の草川祐馬が結核で降板した上、次々と新しいキャラが加わってだいぶ顔触れが変わっている。

 藤谷「ええーっ春子もぉ?」
 最後に自分の名前も呼ばれて、驚く藤谷さん。

 彼女たち、木念が登校拒否になりそうなほど彼に夢中の筈だが、数学の補習と来ては話は別のようで、指定の教室に来ようともしない。無論、男子もサボタージュ。
 自分の熱意が伝わらず、凹む木念。
 一方、太平楽の大岩は、英語の授業中も脱線ばかりで、柴田たちは大喜びだが、授業を進めて欲しい岡田さんたち優等生はウンザリしていた。
 さすがにたまりかねて、遠藤たちは大岩に直談判する。
 遠藤「もっと真面目に授業をして下さい!」
 岡田「あたしたち、あと1年で大切な受験なんです。一日一日の授業があたしたちにはとても大切なんです」
 大岩「いや、だけどさ……」
 遠藤「真面目に、お願いします!」
 岡田「お願いします」
 と静かに言って、ペコリと頭を下げる。 
 大岩「分かった、分かったよ。だけどなぁ、学校ってのは受験のためだけにあるんじゃないんだぞ。大体高校時代ってのは一度しかない人生の中で一番大事な時期なんだ。そりゃ勉強も大事だよ……」
 いつもの「青春万能主義」を語り出そうとする大岩の機先を制し、

 岡田「先生の仰りたいことは良く分かってるんです」
 遠藤「でもね、先生、僕たちは現実に受験を控えてるんです……先生、授業はちゃんとやってください」
 口々に訴える生徒たち。
 岡田「お願いします……」

 最後にもう一度そう言って、頭を下げる岡田さん、その潤んだ瞳がたまらん。
 下宿の定食屋でそのことについて話している大岩たち。
 木念「そりゃ岡田や遠藤が主張するのは当たり前ですよ」
 大岩「あ、そう言えば岡田ちょっとおかしかったなぁ、今日」
 木念「それは先輩がふざけ過ぎるから」
 樹木希林「そうだねえ、だいたいあんたが存在してるってことがふざけてんだからさぁ」

 タバコをくわえて、きついことを言う樹木希林。

 あれこれ話しているうち、木念はやる気のない生徒たちはほっといて、岡田たちにあわせて授業を進めていくことにすると宣言する。大岩の方は、自分流のやり方で劣等生達に自信を持たせてやろうと考えていた。
 具体的には、ふきっさらしのグラウンドに柴田たちを集め、無理矢理そこで勉強させると言うもの。
 今は放課後なのだろう、岡田さんたち優等生は、木念の特別授業でカリカリお勉強。
 と、窓から大岩たちがわいわいがやがややっている声が響いてくる。
 その様子を何となく見ていた岡田さん、あんまり楽しそうなので思わず微笑む。

 しかしすぐ、木念に「岡田、どこ見てる? ここは特別教室だぞ」と、注意される。

 結局大岩たちは勉強なんかそっちのけで、肉まん(だと思うが)を買って来てわいわいやってるだけだった。
 そんな彼らを帰宅中の遠藤、岡田が土手の上から見ている。

 遠藤「ふざけてばっかりいて……」
 岡田「おほっごほっ」
 遠藤「どうかと思うよまったくぅ」
 遠藤「どうしたの?」
 彼らの様子をじっと見詰めている岡田さんの顔を覗き込む遠藤。
 岡田さん、尚も軽く咳き込みながら、その場を離れ難いような風情だった。

 翌日、教壇に座って出席を取っている大岩、岡田さんの名前を呼んで返事がないので、彼女がいないことに気付く。
 ……ただ、彼女の席は大岩の目の前なので、出席を取る前に気付くのでは?
 大岩「どうしたんだ?」
 遠藤「風邪だと思います。昨日くしゃみばかりしてましたから」

 彼女がしていたのは、だと思うんですけど。
 その日の放課後、大岩が遠藤を呼び止める。

 大岩「やっぱり岡田、風邪を引いたんだそうだ」
 遠藤「そうですか」
 大岩「ああ、見舞いに行ってやるんだろ?」
 遠藤「はぁ?」
 大岩「いやいやお前は岡田とは勉強仲間ではあるし、良きライバルでもあるから、喜ぶぜ行ってやったら」
 遠藤「そうでしょうか」
 大岩「そりゃあ当たり前だよ」
 遠藤「僕はそうは思いません。風邪で後れを取ってるのに、その上見舞いにまで来られてごちゃごちゃ言われたら、余計イライラします。少なくとも僕だったらそうです。彼女もきっと同じですよ」

 大岩にとっては思いも寄らない反応を示す遠藤。しかし、実際仲良さそうで、6話の件以来、その距離もだいぶ縮まっていたと思うので、この冷淡な言葉はちょっと不自然である。実際問題として、ひとりで女子の見舞いに行くと言うのは遠藤のような生徒には恥ずかしくて出来なかったかもしれないが。

 大岩は遠藤を必死に呼び止めようとするが、遠藤はそれを振り切って帰ってしまう。

 優しい大岩、今度はぼんくらたちに岡田さんの見舞いに行こうと誘う。
 しかし、彼らも優等生の岡田さんとは日頃まともに話しもしないので、消極的だ。

 大岩「お前らだってさあ、病気でひとりで寝てたらさぁ、誰かに見舞いに来て貰いたいだろう?」
 女子「でも喜ばないんじゃないの」
 大岩「いや、そんなことないよ」
 柴田「そんなことあるの! だいたいね、彼女は我々を軽蔑してるわけよね」

 彼らもゾロゾロ帰ろうとするが、
 大岩「ちょっと待てお前たち!」
 と、強い調子でソーリが止める。

 結局、彼らのうち何人かが(ジャンケンで負けたのかどうか)大岩と一緒に見舞いに行くことになる。
 しかし、岡田さん、そうやって大岩が無理に連れて行かなきゃ誰も見舞いに来てくれないと言うのは、ちょっと悲しい。
 で、風邪を召されている岡田さんのショットとなる。皆の者、頭が高い!
 ちなみ選抜チームは藤谷、柴田、山川など4人。

 大岩「どうだ気分は?」
 藤谷「どう、加減は?」
 大岩「こいつらがねえ、どうしても来たいってもんだからねえ、だけどごしゃごしゃごしゃごしゃ来るとさ、うるさいから、代表してこいつらが来たわけ」
 女性軍が途中で買ってきた見舞いを渡す。それは、モンチッチの人形だった。時代を感じさせるなぁ。
 と言っても、まだ発売されてあまり年数も経っていない、当時としてはかなり新鮮なキャラクターアイテムだったと思われる。
 岡田「可愛い、どうもありがとう」

 彼女の素直な反応を見て、
 藤谷「ほら御覧なさいよ、この人たちったらねえ、センスが悪いの。こんな大きななんだか知らないけどねえ、怪獣が良いとか言うんだもの」
 山川「何だよ、その言い方ぁ」
 と、病人の前で喧嘩を始めそうになる二人を大岩が宥める。
 山川「ねえソーリ、岡田さん、なんか病気の時の方がイカしてるね! 目など潤んじゃって」
 大岩「バカヤロお前」
 山川の頭をはたく大岩。
 二人がその顔を覗き込もうとするのに、岡田さん、恥ずかしそうに手で顔を覆ってしまう。
 さて翌日、すっかり元気になった岡田さん、いつになく楽しそうに登校している。
 後ろから藤谷さんたちが走ってきて挨拶を交わす。

 岡田「あたしぃ、凄く思い掛けなかった。あたしほんとは寂しかったの……嬉しかった、みんなが来てくれて! ほんとにありがとう」
 藤谷「やだわぁ、そんなこと仰っちゃあ、照れるじゃない!」

 まさか、ソーリに無理矢理連れて行かれたとは言えないのだった。
 その件をきっかけに、急に彼女たちと親しくなる岡田さん。彼女たちが読んでいる芸能雑誌にも興味を示し、
 岡田「ねえねえねえ、これ誰ぇ?」
 と、恐らく人気アイドルを指しているのだろうが、素朴な質問を発するのだった。

 藤谷「ええっ知らないのぉ?」
 岡田「うん」

 岡田の反応に大ハシャギする藤谷さんたちだった。
 ちなみに裏表紙に見えるのは、西城秀樹の「俺達いもだち」と言うポテチの広告らしい。
 そんな岡田さんの様子を、木念は信じがたいものを見るような目で見ていた。岡田さん、モンチッチのマスコットを落とし、それを拾った木念に「あ、どうもスイマセン」と言って受け取ると、木念など眼中にない様子で、春子たちの後を追って駆け出す。

 木念は、ちょうど居合わせた桜子先生から、見舞いのことを聞かされる。
 岡田さん、モンチッチがそんなに気に言ったのか、木念の特別授業中も、こっそり机の中から出して眺めていた。
 それに気付いた木念、当然怒る。
 木念「岡田!」
 岡田「はい」
 木念「何してんだ岡田? 授業に集中しなきゃだめじゃないか」
 岡田「すいません……」

 木念は、岡田さんが病欠後、勉強に身が入っていないと、ぼんくらたちを見舞いに連れて行った大岩に食って掛かる。
 彼女の変調は続き、前に出て問題を解こうとしてあっさり諦めてしまう。
 岡田「分かりません」
 木念「岡田!」
 岡田「あたしには分からないんです」
 木念「分からない筈はないだろう」
 岡田「本当に分からないんです」

 遠藤「先生、その問題なら僕が出来ます」
 遠藤が空気を読まない発言をするが、
 木念「今岡田に聞いてるんだ!」と、一蹴される。

 だが、遠藤は果敢にも「どうしてですか先生、どうして岡田君にばかり拘るんですか?」と食い下がる。

 木念はあくまで岡田を責め、「お前が授業に集中していないから、僕は君に関わってしまうんだ。お前のせいでみんなのペースが崩れている、やる気のないものはやめたまえ!」とまで言ってしまう。

 木念「いいかみんな、これは正規の授業ではないんだ。やる気のあるものだけがやればいい。やる気のないものはやめたまえ。それが特別教室のあり方だ」
 木念の厳しい言葉に、俯く岡田さん。必殺の「うるうる瞳で上目遣い」攻撃を放つものの、木念はすっと視線を反らし、教壇に戻ってしまう。
 何事もなかったように授業を再開する木念に対し、岡田さんはそそくさと荷物をまとめて教室から出て行ってしまう。

 遠藤「岡田君! 先生、いいんですか?」
 木念「遠藤、いいから席に戻れ」
 泣きながら廊下を走る岡田さんに、ソーリがでくわす。
 大岩「お、岡田、どうしたんだ?」

