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第16話 翼の折れた天使
放送日時 1987年2月2日
監督 帶盛迪彦
脚本 大川俊道
準レギュ 藤岡重慶、中島はるみ
ゲスト 橘ゆかり/高木エリカ、瀬山修/小田イサオ、天田俊男、五十嵐幸孝、福本和彦、佐藤修、佐々木俊彦/日本史教師&イサオの部下(不詳)
予告 服装検査を逃れて登校したユミとルリは裏庭で血痕を発見した。血痕を追って倉庫に入り込んだユミたちに背後からナイフがつきつけられた。そこには脇腹を真っ赤に染めた少女エリカがいた。エリカは少年院を脱走して来ていた。「セーラー服反逆同盟」、「翼の折れた天使」、お楽しみに!
備考 中村あゆみ「翼の折れたエンジェル」がリリースされたのは1985年4月21日。
予告では服装検査だが、本編では所持品検査。
評価    シナリオ ★★★★ シンプルで感動的なストーリーだが、イサオの行動がやや不可解か。
演出 ★★★★★ エリカの命、あるいはイサオへの愛を蝋燭の火で表現するなど、的確な演出が光る。
映像 ★★★★ 倉庫でのやりとりのシーンが長過ぎる気も。ケイと雄太が走りまくっている。
キャスト ★★★★  レギュラーでも通用しそうな橘ゆかりの存在がまぶしい。
アクション ★★★★ 格闘シーンは短めだが、なんといっても火炎放射のシーンが派手である。
総合 ★★★★ 繰り返し見ているうちに評価が上がる作品。
アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 11話の「カケフ君危機一髪」と同様、流行りものからタイトルを拝借した第16話。

 でも、シンプルで悪くない。

 内容的にも、個人的にはこれが「反逆同盟」最後の秀逸エピソードではなかったかと考えている。最終回付近は別にしてね。 
  
 さて、いきなり夜のシーンから始まる。
 怪しい人影が近付いてきたのは、我らが黒鳥学園正門。
 人影は、門が閉まっているのを見て、門柱の前を過ぎて、11話でカケフ君が登場したほうへ消えて行く。
 そしてその足元には血が滴り落ちていた……。
 さて翌朝、門を入ったところで生徒指導部らしき生徒が机を置いて、生徒たち一人一人の所持品をチェックしていた。
 ぶつぶつ文句を言いながらカバンの中身を見せている生徒たちだが、毎度のことながら、2-Aの生徒ばっかりだ。今回は道の向うにも人影はないのでかなり寂しい絵だ。
 この時、集団の後ろに現れるユミとルリだが、通りがかったマユミ、チエミと、「おはようーっ」と実に自然に朝の挨拶を交わしているのが、見過ごされがちだが、重要な箇所である。転入した時は主要メンバーに取り囲まれて脅されていたユミが、今ではすっかりクラスに溶け込んでいる感じだ。ルリにしても、当初はクラスの中でも浮いた感じだったのが、だんだん普通になってきている。
 少なくとも、マユミとチエミについては、12話で一緒にトラブルに巻き込まれているので、そのせいもあるかもしれない。
 遅れてきた二人は、並んでいる生徒たちを見ていささかげんなりする。
 ユミ「持ち物検査よぉ、朝から思い遣られるわねぇ」
 と言う口ぶりから、こういうのは割としょっちゅうあるようだ。ただし今まで描かれたことはない(3話は教室内でのチェックだった)。
  
 真面目なユミだけだったら、多分おとなしく並んでいたことだろうが、この時はルリがいて、
 ルリ「面倒は避けよう! あっちあっち」
 とのルリの誘いにあっさり乗る。
 ちなみに今回も路面が濡れているシーンが多い。
 どういう経路を通ったのか不明だが、フェンス越しに走っている二人。もっとも、冒頭の影は反対方向へ行ったはずだが……。まあ黒鳥の見取り図はどうなっているのかさっぱり分からないので、色々なルートがあるのだろう。
 ユミ「こんな場所があるなんてね!」
 ルリ「遅刻んときはね、利用してんの」
 ユミ「へええ〜」
 と言うが、どう考えても普通に正門から入ったほうが早いだろう。あるいは、時間になると正門が閉められるから、抜け道と言うことか? ただ、日中、正門は必ず開いているんだけどね。
 ルリが鎖で封鎖されているが、少しだけ開く扉を押すが、そこで二人とも固まる。
 ユミ「ちょっと、ルリぃ?」

 → 
    A                                         B
 ルリ「これって、まさか血ぃ?」
 ユミ「間違いないわ」

 と、地面に落ちた血痕をカメラがグラウンドの内側から追うのだが、ここはちょっと変である。
 普通、こういうときは、ユミたちの視線に合わせてB→Aと動くべきであろう。

 また、
    C

 これはAとBの中間のコマだが、ここにもたっぷり血が垂れているが、理屈で考えてこの位置にこれだけ血が落ちるのはありえない。

 何故なら、その直後、
 このように、完全に扉が開かない状態で、僅かな隙間から二人がグラウンド内に入っているからだ。

 Cの血痕が、開いた状態の扉の真下か、その奥ならそこに血が落ちることもあるだろうが、明らかに扉の向こう側、つまり、ルリたちのような移動方法ならば、落ちることはまずない位置にあるからだ。
 わかりにくいが、略図にしてみる。要するに、エリカも通ったであろうルートと、画像Cの血痕が合わないということが言いたいだけ。

 話を戻して、二人はギリギリの隙間から中に入るのだが、サビだらけのこういう場所を綺麗な女の子が通るのを見ると、ちょっとドキッとする。顔に傷でもつかないかと思ってね。まあ、リハーサルをして安全を確認してからやってるんだろうけど。
 なお、予告では「裏庭」と言っているが、これはどう見ても野球部の廃グラウンドである。その前に通った場所が「裏庭」だったのかもしれないが。
 二人は恐る恐る血痕を辿って、ローラーのようなもののそばまで来る。
 そのローラーに赤い汁のようなものが垂れているが、これが血痕と言うことなのだろう。

 ユミ「あの倉庫、使われてないわよね」(微かに巻舌で)
 ユミ「行ってみましょう」
 と、駆け出す二人だが、この時、ユミがルリの腕を持ち直すようにすると、ルリがユミの腕をしっかりつかむかたちになるのが、ちょっと微笑ましい。甘えん坊のケイだったらありがちなのだが、ルリの場合は珍しい。実年齢ではルリの方が上だからね。
 そして最終的に、いつぞや、森口くんが監禁されて拷問されていた体育部倉庫(3話では道場とも呼ばれていたが)へ辿り着く。
 しかし、体育部倉庫なのになんで使われていないのだろう。別の場所に新しいのがあるんだろうか。
 屋内にも、点々と血が垂れていて、それを手掛かりにずんずん進むユミたち。

 授業はいいのか、しかし。
 その血が消えているのが、この部屋だった。
 で、これがあっさり開く。

 でも、後述する少年院からの脱走少女が隠れているのだから、鍵を掛けておくのが普通なのでは?
 まあ、内側からかけられない鍵だったとか、鍵が壊れていたとか、事情があったのかもしれないし、誰も来ないだろうと油断していたのかもしれない。
 と、「ジャン!」と言う、ミホがバラを投げる時の効果音とともに、ドアの陰から手が伸びて、ユミの頭を抱え込む。
 さらに、ナイフを顔につきつけられるユミ!

