×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。




第05話 学園、幽霊現る!  前へ 次へ 目次へ
放送日時 1986年11月10日
裏番組 月曜ドラマランド「有閑倶楽部」
監督 江崎実生
脚本 二色ひとし
準レギュ 中島はるみ、安岡力也、竹中直人
ゲスト 奥村公延/用務員小宮、椎谷健治/事務長亀井、泉じゅん/ナツコ、清水宏/海野、増子倭文江/国語教師、木内美穂/女性事務員(?)助川未佳/小宮の孫娘ユリ(?)
予告 黒鳥学園創設以来勤めている用務員小宮が、銀行の帰り強盗に遭い、3000万円を奪われる事件が起こった。ユミ、ルリ、ケイ、雄太の四人は事件に疑いを持ち、乗り出したが。そんな折、小宮が自殺をしてしまった。「セーラー服反逆同盟」、お楽しみに!
備考 OPでのケイのチェーン攻撃に効果音は無し。キャストは仙道敦子が最初で、中山美穂が最後。プロデューサー補・安倍夏彦はプロデューサーと同じページに表示。タイトルの!は正確には45度に傾いて表記されたもの。
評価   シナリオ ★★★ ルリと小宮の交流は温かいけれど、ストーリーは単純で謎解き要素も希薄
演出 ★★★ コミカルな演出が多い。一方で、偽装自殺の表現は色々と疑問がある
映像 ★★★ 特筆すべきところはない。びしょ濡れになる中島はるみくらいか
キャスト ★★★★  地味だが、個性的な役者が多く出ている
アクション ★★★★ 安定している。しかし特に印象に残るアクションはない。
総合 ★★★ 粗筋を聞くと期待してしまうが、実際はそれほどでもない
アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
  やや季節外れだが、幽霊ネタは学園ドラマには欠かせないプロットなのである(そうか?)。

 もっとも、そもそもこのタイトルはいささか欺瞞的で、「幽霊」は確かに現れるが、それは最後の公園の中であって、学園ではない。
  
 陰謀をにおわせるBGMを受けつつ、元気よくランニングする女子高生たちの神秘の三角地帯をとらえる導入部。このドラマは初秋〜晩冬が舞台なので、意外とこういうシーンは少ないのだ。21話では女子はジャージ姿だしね。

 ちなみに、右の画像の右端の女生徒は2-Aなどでちょくちょく見掛けるエキストラのひとりである。大人しくて控え目で、それでいて割と特徴的な顔なので、ちょっと目に付いて気になるのだった。台詞らしい台詞はないが、たまに、第15話のように「反逆同盟」狩りの対象になってアキ子たちと一緒に縛られると言った晴れ舞台があてがわれることもある。
 なんとなく雨が降った後のような空気の中、黒鳥の(整備されていない)グラウンドで、拡声器を持って指導しているのは体育教師の佐伯。
 生徒たち「わっしょい、わっしょい」
 佐伯「わっしょい、わっしょい、ほらほらーっ、○○やってねんじゃねえぞオラ! 気合入れてやれ気合入れてオラァッ!」
 ○○の部分は聞き取れません。相変わらず安岡力也の発音は不明瞭である。

 佐伯のルールでは、なんでか、「わっしょい、わっしょい」というお祭りのような掛け声をしなくてはいけないのだが、
 ひとりだけ、「いち、に、いち、に」というむしろ自然な掛け声で走っている男子生徒がいて、
  
 それに気付いた佐伯が、拡声器と木刀を投げ捨て、群れからはぐれたインパラの子供を見付けたライオンのように猛然と襲い掛かる。
 佐伯「この野郎ーっ! 俺の授業をなめとるんか、こらぁっ!」と、有無を言わせず襟首を掴んで、
 華麗に投げる。
 しかし、違う掛け声したからって、いきなりぶん投げられてはたまったのものではない。
 犠牲者「はい! いいえ! わっしょい、わっしょい」

 あまりの怖さに後ずさりながら意味不明の言葉を口走る生徒。
 佐伯「手抜きってのはなぁ一人前の人間がやることだ、こらぁ。てめえみたいなクズは百年早いんだ! オラァ」
 と、仰るのだが、そもそも一人前の人間は手抜きしないと思うんだが……。

 だいたい「わっしょい」を「いち、に」と言ったからって、手抜きにはならないだろう。走るのはちゃんと真面目に走ってたんだし。
 まあ、佐伯の場合、とりあえず生徒を殴らないと気が済まないと言うのもあったのだろう。もっとも、ここまで理不尽な暴力教師ぶりも全篇を通してみれば実は珍しい例なのだ。特に中盤以降はね。
  
 佐伯「わかっとんのか、こらぁ!」
 と、生徒の体を軽々と持ち上げる。さすがの剛力である。役者さんも、芝居とは言え怖かっただろう。
  
 最後にはジャイアントスイングのように空を飛ぶ犠牲者。
 投げられた後も、必死で「わっしょい、わっしょい」と叫ぶ姿が哀れを誘う。
 呆れたことに、佐伯はまだ「おらっ」と言って、彼に近付いている。恐らく、実際はもっと暴力シーンが続いたのだろうが、きりがないのでここで切られたのだろう。

 ところで、この人、単なるエキストラなのかなと思ったが、結構本格的に投げられているので、JACの人じゃないかと思ってちょっと調べたが、結局わかりませんでした。とにかくアクションの出来る人、すなわち最後のバトルシーンなどに参加している無名のスタントだと思うんだけど……。

 でも、少ないながら台詞があるんだから、普通はクレジットされてもいいと思うが。


 で、以上の暴力シーンは、本編とは何の関係もないのだった。チーン。

 ほんと、なんでこのシーンがあるんだろう。

 ただ、既述のように、この6話までを担当した江崎監督の(と言うかプロデューサーの)コンセプトではそういう暴力的な描写を毎回のように入れるようになっているみたいなので、これもその一環だろう。
  
 で、やっと本題に入る。これは第2話、第10話にも出て来るバラ園だが、学園のロケ地とは全然異なる場所ではないかと思う。
 上述の掛け声が間遠に聞こえる中、用務員の小宮さんが、バラの花壇の世話をしている。予告によれば、学園創設から勤めているらしい。演じるのは名脇役・奥村公延さん。当時56歳。

 ちなみに、ミホも最初の頃(2話)はこうやってバラの世話をしているのだが、面倒になったのか、中盤以降はそういうことはしなくなる。第10話で世話をしていたのはユミたち反逆同盟+アキ子という面子だった。