 しかし、彼女は無言で階段を駆け下りて行く。
 大岩「おい、岡田!」
 岡田さん、美しい夕陽を前に、「バカ、大野先生のバカ、バカ……」とつぶやく。
 カバンを抱いたシルエットが夕陽の下、歩いていく、一幅の絵のような美しさである。
 当然、そのことについて大岩が木念に説教しようとするが、いつになく意固地になっている木念は、自分の非を認めようとしない。
 大岩「岡田の気持ち考えてんのか? どんなに傷付いてんのか、お前分かってんのかよ?」
 木念「そんなの自業自得ですよ」
 大岩「なにぃ?」
 木念「岡田君子は反省すべきなんですよ。藤原たちとスター雑誌見たり、授業中ポーっとなんか見てたり、あれじゃあ受験戦争勝ち抜けないでしょう?」

 木念の剣幕にみんなが戸惑う。

 篠ひろ子「女の子だったらスター雑誌に興味を持つのはごく自然だし」
 樹木希林「そうよねえ、それくらいで教室から追い出しちゃうなんてやり過ぎじゃないのぉ?」

 周囲からも意見されて、木念はますます頑なになり、ガミガミと喚いて岡田奈々さんにまで嫌われてしまう。
 大岩も怒って2階に引き揚げた後、篠ひろ子が控え目に、だが核心を衝いた意見を述べる。

 篠ひろ子「ねえ木念さん、一番の犠牲はその岡田君子さんって言う生徒さんじゃないかしら……木念さん、その生徒さんのことで大岩先生と張り合ってるんじゃない? すこぉし分が悪いのかなぁ木念さんのほうが」
 さらに、「嫉妬してるんでしょう、木念さん?」と言う一言に、木念が固まる。
 岡田さん、いつものように登校拒否になったわけじゃなく、普通の授業にはちゃんと出ていた。木念の数学の授業で、手を挙げるが、木念は少し考えた末に遠藤を指名する。
 それまでに同様のことが繰り返されていたのだろう、岡田さん、スッと立ち上がって抗議する。
 岡田「先生、どうしてあたしを指してくれないんですか? 先生、あたしを無視してます。先生に無視されています」
 木念「そんなことはない!」
 岡田「いいえ、そうです!」
 木念「黙りたまえ!」

 木念の激しい言葉に、教室が静まり返る。
 岡田さんも凍り付く。

 木念「僕の授業が不服なら勝手にしたまえ。そんな生徒に教える気はない。出てけっ!」

 岡田さん、再び無言で教室を飛び出してしまう。
 これにはさすがに他の生徒たちも「ひどいですよ」「やり過ぎだよ」と口々に抗議する。
 木念「いや、僕は、僕は……」
 自分の失言に、度を失う木念であった。

 このことについては教頭たちにも叱られるが、彼は「僕は何も悪いことはしてないーっ」と叫びながら職員室から逃げ出してしまう。中学生か?

 大岩や桜子先生は、木念の行方を捜して駆けずり回る。
 思い余って大岩は、岡田さんの自宅を訪ねるが、
 岡田「いいえ、来てません……」
 大岩「そうか」
 岡田「何かあったんですか?」
 大岩「うん、ちょっとね。すーっふーっ、なぁ岡田、あいつを許してやってくれないか。本心からじゃないんだ。後悔してんだと思うよ。許してやってくれ、岡田」
 大岩は木念のために許しを請うが、岡田さんは「失礼します」と家の中へ入ってしまう。

 その後、あちこちを徘徊しながら、反省する木念。しかし、バックに神田正輝の挿入歌「まごころ」が流れるので台無しである。
 木念、雪の降る中、岡田さんの自宅を訪ねると、外出先から帰ってきた岡田さんと鉢合わせする。

 恐らく本屋からの帰りだろうが、胸に抱えている雑誌は「高2コース」この初々しさ、たまりませんね。
 木念はくどくどと岡田さんに謝るが、最後に「さみしかったんだ」と本音を漏らす。それを聞いた岡田さんの瞳が再びウルウルする。

 木念「今まで僕の方針についてきてくれたお前が、急に先輩のところへ行っちゃうような気がして……岡田、許してくれるか?」
 岡田さん、無言で足元の石を転がしたりしていたが、やがて意を決したように、口を開く。

 岡田「先生……」
 その笑顔を見て、木念は思わず、
 「許してくれるかーっ?」と、土下座してしまう。順番が逆です。

 岡田「先生、やめてください。……先生、この先に、お寺があるんです。階段があるの。割と長い長い階段があるんです。そのてっぺんまで、競走しよう先生!」

 岡田さん、突拍子もないことを言い出す。
 木念、そう言われて正直「なんでそんなことしなきゃいけないの?」と思うが、岡田さんのとろけるような笑顔の前にはただ頷くことしかできなかった。
 子供のように「よおし!」と、地面に棒でスタートラインを引き、

 岡田「先生いいですね……よーい、ドン! ……って言ったら走るんですよ
 と言う、百億年前のギャグを言ってしまい、木念が激しくずっこけて死亡すると言う悲劇が起き……ません。
 全力で楽しそうに競走する二人の姿を映しつつ、「うーうー、生まれてこなければ良かったなんて〜」と言う中村雅俊の歌が流れ出し、エピローグとなる。

 ここは、階段もしっかり駆け上っている。若いっていいよね。管理人が同じことやったら、死ぬだろうな。
 その後、大岩たちの待つ定食屋に、何故か木念と一緒に岡田さんも少し照れ臭そうに顔を出す。
 イメージシーンなので、台詞などはないが、岡田さんが篠ひろ子たちと顔を合わす珍しいシーンとなっている。彼女が定食屋に来るのって、確かこのシーンだけじゃなかったかなぁ? 違ったかな。
 すっかり仲直りした二人、朝の登校時にも、かけっこをしている。
 それを見て後続の生徒たちまで走り出すのがいかにも青春ドラマ。犬かお前らは?
 最後、砂浜に立っていた岡田さん、パッと振り向くと、クラスメイトが突撃してくる。
 彼女もすぐ駆け寄るが、向こうから飛んできたサッカーボールを受け止め、すぐに空に放り投げる。

 ここ、小さくて分かりにくいが、躍動する斉藤さんの足首、ふくらはぎが見られる貴重なショットになっている。
 最後はいつものように四行詩が出てきて幕。

 で、結局「まごころの叫び!」と言うのは、たまには友達と遊びたい! と言うことだったんだろうか?

 とにかく、「青春〜」と比べてこの作品は斉藤さんのメインエピソードが少なく、まだ全体の話数は半分以上残っているのに実質的にはこれが最後になる。部分的に彼女がクローズアップされる回はいくつかあるけどね。



 

  第27話「ああ夕日丘に陽が落ちて!」(1979年5月9日放送)

 珍しく日曜の大岩や木念、柴田や岡田さんたちの姿をスケッチ的に描いたエピソード。

 冒頭、日曜とはいえだらしなさ過ぎる大岩に、木念が呆れ果てて下宿を飛び出す。
 春子たち4人も恋人もなく、することもなく、砂浜で暇を持て余していた。

 春子「でもさあ、変だと思わない? あたしたち4人組に恋人がいないのは分かるけどさぁ! でもどうしてあんなに素敵な桜子先生に恋人がいないのかしらねえ!」
 他の三人も同意する。

 春子「ああ、いいこと考えちゃった!」
 3人「なんなのよーっ」
 一方、岡田さん、日曜にも拘らず机に向かって勉強していたが、やがてどこかへ出掛けようとする。
 キティちゃんのバッグが可愛いのである。

 だが、まるで助監から合図でも出ているかのような絶妙な間合いで、

 母「たまの日曜くらい家にいてくれたっていいじゃないですか」
 父「仕事だって言ってるじゃないか」
 母「どうだか分かるモンですか」
 父「なにぃ俺の言うことが信じられないのか」
 母「信じられませんね」
 父「なにぃもう一遍言ってみろ!」
 母「信じられませんね」
 父「もう一遍言ってみろ!」
 母「信じられませんね」
 父「よし、もう一遍言って……」
 母「うるせっ」

 と、壮絶な口喧嘩を始めるが、途中から嘘である。
 ちなみに、岡田さんの父親役は勝部演之氏なのだが、ここの声は全然別の人が演じているようだ。と、すれば、母親も違う人かな。
 折角出掛けようとしていたのに、出鼻を挫かれた格好になり、腐ってしまう岡田さん。
 春子たちは、桜子先生に彼氏を作ってあげようと余計な世話を焼こうとする。彼女たちは木念先生ファンだったが、涙を呑んで木念と桜子を結び付けようとする。

 春子「(うまく)行くってば、あのね、あたしにいい考えがあるの。でぃー、カモンカモン、でひひっ」
 斉藤さんとは違うタイプだが、この作品の藤谷さんもめっちゃ可愛いよね。

 彼らは何事か作戦を練り、二組に分かれて元気に行動開始。
 一方は、桜子先生に会わせたい人がいると自宅へ押しかける。
 一方の春子たちは木念のところへ行くのだが、大岩が目敏く彼女たちに気付いてしまう。

 大岩「わーっ!」
 春子「あー、こ、こにゃにゃちは」

 春子、可愛すぎ。これはちゃんと台本にそう書いてあったのかなぁ?

 大岩「あんまり俺を追い掛け回すなよ。明日になればまた会えるじゃないか」
 大岩は、彼女たちが自分に会いに来たものとばかり思い込む。

 結局、大岩は春子たちの計画を知ってしまう。
 なお、この前のシーンで大岩が読んでいるのは、原作である「ゆうひが丘の総理大臣」である。
 大岩は強引に桜子先生が待っているところにやってくる。

 大岩「あの娘たちを叱らないでやってください。あの娘たちは純粋な気持ちでしたことなんですから」
 大岩の白々しい言葉に、アホ顔をしてみせる春子。可愛い(こればっかりだな)。
 さて、優等生キャラの来るところといえば、本屋か図書館と相場は決まっていて、大岩から逃れた木念は、図書館でぼんやりしている岡田さんを見掛ける。
 木念「どうしたんだ、ぼんやりして、心配事があったら話してみないか」
 岡田「なんでもありません。折角の日曜日なのにどうして狭い部屋に閉じこもってなくちゃならないのかなって、そんな風に思ってたんです。それだけです」
 木念「お前、編み物できるか? 男の癖にって思われるかもしれないけど、僕はこれでも編み物は得意なんだ」
 木念はそう言うときは何も考えずに編み物をするとよろし、とアドバイスをする。

 聞き流す岡田さん。

 岡田「あたし編み物なんて嫌いです。それより先生、どこか連れてって下さい。思いっきり羽根伸ばしたいんです」
 木念「どこかって、どこへ?」
 岡田「どこでもいいんです、連れてって下さい」
 彼女の真意を測りかねて、戸惑う木念であった。
 (まさか、セックスしよう、と言ってるんじゃあるまいな……)

 さて、大岩は桜子先生と二人きりになりたいのだが、春子たちがついてくる。結局、桜子だけでなく、春子たちにも食事をご馳走させられることになる。
 続いて、映画に行こうと言うことになったが、大岩にはもう金がない。桜子たちは大岩を残して彼女たちだけで映画を見に行ってしまう。