 そして緊迫ムードのまま、潔くOPへ。

 ここ数話、アバンタイトルが長過ぎて話の底が割れるケースが多かった中で、今回の処理は実に鮮やか。なんといっても、この段階では視聴者にはこの人影の正体が全く分かってない状況だからね。ここでエリカの顔を出さないのがえらい。

アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
  アバンタイトルからそのままシーンが続く。
 口をふさがれ、ナイフを突きつけられているユミ。
 そして怪しい人物がやっとここで正体を見せてくれる。
 便宜上、ここで役名を書いておくと高木エリカで、演じるのは橘ゆかりさん。当時21歳で、最近は「おくりびと」にも出てらっしゃいます。「おくりびと」見たことないけど。
 ユミから数歩遅れて来たルリは、部屋の前に来てやっと事態に気付く。
 エリカ「中に入ってドアを閉めな」
 と、微かに鼻にかかった独特の声で命じる。魅力的な声ですね。
 エリカ「騒ぐんじゃないよ、騒いだらこいつの咽喉元をかっきってやるからね!」
 喋りながら、部屋の奥に移動するエリカ。ルリもさすがに従うしかなく、言われたとおりにドアを閉める。
 ルリ「あんた、少年院から脱走してきたんだね」
  
 エリカ「だからどうだってのさ、てめえらみたいにシャバでピヨピヨ囀ってんのとは違うんだよっ」
 と、歯切れの良い啖呵を切る。確かに、その辺は不良生徒の巣窟と言いながらも、黒鳥学園の弱味(?)だね。ストーリー中、少年送りにされた生徒なんてのも一切出てこないし。それこそ、このエリカくらいだろう。
 ただ、彼女の台詞だと二人をスケバンとして見ている事を示しているが、どう見ても普通の女子高生だよな。まあ、黒鳥学園の生徒と言うだけで、そう決め付けていたのかもしれない。
 エリカ「刺すといったらほんとに刺すよ、あたいはヤクザを刺してパクられたんだから」
 エリカの脅し文句に、驚いた目つきで見直すユミ。

 橘さん、「反逆同盟」のレギュラーでもやれそうな雰囲気だよね。美人だし、芝居もうまい。三人とはちょっと違うタイプだから、仮にレギュラーが女子高生4人(中山美穂は別にして)だったら彼女も選ばれていたんじゃないかと思えるくらい……ただ、この時点で21歳、開始時点でも20歳だから、年齢的にちょっと無理かな。最年長の山本理沙さんにしても18歳だからね。

 血の気の多いルリは、
 ルリ「あたいたちを甘く見るんじゃないよ!」
  
 と、逆にキレて、カバンをバシッと床に叩きつける。

 それもいいんだけど、一応、ユミが人質になってるのをお忘れなく。この時点では、相手がどういう人間なのかもはっきりしてないんだから、ルリの反応は無謀としか言いようがない。
 らしいと言えばらしいけどね。
 ちなみに、エリカにつられたのか、一人称が「あたい」になっているが、これもかなり珍しいケース。
 それを見て、エリカが少しびびる素振りを見せるのが可愛い。
 だが、意外なことに、
 ユミ「ルリ、言うこと聞いて!」
 と、人質であるユミがルリを制止する。まあ、ナイフを突きつけられているのはユミの方だから、そういうのも当然かもしれないが、「反逆同盟」リーダーとしてはいささか弱腰の対応ではある。
 ルリ「ユミ……!」
 ルリも意外そうな顔をする。
  
 ユミ「ルリ!」
 さらにユミが小さく顔を振って、念を押す。静止画で伝わるかどうか心許ないが。
 なんだかんだいっても、ユミがリーダー的な存在なのは揺るがないので、
 ルリ「……わかった……何もしないからさぁ、その物騒なものしまったらどう?」
 ルリも折れて、態度を軟化させる。
 エリカ「黙ってなよ!」
 と、相変わらず歯切れの良い声で応じるエリカさん。ハスキーボイスというのではないんだけどね。
  
 だが、大声を出したためか、傷の痛みに「ううっ」と呻いて前屈みになる。そして靴の間にポタポタ落ちる血。
 もっとも、あちこちに盛大に血痕をばら撒いていながら、この時点でズック靴に血がついていないのはかなり変なんだけどね。
 ユミ「あなた怪我を?」
 エリカ「うっせーっ」
 ユミ「すぐ手当てをしなくちゃ」
 エリカ「うるせえって言ってんだろ!」

 だめだこりゃ。


 さて舞台かわって、平和な2-Aの教室。
 だが、普段と違い、ちゃんと授業が行われていた。
 レギュラー教師やメインのゲスト教師以外で、授業をするシーンがあるのは、全話通して、5話の国語教師とこの16話の日本史教師だけである。
 教師「今日は、平家の赤旗と源氏の白旗について皆さんと勉強したいと思う」
 高2の3学期としてはあまりにぬるい授業内容だが……どうせこいつら進学するのはごく一部だろうから、こんなんでいいのだろう。
 ← 
 教師「平家の赤旗と言う、その赤と言う意味は……」
 もっとも、何を言っても生徒たちは真面目に授業を受ける気がないので、なんでもいいのかもしれない。
 雄太が、席を離れて動き出す。
 ケイの席に近づいて
 雄太「おい、ユミちゃんとルリは?」と訊く。
 ケイ「変ねえ、ふたり……」
 ケイが言い掛けた所で、教師の怒声が響く。
 教師「古来日本に伝わるように太陽とか、そして○○と思える○を……合田ぁーーーっ!
 この、○○の部分、雄太の台詞と重なっていて、どうしても聞き取れない。
 雄太「はっ、はい」
  腰を抜かす雄太。
 教師「貴様の祖先は、平家か源氏かぁーっ!?」
 と、いまひとつ意味の分からない論法で叱る教師。つーか、質問してるだけだな。
 この人、割と早い回から、職員室で台詞のない教師役として何回か登場しているが、台詞があるのはこのシーンだけである。
 いかついけれど、ごく普通の教師にしか見えない。
 それに対し、うろのきた雄太は、直立してから、
 「はい! 源平であります!」と、こちらも意味不明の回答をする。

 で、すぐまた舞台は倉庫に戻る。
 苦しそうに息をしているエリカに、
 ルリ「これからどうする気?」
 エリカ「心配すんなよ、夜になったらまた出て行くさ!」
 ユミ「ダメよ! 夜まで待ったら出血多量で死ぬわよ! あたしたちが逃がしてあげる」
 ルリ「そうだよ、ナイフなんかしまいなよ!」

 ルリが融和を呼びかけるが、
 鋭く振り向いて、
 エリカ「笑わせんなよ! 信じられっかよそんなの」
 ユミ「あなた、死にたいの?」
 ユミの極言に、
 エリカ「死なないよ、あたいは」
 ユミ「助けてくれる仲間は? …………ねえっ!」
 エリカ「いるさ……ひとりだけ……」
 ユミ「呼んできてあげる」
 エリカ「うまいこと言って、サツにタレ込む気だろう!」
 無論、そう簡単に信じるエリカではないが、
 ユミ「あたしは人質のままよ、ルリ、あなた呼んできて!」
 と、ユミは大胆な提案をする。

 ルリ「ユミ……!」
 当然、驚くルリ。
 ユミ「もしルリが約束を守らなかったら……わたしを殺せばいいでしょ」
 と、「走れメロス」のような取引を持ちかけるユミ。

  
 その言葉には、ルリもエリカもびっくりするのだった。
 ユミ「どう?」

 もっとも、エリカの仲間がどこにいるのか、詳しい事情も何も聞かないで話を進めるのはいささか乱暴かも。
 ドラマでは仲間は府中にいるのですぐ呼んでこれるんだけど、これがもし北海道とかだったらユミの提案も無意味になる。

 場面はまた校内に戻る。
 ケイ「電話してみたけど、ユミもルリも家にはいないわ」
 急に雄太が背が高くなったように見えるが、これは画面の右奥に階段があって、そこに雄太が立っているからそう見えるのである。
  