 ついで、
  
 見にくいが、女子トイレの個室から煙がのぼっている。不良と言えばタバコだが、意外とこのドラマではそういうシーンは少ないのだ。

 そこへ花壇の水遣りを終えた小宮が掃除にやってくる。すぐに不心得者を見付けて、
  
 小宮「全くしょうのねえやつらだなぁ」
 と、躊躇せず扉を開く。カギかけてないのか? 出てきたのは、ヒロコ(森口博子)とマリ(瓜生麻理)。

 小宮「バカヤロウ、肺ガンになって早死にしてもいいのか?」
 と、二人の頭をはたいて叱る。が、
  
 ヒロコ「うっせえなぁーっ」
 マリ「なんだよーっ」
 小宮「何だ、脅しか」
 ヒロコ「ざけんなよ、じじい」
 小宮「おおおっ」
 マリ「この面が気にいらねんだよ!」と、逆ギレされて、腹を殴られる。
 ちなみに後ろの貼り紙には「常に清潔に使用する様に心がけましょう 生徒会指導部」とある。指導部って、そんなことまで管轄してるのか。
 その時、ふたりがこもっていた隣の個室から、ルリの妙に間延びしたというか、ちょっとふざけた感じの声が、
 「ね〜え、誰か紙なぁい? 全部使っちゃったの〜」と水を差すように飛び込んでくる。

 しかし、さらりと描いてあるが、よく考えたら相当下品な台詞である。「反逆同盟」って、基本的に上品なドラマなのに。
 マリ「ドジーッ!」
 ヒロコ「ピーマン!」

 この、ヒロコの発する「ピーマン」と言うのは当時の流行語で、中身がすかすかで、つまりバカという意である。切ないほどに懐かしい、
 そのため、小宮はそれ以上の暴力から解放される。無論、ルリがそのために角立たない方法で助け舟を出したのだ。
 小宮「うーうん、やれやれ……はーい」
 ぼやきながら、それでもすぐロールを上の隙間から直接ルリに渡す小宮さん。
 ルリ「さぁんきゅっ!」と、ややおどけて礼を言う。
 この、すぐ外でボーっと待つ小宮が笑える。
 ただ、考えればこの時ルリは、パンツを下ろした状態なわけで、その辺を想像してしまうとますます下品なシーンになってしまう(想像すんな)。
 ヒロコ「ったく、ずっこけちゃうよ」
 マリ「いえたーっ」

 ヒロコの台詞は分かるのだが、マリのは何が言いたいのかよく分からない。ヒロコの台詞に対し、「言えてる」と言う意味で言ってるのだろうか。
 やがて、水の流れる音とともに、小宮にドアをぶつけながら、
  
 ルリ「おわ(待)ったっせ!」
  
 ルリ「つぎのかたどうぞぉ〜」

 と、文字にするのが難しい独特のイントネーションで出てくるルリの仕草も台詞も、ここまでくるとルリと言うキャラから逸脱している感じもして、いささか違和感も覚える。これだと、たとえば「スクール☆ウォーズ」で山本理沙が演じていた女子マネージャーみたいである。

 もっとも、この後は元に戻ってしまうので、小宮に対する迫害をとめるためにあえてそういう脱力キャラで割って入ったのかもしれない。
 とにかく、山本理沙さんにしか出来ない台詞回しであり、無条件で可愛い。

 二人は毒気を抜かれたような顔で見送る。
 ヒロコ「なにやってんだよ」
 瓜生「ばぁーかー」
 ヒロコ「タコ」

 場面変わって、校舎の廊下。小宮がモップがけをして、ルリも手伝っている。
 小宮「あの子達も被害者さ……あれもしちゃいけねえ、これもしちゃいけねえなんて、わしらが入った頃はそうじゃなかった」
 ルリ「あたしたちが悪いんじゃないよ」
 小宮「そうだよ。大人が自分のことしか考えねえ奴らがどっさりおるから……」

 管理教育などを批判をするふたり。
 ただ、ヒロコたちについては、被害者と言うか、単なるバカだと思うんだけどね。
 そこへ、背後から事務長の亀井(椎谷健治)がやってきて声をかける。
 亀井「小宮さん、ちょっと悪いが、銀行まで行って来てくれんかな?」
 亀井「事務室に誰もいないし、私も出かけるもんで」
 小宮「わた、わたしがですか?」
 ルリは心配そうに小宮を見遣るが、何となく乱れた髪がセクシーである。
 亀井「そうだ、銀行には話してあるから、カバンを受け取ってくるだけでいいんだ。頼むよ」
 と、強引に銀行で3000万円受け取ってきてくれと頼み(この時点では金額は口にしていないが)、立ち去る。

 しかし、さすがにこれはちょっと無理があるのでは? 3000万と言う大金を、用務員に取りに行かせるなどということはありえない。
 亀井は「銀行には話してあるから」と言ってるが……。300万だったらまだ分かるんだけどね。しかも小宮の様子ではそんなことを頼まれたのは初めてらしいし。
 それに、カバンを受け取ってくるだけでいいと言うのだが、銀行サイドもそんなあやふやな方法で3000万も渡すとは思えない。
 ……ま、ただそうしないとこのエピソードが成立しないので、とりあえず目をつぶろう。
 場面変わって、東和相互銀行緑ヶ丘支店という銀行の、どうもATMコーナーから出てきた風の小宮(自動ドアに自動コーナーと書いてある)。

 さすがに銀行の看板をつけかえるわけにはいかないので、これは当時実際にあった銀行だ。ただし、1989年に東和銀行に名称が変わっているようだ。
手元にある昔の地図を見ても、正確な位置は分からなかった。しかし、目黒区にあったことは確かだろう。

 それはいいが、小宮さん、どうも、歩きでここまで来たらしい。これまた無用心にもほどがある。貧乏と言う設定なので自分の車はないとしても、公務なんだからタクシーで来ればいいのに。しかも大事そうにカバンを抱えて……盗んでくれと言ってるようなものである。
  
 案の定、待ってましたとばかりに、左右からいかにも怪しい二人組が近寄ってきて、小宮を人目のない場所へ連れて行く。
  これはまあ亀井事務長の仕組んだことなのだが、小宮がタクシーで来てたらどうするつもりだったのだろう。
 腹を蹴られ、さらにドスのようなもので刺される。ロングでは、右手の肘辺りなのだが、
  
 アップになると、右の肩辺り、と言うか、脇の間に刺してるようにしか見えないんだけどね。
 当然、ドスを抜いても、血はぜんぜん流れない。
  
 カバンを奪って、石段を登っていく二人組み。この場所だが、第12話で、バニー姿で逃げ出したルリと、ユミたち三人が再会するのと同一じゃないかと思うのだが……。よく分からない。
 で、その後、二人を必死で追い掛ける小宮だが、今度は右手の肘から出血している。
 小宮「待ってください、待ってください」
 無論二人は待たず、停めてあった練馬ナンバーの車で素早く逃走。

 で、職員室で、強盗被害の報告をする亀井。
 真下教頭「なんてことをしてくれたの! あなただけの責任問題で済まされないのよ!」
 激怒する教頭。そりゃそうだ。3000万だもんなぁ。
 亀井「はぁ、私の不徳の致すところです……小宮のようなものに頼んだのが間違いの元でした」

 政治家のような殊勝な言葉を口にするが、さりげなく責任転嫁も忘れない亀井。……しかし、彼はそもそもどういう口実で3000万という大金を現金化して引き出したのだろう? 業者に対する支払いにしても、額が大き過ぎるし、仮にあったとしても、3000万などと言う大金をキャッシュで支払うか? 職員の給料としても、これまた額が大き過ぎる。
 黒鳥学園らしく、理事長に対する上納金、というのならばまだわかるけどね。