 一方、柴田たちのところへかつての仲間で、今はがり勉の山本がやってきて、「ピンク・レディ」に会いたいなどと訳の分からないことを言い出す。柴田たちは「俺たちみたいなのとつるんでないで、勉強した方がいい」などと山本に勧める。山本は怒ってどこかへ行ってしまう。

 で、木念たちは小さな遊園地に来ていた。
 木念「どうしたんだ、ちっとも楽しそうじゃないじゃないか。ここに来ようっつったのは君の方だぞ」
 岡田「なんだか悪くって……今勉強してる遠藤君たちに」

 桜子たちは繁華街へ来るが、まゆみが映画館の前にがり勉の遠藤の姿を見掛けて、不思議に思う。他のみんなは彼がこんなところにいるわけがないと頭から否定する。

 映画館の前で、遠藤は山本に声をかけられる。
 木念、アイスを買って戻ってみると、ベンチに岡田さんの姿がない。あちこち探していると、売店の前で子供の万引き騒ぎが起こっていた。その目撃者が、岡田さんらしいのだが。……微妙に可愛くないお子様だ。

 大岩、ほんとにひとりで下宿に戻って岡田奈々や樹木希林に八つ当たりしていた。そこへ、遠藤の母親から電話があり、不承不承家へ行くと、息子の様子がおかしい、今日行われている模擬テストも受けていないと典型的な教育ママ風の母親に相談される。
 その遠藤は、山本と二人でがり勉特有の悩みについて語り合っていた。

 山本「遠藤君、ピンク・レディーって二人組みだって知ってました?」
 遠藤「えっ、まさか!」
 山本「そうだったんですよ。今日柴田君たちが言ってました」
 遠藤「そうだったのか……」

 二人とも、ピンク・レディーがひとりだとばかり思っていたらしいが、いくらなんでも嘘だろう。それくらいだったら、そもそも、ピンク・レディーと言う歌手自体、知らないだろ。

 二人は意気投合して、ゲーセンや喫茶店へ行って、ゲーム(もぐらたたき、インベーダーゲーム、スロット)などを心行くまで堪能するのだった。
 そして、意を決してレコードショップへ入る二人。ピンク・レディーのレコードを買おうとするのだが、そもそも誰がピンク・レディーなのかも分からないので立ち往生する。そんな奴おらへんやろ。

 しょうがないので、ちょっと綺麗な店員さんに直接聞く。
 遠藤「ピンクレディ下さい!」
 店員「はあ?」
 遠藤「あの、ピンク・レディーって人のレコード下さい」
 店員「曲名は何ですか?」

 しばし顔を見合わせた後、
 遠藤「ピンク・レディーです……」

 大岩は、ほっつき歩いていた柴田たちにも手伝わせて、遠藤や山本たちを探し歩く。
 ちなみにこの一連のシーンのBGMは、ピンク・レディーの「カメレオン・アーミー」である。

 ショップのお姉さんをさんざん梃子摺らせ挙句、二人は念願の「ピンク・レディー」をゲットする。
 で、買ったのはシングルの「ジパング」と、ピンク・レディーのアイドル雑誌だった。
 初めてピンク・レディーを見た二人は、
 「凄いねえ」と、頷き合うのだった。

 もっとも、ピンク・レディーの人気はこの当時既に絶頂期を過ぎていたようで、この「ジパング」(79/3/9)は初登場4位と、オリコンチャート連続首位記録が途絶えた曲なのである。

 大岩たちは、桜子たちとも合流し、みんなで二人を探し回る。
 木念と岡田さんは、結局万引きした子供と一緒に派出所に来ていた。

 事情を知る警官(谷村昌彦)によれば、子供は近所に住んでいるのだが、両親が共稼ぎでしょっちゅう家を空けている。しかも夫婦仲が悪い。子供が万引きをするのは、万引きをすれば親が迎えに来るので、孤独な子供としての「精一杯の知恵」だろうとも。
 はや日が傾いてきたが、大岩たちは依然、遠藤と山本の行く先を掴めないでいた。
 車座になって話し合っているうち、大岩が学校にいるのではないかと思い付き、走り出す。
 さて、また派出所。警官はもう引き取っていいと言うが、

 岡田「もう少し、もう少しいさせてください」
 と、その場に留まる。

 岡田さんは無論、子供の境遇に自分の境遇を重ね合わせているのだ。
 大岩たちは無人の学校へ到着、手分けして二人を探す。

 と、音楽室からピンク・レディーの曲(ジパング)が聴こえているのに気付いた大岩、こっそりと中を覗く。
 遠藤と山本は、買ったばかりのレコードをかけ、アイドル雑誌の振り付け図解を見ながら踊っていた。
 ……なんとなくむかつく。

 しかし、男二人でこんなことして楽しいのだろうか?
 少年時代、アイドルなどには全く興味のなかった管理人には良く分からない心理である。

 まあ、当時はカラオケボックスもないしねえ。
 やがて、他の生徒たちも気付いて部屋に入ってくる。
 ここでやっとギャラリーの存在に気付いた二人、とても気まずい。

 柴田たちは拍手喝采すると共に笑い声を上げる。
 二人はバカにされたと思い込み、不愉快そうに学校を出て行く。
 大岩たちは彼らに追いつき、

 大岩「遠藤、山本、こいつらが笑ったのは別にお前らをバカにしたからじゃないんだ。嬉しかったんだよ。お前たちが一所懸命踊る姿を見てさ。俺も桜子先生も、ここにいるみんながさ。すんごく嬉しくなっちゃんだよ。お前たちが本当の姿を俺たちの前に見せてくれてさ」

 生徒たちも「嬉しかったんだよ」と、口々に言い、二人はコロッと機嫌を直すのだった。簡単だな。
 ちなみにこの二人に関するエピソードは、岡田さんの同様の心情を描いた19話の男子版とも言えよう。

 一方、母親が迎えに来るまで派出所に残っていた木念たち。
 母親に手を引かれて帰りかけていた子供が引き返してきて、岡田さんに万引きした(後で買い取ったのだろう)お菓子を差し出し、
 子供「お姉ちゃーん」
 岡田「ありがとう」
 子供「さよならーっ」
 定番の砂浜へ来る二人。

 岡田「先生、あたしもう少しであの子を思い切り打つところでした。弱虫って怒鳴って……あたし、弱かったんです。自分でもどうしたらいいのか良く分からなくて……しっかりしてるつもりなのに、心がふらふら動いて、それを両親のせいにしてたんです。あの子を見て私………すいません、先生をずっとつき合わせて勝手ばかり言って」
 木念「僕はいつでも付き合うぞ。またふらふらしたら、いつでもおいで」
 岡田「ありがとう先生、先生、今度編み物教えてください!」

 だが、木念は「ははっ、あれは嘘だ」と明かす。
 一瞬、怒ったような表情になるが、すぐ笑顔に戻る岡田さん。

 うーん、やっぱりこのヘアスタイルは、おばさんっぽくてイヤだなぁ。
 その後、仲良く土手を歩く二人。岡田さんが向こうから来る大岩たちに気付く。

 岡田「大岩先生!」
 木念「先輩!」
 木念「せんぱーい!」
 大岩「あっ」
 木念の声に、大岩たちも気付く。
 木念「行こっ」

 互いに駆け出して合流する二組。その際、岡田さんが遠藤とハイタッチをするのが見える。

 こういう場合、柴田なんかは木念と岡田さんのことを冷やかしても良さそうなものだが、ま、二人ともガチガチの真面目だし、二人一緒にいるのも珍しくない光景だったのだろう。
 大岩「どうしたんだよ、図書館行ったんじゃないのか」
 木念「行きましたよ、ちゃんと。それよりどうしたんですか、みんな揃っちゃって、何かあったんですか」
 大岩「いや、別に。なっ?」
 桜子「多野先生の方は如何でした?」
 木念「何もぉ、別に……いつもの通り静かな日曜日でしたよ。なぁ岡田」
 岡田「はいっ」
 大岩「そうかぁ、今日は別に何もなかったけど、なんとなく楽しかったな!」

 大岩の言葉に盛り上がる生徒たち。柴田の音頭で海へ繰り出す。元気だね。
 この辺から「生まれて来なければ良かったなんて〜」と、中村雅俊の歌が流れ出す。
 で、みんなでピンク・レディーの振り付けをすると言う、割と恥ずかしいことをやる。

 思いっきり海が荒れてるけど。

 さっきの木念たちの見ていた海とはだいぶ違うから、撮影は別の日だったのだろうか? あるいは時間帯が。
 ここは是非、岡田さんの振り付けが見たかったところだが、他の人の陰になってほとんど見えないのが残念だ。
 ロングショットで見る限りでは、なかなか上手そうだ。
 ま、そこまでは良いのだが、調子に乗って、全力で騎馬戦を始めるのは是非止めて頂きたかった。
 さすがにこんな青春ドラマみたいなことをする奴はいない。……ま、青春ドラマだからなぁ。
 その夜、昼間のことを思い出して微笑みつつ、机に向かっている岡田さん。
 今回の四行詩。

 あくまで今回の主役は遠藤と山本で、岡田さんのエピソードは添え物的な扱いであるが、後半は彼女の出番が著しく少ないので、貴重な素材である。



 

  第28話「カンニング危機一髪!」(1979年5月23日放送)

 下宿の定食屋にて。学力テストを間近に控えて、真面目な木念は教えたことがちゃんと生徒に身に付いているのか悩んでいるが、逆に大岩は生徒たちがテストで苦労するのが楽しみでしょうがないと笑いを堪えるのに必死だった。
 木念「不謹慎なんだ、先輩は」
 ふく(樹木希林)「ああ、不謹慎がご飯食べてるよ……」
 大岩「何言ってんのおばさん、これは教師の楽しみのひとつなの! 柴田たちの渋い顔を想像すると……ふふふふふふふっ」
 そんな大岩の様子を見て呆れる木念。
 学校へ行く途中、その柴田たちぼんくらグループが橋の上で何か憂鬱そうな顔を並べている。
 大岩「どうしたんだよ、何悩んでるんだぁー?」
 柴田「なかなか点数があがんなくてねー」
 大岩「こういうことは毎日ちゃんとやんなくちゃなー! ま、それに気が付いただけでも上出来だ」
 二人は当然、こいつらがテストのことを話しているのだと思っていたのだが、
 柴田「よーし、ソーリの言うとおり、急にやってもダメ、毎日ちゃんとやるかぁ! スペースインベーダーを!
 と、きっちりオチがつく。
 山川「やっぱりさ、名古屋撃ちやってても、300UFO狙わなくちゃダメだな」
 柴田「うん、やっぱり、ソーリに相談してよかった!」
 元気を取り戻して学校へ走る柴田たち。