 雄太「ってことは、学園のどこかに……」
 ケイ「嫌な予感がするわ、探しましょ!」
 と、結論しているが、学校か自宅かどちらかにしかいない前提で話しているのはちょっと雑な推論かもね。単にさぼって喫茶店にでもいるのかもしれないし、そもそも二人が行動をともにしているのかどうかもさだかではないのだ。ここは、朝、校門のところで二人を見掛けたという他の生徒の目撃証言を持ち出すのがもっとも妥当であったろう。
  
 とにかく、捜索に乗り出す二人。ケイは階段を登っていき、雄太は廊下を走り出す。

 今度は、校長室。
 校長「なに、警察から手配がぁ?」
 真下「はい、高木エリカ、半年前に傷害事件を起こして少年院に送られました」
 と、真下が写真付のメモを差し出す。

 ただ、そのメモには六月二〇日傷害、在院八ヶ月とある。とすれば、放送日の翌年2月に概ね符合するものの、真下の「半年前」と言う言葉と明らかに矛盾する。ひょっとして、撮影している時期が12月20日頃で、それから導き出された台詞ではないだろうか。ただ、メモにははっきり書いてあるから、間違えるのもおかしいんだけどね。
 真下「それが昨夜脱走したそうです」
 校長「うちの生徒だったというのか?」
 真下「入学三日目で自分の方から退学していますが、一応立ち寄る可能性があるというので注意して欲しいと……脱走の際、窓ガラスで腹部を負傷したようで、どこかに潜伏しているのではないかと」
 入学から三日で退学と言うことは、15歳だから、5年前か。そんな数年前に三日だけ通っていた学校にまで通知を出すかな。ただ、脱走したその夜のうちに、負傷したエリカが歩いて辿り着いていることから、少年院と黒鳥学園が距離的に近いという地理的条件も勘案されてのことだろう。
 もっとも、あれだけたっぷり血痕を残しながら歩いているので、すぐ居場所をつきとめられそうだが……。
 ちなみにエリカは20歳なので、ここで言う少年院とは、特別少年院のことだろう。その辺の具体的な知識はないので違ってるかもしれない。
 校長「傷害事件と言うのは?」
 真下「ヤクザをナイフで切りつけたそうです」
 校長「ヤクザを?」
 真下「彼女にはボクサーの恋人がいたんですが、その恋人の指をヤクザが切り落としたそうで……復讐ですね」

 しかし、なんでそんな詳しいことを彼女が知ってるのだろう。警察がわざわざそこまで事情を話すとは思えないし……。
 それにしても改めて見ると、中島さんもかなりの美人だね。
 校長「復讐か……ふんっガキの癖に恐ろしいことをしよる」
 と、自分たちがやってきたことを棚に上げて慨嘆する校長でした。

 ちなみに準レギュラーの皆さんの出番はこれで終わり。今回は竹中直人も安岡力也も出てないというちょっと珍しい回だった。

 再び倉庫へ。
 書いてるとイヤでも気付くが、今回は倉庫でのやりとりがかなりの割合を占めていて、画面的に変化に乏しいのが欠点だ。
 ユミ「小田イサオ?」
 エリカ「府中の、自動車解体工場にいるはずよ」
 苦しそうに唯一人の仲間のことを説明するエリカ。
 ルリ「恋人?」
 横からつぶやくように尋ねるルリ。
 エリカ「余計なお世話さっ、う、あっ……」
 気丈に言い返すが、傷口を押さえて苦しそうなエリカ。ルリはやっとドアの前から移動して、エリカの近くに立つ。
 ルリ「わかった、任せなよ」
 エリカ「いいか、お前はイサオを連れてくるだけでいいんだ、逃げたり、サツに知らせたり、誰かにこのことを話したら、こいつを殺すからね!」
 ルリ「でもそのイサオってやつが、どうしても来たくないって言ったら?」
 エリカ「そんなこと言う筈ねえよ! 約束はできてんのさ……あたいの誕生日に船で密航するってね……明日がその日なのさ」
 と、夢見る乙女のような現実離れしたことを言うエリカさん。とすれば、明日で21歳になるわけだ。役者の年齢に合わせたわけでもないだろうが、もう少し年齢を下げても良かったかな、と。しかし、エリカはともかく、イサオまで密航する必要はないのでは? そもそも少年院なんだから、普通に矯正教育を受けていればすぐ出られるのでは?
 まあ、イサオとの約束があったために、あえて脱走したんだろうけどね。ただ、イサオにしてもそんな約束するメリットはあまりなさそうだが。
 エリカとイサオの関係についての情報があまりに少ないので、その辺は想像の限界に阻まれてしまう。
 エリカはナイフを右手に持ち替えて、少年院の制服(?)の裾のところに差し込んで何かを引っ張り出そうとする。
  まあ、これは実際に片手でやっていたらいつまで経っても出てこないので、
 間にルリのアップを挟んでから、布の裂けるSEを入れつつ、
 再び手元にカメラを戻すと、いつの間にか隠しポケットから何かをつまみ出すのに成功しているという風に処理している。
 エリカが取り出したのは、ハートのペンダント。うーん、言動とは裏腹に少女趣味なところが萌える。
 エリカ「これを持っていきな、あたいの代理人だって証拠さ」
 ルリは黙ってペンダントを受け取り、不安そうに何度も振り返りながら部屋を出て行く。 
 倉庫から出てくるルリ。しかし結局朝からどれだけ時間が経ったのか、さっぱり分からない。まだ午前中だとは思うが。
 ルリ「ユミの奴、どうしてやっつけちまわないんだろ……あんなの簡単なのに」
 と、はっきり独り言を言うのはドラマならでは、ですな。

  
 その頃、ケイは学園の構内を闇雲に走っていた。走ってもしょうがないだろ、と思うが。

 ここ、スカートの布地越しに後藤さんのたくましい太腿の動きがはっきり見えるという、フェチ野郎(あ、ワシのことか)には見逃せないカットになっている。
  
  
 さらに、ケイの典型的な内股走法や、コーナリングの際に手をグルグルまわす女の子走りがじっくり見られる。
 そして反対側からきた雄太と合流する。
 ケイ「どこにも見当たらないわ!」
 雄太「消えちまったのかなぁ」

 雄太の台詞って、どういう意味だ。

 スチールでは分かりづらいが、この日も風が強い。しかし、今は何の時間なんだろう。昼休み? まあ、授業に出る気は全くなさそうなので、あまり関係ないけど。黒鳥学園って、管理教育が徹底しているという建前なのだが、実際はこういうところについては普通の学校よりよっぽどゆるいのだ。
  
 ふたりはその場に立って、キョロキョロ周囲を見回していたが、やがて雄太がルリの姿を見付けて叫ぶ。

 雄太「あっ、ルリだ!」
 ← 
  雄太の視線の先には、構内を一心に走っていくルリの姿が。
 雄太「ルリーッ! おい、ルリーッ」という呼びかけにも答えず、ルリはひたすら走るのだった。
 どう考えても、聞こえてると思うんだけどね。まあ、エリカのことを誰にも話さないと約束しているから、二人に会ってもしょうがないけど。
 ところで、ペンダントを両手で持って走るとスピードが出ないと思う。ポケットに入れればいいのに。
 二人も懸命に追うが、間に合わない。小さいけど、後藤さんの太腿があらわになっているのが見える。
 ← 
 ルリはそのまま正門から出て行ってしまう。
 少し遅れて二人も追走する。