  真下教頭「問題はお金よ、3000万!」
 九条「警察に届けた方がいいでましょ」
 やや離れた場所に立って彼らのやりとりを聞く、針のむしろ状態の小宮さん。かわいそう。
 その右にいるのは第16話で歴史教師だと判明する人。

 ストーリーとは無関係だが、背後の黒板に正確な時間割が書かれていて、これは(考察上の)役に立つ。

 これによると1コマ45分で、6限目が終わるのが14時30分。少なくともドラマ上では放課後の掃除当番なんてのはないようで、高校生としては割と早く体が空いていたみたいである。しかし、高校で1コマ45分と言うのはちょっと短いのでは? まあ、私立校だからその辺は自由なんだろう(か?)。

 真下教頭「バカなこと言わないで、痛くもない腹探られるのがオチよ」

 九条の相変わらず得体の知れない方言による助言を、教頭はきっぱりと拒否する。まあ、あれこれと後ろ暗いところのある彼らにしてみれば当然の判断かもしれない。ちなみにここでは完全に真下のほうが立場が上だが、たとえば第9話などでは逆に、真下が九条に対して敬語を使う場面もあって、少々混乱してしまう。
  
  亀井「とにかく私の責任です。なんとかします。私に任せてください」
 真下教頭「そうして貰います」
 人生終わったような顔の小宮。
 廊下で、以上のやりとりを盗み聞きしているルリ。
 と、他の生徒が角を曲がって来たので慌ててその場を離れる。

 生徒「それがよ、結構マブいスケでよ……」

 書き写していて恥ずかしくなるな、これは。

 ここで、やっとOP。

 ところで、今回、アバンタイトル中、ルリ以外のレギュラーはひとりも登場しない。
 これはかなり珍しい例だと思う。ほかでは、第17話のユミ、第19話のミホくらいだろうか。



アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 ユミの部屋に集まっている四人。 
  
 ルリ「ね、おかしいと思わない? 3000万て言う大金下ろすこと、一部の人間しか知らないんだよ。絶対トリックがあると思うんだ!」
 疑問を口にするルリ。確かに、3000万目当てで強盗を行ったのなら、一部の人間と言うか、はっきり言って、亀井ひとりしか知らないので即解決なんだけど、いかにも金を持ってますというような小宮の様子を見て、二人組が流しの犯行に走ったと言う可能性も捨てきれないだろう。
 ルリは小宮と個人的に親しいので力も入るが、他の三人は特に懇意にしていたわけでもないので、妙に醒めているのだった。

 ケイ「随分入れこんでんじゃない? ルリ」
 雄太「推理小説の読みすぎじゃないの」
 ルリ(食い気味に)「違うわ、そうじゃないの。小宮のじいちゃんそんなことする人じゃないもの、あたし分かるんだから!」

 ここで気付くのだが、前回までと比べてルリの言葉遣いが妙に優しいと言うか、女っぽいのである。
 ユミ「人は見かけによないって言うけど……おじいちゃんに病気の孫がいるんでしょ?」
 珍しく人を疑うような発言をする優等生ユミ。

 つまり、小宮の狂言ではないかと言いたいのだ。
 我々視聴者は小宮が無実だと知っているが、ユミたちは現場を見たわけじゃないのでそう言う疑問が湧くのも不思議ではない。
 ルリ「よしてよ! ネコババしたって言うのぉ? 失礼よ、おじいちゃんに」
 ここでも、普通ならもっと激しい言葉で応酬するはずだが、あくまで女らしい言葉遣いで言い返す。

 ユミ「ごめんルリ、……よし、調べてみよう!」
 ユミもすぐ謝り、いつもの「反逆同盟」発動指令と言うべき台詞を口にする。番組開始から6分という異例の早さである。


 同じ日の夜かどうかわからないが、唸り声を上げて風が通る中、小宮のアパートの前にとめてある車の主は当然、亀井である。
 亀井「金はないだと! しかしなぁ、小宮くん、学園側は、3000万耳を揃えて弁償すれば何もなかったことにしていいと言ってくれてるんだ」

 しかも、いかにもその筋っぽいひとまで一緒だ。あとでわかるが、すこやかローンというサラ金をやっている雲野である。この頃はまだテレビ局がサラ金(消費者金融)を社会悪とみなし、広告も大々的に入れていない時期だろうから、こういう図式はありがちだったろう。

 ちなみに、アパートの名前は「極楽荘」「すぐしに荘」とか「つぶれ荘」「さちうす荘」などに改名を勧めたい。
  
 小宮「でも、ないものはないんです」
 が、無論、小宮さんにそんな大金はないのであった。
 亀井「と、すれば……、小宮くん、君確か生命保険入ってたなぁ、10年前の契約で病死3000万の奴」
 小宮「そんなことまで! あれは病気の孫のために……」
 お人よしの小宮はただ驚くだけだが、事前にこんなことを調べてあげていたとすれば、どう考えても今回の事件の黒幕は亀井である。気付けよ。
 ← 
 雲野「そんなこと、言ってる場合かい、じいさん」
 と、後ろに立っていた雲野が小宮を小突く。演じるのは清水宏さん。倒れ込む小宮の前には、孫娘(助川未佳・芸名は推定)が寝ていて、いかにも80年代の子役らしい猿芝居で泣きだす。第1話のユミの子供時代の中條もひどかったが、本作の彼女もかなりのナチュラル派である。ま、個人的には妙にうまい子役より、こっちのほうが好きだけどね(性的な意味でなく)。

  
 引き続き強風の吹く中、アパートから出てくる二人。手前の車の陰に身を潜めるのは雄太。
 雄太の横を走り抜けていく車だが、助手席にいるのは確かに亀井(椎谷氏)のようだが、何故か運転しているのは明らかに清水宏氏とは別人である。アパートから出てくる二人も、ひとりは椎谷さんだが、後ろの人は清水氏か遠くてどうかはっきりしない。清水氏とスーツの色が違ってるような気もする。で、アパートから出てきた雲野と、車を運転している雲野とが、これまた別人にしか見えない(髪型が全く異なる)のだ。ややこしいなぁ。
 雄太「よおし!」
 濡れた道路を走り出す車を、雄太は第3話で使ったものと同じと思われる自転車で追跡し始める。
 と言うか、現にこの時点でガンガン雨降ってますね。やっぱりこの作品、雨に祟られることが多かったようだ。
 が、数秒後「やっぱチャリンコじゃ無理だよなぁ」と弱音を吐く。

 じゃあ、最初からすんな!と、当時の視聴者が一斉に突っ込みを入れたという伝説のシーンである。

 今回はルリの回ということで、山本理沙の歌う「Lonely Lion」のインストがBGMでかかる。
 ただ、今回のOPではこの曲はまだクレジットされない。

 小宮の部屋をノックする音がする。
 絶望に沈む小宮は「だあれ? あいてるよ」と蚊の泣くような声。
  
 顔を覗かせたのは、ルリ。
 ルリ「こんばんは、あたし、悪いと思ったけど、全部聞いちゃった」
 と、言うのだが、しかし、外から雄太が見張っていたアングルでは、彼女の影は見えなかったんだけど……。締め切った部屋の中の会話を聞くとすれば、ドアか窓にピッタリ張り付いてないと難しいだろう。どこで聞いていたのだろうか。