 懐かしい……と言いたいところだが、管理人は記憶している限りでは、「スペースインベーダー」を遊んだことがないので、いまひとつピンと来ない。
 同じく「インベーダーゲーム」などやったこともないであろう優等生二人は、朝からお勉強。
 岡田「明日からの実力テスト、マークシート方式ですって」
 遠藤「うん、共通一次に慣らす為に、そうしたらしいよ」
 岡田「じゃ、頑張らないとね!」

 後ろの方で、柴田たちの騒がしい声がする。
 山川「やっぱりよー、23発目のUFO撃たないと点数あがんないんだよー」
 柴田「だからさ、名古屋をやりながら300点UFOを出せるようになれば満点は出るんだよ、なぁ?」
 自分たちの悩みとあまりに懸け離れた太平楽な話題に、冷ややかな目を注ぐ遠藤。

 この「共通一次」と言う言葉も時代を感じさせる奥ゆかしい言葉である。若い人にはなんのこっちゃ? だろうが、現在の「センター試験」の前身である。
 その日の授業が終わった後、
 大岩「明日から4日間、お前たちが待ちに待った学力テストが行われる。受験校選択の基礎資料になるテストだから、頑張れよ」
 と、生徒たちに告げて激励する大岩。しかし、実力テストが4日間と言うのはかなりきついな。

 山川などはテストがあることすら忘れていた様子だったが、柴田は妙に自信ありげだった。
 もっとも、山川は最初から卒業後は家業を継ぐつもりなので、成績などはあまり気にしていないのだけどね。

 大岩「柴田、山川、お前たちも一応、頑張れよ」
 言い捨てて教室を出て行く大岩。
 山川「一応だって、随分だと思いません?」
 明日テストだと聞かされたばかりだというのに、柴田たちはゲーセンへ行こうと教室を飛び出す。
 引き続き彼らに軽蔑の眼差しを送る遠藤に、岡田さんが優しい声で話しかける。
 岡田「ねえ、今日塾行くんでしょう?」
 遠藤「うん」
 岡田「一緒に行きましょうか?」
 こんな子が隣にいる高校生活、ワシも送りたかった……。
 インベーダーゲームのプレイ画面もちゃんと出てくる。
 現在のゲームに慣れた人からすると、ありえないシンプルさであるが、
 こんなゲームにも熱中できた、おおらかな時代であった。
 ちなみに「名古屋撃ち」と言うのは、インベーダーを目の前に引き寄せてから撃つ方法だったっけ?
 画面上端に見えるのが、300点UFOなのだろう。

 ゲームオーバーになり、仲間からボロカスにけなされる山川。
 かなり遅くまでゲームに興じていた柴田たち、夜の通りを歩いていると、
 柴田「おいっ」
 柴田が何かを見つけて声を上げる。
 山川「なんだ、なんだよ」
 柴田の視線の先には、チンピラに絡まれているらしい遠藤と岡田さんの姿が!
 チンピラは二人を物陰に連れて行き、金を出すよう脅す。
 遠藤君ったら、愛しの岡田さんが見てる前だと言うのに、速攻で財布を取り出して金で解決しようとするのだった。

 だが、「おいっ金なんか渡すことないぞ!」と、柴田の頼もしい声がして、みんながどやどやと助けに来る。
 仲間の一人はめちゃくちゃ喧嘩が強いし、数も多いので、普通に戦っても勝てただろうが、山川が「おまわりさーん!」と大声を上げたため、チンピラはさっさと逃走する。
 柴田「大丈夫か、遠藤?」
 岡田さんはクラスメイトの出現に素直に喜ぶが、遠藤、劣等生に助けられたのが悔しかったのか、
 遠藤「誰が助けてくれっつった?」
 と、随分なご挨拶。
 岡田さんも思わず「遠藤君!」と声を出す。

 遠藤「君たちになんか助けて貰いたくないよ」
 さすがに柴田たちの表情もこうなる。

 遠藤「学生の癖に、勉強もしない。試験の前でも街をふらふらしてるような人間に助けて貰いたくないよ!」
 これは普段から、柴田たちに言いたかった台詞だろうが、いくらなんでもタイミングが悪い。
 激昂して遠藤の胸倉を掴む生徒もいたが、柴田が落ち着いて制止する。
 岡田「そんなこと言うもんじゃないわ、遠藤君」
 遠藤に「人の道」を教える岡田さん。ま、岡田さんも助けて貰ったのにちゃんと礼を言ってないんだけどね。

 柴田「お前が勉強を好きなようになぁ、俺たちはこうやってふらふらしてるのが好きなんだよ。じゃあな、気をつけて帰れよ」
 柴田は怒るでもなく、淡々と言葉をかけてから、その場を離れる。
 その後、何かをやり遂げたような顔になる遠藤。

 岡田「遠藤君……」

 (どこ見てんのよ、この男は……)※管理人の妄想です。
 さて、いよいよ始まった学力テスト。
 初日の最初のテスト「世界史」の試験官は小松政夫だったが、テストが配られた後、柴田たちが仕掛けておいた目覚まし時計のベルの音がけたたましく鳴り出し、教室がパニック状態になる。

 で、その隙に、教科書などをガンガン見る柴田たち。彼らは最初からカンニングをしまくるつもりだったのだ。
 ただ、学力テストで無理して良い点とってもしょうがないと思うんだけどね……。
 その騒ぎの中、小松政夫は色んなギャグ的なことをするのだが、笑えない……。
 小松政夫のキャラ、どうもこのドラマではスベリまくって浮いてる気がする。
 そんなこととは露知らず、真面目にテストに挑む優等生コンビ。
 遠藤も、心なしかいつもより男前になっている。
 柴田たちはその後も小松政夫の目を盗んでは教科書を見、大岩がびっくりするほどの高得点を挙げる。
 ちなみにマークシートと言っても、ここでは機械ではなく人間が採点するようだ。実際の「共通一次」は機械だろうが、普通の高校にはそんな設備はないのだろう。

 だが、教頭や小松政夫はすぐにカンニングをしたのではないかと疑うが、
 大岩は「ま、それがテストの面白いところですよ。たまたま前の日に目を通したところが出たとか、ヤマが当たったとか、ま、結局ぅ、テストってのは水物ですからね」と、あくまで柴田たちを信じていた。
 木念と帰りながら、そのことについて話し合う大岩。
 木念「僕は心配だなぁ」
 大岩「なんだよ、カンニングしたってのか?」
 木念「うーん、断言は出来ないけど、その可能性はあるでしょ。それじゃなくても、柴田たちを目の仇にしてるんだから、教頭は」
 疑われているとは知らない柴田たち、柴田のアパートに集まって祝杯を挙げていた。無論、二日目以降もやる気マンマンで、
 柴田「カンニングの天才、柴田君に任せてもらおうかぁっ!」
 アパートの通路を柴田の部屋へ近付いてくる人影があった。大岩である。なんだかんだ言っても、気になって様子を見に来たのだろう。ドアをノックするが、応答がない。
 その時、彼らはカンニング用のメモを作成するのに夢中だった。
 ま、これはこれで勉強になるとは思うけどね。
 鍵が開いていたので、大岩はそっとドアを開けて覗き込む。
 遠目には、いかにも勉強している風の柴田たちの様子を見て、ニカッと笑う。
 大岩「おおっ、やってるなっ」
 大岩が声を掛けると、当然、ギクッとなる柴田たち。
 柴田「ソーリ……」
 大岩「おー、ノックの音に気が付かないくらい真剣に勉強したか、結構結構!」
 山川「あの、どうしたの今頃?」
 大岩「いや、いいんだいいんだ、ゴーアヘッド!」
 そこに腰を落ち着けてしまう大岩の存在に気が気でない柴田たち。
 柴田「何か、用事があって来たんじゃないの?」
 大岩「うんっ? うん……まあな」
 柴田「なんだよー、ソーリらしくないなぁ。ハッキリ言えよ!」
 柴田に促されて、大岩は言おうか言うまいか迷っている風情だったが、
 大岩「いやぁ、今日のテストさぁ、おまいたち点数良かったんだよ……ま、それでちょっとな……」
 言葉を濁す大岩に、山川たちはカンニングしたと疑っているのかとわざとらしく食って掛かる。
 大岩「ああ、テストはあと三日だ、今日の調子で頑張れ」
 大岩は柴田たちを励まして部屋を出て行く。
 山川たちはすぐカンニングの準備を続けるが、根は真面目でナイーブな柴田は(カンニングを)「やめるか」と言い出す。
 ただ、仲間たちに明日から急に点数が下がったら、逆に疑われると反対される。

 翌日、「地理」の試験官はその大岩だった。
 さすがに鋭い大岩には、小松政夫の時のような手は使えず、袖口や椅子の上、
 一見白紙だが、色を塗ると文字が見える紙や、鉛筆の間などに仕込んだメモを盗み見るとと言う古典的な手法を採る。
 袖口や椅子の上はともかく、紙はすぐばれるし、鉛筆の間では情報量が少な過ぎてあまり意味はなさそうだが。
 山川は、カードを机の中に仕込み、回転させては見ると言う方法。
 その不審な動きに大岩が気付き、何気なく近付く。
 山川「うん、どうしたのソーリ?」
 大岩「いや、なんでもないよ、あ、続けて」
 教壇に戻っていく大岩を見て、山川はすぐにまたそのカードを出すが、
 大岩が素早く振り向いた為、山川は慌ててカードを戻そうとして、中途半端な位置で止まってしまう。
 大岩は黙って山川の頭にげんこつを落とす。
 その後、芋づる式に柴田たちのカンニングもばれ、学校の裏山で正座させられる。
 大岩「やっぱりやっていたかお前たち、しかもこんなちゃちい手で! 山川ーっ!」
 山川「ごめんなさい!」
 大岩「ようし! 前島、反省してるかーっ」
 大岩はひとりひとり謝罪と反省をさせる。
 大岩「みんなどうなんだぁ?」
 全員「反省してまーす!」
 大岩「ま、今回だけは大目に見てやろう。これからはやるなっ!」
 大岩の寛大な言葉に、山川たちは口々に二度とカンニングはしないと宣言する。
 大岩「そうか、よーし」
 その様子ににっこりする大岩。
 下宿でそのことを聞かされた木念は、当然異論を唱える。
 木念「不正行為には厳しい姿勢で臨むべきですよ! 高校生として自分の取った行動には責任を取らせなくちゃ!」
 大岩「あいつらがカンニングしたってのはさ、俺たち教師にも責任があるんだよ」
 木念「俺たちにも?」
 大岩「うん、年がら年中試験をやってさ、学校を面白くなくしてるのは俺たち教師の責任だろうが……あいつらだけ責めるのは片手落ちなんだよ」
 大岩の独特の持論に(そうかなぁ?)と言う顔になる木念。相手が先輩なので口に出しては何も言わない。