 そしてまた倉庫へ場面が移る。
 エリカ「いい度胸してんじゃねえか……ダチ公に命預けるなんて」
 乱暴な物言いだが、この辺りではエリカも多少ユミたちに心を開いてるのかもしれない。一応誉めてるからね。
 ユミ「度胸なんて要らない。あたしはルリを信じてるもの!」
 と、相変わらずかっこいい台詞を放つユミだった。
 さらに続けて、
 ユミ「あなたがイサオって人を信じてるように……」
 エリカ「フン、甘いねっ、あいつは恐ろしくて帰ってこないかもな」
 ユミ「そう思ってるなら、あなただって行かせないでしょ! あなただって、彼女を信じたいんでしょう?」
 激しく振り向いて、
 エリカ「やめろ! 見透かしたようなこと言うのは!」
 しかし、また大声を出したので傷が痛み、「はうっっっ」と呻く。
 ユミ「エリカっ」
 慌てて駆け寄ろうとするが、
  
 エリカ「動くな!」と、依然ナイフをかざして制する。

 しかし、よく考えたら、この状態だと、ユミが逃げようと思えばいつでも逃げられるのではないか? 身体を縛っておくとかしないと、エリカとしては安心できないのではないだろうか。無論、ユミには逃げようというつもりはなかっただろうが。
 あと、エリカと言う名前をいつユミに名乗ったのだろう。ま、イサオを連れてくる際にはさすがに必要だろうから、その過程でエリカが言ったのか?
 もっとも、少年院の制服の胸に名札が貼ってあるから、それ見ればすぐ分かることだけど。
 ユミ「どうしてヤクザを刺したりなんかしたの?」
 エリカ「余計な事だって言ってるだろう!」
 ユミ「イサオのため、そうでしょ?」
 ユミに図星を指されて歪むエリカの顔。
 さて、一方、ルリはタクシーを拾ってそれで一気に府中まで来ていた。
 ドラマのお約束で、料金も支払わないで降りて、また走り出す。
 おかしいのが、この真後ろに、雄太とケイが乗るタクシーが来ていることだ。もう少し距離を置いた方がいいんじゃないかと、ドラマ的に。
 後ろのタクシーは「京王 私鉄」という文字が屋根のマークに見える。
 当然、こいつらも料金を払わない。
 まあ、映像では省いているだけで、実際には支払ってるんだろうけど、この場合、どっちが払ったのだろうというどうでもいい事を考えてみる。
 ケイは不明だが、雄太の家はかなり裕福っぽいから、ここは雄太が払ったんだろうな。
  
 降りてからも引き続き全力疾走するふたり。

 で、この時、両者の距離は15メートルかそこらで、少なくとも見失うことはないはずなのだが、
  
 雄太「あれ、どこいっちまったんだぁ?」

 あっさり見失う二人。目ざといんだか、抜けてるんだか。
  
 雄太「と、とにかく探してみようか……」
 ケイ「うん!」
 雄太の言葉に即座に頷くケイ。
 しかし、学校内のような限られた空間ならともかく、こういう往来で、完全に行方を見失った相手をどうやって探すというのだ。
 そもそも、ルリを追いかける必要自体、なかった気もする。ルリにはルリの用事があるんだからさ。
 で、二人はまた走り出すのだが、どっちの方へ行くのか相談もしないのである。その癖、全力疾走だ。
 ただ、ストーリー上、二人はルリに追いついてはいけないが、少し遅れてイサオたちの正体も知らなければならないという、微妙な位置関係が要求されるので、こういうやや苦しい展開になっているのだろう。
 その頃ルリは、イサオのいるという自動車解体工場に到着していた。
 しかし、そこにいるというのは、そこで働いてるという意味なのか、たむろしているという意味なのか、待ち合わせの場所なのかはっきりしない。
 イサオたちの衣装を見る限り、とても労働しているとは思えないのだが……。
 ま、本日休業とでかでかと下手な字で書いてあるので、彼らのイカした格好は、休日限定だったのかもしれない。
 ちなみに「清水モーターズ」とこれまた読みにくい字で会社名が書いてある。
 緊迫感を煽るBGMのなか、敷地内に入り、車体越しにあちこちを見回しながら進むルリ。
  
  
 それと並行して、四人の怪しい男達を映していく。またまたフェイスペイントしているが、これじゃ街中を歩けんぞ。
 彼らは、まとめて1ページでクレジットされている、「天田俊男、五十嵐幸孝、福本和彦、佐藤修、佐々木俊彦」だと思うが、誰が誰だか分からない。またこのうちのひとりは、日本史教師の俳優名なので、ますます同定が難しい。
 ← 
 そして、積み上げられたスクラップに沿って、コーナーに向かうようにして歩くルリと、それを痴漢のようなアングルで追いかけるカメラがサスペンスフルである。不気味な笑い声も聞こえる。

 ただ、ルリも、とりあえず事務所に行けばいいのな、と思う。エリカにどういう説明されていたのだろう。

 で、行き止まりまできたところで、
 くるっとこちらを向いて、
 ルリ「キャーッ!!」
 と、大口を開けて悲鳴を上げるのだった。

 そしてCMへ行くのだが、こういう切り方も、今まではなかったもので、ちょっと新鮮である。ただ、その演出が成功しているかどうかは怪しい。山本さんはそれなりに経験のある人で、決して下手ではないのだが、どんな演技もこなせるというほど器用ではなく、この絶叫シーンはちょっとNGである。
 だいたい、上述のフェイスペイント野郎どもが立っていたからって、こんな身も世もない悲鳴を上げるようなキャラではない筈だ。


アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 CM明けだが、
  
 さっきと同じシーンが繰り返されるという、珍しい編集。ただ、やってることは同じでもカメラ位置などが違うアナザーテイクなので、厳密には別のシーンと言うべきか。
 ルリ、振り向いて、「きゃああっ!」と甲高い悲鳴を上げる。
  
 彼女のおののき顔を中心に、カメラが素早く引くと、ルリの眼前にふたりの男が立っていて、同時に別の二人がスクラップの上から飛び降りる。

 この、ルリの悲鳴が、流れの中での自然なものではなく、スタッフの合図で「はい悲鳴上げて」と言われてやってる感じが如実に出ていて、この部分はさっきも書いたが、あまり感心しない。これがケイだったらまだ分かるんだけどね。

 男「何しに来たんだい、お嬢ちゃん」
 ルリ「なめんじゃないよ!」
 吼えるルリだが、直前に女の子らしい可憐な悲鳴をあげているので、いまひとつ決まらない。
 男「なんだとぉー!」
 一触即発の状態になるが、
 イサオ「待てッ!」と背後から声がかかる。
 男「小田さん…」
 イサオ「やめるんだ」

 真冬なのに素肌に革ジャンのすごいやつ、小田イサオ参上!
 ルリ「あんたが小田イサオかい?」
 イサオ「そうだ、お前は?」
 ルリ「エリカの代理のものだよ」
 そう言って、持参したペンダントをイサオに向かって投げる。
  
 イサオ「エリカの?」

 ちなみにイサオを演じるのは瀬山修さん。
 ちょっと調べたけど、色んなドラマの端役などに出てるくらいで、具体的なデータはない。渋い声でちょっとかっこいいんだけどね。

 さて、またここで倉庫に戻るカメラ。この間にルリが事情を説明すると言う寸法だろう。
  
 荒い息をしているエリカ。傷を押さえた指の間から血が流れている。
  
 その様子を見かねたユミは、部屋の中を見渡し、
 棚の上に置いてあるプラスティック製の救急箱を見付ける。
 しかし、何年も使われていないような部室に放置されてあった、こんなちゃちな救急箱、かえって危ないんじゃないの?
 ユミは少し躊躇ってから、それを取ろうと踏み出すが、
 エリカはそれでも「動くな!」と、ナイフを突きつける。