 小宮「ははっ、もうおしまいだよ」
 ルリ「じいちゃん、まさか冗談じゃないよ、自殺なんて……絶対ダメよ!」
 必死になって訴えるルリ。
 小宮「ありがとう、心配してくれるのは君だけだ」
 ルリ「そうじゃないの、あたしにもおじいちゃんがいてね、2年前に死んじゃったんだけど」
  
 ルリ「なんとなく感じが似てるの……なんだか他人のような気がしなくて」
 照れ隠しのように、子供の世話をしつつ、「迷惑かな?」

 どうした、ルリ、今回は異様に女らしく、しおらしいではないか。前回、悪口雑言並べ立てていた姿とは別人のようだ。
 いや、むしろ、こういう優しい女らしいところが、ルリの本来の姿なのかもしれない。 
  
 小宮「……いえ……」
 涙ぐむ小宮。この辺はさすがに奥村さんの名演もあって、普通にジーンと来るシーンであります。
 で、翌朝(だろう)、生徒用出入り口の間に脚立を組み上げ、窓の掃除をしている小宮。
 それはいいが、何も登校時刻にやらなくてもいいのでは?
 ナイフで刺された傷は、このカットでは右の前腕にあるようだ。
 と、生徒たちに混じって歩いてやってくる真下教頭。しかし、教員と生徒が同じ玄関を使うのはちょっと変かも。
 駐車場もないらしいこの学校へ、この人はどうやって通っているのか、謎なのだが、少なくとも出勤の様子がドラマ中で出てくるのは彼女だけなんだよね(ゲスト教諭は別にして)。
 で、彼女が真下に来た時に、かなり作為的な動きでモップであやまってバケツを落としてしまう小宮。
  
 びしょ濡れになる中島はるみ。撮影はまだ9月くらいだ思うのだが、あまり心地よい体験ではあるまい。たとえぬるま湯だとしても。
 真下「きゃーっ、何するの!」

 ただ、このシーン、バケツの水が落ちる前に、既に真下の足元が広範囲にわたって濡れている。掃除をしていれば多少は水も散るだろうが、これはどう見てもリハーサルの水が乾かないうちに撮影しているとしか思えない。普通に見ている分には一瞬なので気にならないが。
 小宮「あ、どうも、申し訳ございません、つい考え事をしていたもので」
 と、作業台の上で土下座する小宮。
  真下は肩に垂れた雑巾を地面に叩きつけ、
 真下「小宮さん、あなたなんて人なの。強盗に3000万円盗まれて弁償するのに腹を立て、あたしにこんな仕返しするなんて!」
 と、まくしたてるのだが、さすがにちょっと説明的な失言である。
  ところで、「小宮さん」の「コ」がちょっと聞き取りにくい。「ミヤさん」と言ってるようにも聴こえてしまう。
 小宮「申し訳ございません」
 真下「あたしはもう許さないわっ」
 この後、なんと言うつもりだったのだろう。クビかな。
 生徒たち「3000万、3000万だってよぉ〜」
 が、ついつい馬鹿でかい声を出してしまったため、周囲の生徒に筒抜けと言う間抜けなことをやらかしてしまう。
 ただ、別に生徒にばれても特に支障はないと思うけどね。あ、まあ、警察沙汰になるのを恐れていたのかもしれない。

 で、教室では当然その話でもちきりで、
 ヒロコ「3000万取られたんだって」
 マリ&アキ「うそぉーっ」
 タケシ「5000万だってよぉ」
 山口&ワタル「マジかよぉ〜」
 いつの間にか5000万円に金額が増えている。
 マユミ「ねえ、どうやって弁償すんだろう?」
 チエミ&梢「知らな〜い」
 くねくねと身体を左右に揺らす三人。気持ち悪い。
 ざわつく中に、ルリが大声を上げながら入ってくる。
 ルリ「ねー、みんな聞いてぇ! 知ってるわね、銀行の帰りに強盗に遭った小宮さんのこと、みんな世話になってるでしょ、イイ機会だからカンパしてくれない?」
 と、教壇に立ってぼんくらたちに訴えかけるルリさん。
 しかし、気持ちは分かるが、なにしろ3000万だぞ。いくらカンパしたところで焼け石に水どころの話ではないだろう。それに、どうもこの行動はルリらしくない。

 ちなみに、ルリが入ってきたときの雄太だが、1話ではパシリ扱いされていたタケシたちと割と仲良く談笑しているように見えて、いつの間にそんな関係になったのだろうとちょっと不思議。この傾向は回が進むに連れて漸次強くなって、17話では遂にタケシと一緒に弁当を食べるまでになる。もっとも、回によっては1話同様にボロクソに扱われることもあるんだけどね。この後もそうだし。
 ルリ「大して役に立たないかもしれないけども、少しでも力になってあげたいの」
 健気な訴えをするルリであったが、悪の掃き溜めとも呼ばれる黒鳥学園に、そんな正義感のある奴がいるわけもなく、
 チエミ「ばっかばかしぃ〜だ」
 ヒロコ「金なんかねえよ〜」
 と、からかいまじりのブーイングの嵐。まあ、ヒロコとチエミの場合、12話でわかるようにほんとに金ないんだけどね。
 男子生徒の声「じいさん、自分で使っちまったんじゃねえの」
 心無い声も飛ぶ。奥の方で、顎に手を当ててうーんマンダムっぽい様子の女子生徒は誰だ?
  
 本来のルリなら即ぶちぎれるところだが、今回はなおも粘り強く「お願いっ、お願いします!」と頭まで下げる。
 ただねえ、このクラスにそんな義侠心のある奴がいるとはルリ自身も思ってないと思うので、この行動そのものがなんか説得力がないのだ。
  
 必死の思いも通じず、冷やかされたり、ゴミやおもちゃを入れられたりと散々な目に遭う。かわいそ。
 しかし、親友のユミやルリがそれぞれ財布を出して、協力する姿勢を示す。左端の学級委員アキ子はこの中では良識派だろうが、彼女の様子も冷ややかである。まあ、なにしろ3000万なのだから、この場合は彼女のような反応の方が自然だろう。

 その前に、いつになく男前の雄太が進み出て、
 青色のちっちゃな財布を出して、千円札を投入。たちまち囃し立てる周りのぼんくらども。
 雄太「俺、とっても世話になったから……」
 照れ隠しのように言い訳する雄太だったが、後ろからタケシがやってきて、
  
 タケシ「千円か、俺も負けねえぜ」
 と言い、自分の財布を取り出し、しかし今雄太が入れた千円札をひょいと取って、自分の財布に入れてしまう。
 ルリ「あ、何すんのよ、返してよ」と取り返そうとするが、その手を払いのけて、
 タケシ「俺も困ってんの!」
 とふざけた口調で嘯くのだった。ほんとに、最低である。