 しかし、学校がつまらないからって、不正をして良いと言う理由にはならないと思うが。

 さて、カンニングはしないと誓った柴田たちだが、依然、残りのテストで急に成績が下がると最初のカンニングが発覚するのではないかと懸念していた。こうなったら、今から勉強して実力で点を取るしかないのだが、
 山川「だいたいよー、俺たち自慢じゃないけど基礎がなってねえからなーああ」
 柴田「教えてもらうか」
 柴田の言葉にみんな振り向く。
 山川「教えてもらうって、誰に?」
 柴田「遠藤だよ」

 柴田の口からここでやっと遠藤君の名前が出る。何故、岡田さんじゃないのかと言うと、そう言うシナリオだからである。
岡田さんなら、この間のこともあるし、優しく丁寧に教えてくれただろう。
 もっとも、柴田からすれば女の子にそんなことを頼むのは気が引けたのかもしれない。
 前島「だめだーありゃー、教えてくれるわけねえよ」
 柴田「だってあいつに頼むよりしょうがねえだろー」

 翌日、三日目のテスト終了後、小松政夫が血相変えて教室へ駆け込んでくる。
 小松「柴田、山川、前島、大宮、木下、針山!(おっ、そう言う名前だったのか) 教頭先生が呼んでおります!」
 ただならぬ雰囲気に、その場にいた木念が大岩にすぐ知らせる。二人が職員室へ来ると、教頭たちが柴田たちをカンニングしたと糾弾していた。
 根拠は、その日やった英語のテストの2問目と3問目の答えが6人とも同じと言うものだった。うーむ、説得力がない。ほとんど全ての問題が同じ、と言うのならまだしも。

 柴田「信じてくれよソーリ、俺たちはカンニングなんかしちゃいないんだ」
 山川「昨日、反省して勉強したんだよ、ソーリにばれた後でさぁ」
 小松「ばれた後で?」
 余計なことを口走ってしまい、泥沼に陥る山川たち。
 大岩も、そのことを知っていたことを認める。
 一度はカンニングしたことを認めながら、今日のテストは絶対不正はしていないと主張する柴田。
 ……ま、今日やろうがやってなかろうが、カンニングをしたのは揺るがない事実なのであるが。

 教頭「私には信じられないのである。君たち超劣等生が一日勉強したくらいでこんなに良い点数は取れないのである!」
 柴田「いや、それは……」
 教頭「それはなんですか?」
 柴田は言葉に詰まって答えられない。
 教頭「君たち6人は明日の最終テストは受けなくてよろしい」
 大岩「教頭……、そこまでしなくてもいいんじゃないですか」
 教頭「大岩先生、君も退職願の書き方を練習しておき給え」
 柴田たちは不貞腐れたような顔で職員室を出て行く。
 大岩と木念が追いかけて、連れ戻そうとするが、
 柴田「構わないでくれよ! どうせ俺たちの蒔いた種だからなぁ。気にすんなよ」
 大岩「おい、柴田……」
 柴田たちはさっさと帰って行く。そこへ、遠藤がやってきて大岩たちに自分が柴田たちに勉強を教えたと話す。ドラマでは省略されていたが、あの後、柴田たちは遠藤の家へ押しかけ、集団で勉強したのだろう。
 大岩「また、どうして?」
 遠藤「借りを返しただけです」

 いちいち言うこと(だけ)がかっこいい遠藤君。
 彼が例のことについて説明すると、
 大岩「そうか、そうだったのか」
 柴田たちが実力で好成績を取ったことを知り、嬉しそうな大岩。
 柴田たちは柴田の部屋に集まり、自分たちの処分について暗い見通しを話し合っていた。
 柴田「今度はほんとに、覚悟しといた方がいいぜ」
 柴田たちが退学になるのではないかと言う噂は、早くも翌朝の教室に飛び交っていた。
 岡田「どうにかならないのかしら、柴田君たち?」
 遠藤「どうにもならないよ、カンニングしたんだから」
 岡田「でもぉ……」
 遠藤「自業自得だよ!」
 冷たく切り捨てる遠藤だったが、その表情は複雑だった。

 大岩は、木念に教頭たちを説得するよう頼み、自分は柴田たちに何とかテストを受けさせようと彼のアパートへ押しかける。
 柴田「しかしソーリもしつこいなぁ。テストなんか受ける気ないって、そう言ってるだろう」
 大岩「お前がその気になるまで、俺はここを動かんぞ」
 やがて、山川たちもやってきて、大岩の姿を見て驚く。

 大岩が引き摺ってても彼らを学校へ連れて行くと言うが、山川たちはどうせもう間に合わないと、投げやりな態度。
 前島が「行きたかないんだよ〜」とつぶやくと、大岩はその顔を引っ叩く。すぐ手を出しそうなイメージのある大岩だが、こうやって実力行使に訴えるのは滅多にないのだ。

 (ここで、くだらないギャグを書こうとして取り止めたことを報告しておく)

 さて、学校では、柴田たちの席が空いたまま、数学のテストが始まっていた。
 遠藤は、昨夜、柴田たちに勉強を教えた時のことを思い出していた。
 どうやら、遠藤、わざわざ柴田の部屋まで出張して家庭教師をさせられたらしい。
 テストが始まるが、遠藤は柴田たちのことを考えて、テストどころではない。
 遠藤(うらっ、こっち向け、うらっ)
 岡田さんに眼力を込めた視線を送っていると、視線に気づいた岡田さんも憂鬱そうな顔で振り向く。
 岡田さんがこっちを見た途端、顔を背ける遠藤。何がしたいんだ?

 思い迷った末、遠藤の取った行動とは……、
 机の上に教科書を広げ、試験官の見ている前で堂々とカンニングをすることだった。
 岡田「遠藤君!」
 岡田さんもびっくり。

 小松政夫は「もももももの凄いことしやがる。知らない、知らない」と叫んで教室を飛び出して行く。

 小松政夫の報告を聞き、教頭が教室へやってくるが、
 遠藤の意を汲んだ春子や他の生徒たちが、一斉にカンニングをしていた。
 唖然とする教頭たち。
 そんな中、ひとりおろおろした様子でカンニングをしないでいる岡田さん。いかにも彼女らしい態度である。
 やがて遠藤が立ち上がり、「僕はカンニングをしました。柴田たちと同罪です!」と訴える。
 続いて春子も立って、「あたしも同じです」と言う。今回の春子は妙に真面目である。
 他の生徒たちもどんどん立ち上がる。全員ではないが、7割くらいの生徒が遠藤の企みに加担したようだ。

 小松「もーいや、こんな生活!」
 教室を飛び出す教頭と小松政夫。
 やがて、大岩に引っ張られて柴田たちが学校へ来る。と、木念を先頭に、クラスメイトたちが出迎えてくれる。
 木念「柴田たちの処分は撤回です」
 大岩「えーっ? どうして?」
 春子「カンニングしたのよ」
 大岩「誰が?」
 全員「みんなでカンニングしました!」
 手を挙げて声を揃える生徒たち。
 木念「いくら教頭でも、クラス全員は退学に出来ませんからね」
 春子「最初に遠藤君がやったのよ」
 そう言われて、こんな顔になる遠藤。
 柴田「遠藤!」
 遠藤「ひとつ、貸しを作ったんだからな。これからは授業中静かにしてくれよ」
 冗談めかして頼む遠藤。しかし、

 柴田「断る!」
 遠藤「……え゛っ?」
 柴田「断る!」
 そこだけは譲れない柴田であった……と言うのはもちろん嘘で、柴田は黙って頷くのだった。

 大岩「なかなかやるじゃないか、優等生? うん?」
 大岩、遠藤の顔をピシャピシャ叩く。

 盛り上がる生徒たち。ただし、さっきのテストを受け直さなくてはならず、そのシーンを映しながら、「生まれてこなければ良かったなんて〜」と、いつもの歌が流れ出す。
 他にもいくつかスケッチがあるが、柴田たちがしつこくインベーダーゲームに熱中したり、熱中するあまりインベーダーの真似をしたり、熱中するあまりパンツ一丁で海に飛び込んだり、そんな感じであった。

 まだ5月なんですけど……。撮影は4月か? うう、さぶい。

 考えたら今回、岡田さんの見せ場はほとんどなかったなぁ。まあ、ストーリーが面白いのでいっか。



 

  第34話「明日は本当に来るか?」(1979年7月25日放送)

 今回は、エピソード自体はつまらないので、斉藤さんの出番をメインに簡略に済ませたい。

 だらけムードの漂う教室。
 大坂「ヘイスティングの戦いで勝利を得たノルマンディー公ウィリアムは……」

 それもその筈、いつもやる気のない大坂(名古屋章)の世界史の授業であった。
 教壇近くの一部優等生を除き、生徒たちは大坂の話など聞いちゃいない。
 大坂も、それに気付いても注意ひとつするわけでなく、淡々と教科書を読み続ける。
 と、教科書に書いてある娘(篠ひろ子)が小さい頃の落書きを見て、昔を思い出し、ぼーっとする。

 娘の道子とは、いろいろあって、疎遠なのだ。道子は既に同僚教師の山下(前田吟)と結婚してる……んだっけ?
 どうでもいいや。

 岡田「先生、先に進んで下さい」
 大坂「めぇーっ、えーっと、何処まで行ったんでしたっけ……」
 遠藤「ウィリアム征服王です!」

 大坂がさっき同じ箇所を読み上げるので、
 岡田「そこはもう終わりました!」
 と注意する。 
 後ろの席で完全に居眠りしていた柴田が「うるせえなぁ、もうちょっと静かにしろい!」と文句を言う。
 遠藤(やや男前になって)「授業中だぞ、起きてろよ!」
 柴田「いんだよ、いんだよ、この授業は、俺先輩からノート貰っちゃってさ、先生5年前のノートとおんなじこと言ってんだ。なんなら、コピーして売ってやってもいいぜ」

 遠藤「おいっ」
 大坂「ああ、いい、いい、眠りたい人は眠らせてときましょう」
 授業後、自分の言葉で思い付いたのか、教壇に立って実際にコピーの叩き売りを始める柴田たち。
 それさえあれば、授業中いくらでも居眠りできるとアピール。
 柴田「さあどうだ、優等生の遠藤君、岡田さん、このノート買わないか、えーっ」
 二人は最前列の岡田さんと遠藤にまで売ろうとするが、二人はガン無視。
 それにしても、岡田さんの(ほぼ)垂直落下式の胸、たまりませんね。
 下校途中、いつもの松林でぼんくらたちが柴田たちの前に列を作ってそのコピーを買い求めている。
 春子「山川さん、もうちょっとだけ負けてくれない
 山川「うーん」
 肩の辺りを指でいじって、露骨に色仕掛けで迫る春子。
 山川もその気になって、春子とキス(安いなぁ)しようとするが、柴田に頭を叩かれる。
 柴田「ばかたれ! ビジネス、ビジネス!」