 ユミ「救急箱があるわ、少しでも出血を抑えないと……」
 エリカ「余計なことするな、動くんじゃねえ」
 再三エリカは脅すが、ユミは構わず救急箱に手を伸ばす。
 と、エリカがユミの胸元を掴み、
 床に倒す。この時、ユミの手には救急箱が握られている。
 そして、ユミの胸元の傷がエリカの目に入る。
 なんか、凄く久しぶりに出てきたな、この傷。
 それを見て、目を見張るエリカ。
 そんなに驚くこともないと思うのだが。
 一瞬鋭い眼差しになるユミ。
 が、急に覇気をなくしたエリカは、黙ってユミから離れる。
 うつむいてスカーフを結び直しているユミが、ちょっといじらしい。
 エリカ「あんた……、その傷は?」
 ユミ「子供の頃に……殺されそうになったの」
 エリカ「殺されそうに?」
 ユミ「……お母さんに」

 視聴者にとっては既知の話なのだが、実は、ユミが幼時の(奈美悦子の回想シーンによる)つらい記憶を他人に語るのは、実はこれが初めてだったりする。それも、その日初めて会ったエリカに打ち明けるというのは、不自然かもしれないが、逆にゆきずりの相手だから、またこういう特殊な状況下だからこそ、打ち明ける気になったのかもしれない。
 ユミ「もう12年も前の話よ」
 こだわりのない笑顔で淡々と話すユミ。
 エリカ「何故?」
 ユミ「理由は分からない、そのまま行方をくらましちゃったから」
  
 ユミ「でも私は真実を追い求めるつもり、この気持ちは12年も前から変わらないわ……この傷が消えないように」
 この一連のやりとりは、エリカとの心の交流を表すとともに、いまいちど、ユミがここにやってきた真の目的を再確認しておくという意味があったのだろう。
そろそろ最終回も近いことだしね。
 ユミはそして、エリカを見上げて、
 「心の傷口に、血を滲ませてるのはあなただけじゃないのよ!」
 ユミらしい名台詞を放つ。
 エリカ「……どうして?」
 ユミ「えっ?」
 エリカ「あんた、あたいをやっつけて、逃げられたのに」
 ← 
 ユミ「あなた……震えていたわ、最初から……本気で人を刺したり、悪いことできるような人じゃないって、そう思ったの」
 この時点ではもう二人の間には友情に近いものが芽生えている。

 ユミ「ヤクザを刺したのも、それなりのわけがあるんでしょ?」
 エリカ「許せなかったんだよ……」
 と、すぐ事情を話しそうなのだが、

 ここでまた場面が変わって、ちょっとイライラする。
 先程の解体工場。話は既についたようで、早くも学園に向かおうとしているルリとイサオ。
 イサオ「頼りになる医者を知ってる、エリカのとこへ、案内しろ」
 ルリ「うんっ」
 ルリが嬉しそうに答えるのが可愛い。
 そして、とめてあったジープにイサオが乗り、ルリも助手席に座る。

 で、また倉庫へ戻る。
 エリカ「イサオは将来を有望視されたボクサーだったんだ。それをあのヤクザと来たら、両手の小指を切り落としたんだよ!」
 さっきの続きで、ヤクザを刺したときの事情を話すエリカ。
 エリカ「街で突然喧嘩売ってきてさ、イサオはあたいを巻き込まないようにかばって、ひとりで……だから、許せなかったんだよ!」
 このことに関しては、後に詳しく検証します。

 一方、
 解体工場を出て、日の傾いてきた街を、勢いよく駆けて行くイサオの車。
 で、ちょうどその横の歩道を歩いていた二人。よくここが分かったなぁ。
 雄太「ルリッ」
 無論、ルリは気付かない。
 ルリ「エリカと約束したんでしょう? 彼女の誕生日には一緒に密航しようって、彼女はその約束を守ったのよ」
 イサオ「俺だって忘れちゃいない、はっ脱走までするなんて、エリカの奴……」

 イサオのような男が「誕生日に一緒に密航」などと言う非現実な約束を本気で守るとは到底思えないのだが、無論、思っていないのだった。ただ、ルリの方はイサオの言葉をすっかり信じているようで、意外とメルヘンチックなのかもしれない。ただ、ルリを騙し通すつもりなら、イサオは「忘れてない」と言う割に、少年院にいると分かっているエリカとの約束をどうやって果たすつもりだったのか、その辺の説明が抜けている。
 そして雄太とケイは、何故か二人が出てきた解体工場へ入っていた。うーん、この場合、そのままルリを追うのが普通じゃないかな。
 雄太「ここから出てきたんだよな、ルリの奴」
 ケイ「一体何があったのかしら?」
 雄太「とにかく調べてみよう」
 ケイ「うん」
 と、敷地内の探索に移るのであった。ここでも、イサオの手下がいたから調査のし甲斐もあったけど、元々イサオひとりだけだったら、ここを調べても何にもならないわけで、この辺の流れはかなり作為的だ。
 ちなみに今回は、雄太とケイが徹底して脇役に回っているのが特徴的で、ここまでユミ、ルリたちと顔を合わすことすらしていないのだ。
  
 こういう場合、その調査が空振りに終わるなんてことはなく、手下の皆さんが、ケースを開けて新聞紙にくるまれたドラッグらしきものを取り出し、何の意味もなくニヤついてるところを二人に見せ付けてくれる。
    
 ここで、手前のミラーにそれを見ている二人を映すのがちょっとオシャレである。露骨に驚くケイが可愛い。
 そして顔を見合わせるケイと雄太。
 ドラマではこれだけで切っているが、実際は、この後、彼らの会話をしっかり盗み聞きしていたのだろう。
 ちなみに、小麦粉みたいなドラッグを新聞紙にくるむのは、7話でもやっていた演出である。
 さて、倉庫では、素直になったエリカの怪我をユミが手当てしていた。
 ユミ「これで少しは出血が防げるわ」
 エリカ「ありがとう」

 じゃあ、いい加減ナイフをおろしたらどうなんだ、と。
 ユミのこと信頼してるんじゃないの?

 と、ドアの開く音がして、振り向くとルリが顔を見せる。
  
 ユミ「ルリ!」
 ルリ「イサオ連れてきた、約束、守ったわよ」
  
 エリカは心底ホッとしたように表情を緩め、
 エリカ「ありがとう……」

 麗しい場面である。
 車のところで待っていたイサオは、エリカたちを見て、サングラスを外す。
 イサオ「エリカ!」
 エリカ「イサオ!」
 ユミ「まずは医者に診せないと」
 イサオ「分かってる、あとは俺に任せてくれ」
 お姫様抱っこで車に乗せられるエリカちゃん。この時点が、幸せの絶頂だったの。
 ルリ「頑張ってね、エリカ」
 ユミ「ステキな誕生日になること、祈ってるわっ」
 エリカ「うん」
 口々にエリカを励まし、祝福する二人。しかし、仮に約束どおり密航していたとしたら、逆にもっとひどい目に遭っていたんじゃないかと思う。
 イサオ「じゃっ! どうも」
 と、イサオは男性っぽく曖昧な礼の言葉を投げて、車を発進させる。
 なお、カメラが切り替わってからもエリカがもう一度「うん」と頷いているのが、ちょっと矛盾している。
  
 それを見送っていた二人だが、ちょうど「ユミちゃーん、ルリーっ」と言う雄太の呼ぶ声が届いてそちらを向く。
 ユミ「雄太ぁ!」
 またまた走っている二人。今回の撮影は疲れたことだろう。まあ、二人とも若いからねえ(15〜16歳)。
 しかし、これだと、二人は府中から走ってきたみたいである。ま、またタクシーを拾って戻ってきたんだろうけど。
 雄太「ちくしょう、一足遅かったか」
 ユミ「ええっ?」
 雄太「あの黒手袋の男、密輸団のボスなんだぞ」
 意外な展開に顔が引きつり、小鼻が膨らむ仙道さん。
 ルリ「イサオが?」
 ケイ「ほんとなの、あたしたち、連中の話を聞いちゃったのよ、あいつらコカインを密輸してるのよ」
 ユミとルリを交互に見ながら口とんがらせて一生懸命話すケイ。しかし、遠目に見ただけでコカインって分かるのか?
 ユミ「コカイン?」
 雄太「今夜、ヤクザと取引するそうだぜ」
 なんでそんなことまで知ってるの、君は?
 ま、例によって、部下たちが、これからすることを事細かに説明口調で話すのを聞いたのだろう。