 確かに、ここだけ見ればコイツは単なるクズなのだが、我々は第20話において、彼が廃バスの中にひとりで住んでいることを知っているので、それを踏まえて彼の台詞を聞くと、なんとなく目頭が熱くなるのだった。そう、彼はほんとに困っていたのである。

 そのタケシの最低の行為を見て、げらげらと笑うほかの生徒たちは掛け値なしのクズだが。まあ、悪の掃溜と呼ばれる学校にはふさわしい。
 と、そこへ担任の佐伯が唸りながら入ってきて、生徒たちを蹴散らす。
    
 佐伯「こらぁ、お前ら何やってんだ、おらぁ! 席着けぇ!」
 入ってくるなり木刀で教壇を叩く暴力教師。
 ところで、左の画像では、正義派のはずの森口君もタケシの行為に大笑いしているのは何故? 3話で学園に逆らってひどい目に遭ったので宗旨替えしたのかな。
 めざとくルリの抱えている段ボール箱を見付け、
 佐伯「なんだそらぁ?」
 と、首から乱暴に外して教壇の上に置く。
 佐伯「いいか、教頭はなぁ、ゆうべテレビドラマの話と、現実を混乱してるんだ。そんな嘘の話でがたくってやがると、てめえら全員反省房行きだ。わかってるな」
 生徒たち「はい」
 佐伯の声「分かればいい」

 うってかわっておとなしい生徒たち。弱いものに強く、強いものに弱い、ほんとにこいつらクズだね。人間なんてみんなそうだが。
 もっとも、こいつら全員反省房行きと言っても、反省房には三室しかないからなぁ……。
  
 と、ユミやケイ、雄太がこっそりとお金をルリのポケットに入れてくれる。
 雄太も2回目の千円札投入。さすがに金持ちの坊ちゃんである。
 ルリは仲間の温かさにほろっとしてしまうのだが、その間にも佐伯は喋り続けている。

 佐伯の声「今朝の教頭の玄関での独り言はテレビドラマの刑事もののことを思い出した。わかったな」

 いや、なんで同じこと二度言ったの?

  さて、
  
 「Shadow of Love」のバラード版をバックに、小宮のアパートでの二人の様子を挟み、と言うことは、既に放課後ということなんだろうが、
 アジト、つまり旧理事長室に場面は移る。
 白いシートをかぶせたソファに座っているユミたち。ルリが数枚のお札を数え、ケイが硬貨を封筒に入れている。
 ケイ「結局8200円しか集まんなかったの?」
 雄太「冷たいねえっ」
 ルリ「違う! 8200円集まったのよ」
 ケイ「そりゃあそうかもしれないけど、それがなんの役に立つって言うのぉ?」
 さりげなく核心を突くおケイちゃん。言いながら、硬貨を落とし込んだ封筒をルリに渡す。
 ルリ「分からない……だけどおじいちゃんのこと、勇気付けられると思うわ」
 ユミ「その通りだよルリ、早く持っていってあげて、喜んで貰ったら?」
 これまで見せ場がなかったユミが百万ドルの笑顔で促す。八重歯が可愛いね。
 ルリも負けじと飛び切りの笑顔で頷く。
 「うんっ」

 ちなみに8200円と言うのは4人以外の寄付も入れてのことだろう。素行は悪くても金は持っている家の子弟ばかりのはずの黒鳥学園としてはせこい金額であるが……それでもいくらかでも出す奴がいたのが意外に感じられる。ただ、たとえばケイには美術部部長の友達(9話)がいるので、2-A以外のそれぞれの交友関係から集まったお金なのだろう。

 さて、これから今回の一番の問題点に差し掛かる。

 最初に展開を言ってしまうと、これから小宮による偽装自殺が行われる。発案者はルリである。これはそれによって怪しい奴の尻尾をつかむための策略である。
 まず、この偽装自殺と言うのが、どうやって行われたのかが疑問だ。警察が入ってはアウトだから、ルリによる自殺の発見自体、嘘であって、とにかく自殺後の葬式だけそれらしく装ったと見るべきだろう。そのためには、参列者の協力が不可欠であるが、果たしてそれが可能だったか。まあ、そちらはまだいいのだが、問題は、ルリが小宮の死体を発見するシーン。
 その夜、スキップしながら小宮のアパートにやってきたルリ。
 
 2回軽くノックする。返事がなく、開いているので中に入ってみたところが、

  
 ルリ「おじいちゃん、おじいちゃ……」
 言い掛けるが、何かを見付けて凍り付くルリ。
 ぶらさがる足と、泣きじゃくる子役。
  
 さらに、首を吊ったと思しき小宮の影が映る。
 ルリの呆然とした表情のアップ。

 となってるわけだが、
 これだと、ルリがはっきりと自殺の現場を発見したとしか見ている側には受け取れない。百歩譲って、それ(自殺)が仮に小宮の芝居だったとしても、アイデアはルリが出したと言ってる(後述)のだから、そのルリがびっくりするわけがない。

 まあ、以上が全てルリの目撃証言の再現映像だとしても、それを誰に話しているのか、相手が警察だったら一発でばれるわけだし。
 よって、このシークエンスは視聴者に対する一種の主観トリックではあるのだが、この描き方ではアンフェアである。

 無理矢理説明しようとすれば、この時、小宮はほんとに首を吊っていて、この後、ルリが間一髪で助け、それから偽装自殺と葬式の芝居を持ちかけたと言うのだったら、なんとか辻褄があいそうだが、発見したルリはだいぶ長いこと固まってるからなぁ……。間に合いそうもない。

 実際、自分も最初見たときは、小宮はほんとに自殺したとしか思えなかったのだから、このシナリオは不完全である。

 それはともかく、ルリの驚き顔に葬儀の様子が重なって行く。
 BGMは「Shadow of Love」のピアノバージョン。
 アパートの住人だろう、何人かのお年寄りも狭い部屋に集まっている。
 このシーンも、部屋にいるのがルリと孫娘だけだったら、まだ彼らの仕掛けた計略だと納得しやすいのだが、第三者であるアパートの住人が参加しているから、ややこしくなるのだ。ま、それこそ、ルリが彼らに芝居をしてくれるよう協力を取り付けていたのかもしれないが。
 小宮の遺体の横で、相変わらず孫が寝ているのだが、これはさすがにちょっとおかしいのでは? 死体の横に寝かすなよ。
 枕頭で涙ぐむルリ。あら可愛い。
  
 そこへ亀井が顔を出す。沈痛な面持ちで、参列者に挨拶する。

 亀井「このたびはまことにどうも! どうぞ皆様、お力落としのないように」
 ぬけぬけと口上を述べてから、香典を差し出し、チーンと鈴を叩いて手を合わせる。

 とにかく、この作戦は、亀井に小宮が死んだと思わせるのが目的だったのだから、そういう意味では成功している。

 つまり、そうやって油断させて、ぼろを出すのを待つのだ。ドラマではとんとん拍子に運んでいるからおかしさはあまりないけど、しかし、良く考えたらあまり偽装自殺の必要性はなさそうだ。その後の幽霊の登場も。
 白々しい亀井を睨むルリ。
 ただ、これも結局芝居のわけで、ルリ、演技うま過ぎだろ。