 その後、大坂の愛用の講義ノートが紛失する。
 世界史の授業だが、ぼんくらたちは、大坂のモノマネ大会を開いて遊んでいた。
 左がモノマネで、右が採点。
 ノートがなく、授業が出来なくなった大坂、柴田たちが親切ごかしに例のコピーを進呈するが、大阪は彼らがノートを盗んだのだと考えて、いつになく激しい剣幕で柴田たちに詰め寄る。

 大岩も、柴田の仕業と睨んでしつこく問い質すが、木念が、ノートがなくなったら大坂が新たに講義ノートを作ることになり、コピーで商売している柴田が損をするので、柴田が犯人である筈がないと、理路整然と説明したので、柴田の疑いは晴れる。

 柴田たちもノートを捜すが見付からない。

 大坂は、ノートがなくなったのを良い機会に、教師を辞めようかと思っていると、大岩に漏らす。

 その後、(どうでもいい)エピソードがいろいろあって、大岩たちの説得も虚しく、大坂は辞職の意志を固める。
 だが、そんな折、
 岡田「こんばんわ、大坂先生いらっしゃいますでしょうか」
 意外にも、大坂の家を訪ねてきたのは岡田さんだった。
 大坂「おっ、どうした?」
 岡田さん、気まずい様子で俯いていたが、
 「すいませんでした」と、背中に持っていたものを差し出す。それこそ、紛失していた講義ノートだった。 
 大坂「どうしたんだ、一体?」
 岡田「先生が、毎年同じノートを使ってらっしゃるって分かって、あたし、いやだったんです。ノートを隠せば、先生が御自分で新しいノートを作っていただけると思ったんです……学校をお辞めになるなんて、思っても見なかったんです」

 と言う、いかにも岡田さんらしい真面目な理由からの「犯行」だった。また、こっそり返さないで、こうやって堂々と名乗り出てくる辺りも、彼女らしい。
 それにしても、昔の高校生は言葉遣いが丁寧だ。
 岡田「辞めないで下さい、あたしがこんなことしたために、もしそんなことになったら、あたし、一生苦しまなきゃなりません。お願いします、辞めないで下さい」
 それだけ言うと、相手の返事も待たず、ペコリとお辞儀して帰っていく岡田さん。
 それを、家に来ていた大岩たちも聞いていた。
 なにはともあれ、大事なノートが戻ってきてホッとする大坂、娘夫婦に、ノートに書いてある娘の落書きを見せて、思い出話に花を咲かせようとするが、おもむろに大岩がそのノートを手に取ると、「こんなものっ」と、ずたずたに引き裂いてしまうのである。

 さすがの温厚な大坂も激怒して、大岩の顔をビンタする。
 大坂「君にとっちゃあ、二束三文かもしれないが……」
 大岩「先生にとっても二束三文ですよ!」

 大坂「なにぃ」
 大岩「先生、振り返っちゃダメですよ。振り返ってばかりいるから、娘がひとり他の男に持って行かれただけで、力が抜けてしまうんじゃないですかぁっ」

 いくら主人公でも、この行為はいくらなんでもあんまりだが、大坂は、その勢いだけの説得を受け入れ、自らノートを破り始めるのだった。
 29話でも、大岩は「一度父親とマジ喧嘩がしたかったんだ」と言って、木念の父親と大喧嘩をしていたように、大岩は青春ドラマの主人公なのを良いことに、しばしばこういうむちゃくちゃなことをするのだ。

 この辺から、「生まれてこなければ良かったなんて〜」と、ED曲が流れ出す。
 今度の一件で、人が違ったようにやる気のある教師になった大坂、ノートを読むだけの退屈な授業はやめて、熱意溢れる授業を行なうようになる。
 岡田さんたち優等生は大歓迎。
 考えたら、結局、岡田さんの目論見どおりになったわけだ。
 だが、まどろみながら聞いていた柴田たちは、過去のノートと内容が違うことに気付き、慌てふためく。
 柴田たちからノートを買った春子たちも、抗議の目を向ける。

 結局、柴田たちは受け取った金を返金し、コピーを全て燃やすのだった。
 大坂と、娘夫婦の仲も良くなり、万事めでたしめでたし。

 ……ま、せめてドラマの中では、そんな夢物語が続くことを祈っていよう。



 

  第38話「恋の芽生えは出合いから!」(1979年9月5日)

 「そりゃまあそうだろうな」と頷くしかないサブタイトルである。

 今回は、春子がメインで、岡田さんは完全な脇役なので、ごく簡単に済ませたい。
 春子たち仲良し4人組が、31アイスか何かを並んで座って食べている。
 春子「しゃーあわせだなーっ」
 と、3人の男子高校生たちが彼女たちに接近してくる。
 ひとりひとり、春子以外の3人にケーハクな殺し文句を並べてナンパしてくる。
 自分だけ誘われてないことに気付いてハッとする春子、自分も一緒に行こうとするが、男子たちから「君は良いの!」とはっきり拒絶される。ひどいもので、親友3人も春子を置いて、さっさとお茶しに出て行ってしまう。
 春子「春子だけ仲間はずれだぁ〜」

 ただ、少なくとも見た目だけでは、春子がほかの3人と差別されるような違いはなさそうだが……。
 春子「いま、けえったよ〜だ」
 不貞腐れて、時計店をやってる自宅に帰ってくる春子。
 父親「春子」
 春子「なんじゃ〜」
 父親「なんじゃ〜って、なんだお前のその口の利き方は?」
 この父親を演じているのは秋元洋介さん。映画の吹き替えなどでお馴染み。
 ……と思ったら、後のシーンでこの男性、父親ではなく兄だったと分かる。父親にしか見えんが。

 兄「お前女の子だろ、そんな風じゃ男の子がみんな呆れて逃げてっちまうぞ」
 春子「にゃにぃっ?

 注意され、ますます気がクサクサする春子。自室のベッドに寝転がり、「男なんてなんじゃい!」
 さて、相変わらずくだらないことには骨身を惜しまない柴田たち。冒頭、登校の途中、メモを手にあれこれ話していたが、それは「本年度のカワイコちゃんのベスト10」の集計をしていたのだ。
 で、廊下にたくさんの生徒を集め、大々的にその発表をしている。

 柴田「えー、皆様、皆様、正面にご注目下さいませ」
 掲示板に、その表が広げられる。
 ちなみに4位の北川真弓以外、全員「〜子」と言う名前である。

 柴田「えー、皆さん、栄光の1位は岡田君子さん、2位はちょっと可愛い伊藤陽子さん、3位はやや可愛い……」
 4位に、春子の友人の北川真弓が入選していた。えーっと、右端の子だっけ?
 ちょうどそこへ、1位になった岡田さんが何の騒ぎかと怪訝な顔で登場。
 柴田「おおっと、皆様、正面をご覧下さい、1位の岡田さんがいらっしゃいましたよーっ」

 男子たちに引っ張られるようにして、表の前に駆け寄る岡田さん。
 斉藤さん、実際、現場でもこんな風に人気者だったのではないだろうか?
 キャリア的にも、「赤い絆」で百恵さんと共演し、この年の正月には大作「悪魔が来りて笛を吹く」のヒロインを務めているのだから、周りから一目置かれていたのは間違いない。……ま、あくまで管理人の一方的な想像に過ぎないが。
 柴田「岡田さん、どうぞどうぞ、カワイコちゃんベスト1です」
 岡田「あら、あたしが1位?」
 柴田「そう、あなたが1位!」
 岡田「そ、そんことないわよ」
 そう言いつつも、満更でもなさそうな岡田さん。みんなに冷やかされながらすぐにその場を離れる。

 はい、岡田さんの出番はこれでおしまい。

 以下、あらすじだけ書いて終わりにしても良いのだが、一応続ける。
 自分は選ばれなかったが、それでもクラスメイトの1位を祝福するような笑顔を見せる春子。

 だが、

 山川「それでは続きまして、未だに女に目覚めない、ガキっぽさ、ベスト10を発表いたします!」
 山川「どうぞ、じゃーん!」
 と、麗々しく広げられたもう1枚の不名誉な表、その1位にはなんと、春子の名前が……。

 春子「なぁにぃ〜!」

 激しく傷付いた春子、「こんなのインチキだ〜」と、猛然と掴みかかり、表を剥がしてまるめて柴田と山川の顔に投げつけ、「バカ」と叫んですっ飛んで行ってしまう。

 真弓たちは「あんなのを気にする必要はない」「あいつらには春子の魅力が分かってない」と、春子をかわるがわる慰める。春子も立ち直りかけるが、よりによって教育者の大岩に「ガキっぽさコンテストで1位になったそうじゃないか。顔はガキだし、身なりは幼稚だし……」と、無神経なことを言われ、「うるさいなぁ、ほっとけ!」と、遂に切れる。

 一方、大岩は自分がもてないのは身なりが悪いからだと、わざわざローンで高いスーツを買って、ずーっとそれを着て過ごす。夜、女の子から誘いの電話があるはずだと粘るが、一本もかかってこない。
 薫や木念たちに徹底的に馬鹿にされた大岩、明日の日曜は街に繰り出して絶対可愛い女の子を連れて帰ると息巻く。

 で、ほんとに、そのスーツを着て、ひとりでデパート(?)にガールハントに出掛ける。
 チョコミントを買ってなめていると、柱の陰に隠れるようにしてシェイクを飲んでいる女の子を見付け、「失礼します」とその横にピッタリと座る。
 何気なく顔を起こした二人、相手が誰か気付いてびっくりする。
 春子「ああーっ」
 大岩「なんだ、お前!」
 春子「なんだソーリ、もうっ」
 大岩「なんだお前、こんなところでその格好は?」
 春子「なに言ってんの。ソーリこそこんなとこでなにしてんのよーっ」
 大岩「いや、俺は……俺はただの散歩だよ」
 春子「あぁんあーやんなっちゃうねー初めて声かけられたと思ったらソーリだなんてばーもーやだっ!」
 この藤谷さんの独特の台詞回し、とても可愛いのである。

 大岩「なにぃ?」
 春子「あーうるさいのソーリは、もう、あっち行ってっての! いや、もうー」
 春子、大岩の体を何度も押してから、自分からその場を逃げ出してしまう。

 大岩「なぁんだぁ、あいつ、もてないもんだからさぁあんなに着飾ってなんかしてさー、顔がバカなんだからお前はーっ」
 取り残された大岩、悪態をつく。

 その後、ひとりでバーガーショップに入った春子、席について飲み食いしていたが、ふと、目の前に立っている男の子の視線を感じる。
 その男の子を演じているのは、子役時代から活躍していた高野浩之さん。
 男の子は、ちらちらと、春子を意識しているようにこちらを盗み見している。
 春子、最初は気にもならなかったが、段々と相手を意識して、視線を泳がせる。
 この、戸惑った表情、とても可愛い。

 視線が合い、笑みを交わす。後は一気に距離を縮め、次のシーンでは浜辺に座って恋人のように語り合っている。

 「君みたいに魅力的な女の子は初めてだ」と言われ、舞い上がる春子。

 対照的に大岩は、あれからも全くもてなかったようで、翌日はもうあのスーツを脱いでいる。
 春子はすっかり男の子、イサムの虜になり、真弓たちに自慢たらたらで報告する。