 ただ、雄太たちはイサオと部下たちを一緒には見ていないのに、イサオをボスだと言明しているのはあまりに飛躍が過ぎる。
 ルリ「そんな……イサオが……」
 顔を曇らせるルリだが、密輸団のボスだからって、エリカを裏切る悪い奴だと決まるわけじゃないんだけどね。
 そんなことは知らず、エリカはイサオの車に身を委ねていた。
 ちなみにこの時、車内からエリカをとらえたカメラだけ、四隅に黒い縁取りが見えるのだが、カメラの仕様かな。その辺はさっぱり知識がないので分からない。
 依然出血している。ユミの手当てが意味なかったみたいじゃないか。
 エリカ「イサオ……もっとゆっくり走って……」
 エリカのきれぎれの嘆願にも、イサオは無表情でスピードを落とさない。
 この描写で、ルリの懸念が当たっていたことが視聴者にも分かるのだ。

 ちなみにここでは、先ほどの黒い縁取りが消えている。

 ところで、この走行シーン、その前のルリとの同乗シーンの方が、夕暮れ時みたいで、こっちのほうが時間的に早いように見える。
 まあシナリオの時系列に沿って撮影してるわけじゃないからね。
 で、また解体工場に場面が戻る。
 当然、その日の夜だろうが、エリカが地面に横たえられ、その身体に部下の一人がポリタンクの石油を撒く。
  
 傷の痛みと、液体をかけられる二重の苦しみに呻くエリカ。
 これは、まあ灯油と言う設定かな。実際にはぬるま湯をかけてるんだと思うが。
 部下「こいつに生きてられたら何かと面倒ですからね!」
 部下「知られちゃまずいもんなぁ、あのヤクザと喧嘩になったのは密輸ルートに首つっこんだからだなんて」
 部下「でも、こいつがあのヤクザを刺してくれたお陰であのルートが横取りできたんですぜ」
 部下「そこまで計算したんだよ、ね?」
 部下「ズベ公の純愛を利用するなんて、全く憎いよ」
 イサオ「まさしく天使だぜ、外国へは行けなくとも天国へ行けるだろうよ」

 どうでもいいが、
 知られちゃまずいと言いながら、自分たちのやったことを懇切丁寧に披露してんじゃねえ!

 お前らは、時代劇に出てくる悪代官と悪徳商人か!
 ただし、今回、ここですぐ「反逆同盟」が登場するわけではない。
 イサオの「おい」と言う合図で、みんなしてエリカの体を抱え、廃車の運転席に放り込む。
 ここで、イサオはあえて手袋を外し、切られた筈の小指をエリカに見せ、恐らく思い出の品なのだろう、例のペンダントをつまんで見せる。
 意識朦朧としながら、それを見たエリカは当然不審に思う。
 エリカ「イサオ……ゆ、び……?」
 イサオ「バカヤロウ、指なんか詰めるわけねえだろう」
 と、嬉しそうに言い放つイサオ。

 つまり、もともとヤクザに指を切られたというのは嘘で、エリカを騙してそのヤクザに復讐させるのが目的だったのか。
 うーん、でも、さっきのエリカの話では、ヤクザに切られたところをはっきり現場で見たとしか思えず、なんか納得できないのだ。それに、相手はイサオたちと密輸ルートを争っていたくらいだから、イサオたちと芝居を打ってくれるとは思えないし……。ただ、イサオの台詞から無理に推測すれば、いさかいは確かにエリカの目の前で行われたものの、その後、イサオはヤクザに連れて行かれ、エリカの見ていないところで「指を詰められた」ということにして、エリカを騙したということは考えられないだろうか。その際は無論、指を包帯で巻いてばれないようにする必要があっただろう。

 しかし、いずれにせよ、か弱い女の子の復讐心を利用してそのヤクザを負傷させたのは変わりなく、かなりせこい話である。そもそもイサオがボクサーなのは事実だったんだろうから、ヤクザを闇討ちにでもして倒せば済んでいたんじゃないのかと。

 また、書いててむかむかするほど、イサオは最低な奴なんだけど、あまりに愚直な悪人なので、ドラマとして含みがないのが欠点になっている。エリカを利用して裏切ったけど、少しは未練があるとか、昔はいい奴だったけど、ヤクザに指を切られてヤケになって悪事を働くようになったとか、そういう描き方もあったと思う(後者の場合は実際に指を切られたとしなければならないが)。

 それに、ここでエリカを殺してまで口封じする必要が果たしてあったのかどうか。エリカを唆してヤクザを刺させたことが明るみになるのを恐れていたとしても、エリカはそんなこと知らないわけだし、イサオにしてもルリの要請に応じて迎えに行く必要はなかったはずだ。あるいは、脱走中なんだから、その足で警察に連れて行ってもかまわなかっただろう。結果的にエリカを捨てたことになっても、彼らにとってはどうでもいいことなんだから。

 それと、ヤクザひとりいなくなっただけで、密輸ルートが横取りできるものだろうか?
  
 それはともかく、ペンダントを濡れた地面に落とし、ぐりぐりと靴底で踏みにじるイサオ。

 もっとも、これはあまり踏みにじり甲斐のないアイテムであるが。
  
 エリカ「イサオ……」
 エリカは必死に起き上がろうとするが、イサオはその胸に無慈悲に蹴りを入れて押し戻す。
 車のドアを閉めると、ガラスが割れて砕け落ちる。ただ、これだと上からガラスの破片を撒いているようにしか見えない。
  
 そして、撒いた油の上に短い蝋燭を灯して、ジープで去っていくイサオたち。
 BGMは、「Don't Stop Lullaby」の弦楽器バージョンで、ひとしお悲愴感を盛り上げるのに貢献している。

 これは無論、原始的な時限装置として使っているのだが、極めてあやふやな方法だ。風が吹いたらすぐ消えそうだし。

 が、このシーンにかぎってはこの方法と言うか、演出は正解になるのだ。つまり、
  
 この蝋燭の火によって、エリカの残り少ない命と、エリカのイサオへの(燃え尽きようとする)愛を同時に、かつ効果的に表現できるからである。

 これは、シリーズを通して、非常に良く出来たアイデアだと思う。まあ、ありがちな演出なのかもしれないけど、素晴らしいBGMと相俟って、ここは感動的なシーンに仕上がっている。
 ← 
 そこへ駆けつけるユミたち。小さくて暗くて分かりにくいが、ここでもケイの腕グルグル走法が垣間見られる。
 振り向いて、エリカを発見してびっくりするユミ。
 雄太「火だよ、あぶねっ」
 しかし、よく考えたら、イサオたちと別れてからここに辿り着くまでなんでこんなに時間が経ってるんだろう?
 別に密航する港などについて聞いてるわけじゃないし、探すとすれば、この解体工場しかないわけで……。まあ、冬は日が暮れるのが早いからね。
 雄太の震える指で、蝋燭はつまみあげられる。しかしこれほっといても、芯まで燃え尽きるだけで、灯油には発火しないんじゃないかと言う気もするが、実際にやったことないから分からない。
 ← 
 ユミはウィンドから中を覗きこみ、ドアを開けて「エリカっ!」と、叫ぶ。
 エリカ「ユ、ユミさん……」
 ユミ「雄太、救急車!」
 雄太「わ、わかった」
 と言って、走り去る雄太。
 かわりにルリが「エリカっ」と叫んで駆け寄る。ケイも、初対面なんだけど、後ろで心配そうな表情を浮かべる。
 ユミ「エリカ、しっかりして! しっかりしてエリカ!」
  