 小宮さんには悪いけど、やっぱりここは本気で自殺したということにしといたほうが良かったんじゃないかな。

 で、ちなみに亀井の置いていった香典や、ルリの集めた8200円は事件の後、どこにいったのだろう。ルリの募金活動は、偽装自殺の計画立案前のものなのか。その時点で計画があったとすれば、ちょっと悪質ではないか? ドラマの流れで見る限り、募金活動のその夜にアパートをたずねて自殺を発見したとしか見えないのだが……。あと、雄太の最初に出した千円、タケシが盗んだままなのだろうか。だとしたら単なる泥棒である。

 さて、次は、一転して華やかなクラブの店内。隅の方に亀井が陣取っている。

 今回、年配のエキストラが結構たくさん出ているな。さっきの葬式と言い、この店内の客と言い、後には事務室の職員たちも出てくるし。
  
 亀井「それにしても律儀な奴だ……自殺して金を返してくれるとは」
 一緒にいるのはホステスのナツコ。ナツコを演じるのは泉じゅんさん。

 ナツコ「良く言うわねぇ〜、自分がそう仕向けた癖に」
 亀井「人が聞いたら本気にするぞ。ふっふっふっふっふふふふっ」
 ナツコ「それでお金は?」 
  
 亀井「保険金3000万おりたら、病気の孫に払わせる手筈だ。それで学園の方はおさまり、こっちは小宮から奪った3000万、誰にも咎められずに転がり込む」
 ナツコ「ふふっうはははっ……、骨の髄まで悪い奴……うふっははははっ」

 嬌笑を含ませながら亀井をなじるナツコ。それにしても笑い声を文字にするのは至難の業だ。
 ナツコは、亀井たちの悪巧みを完全に知っていたようだ。それでいて、反逆同盟に断罪されることはない。ま、共犯と言うことでは無いんだけどね。当初の予定では、彼女もバトルシーンに参加してやっつけられるという設定だったのかもしれない。それで、何かの都合で流れたとか。まあ、亀井がここまで打ち明けているとすれば、亀井とは愛人関係にあるものと見ていいだろう。

 ところでここ、実は小宮は生きていることが分かっているからさらっと聞き流してしまいがちだが、よくよく考えたら、こいつ極悪なことを言っているのに気付く。つまり、小宮の孫娘は、3000万の保険金を取られ、しかも保護者はおらず、病気持ちで、蓄えもないという状態で放り出されるわけなのだから。

 ただ、同時に、小宮が生きていればまだしも、亡くなってしまった以上、その保険金を学園に差し出す義理は、少なくとも遺族にはないんじゃないかと思う。この場合、法律だと小宮側には弁済の義務があるんだろうか? ないと思うけど。それと、学園の上層部にしても、亀井の使い込みをまったく感知していないのは、相当間抜けである。亀井を疑おうともしていないのだから、ある意味お人好しである。
 そこへいかにも不慣れなエキストラといった風情のボーイが来て、「お電話でございます」と告げる。
 亀井「電話?」
  
 亀井「はい、亀井ですが……もしもし?」
 カウンターの上の電話を取ると、明らかに小宮の声で「助けてくれぇ……」と聴こえてくる。
 亀井「誰だ?」
 声「……事務長さん……わたし」
 うろたえて受話器を戻す亀井。
  
 ナツコ「どうしたのお?」
 後ろからナツコに声をかけられて露骨にびびる亀井。
 亀井「いや、なんでもない!」
 ナツコ「変なのぉ」
 これが泉じゅんさんのラストカットになります。こんないい女優を呼んでこれだけとは。あー、もったいない。

 場面変わって、翌日(?)、ユミのマンションにカメラが赤丸で囲った部分にクローズアップ。
  
 このカットから判断すれば、ユミの部屋は恐らく、3階のむかって右側の部屋だろう。ただし、回によって2階とも取れる場合があってはっきりしないのだが。そのユミの部屋で作戦会議中の三人。
  
 雄太「それから、女三人もつれて夜明けまであっちこっち、クラブやキャバレーまわって、飲み歩く。ほとんど毎日だぜ、亀井の奴」
 雄太の報告を聞いて、

 ケイ「やっぱ怪しいと思ってたんだ。アイツの給料でそんな豪遊できるはずないもの!」
 と言う、たどたどしくも初々しい台詞回しは、後藤さんにしか出せない魅力である。女の子らしい私服も可愛い。

 ただ、上の情報は、雄太自身も、毎日のように夜明けまで夜の街をうろつきまわっていないとつかめない情報なのではないだろうか。さすがに高校生には無理だろう。まあ、聞き込み調査したのかもしれないが、それだって一介の高校生には難しいだろう。

 さらにケイの「やっぱ怪しい」というのは、日頃の亀井の行状(豪遊)についての感想だろうか。文章の流れからすると、そうとしかとれないのだが、だとすると、亀井の不行跡は知れ渡っていたわけで、何も小宮が自殺の芝居なんかしなくてもすぐ解決していたような気もする……。

 逆に、「やっぱ怪しい」というのは、今度の3000万強盗の事件についてであって、黒幕が亀井なのではないかと疑っていたが、安月給の癖に豪遊しているから、彼が自分で3000万を奪わせたのだ、と言うことがいいたかったのだとしたら、おかしなところはない。

 しかし、安月給ってなんで知ってるのだろう、彼女は?
 公務員ならともかく、私立の高校の事務長だから、高いか安いか分からないだろう。


 雄太「許せねえよ」
 ケイ「やろうよ!」
 はやるケイだが、大人のユミは冷静である。
 ユミ「待って……、相手は一筋縄ではいかないわ。うっかり手は出せない」

 確かにまあ、この時点で、亀井が犯人だと言う確証があるわけじゃないからね。
 しかし、実に夏らしい爽やかな私服ですね。清楚な雰囲気がグー。
  
 雄太「へへっ任せてよ、メカニックにかけちゃちょっとうるさいのよねえ」
 そこで、得意気に盗聴器と録音用のカセットレコーダーを取り出す雄太。
 この、盗聴器で相手の情報などをつかむというやり口は、以降、かなり頻繁に用いられる作戦となる。

 また、雄太が機械に強いと言うことは、第9話でも証明されている。
  
 ケイ「なにそれ?」
 可愛過ぎますおケイちゃん。
 雄太「知る人ぞ知る、盗聴器! 亀井の電話機に取り付ければ必ずぼろを出す」
 しかし、雄太、普段からそれ使って何か悪いことしてるんじゃないだろうな。
 その夜、黒鳥学園の校舎の外観の向かって左端の1階の部屋にクローズアップ。その前の校門の映像は、1話や2話の再利用か?
 事務室に、雄太が引き戸を開けて忍び込んでくる。黒鳥学園の夜間のセキュリティの甘さは何度も指摘してきたが、さすがに、事務室にカギがかかっていないというのは、無用心過ぎるだろう。雄太が合鍵を使ったりするように仕草も見られないし。
  