 その後、連日のようにデートする二人。と言っても、手をつないで歩いたり、バーガーショップに行ったりする程度である。
 そのことは学校中で知れ渡り、真面目な木念などは本気で心配する。大岩は例によって「ほっとけ」の一語で済ます。

 春子は毎日遅くまで出歩いて、勉強にも身が入らないのを、兄に注意される。また、イサムと夜1時まで喫茶店にいるのを教師に見られ、教頭に呼び出されて説教される。

 大岩も見兼ねて珍しく注意するが、春子は「ほっといてくれ」の一点張りで、イサムへの恋は熱くなる一方。
 遂に、周囲からごちゃごちゃ言われたくないからと、「同棲しよう」と言いだし、イサムの手を引っ張ってアパート探しを始めると言う行動力を見せる。

 しかし、セックスどころかキスもしていないのに、いきなり同棲と言うのは……? 春子らしいといえば言えるが。
 ちなみにその時映る物件だが、

 ・4.5畳(トイレ共同)で15000円。
 ・2LDKで49000円or45000円。

 などとなっている。

 優柔不断なイサムは、如何にも嫌そうだったが春子に押し切られ、結局、ほんとにアパートを契約してしまうのである。しかし、保証人とかもいない高校生二人に貸すかなぁ? ま、正式な契約まではしていないようだったが。

 さらに、春子、「お金の都合が付いたらすぐに結婚よ」と、妄想をエスカレートさせる。イサムは曖昧に「ああ」と応じる。

 イサム、偶然中学時代の友人の遠藤に会い、春子と同じクラスだと知り、遠藤に救いを求める。

 春子、その計画を仲間たちに打ち明ける。無論、柴田や真弓たちは春子を諌めて止めさせようとするが、「これだから子供と話すのはやんなっちゃうのよね〜」と、それまでの意趣返しのような台詞を吐いて、全く聞こうとしない。

 遠藤はイサムに相談されたが、自分ではどうしていいか分からず、思い余って大岩に縋る。

 大岩は、ストレートにイサムの本音を春子に伝える。当然、ショックを受ける春子。
 春子「嘘よ、彼があたしと付き合うのイヤだなんて、そんなの嘘よ……」

 大岩は、直接イサムと春子を会わせ、イサムの口から直接「これ以上君と付き合うの、怖いんだ。ズルズル引き摺られていきそうで……勉強とか、将来のこととかどんどん見失っていくような気がするんだよ」などと、本当の気持ちを聞かせる。イサムがはっきり「君とはもう付き合えない」と言うと、春子は「バカッ」とイサムをビンタして、走り出す。
 春子、追ってくる大岩に、「来ないで、来ないで」と言いながら、波打ち際に膝をつく。
 大岩「藤村……」
 直後、波に飲まれる春子。

 今回、割とシャレにならないほど海が荒れている。と言うか、前に出過ぎじゃないの?
 春子「笑えば良いわよ、おかしかったらみんなで笑ったら良いのよーっ」
 涙声で、ヤケになったように叫ぶ春子。

 大岩「誰が笑うんだ。誰がお前のこと笑おうと言うんだ? お前は一人の人間を愛そうとした。大切に考えた。お前はほんとに真剣に考えたんだ。そうだろ、藤村。そんなお前を、おかしいって奴がいたら、言わしとけばいいんだよ、そんな奴はぁ、藤村、俺はお前みたいな子は好きだよ。お前は良い子だよ……」
 
 春子「先生、ソーリ!」
 大岩の懸命の励ましに、やっと笑顔を見せる春子。

 大岩「藤村、泳ごうか」
 春子「えっ、だってあたし……」
 大岩「さ、泳ごう!」
 戸惑う晴子のカバンを投げ飛ばし、春子の手を掴んで海に入っていく大岩。
 直後、波に飲まれる。

 さすがにこんな教師はいません。でもまあ、これがドラマなのだ。
 ずぶ濡れになって抱き合う二人。

 しかし、どう見ても寒そうなんだけどね。放送は9月でも、だいぶ野球中継で飛ばされているから、撮影はだいぶ前にしてるんじゃないかと思う。

 この辺から、「生まれて来なければ良かったなんて〜」と、いつもの歌が始まり、イメージ映像的なエンディングとなる。
 ここでも、岡田さんはちらとも映らない。
 ラスト、無理矢理水着を着せられ、海に放り込まれる柴田たち。
 一応、女子4人が水着になっているが、映るのはほんの一瞬である。

 是非、岡田さんの水着姿を出して欲しかった。(言うと思った)

 以上、岡田さんの出番はほとんどなかったが、春子の魅力を満喫できるエピソードであった。



 

  第40話「総理先生が行ってしまう!」(1979年10月10日)

 いよいよ最終回である。全40話を振り返ると、やはり、中盤以降の斉藤さんの出番がとても少なく感じられる。ドラマとしても、教師同士のどうでもいい恋愛やら、過度なコメディ描写などの不純物が多く、プレ作品の「青春ド真中!」と比べると、どうしても質が落ちるようである。

 しかし、何と言っても、後半の北海道ロケへ斉藤さんが参加しなかったと言うのが一番悔しい。

 さて、職員室にて。
 成績アップのことしか頭にない教頭たちが、今後、午後からよりハイレベルな特別授業を行なうと発表する。その代わり、通常授業は全て打ち切ると言われ、落ちこぼれたちの味方・大岩は当然反発する。

 さらに、特別授業への出席は強制しないと言われ、桜子や木念も反対を表明する。
 木念「大学進学を目指す生徒だけのことを考え、他の生徒はどうでも良い、そう言うやり方には賛成しかねます」

 無論、教頭たちがそんなことで意見を翻す筈もない。
 で、大岩らしく、生徒たちに直にそのことを告げて、討論させる。
 大岩「……とまあ、教頭は言ってるが、コラーッ! ふざけないで聞けーっ!」
 柴田「聞いてますよ」
 山川「午後から特別授業になるってんでしょー?」
 春子「そーそーそー、出来るものはあちらで、出来ないものは、はい、さようならと、先生、そういうことかいな?」
 大岩「お前たち、そう言うことを実施されたらどう思う? クラスってのはさぁ、出来る奴がいて、出来ない奴もいて、色んな奴がいて、色んなことをやって……それがクラスの良さって言うかさ……」
 大岩の話に合わせて、生徒たちの様子が映し出される。優等生の岡田さん、妙に沈んだ表情である。
 大岩が、その岡田さんと遠藤に意見を求めるが、
 岡田「先生、それより、早く授業始めて下さい」
 遠藤「授業中なのに、こんなところに引っ張り出されて、はっきり言って迷惑です!」
 と、いかにも優等生らしい発言で、議論そのものに乗ろうとしない。

 大岩「しかしだなぁ、お前たち」
 岡田さん、すっと立ち上がって、「それでなくても、先生の授業遅れてるんです」
 遠藤も立ち上がり、「そうです、時間のロスです」と明言すると、他の成績優秀な生徒たちも尻馬に乗り、次々と立ち上がる。
 なおも大岩が何か言いかけるが、今度は落ちこぼれの柴田たちが立ち上がり「特別授業に賛成」と言い出す。
 山川「優等生ちゃんたちは、自分達だけでしっかり勉強すればいいんだよ」
 春子「うん、わしらものう、午後から気兼ねなく遊べるしのう」

 どうせ彼らは最初から特別授業に出るつもりなどないので、柴田や春子たちのグループは次々と賛成を表明し、数人の優等生以外はほぼ全員「午後から遊びまくれる」と、わあきゃあと騒ぎ立てる。

 岡田さんたちはさっさと教室へ戻ろうとする。そんな彼らに対し、反発を見せる柴田たち。結局、話し合いにならず、クラスの亀裂が生じる結果となった。
 大岩も、「ばかもーん」と怒鳴るだけで、途方に暮れてしまう。

 しかし、もう40話になると言うのに、全く進歩のない連中だ。

 午前の通常授業の後、柴田たちは早くも解放的ムードに包まれるが、大岩は彼らの為にも特別授業をやると言い出す。そのアイディアを聞いて、木念たちも感心するが、大坂の「果たして彼らがその授業に来ますかね?」と言う懸念が的中し、柴田たちは午後からゲーセンに来て暢気に遊んでいる。
 もっとも、柴田と山川以外の三人は、サボっているのが後ろめたいような顔だった。
 夕暮れの中、三人が柴田たちと別れて歩いていると、大岩が向こうからやってくる。
 「今まで俺たちのこと、教室で待ってたの?」
 と、名前が分からない生徒が驚く。

 大岩「まぁな、明日も教室で待ってるから、とにかく来るだけ来いよ、じゃっ」
 大岩は怒るでもなく、それだけ言ってさっさと歩き去って行く。
 翌日の午後、大岩が教室にやってくる。しかし、生徒の姿はない。
 とりあえず教壇に座る。
 さすがの大岩も思わず溜息をついてしまうが、そこへドアが開いて、昨日の一人が顔を出す。
 大岩「前島……」

 おっ、前島と言う名前だったのか。演じているのは元ジャニーズの松原秀樹さん。
 前島「ちょっと、暇でも潰そうかなぁ、なんて……」
 大岩「そうか、はははは、ありがとう」

 柴田たちと一緒に帰宅していた残りの二人も、途中で引き返して教室へ行ってしまう。柴田と山川は当然、面白くない。
 春子たちや他の生徒も加わり、いつの間にかかなりの人数が集まっている大岩流「特別授業」。
 彼らに合わせた授業内容なのか、普段の授業よりも、みんな楽しそうに勉強に興じている。
 落ちこぼれグループからもはみだしてしまった二人、土手に座って川に石を投げたり、溜息をついたり、いかにもつまらなさそうな時間を過ごしていた。

 大岩と、例の三人が帰りがけに彼らを見掛け、一緒に勉強しようと誘うが、二人は「勉強に興味はない」と断言する。
 せめて一緒に帰ろうと、三人が追いかけるが、柴田と山川はいつになく険しい目で彼らを見詰め、無言で拒絶する。
 柴田たちは、当然、三人のことを「裏切者」と見ているのだ。

 その晩、大岩はクラスの空中分解を防ぐ為にも、教頭たちの特別授業をやめさせると宣言する。木念は、これ以上問題を起こしたら本当にクビにされると、大岩を宥める。
 その木念、翌朝、通学路から少し離れたところに思い詰めた表情で立っている岡田さんを見掛け、何事かと話しかける。
 岡田「昨日、予備校の実力テストの発表があったんです。前は3番だったんです、そしたら……今度は12番、12番だったんです!」
 いかにも優等生らしいことで悩んでいる岡田さん。
 岡田「先生! うっうっ……」
 その場にしゃがみ込んですすり泣く岡田さん。