 ルリは、地面に捨てられていたペンダントを拾い上げ、
 ルリ「イサオの奴!」
 自分がイサオを連れてきて、信用していただけに、怒り心頭のルリであった。
  
 もちろん、エリカと友情を育んでいたユミも憤怒の表情になる。

 エリカとは口も利いてないおケイちゃんは……それほどでもないという顔だった。

アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
  
 さて、エリカが首尾よく爆死したと信じ、ヤクザとの取引場所に来ているイサオたち。
 でも、考えたら、エリカをああいう方法で殺して、ばれないと思ってるのがバカだな。特に、ユミたちに二人で発進するところを見られてるし、エリカがイサオのために傷害事件を起こしたことも警察は知ってるだろうし、疑われないわけがない。
 イサオ「遅いなぁ、取引中止だってのか?」
 約束の時間になっても来ないヤクザに、文句を言うイサオ。

 でもほんと、この場面でヤクザが来ないのは不可解である。雄太たちは取引場所と時刻は盗み聞きして知っていたとしても、ヤクザの名前とかまではさすがに知ってなかっただろうから、前以てヤクザたちを来させられないようにするのは無理だろう。
 ヤクザたちがただ遅刻しただけだったとしたら、あまりにご都合主義だ。
  
 周囲を見渡してたイサオ、二度見気味に、すごいものを発見して、ギョッとする。
 視線の先には、言うまでもなく、反逆同盟の三人の姿があった。
 ルリ「闇の中でのさばり続ける悪党ども」
 毎回同じこと書くの飽きてきた。ちなみにエコーが結構かかっている。
 ケイ「てめえらのようなワルは、許せねえ!」
  ユミは拳を腰の前でクロスさせ……って、もういいか。毎回多少違いがあると、考察し甲斐があるんだけどね。
  
 ユミ「天に代わって」拳を構えてから「成敗する!」
 イサオ「なんだ、てめえたち」
 と、今回は間にイサオが合いの手(?)を入れるのがちょっと違うかな。
 三人「セーラー服、反逆同盟!」
 敵がこのまま無反応で、互いに固まったままだったら面白いが、イサオはそんな無粋なマネはしないで、すぐジープを降り、
 イサオ「なにぃ」
 と、応じる。ただし、部下に対する攻撃命令はない。
 ここで「Don't Stop Lullaby」が早くもスタート。これだけで、今回はバトルシーンが短いことが予想される。
  
 「うぉーっ」と雄叫びを上げつつ、命令もないのにいきなり襲い掛かる部下の方たち。いつものように、しばし乱戦タイム。
 敵は特に意味もなく、前転したり、空中回転したりしているが、これはやはりスタントにバトンタッチしてるんだろう。

 そしてすぐ個人戦に移行。
 ユミは、二人の敵に挟み撃ちされるが、高い場所からジャンプして攻撃してきた相手には、
  
 天に向けて拳を突き出し、目をつぶりながら迎撃する。そして「ぐわあーっ」と叫んで後方へ倒れる敵。

 で、その倒れた敵に、さらに画面外からケイが飛び掛ってくる。今回は部下が4人だけなので、ほぼ1対1の戦いになっているので、こういう感じになる。
  
 まず、正面から組んだ相手を投げ飛ばし、
  
 右のハイキック、そしてくるっと一回転してからのパンチ(?)を放ち、さらに追うのだが、
 カメラはそこから真っ直ぐ上に動いて、
 やたら高いところで戦っているルリと部下を映す。しかし、一体どこからそこに登ったんだろう。
 高さはそれほどでもないが、手摺とか何もないのでかなり怖い。しかもそこでアクションしなきゃいけないわけで……。
 全然違うところで撮ってるんだけど、首を絞められて悶えるルリ。
 そして敢え無く突き落とされる。スタントは、田村奈美さんだと思うが……。
 地面に寝転がるルリ。
 A
 敵も、続いて飛び降りて攻撃してくるが、
  
 そこで十八番の鉛筆投げで迎撃。この時、鉛筆の飛ぶイメージ映像で、ちゃんと鉛筆が斜め上を向いているのが芸が細かい。
 B
 空中で相手の指に刺さり、敵は面白いポーズでそのまま地面に激突。静止画なので判別しづらいが、AとBは無論、別テイク。
 Aで、コンテナ(?)の上から1/3くらいの位置まで降りているのに、Bでは、高度がコンテナの上空に戻っている。まあ、そこまで突っ込むのは野暮であるが。

 さらに、ルリは落ちてきた相手に、
  
 強烈な往復ビンタを食らわす。
 殴り倒したあと、制服がやや乱れているのがそそられるね(やかましい)。

 お次はケイ。
 最初、敵に押されて機械に壁に背中を打ちつけ、やや苦しそうな顔。
 
  
 しかし、棒で殴りかかってきた相手の攻撃をかわし、逆にスカーフで数回攻撃し、画面の手前に退けてから、
  
 得意のスカーフ&チェーン投げ。
 チェーンは相手の棒にしっかり絡みつく。しかし、こいつの持ってるの、なんか鎌がついてて、ちょっと危ない。なんでそんなもん予め用意しているのか。
  
 それを引っ張るのだが、いつものようになんか得意気と言うか、サディスティックと言うか、悪人っぽく、
 あるいは相手を見下すような表情になってしまう後藤さんでした。

 あと、頬のラインが猫のひげに見えてしょうがない。
  
 ケイはそのまま強力で、機械の陰に消えた後、男一匹をずるずるすと向こう側まで引きずりこんでしまう。
 これは、向こう側でスタッフが数人で引っ張ってるんだろう。
 とにかく、凄い力で引っ張られて、角のトコで引っ掛かって苦しむ敵。
 と、いつの間にか機械の上に立っているケイ。まるで別人のような素早さだが、別人なので当然である。これは恩田真美さんかな。
 彼女はそこから飛び降りるのだが、別に仕事人のように機械を支点にして相手を宙吊りにするわけじゃないので、このアクションにはあまり意味がないような……。
 しかし、さらっと見過ごしてしまうが、この高さから普通の地面にそのまま降りると言うのはなかなかできないことだね。
  
 しかも、着地して豪快な右回し蹴りを決める。

 次はまたユミに戻るのだが、引き続きケイが戦っているような印象があるのは、SEに、敵のふるうチェーンの音(カシャンカシャンと言う)が聞こえるので、それでケイの得意技が連想されてそう感じてしまうのだろう。無論、ユミの顔が映ればすぐ錯覚だと気付くのだが。

 で、敵の一人の肩に乗っているユミ。ただ、これだけでは敵が苦しむほどのどんな攻撃をしているのか分かりづらい。
 ユミはその肩から飛び降りる。
  
 地面を転がって、違う敵のチェーン攻撃をかわしてから、最初の敵に華麗な回し蹴りを放つ。
 その後の倒れ込みながらの投げ技も綺麗に決まる。
  
 残る敵のチェーンの攻撃を左手で受け止め、右拳を土手っ腹にめりこませるユミ。
  
 フィニッシュは渾身の右ストレート!
 あえなく地面に倒れる敵。これでザコの皆さんは一丁上がりである。
 人数が少ないと言っても、今回はかなり早く片がついている。レビューを作る側としては歓迎したい。
 ザコを片付けて、一箇所に集まる三人。が、緊張の面持ちで、上方を見上げる。
  