 そして、亀井の机の上の黒電話機の裏に、盗聴マイク(?)を取り付ける。
 こういう、なくても良いシーンまで丁寧に作ってるのが好感が持てるのだ。



アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 CM明けました。
 その翌日(たぶん)、盗聴器付の電話で取引業者にいやみを並べている亀井。

 事務員が4人もいて、大人のエキストラの少ないこのドラマでは新鮮な絵面である。一番手前のちょっと綺麗な女性は、一応台詞があるので、クレジットされていると思う。勝手に木内美穂という名前だと推測しているが、違ってたらごめんなさい。
 彼女がそろばんを弾いているのが時代を感じさせる。
  
 亀井「うちの支払いはね、二十日締め切りで半年後の月末払い、そんなことあんただってよく知ってるでしょう? ええっ、分かってるの!」

 (余談だが、学園の金3000万を取り戻し、不正を働いていた事務長を成敗した今回の反逆同盟は、結果的に学園サイドの手助けをしたことになるな)
 アップになる黒電話が懐かしい。
 同時刻、2-Aの教室では現国の授業中。
 女教師「森鴎外はドイツでの3年間の留学の後に処女作『舞姫』を発表したんです」
 演じているのは増子倭文江さんという人。

 が、例によってふざけたり物食ったりして、やる気のない連中も多い。が、前方の席の生徒は比較的真面目に授業を受けているようだ。
  
 女教師「この作品は明治新文学とも言われる……」
 後ろから2番目の席に座る雄太の机の中にカメラが寄る。
 女教師「……異国情緒と浪漫精神に溢れた……」
 盗聴電波を受けて録音中のテープレコーダーである。
 女教師「……作品で、日本文学史に変革期をもたらしました」
 授業は上の空で、それをモニターしている雄太。しかし、録音してるんならモニターしなくても良さそうなものだが。
 電話機の裏に張り付いている盗聴器のアップ。
 亀井の声「文句があるんなら納品して貰わなくてもいいんだよ」
 亀井「君ん所のは品物が悪いから……もっとぉあのー、いいもの入れる業者に代えてもいいんだよ」
 タバコを吸いながら、高圧的な口調で業者をいじめる亀井。さすが黒鳥学園の事務長である。
  
 女教師「では、ここのところを……宗田クン!」
 と、その時、女教師が「宗田」を指名する。漢字は分からないので適当に。
 すると、雄太はてっきり合田、つまり自分が当てられたのだと勘違いし、「はい!」と慌てて答えて立ち上がる。
 で、宗田くんと合田雄太が、ほぼ同時に立ち上がる。これによってこのキャラの役名が分かるのだ。わかってもどうということはないが。
 これと似たような経験を小学生時代にしている管理人は、とても懐かしい気持ちになった。経験から言うと、かなり恥ずかしい。
 雄太「おいら、呼ばれた?」
 素っ頓狂な声で聞く。
 女教師「むふんっ、宗田くんよ」
 雄太「あははっ、およびでない、ちっとも知らんかった」
 と、照れ隠しにへらへらおどける雄太。
 山口「ボ〜ケッ」(雄太に向かって何かを投げつけながら)
 ヒロコ「いえーい」etc
 と、雄太に対してクラスメイトからの嘲笑の嵐。ころころと笑い転げるおケイちゃん、ルリも笑ってる。ユミの表情は見えません。

 しかし、この辺の雰囲気は、初回の頃と違って、むしろ、雄太がクラスの中のお調子者、ギャグ要員としてある程度認められている、つまり居場所ができている感じで、初回でパシリ扱いされて「ドツボだな」と落ち込んでいる頃とはだいぶ変化が生じていると思う。これは、「反逆同盟」の一員として活動するうちに、自覚や責任感、自信のようなものが彼の中に芽生えてきて、それによってクラスメイトたちの評価も好意的になってきたためかもしれない。

 ……もっとも、第11話ではまたボロクソに言われているのだが。

 それと、この女性教師って、ごく普通の優しそうな先生で、黒鳥学園のイメージと懸け離れている。第4話で片岡のことを「他の先生よりずっとマシ」とユミは評しているが、このように、ちゃんとした教師もいたんだけどね。第16話の日本史の教師にしても普通っぽかったし。
  
 亀井「もしもし……」
 雲野「俺だ」
 亀井「ちょっと待て」
 さて、事務室には、雲野からの電話がかかってきた。その際、手前の事務員しかいなくなっているが、彼女を追い払うために、
 亀井「福島くん、悪いけどタバコ買ってきてくれ」と命じる。どう考えても好かれてない事務長の頼みだったが、福原さんは曇りのない笑顔で「ハイ」と答えて出て行く……。

 しかし、学園内にタバコの自販機があるとも思えないし、わざわざ学園の敷地から出て、最寄の自販機かタバコ屋に行くのだろうか。それとも、ドラマには一回も出ていないが、購買部があって、教師向けにタバコも販売しているのだろうか。
 と、ここでは、亀井と海野の会話が始まるところで、雄太が部屋のすぐ外でテープの録音スイッチを入れるSEで画面を切り、二人のやり取りを再生しつつ、ユミの部屋に場面転換すると言う、なかなかセンスのある編集がされている。

 ただ、雄太、なにも事務室のすぐ外で録音しなくても、教室にいても普通に聴けていたんだろうから、この行動はちょっと変である。 
 亀井の声「電話かけてくるなと言ってるだろっ。それでなんだ?」
 雲野の声「あのジジイほんとに死んだのか?」
 亀井の声「この目で確かめてきたから間違いない」
 雲野の声「そうか」
 亀井の声「どうした?」
 雲野の声「いや、それより分け前はいつだ?」
 亀井の声「言っておいただろう、ほとぼりがさめたらと」
 会話に耳を傾けるユミたち。
  
 そこへルリが入ってきて、手前のテーブルに着く。
 雲野の声「毎晩ナツコのところへ通ってるんだって? 俺の1000万に手をつけているわけじゃないだろうな」
 亀井の声「そんなことはない」
 雲野の声「ならいいが……サツが動いているわけじゃあるまいし、ビクつくことはないんだよ」
 雲野の声「はやいとこ札束を拝ませろ! でないと、経理の不正、校長に話してもいいんだよ」
 亀井の声「わかった、すぐ用意する。だから余計なこと言うな」

 そこで雄太が停止ボタンを押す。
 ちなみにテープレコーダーはアイワ製である。
 ケイ「やったね」
 と、飛び切りの笑顔で喜ぶケイ。
 雄太「へへ、任せなさい」
 ケイ「おじいちゃんから奪った学園の金3000万円のうち、亀井が2000万、海野が1000万か」