 そんなことで泣く女子高生がいるか?
 大岩、自分の授業の冒頭、「今日の授業は中止する。教科書を机の中にしまえ」と、職務放棄宣言する。

 まぁ、青春ドラマならではの展開である。
 岡田「先生!」
 遠藤「何故なんですか?」
 大岩「今行われている午後の授業のあり方についてもう一度話をしたいんだ……」
 テストの順位が少し下がったくらいでメソメソ泣いてしまう岡田さん、すぐに起立して、
 「そう言うお話を今更、しかも授業を潰してまでして欲しくありません」と、抗議する。

 大岩は「とにかく座れ、座れよ」と、有無を言わせぬ口調で岡田さんを着席させる。

 大岩「俺の高校は下田の港町でな。親がいなかったんで、その頃から港で働いてたんだ……そんな時に港の不良たちと大喧嘩をして、相手に怪我までさせてしまった」
 と、いかにも長くなりそうな昔話を始める大岩。

 第1話ならともかく、最終回ではいかにもタイミングが悪い。
 いてもたってもいられぬ焦燥感にお尻を焼かれていた岡田さん、話の途中にも拘らず、机から勉強道具を出し、大岩を無視して勉強を始めてしまう。遠藤たち優等生もそれに倣って教科書を取り出す。

 大岩も、特に気にすることもなく、話し続ける。
 面倒臭いのでカットします。

 要するに、学校を休んでいる間、クラスメイトが毎日授業のノートを持ってきてくれて嬉しかったと言う話だった。
 クラスの結束の大切さを説き、柴田たちに「自分たちだけ好きなことをやってりゃそれで良いってもんじゃないだろう」と軽く説教する。
 と、何故かこのタイミングで、岡田さんが急に立ち上がり、クラスの前側の開いていた窓をピシャッと閉める。外からの雑音を遮る為だろうか?
 で、それを見た山川が何故か怒り、
 つかつかと岡田さんの側に行き、「開けとけよ」と言う。
 岡田さんが無視すると、自分で窓を開く。山川「暑いんだよ!」

 が、山川が席に戻ると同時に再び岡田さん、窓を閉めてしまう。
 山川「この野郎ーっ」
 意地になって、もう一度窓を開ける山川。この辺はまるっきり小学生レベルの応酬である。

 しかし山川、以前、岡田さんのことが好きだったのにな。
 岡田さんも、遂に切れて、「出てって、勉強しない人たちは出てってよ!」と、思わず叫んでしまう。
 その一言に柴田が反応し、岡田さんに近付くと、いきなり平手打ちをする。
 頬を押さえて若干面白い顔になる岡田さん。
 大岩「柴田、どうして? 柴田、山川!」
 柴田は無言で教室を飛び出し、山川も後に続く。大岩が名前を呼びながら追いかける。

 残った岡田さん、机に突っ伏してまた泣く。
 海岸で追いついて、大岩が柴田を問い詰めるが、柴田は終始無言で、傷付けられたような目で大岩を見、振り切って逃げてしまう。
 例によって、海は大時化。台風でも接近していたのだろうか。
 学校に戻った大岩、岡田さんが早退したと聞かされ、すぐその家に行く。岡田さん、大岩の顔を見ると、逃げるように家の中に飛び込み、大岩の呼びかけにも一切答えようとしない。
 さすがの大岩も、悄然と立ち尽くす。
 木念「先輩は一体どういうつもりなんですか。そりゃクラスの問題も大切でしょうが、岡田たちにとっては一刻一秒が勝負なんです。しかも岡田は成績が伸び悩み、そのことで真剣に悩んでいたんですよ! それで教師って言えるんですか、今まで色んなことがあったけど、先輩は教師として根本的に姿勢が間違ってるんです! 岡田だけじゃなく、遠藤たち優秀な生徒たちはみんな先輩に愛想を尽かしてますよ」

 木念も、今回ばかりは大岩の肩を持たず、かつてないほどの厳しい言葉を投げかける。
 大岩は一切反論せず、桜子に特別授業の代わりを頼むと、職員室を出て行く。

 大岩、また芸もなく、二人の後を延々と付け回して、授業に出てくれるよう頼み続ける。
 川縁まで追い詰められるが、二人は「ちきしょー」「来るなー」と、駄々っ子のように喚きながら、川の中に突っ込んで行き、あくまで大岩から逃げようとする。
 前島たちも大岩に協力し、二人を探す。
 二人は、砂浜に座って、服を乾かしていた。

 前島たちは口々に教室に戻るよう話しかけるが、
 山川「お前らとはよう、話もしたくねえんだよ」
 柴田「もうお前たちとはなぁ、友達でもなんでもないんだよ!」
 と、彼らを避けてさっさと行こうとする。
 だが、「せいぜい勉強して立派なサラリーマンにでもなれ」と言う捨て台詞に、前島がカッとなり、「そう言う言い方はないだろう」と、山川をぶん殴る。元々、前島は喧嘩がとても強いと言う設定なのだ。

 その後、柴田チーム対前島チームによる、壮絶な殴り合いが展開される。
 そう言う揉め事が大好きな大岩がすっ飛んできて、凄い剣幕で彼らを引き離す。
 大岩「どうかしてるぞお前らーっ、どうしてなんだお前?」
 と、ガチョウの首でも絞めるように、柴田の首を絞めてガクンガクン揺さぶる。
 さらに、「どうしてなんだお前」と言いながら、山川の背中をパシパシ叩き続ける大岩だった。

 少し落ち着いて、大岩がまた説教しようとするが、二人は「ソーリは立派だ」「ソーリと俺たちは違う」「自分たちには燃えるものがない」と、ひたすら自分たちの価値を否定し、自暴自棄な態度を取り続ける。

 大岩は教頭に呼び出され、授業に出るな、柴田たちと一切関わるなと厳命され、もし逆らったら即刻クビだと脅される。
 木念と桜子は、教頭に言われて柴田、岡田に会いに行こうとするが、大岩が追いかけてきて止める。自分が行くと言うのだ。
 大岩「あいつらのところへは俺が行きます。岡田も柴田たちもみんな俺の生徒なんだ。俺は何もしてやれない。何の力にもなれない。でもやっぱりあいつら俺の生徒なんだ。黙っているわけに行かないんだ」

 大岩、まず、岡田さんの家に行き、呼び鈴を鳴らすが、何の反応もなく、会うことすらできない。で、用意してきた手紙を郵便受けに挟むと、すぐ引き揚げる。
 反応がないのも道理で、岡田さんは本屋に行っていて留守だったのだ。遠ざかっていく大岩を見ながら無言で家に入ろうとする岡田さん、手紙に気付いて目を通す。
 「岡田、お前には悪い先生だったかもしれない。しかし、勉強だけは頑張って欲しい 大岩雄二郎」
 と言うシンプルな文面だった。岡田さん、慌てて駆け出して大岩の姿を探すが、既に影も形も見えない。

 大岩、次は、浜辺に寝転がっている前島、大宮、木下の三人のところへ行き、ひとりひとり簡単な言葉をかける。
 そして、バイクで草むらの中を走り回っていた柴田と山川にも声をかけ、真剣な調子でついてくるよう言う。
 が、不承不承大岩の後を歩いていた二人、いきなり落とし穴にはまってしまう。
 大岩「やったーっ!」

 見事に二人を罠にかけ、子供のようにはしゃぐ大岩。
 怒って二人は、穴から這い出て、逆に大岩を穴に落とし、「ばかやろー」と言いながらバイクで走り去る。
 それを見送る大岩の目はいかにも寂しそうであった。
 大岩「元気でな……」

 大岩はすぐに荷物をまとめて、下宿のふくと薫に別れの挨拶をして出て行く。

 ……しかし、この展開、第1話とまるっきり同じだよなぁ。
 丸々1年間かけて、また最初に戻ってしまうと言うのも進歩のない話だ。
 大岩、様々な思い出の刻まれた街を名残惜しそうに眺めながら、駅へ向かう。
 往生際の悪い大岩、荒れ狂う海の前に立ち、物思いに沈んでいたが、やがて荷物を抱えて歩き出そうとした瞬間、何かに気付いて動きを止める。

 ……まさか、ひょっとして?
 そう、そのまさかであった。
 茫然と立ち尽くす大岩に、木念以下、クラスの全員(ではないか)が無言で歩み寄る。
 ベタ過ぎて恥ずかしい演出だが、彼らにとっては1年間(岡田さんたちはそれ以上)一緒に過ごした仲間たちとの本当の別れでもあるので、万感胸に迫るものがあったのではないかと察せられる。
 言うべき言葉が見付からず、一人一人生徒の顔を見つめる大岩。
 恐らく、別れを仄めかすような手紙を見た岡田さんが中心になって、みんなが集まったのだろう。
 大岩、やがて荷物を拾い上げて去ろうとするが、ここで柴田の「ソーリ、行くなよ!」と言う言葉が沈黙を切り裂く。

 彼に続いて口々に「ソーリ」「行くなよ」と叫ぶ生徒たち。岡田さんは「先生!」。

 大岩「お前たち」
 柴田「俺たちを置いていくなよ」
 岡田「先生、行かないで!」
 涙を浮かべつつ、大岩を囲む生徒たち。
 大岩「お前たち!」
 大岩「柴田!」
 柴田「ソーリ!」
 やっと決心を翻したのか、笑顔になって柴田に荷物を放り投げる大岩。

 で、柴田の投げ返した荷物を、ラグビーボールのように「山川」「前島」と、一人一人名前を呼びながらパスして行く。
 岡田さんにも荷物が飛んでくる。周囲の男子に気遣われながら、見事にキャッチする。
 後はもういつものパターン。この辺から「生まれて来なければ良かったなんて〜」と、中村雅俊の歌が流れ出す。
 大岩と一緒に、海に入ってずぶ濡れになる男子たち。女子たちも水を被ってかなり悲惨な状況になる。
 そのエンディングの中で、ふくが職員室に殴り込みをかけているシーンが見える。どうやら、彼女の抗議で、教頭たちは大岩の解雇を撤回せざるを得なくなったと言うことらしい。

 職場復帰を祝ってか、再び生徒たちに抱え上げられる大岩。
 嬉しそうに手を叩く岡田さん。これが彼女のラストショットとなる。
 最後のメッセージは、「人は誰でも、過去や未来を生きているのではない。現在と言う時間をただこの時だけを生きるのである」と言う、そりゃそうだね、としか返しようのないものであった。

 しかし、なし崩し的に大岩の解雇問題は解決されたが、特別授業や、柴田と山川の反抗、岡田さんの成績不振など、他の諸問題が一切手付かずなのは、最終回としてどうだろう? ま、教育問題と言うのは、一朝一夕で答えの出るものではないと言うことか。

 ただ、正直、やや物足りない感じを受けたのも事実だ。

 とにかく、やたら時間がかかってしまったが、レビューはこれにて終わりです。あー、しんど。