 と、やや高い足場にしゃがんでいるイサオが、カチッと種火をつけて、火炎放射器をぶっぱなすというド派手なシーンになる。

 6話でも炎上シーンはあったが、やっぱりこっちの方が映像としては面白い。
 ただ、彼は一応ボクサーだった筈で、それを生かして戦わないのはちょっと勿体無い。あるいは、ボクサーと言うのも実はエリカについていた嘘だったのか?
 火の勢いが凄く、イサオごと画面を覆い尽くして、黒煙まで上がる。

 もっとも、見た目は派手だが実際的な武器としてはあまり役に立ちそうもない。狭い場所ならともかく、こんな開放的な場所なんだから、しばらく後ろに下がっていれば、燃料もなくなるだろう。しかし、そもそもイサオはなんでそんなものを用意していたんだ? 現場にたまたまあった、なんてことはないよな。
  
 炎の壁を手前に、あとずさる三人。もっとも、この炎は、火炎放射器の火ではなく、地面から出している分なんだけどね。
    
 炎の熱さに怯む三人のアップをそれぞれとらえていくカメラ。
 後藤さんは、また火傷したらやだなとか思っていたのだろうか。
 嬉しそうに炎を浴びせているイサオの汗ばんだ顔がステキ

 ところで、取引相手のヤクザは何で来ないの?
 いや、遅れて来たものの、この新春隠し芸大会みたいなバトルの様子に恐れをなして帰っちゃったのかも。
 
 イサオの背後からとらえた絵も、なかなか迫力がある。地面の、弧を描くように燃えているのは、無論、撮影用に別に燃やしているのだが、実際のところ、ただの地面に火を浴びせても、あんな風には残らないだろう。でも、位置関係がすっきりと分かる、いいカットだ。
  
 延々と放射し続けるイサオ。この後、邪魔が入るので助かるが、このままずーっと出し続けていたら、かなり間抜けな状況になっていたんじゃないかと。
 燃料が減るとともに、徐々に衰えていく火勢……やがて完全に火が消えて、地面と高所で気まずく見詰め合うイサオとユミたち……と言う具合に。
 引き続き、なすすべもなく立ち尽くす三人。
 ユミのアップをおさえてから、
 かなり唐突な感じでミホのバンク映像、それも第2話の遊園地でのバラ投げのシーンをつないでくる。
 さすがにこの場所には似つかわしくないバンク映像だろう。
  
 で、あっさり顔面にバラが命中して爆発し、花びらを貼り付け、「ああっ」と呻いて地面に落ちるイサオ。

 ただ、炎の作る風圧で、さすがにバラもそこまで届かないと思うんだけど。バラを投げる角度も水平なので、余計うそ臭い。

 いやそれ以前に、バラは燃えるだろ。

 この辺から、BGMが「Shadow of Love」のインストに切り替わる。
  
 三人が、しめたとばかりにイサオに飛びかかろうとするが、イサオも粘って、近付く相手を押し戻す。
 ただ、目潰しされたままなので、効果的な反撃は出来ない。
    
 最後は、ユミにつかまり、右に左に何発もパンチを食らう。
 都合四発殴ったあと、襟首を掴み、
  
 強烈な右フックでトドメを刺す。
 胸板をはだけてぶっ倒れるイサオ。風邪引くで。

 ここはしかし、怒りに燃えていたルリにも殴らせてあげたかったところだ。
  
 ユミの左右に駆け寄るルリとケイ。
 最後にユミのアップで、ユミの心の声「ミホさんありがとう」を入れるのだが、今回のストーリーからの流れでは、ここは無言のままが良かった。エリカのことを思い、勝っても単純に喜べないことがユミの表情が語っているから、余計とってつけたようになる。

 それにしても、バトル前の盛り上がりからすると、今回の戦闘はややあっさり風味だったかな、と。火炎放射攻撃は見た目は派手だが、8話のマシンガンとかに比べると、殺傷力では劣るから、あまりピンチだったと言う感じがしないのだ。

 この後、イサオたちはやっぱり警察に突き出されたのか? エリカ殺害未遂は別にしても、コカインを所持していたから確実に逮捕はされただろう。


アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 大学病院っぽい建物の外観。ちょっと調べたが、こういう名前の大学病院は見付からなかったが……手前の看板だけじゃなく、画面中央下の石碑のようなものも同じ名前が書かれている。それ以降のシーンは全てセット撮影だから、外観だけでそこまで凝る必要はないので、やっぱり実在(した)の病院かな。
 とにかく、病院のベッドで寂しそうに天井を見上げているエリカ。少年院から脱走中とすれば、そういう専門の病院に入れられそうだけどね、ま、あまりリアルにやるとストーリーが進まないので、しょうがないところだ。それに救急で呼ばれれば、身許に関わらず普通の病院へ直行だろうからね。
 と、そこへ四人組が見舞いにやってくる。
 もっとも、ケイと雄太は事実上、初対面なんだけどね。
 ユミ「こんにちは」
 ← 
 しかしエリカは、つらそうに顔を背けてしまう。
 戸惑ったように顔を見合わせる面々。
 それでも、ゆるゆるとベッドのそばにやってくる。雄太がドアを閉める。
 ユミは花束を、ルリはリボンをかけた緑色の箱、ケイはピンクの箱を持っている。普通はまあケーキだろうか。ルリの箱は小さいので、あのペンダントのかわりの新しい装飾品かもしれない。
 やがて、エリカがぽつりとつぶやく。
 「イサオは死んだわ……あたいの心の中でね」
 実生活ではまず使わない台詞だけど、これはドラマだ。
 「Shadow of Love」のピアノバージョンが小さく流れる。
 かける言葉も見付からず、黙って見守るユミ、ルリたち。

 が、
  
 エリカ「でも、そんなにつらいことじゃないわ…………新しいダチができたからね!」
 と、過去を振り払うように言うエリカ。全話を通しての名台詞である。
 前向きな発言に、ゆっくり頷くユミ、笑顔を見せるルリたち。
 清々しいシーンである。

 もうひとコマ、エリカの笑顔を挟んでから、
 ユミのバストショットで「つづく」のだった。


 しかし、この事件は結局どうなったんだろう。黒鳥にも警察の手配が来ていたくらいだから、表沙汰になっていた可能性が高く、そうすると、校長たちに彼らのグループとしてその存在を勘付かれていたかもしれないのだが、そういう様子は窺えない。ま、単に救急車を呼んだだけなら、警察に事情を聞かれることもなく、学園にも注視されることもなかったのかもしれない。

 無論、エリカはこの後、少年院に再収容されのだろう。

アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 予告編

 まず、ナレーションで「服装検査」と言っているが、本編では「所持品検査」となっていると言う明らかな違いがある。こういうのはあまり例がない。

 映像的には、最初、ユミがエリカに襲われた時、
  
 左が予告編、右が本編だが、はっきりと違うのが分かるだろう。
 ついでに言えば、ナレーションの「ユミたちに背後からナイフが突きつけられた」と言うのも、若干ニュアンスが異なるような気がしなくもない。

 今回はそれくらいですね。

 あ、いや、それと、 
 予告編の最初に、イサオが火炎放射器でユミたちを襲うカットがあるのだが、これはネタバレになってるので、ちょっと問題じゃないのかと。
 また、着火しているような動作も見られるが、これも本編ではないものだ。
 その炎に逃げ惑う三人の様子も、本編とは違うテイクのようである。



 まとめ

 倉庫でのユミたちとエリカの緊迫したやりとりがかなりの分量を占めたり、四人のメンバーが長期間個別行動を取るなど、構成的には過去にないエピソードである。捻りはそれほどないが、一途な少女の想いが無残に砕かれる様子が見事に映像化されていて、全体の中でも上位に位置する佳作である。戦闘シーンは淡白だけど、なんといっても火炎放射器の映像は迫力があってインパクト大だ。


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