 だから、後藤さんに長台詞を喋らせるなよなぁ。ハラハラするだろうが、ご両親が!
 ← 
 ユミ(頷いてから雄太のほうを向いて)「亀井と雲野の居所は?」
 雄太「バッチシよ」
 ← 
 と、そのタイミングでルリが「ちょっと待って」と口を挟む。
 ケイ「ルリ、どうしたの?」
 ルリ「わたしにいい考えがあるわ」
 自信たっぷりに言い切るルリ。

 つまり、ここで小宮に幽霊のフリをさせて亀井をびびらせる、動揺させる計画をユミたちに持ち掛けたということなんだろうが、
 はっきりいって、雄太の得たテープで証拠はもう十分なのであって、この段階で小宮に幽霊の真似をさせて電話をかけさせる利点はほとんどなさそうである……。

 ただ、上記の二人のやりとりの中で、雲野が小宮の死を確認する台詞があるのだが、これはルリが雲野のところに小宮の幽霊電話を既にかけさせていたことを暗示しているのだろう。それがきっかけとなって雲野が怪しみ、亀井に焦って催促の電話をかけることになったのだとしたら、ルリの偽装自殺作戦も少しは意味があったことになる。

 が、次の場面での幽霊電話は、亀井をびびらせるだけで、実質的にあまり意味のない行為になっている。
 どうでもいいが、タイトルが「学園、幽霊現る!」なのに、いつまで経っても幽霊が出ないと言うのはいかがなものか。

 普通に「学園、奪われた3000万!」みたいなタイトルで良かったんじゃないの?
 それはさておき、夜の学園の事務室で仕事する亀井。悪い奴だけど、仕事熱心ではあるのだ。ま、それこそ不正経理のための工作でもしてたのかもしれないが。
 電話が鳴り、ナツコさんからの電話だと思った亀井は「もしもし……ナツコか? 今夜は忙しいんだ……」
 「今夜は」の部分はかなり聞き取りにくい。「俺は」とも取れなくはない。
 しかし、受話器からは不気味なすすり泣きと「事務長、成仏できないんです……」という、明らかに小宮の声が聞こえてくる。
  
 亀井「貴様、誰だ? ……金か、相談に乗ってもいいぞ……名前を言えっ!」
 会話にならないので亀井は受話器を戻す。

 と、再び電話がかかってきて、「事務長〜」としつこく小宮が呼びかける。ただ、再びかかってくるのがちと早過ぎる気も……当時はリダイヤル機能はなかっただろうし。
 亀井は「バカヤロウ!」と割と男らしく怒鳴りつけて受話器を叩き付ける。
 と、今度は亀井から雲野への電話。「三光興業 スコヤカローン」という社名、絶対ほんとにありそうだな。
 雲野「はい、スコヤカローンです。おお、事務長、金できたか? えっ、幽霊が出たって小宮の……そっちにもか」
 ここで雲野も同じような電話を受けていたことを告げる。やはり、ルリはかなり早い段階から、小宮に電話をさせていたようだ。ただねえ、それが精神的嫌がらせ以外の意味があったのかどうか、重ねて疑問に感じる。彼らのような大人が幽霊などを本気で信じると思えないし。ま、亀井の方は多少気味悪く思っているようだが。

 海野「子供騙しを怖がることはない。それよりだ、ガキが生意気に脅迫してきた」
 話しながら、抽斗を開けてドスを取り出す雲野。
 雲野「録音テープ持ってるらしい……事務長と私のやり取りだ。そっちの電話機調べてみな」
 ……うーん、やっぱり、幽霊電話の必要性がかけらも感じられない展開ではないか。ガキと言うのが誰か分からないが、ユミにせよルリにせよ、確実な証拠テープで脅迫するんだったら、単にそうすれば良いだけで、幽霊を出す意味はない。
 
 海野に言われて、電話の裏の盗聴器を発見する亀井。
 亀井「あったぞ! くっそお!」
 と、盗聴器を叩き壊す。
 あれ、今考えたら、電話の裏だと、亀井の声は拾えても、向こうの海野の声までは拾えないんじゃないか……。

 うん、ものすごーい高性能マイクなんだ、きっと。 
 海野「ガキに児童公園に来るように言っておいた、こっちも2、3人連れて行く。そっちはいいか、必ず1000万持ってこい。わかったか」
 と言うのだが、なにも、亀井との取引と、「ガキ」たちとの交渉を、同時にやらなくてもいいんじゃないのかな。ま、交渉の際の見せ金として使うつもりだったのかもしれない。とすれば、亀井が現場に持ってくるのは3000万のうち海野の取り分の1000万だけになりそうだ。 
 と、ここで、オーケストラ風の「Shadow of Love」のBGMのなか、自室で勉強するユミの姿が映る。
 ……が、ここは第1話でユミが、ルリとケイに呼び出しを受けて学校へ向かう前の映像の使い回しである。音楽は違うけど。

 さらに、これは第2話の映像だが、
 ミホ「わたしね、ほんとはあなたたちといっしょにたたかいたいの、でもいまはそれはできない」
 と、全部ひらがなで書いても構わないようなしまりのない口の開き方でしゃべる中山美穂。少しエコーがかかっている。

 さらに、同じく2話の「反逆同盟」結成時の様子まで使いまわし。ややくどい。
 ユミ「セーラー服反逆同盟……」
 雄太「かっこいいじゃん」
 それぞれのアップで、
 ルリ「わかったわ」
 ケイ「オッケイ、誓うわ」
 ユミ「ようしっ」と立ち上がり、三人が手を合わせるところまで映し、再び第1話のバンク映像につなぐ。
 ユミが(学校へ行こうと)決意して立ち上がるところまで。

 ここで唐突にバンク映像が使われているのは、尺が足りなかったと言うのもあるだろうが、それ以上に、自然にミホの映像を使うために「反逆同盟」結成のいきさつをごく簡単に触れる必要があったのだろうと思う。この段階では、中山美穂が参加できない場合の対処方法は、こういうやり方でいこうということになっていたのだろう。ちなみにこの次の6話においても、上の、ミホとユミの会話シーンがバンク映像として使われている。ただ、さすがに毎回それを使うのもわざとらしいし、くどいので、(7話は中山美穂が参加)8話で、初めてバラ投げのバンク映像が、アリバイとして使われるようになる。アリバイと言うのはちょっと変だけど。

 で、BGMはそのままに、児童公園での、武装スタイルの三人のシルエットを映す。
 こういうスムーズな流れで戦闘シーンにつなぐのは他にはあまり見られない編集で、目を惹く。



アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 雲野たちは、
 二台の車に分乗して公園にやってくる。一行は、サングラスをかけた亀井と雲野以外に、「若いもん」が4人ほどいる。
 全員車を降りて、公園の中に入っていく。

 夜にも拘らず、二人がサングラスをかけているのは、ドラマの中でのお約束として、サングラスをかけている限り、それが誰だか分からないと言う記号的なアイテムの使い方をしているので、夜中なので何も見えないのではないかという突っ込みは的外れである。ただ、この場面では、ここにやってくるのが亀井と雲野だということは、待ち受けているユミたちも、ハラハラしながら見ている視聴者にも分かりきっているので、そんなことをする意味はないと思うんだけどね。
 暗い公園の中で、あちこち見回す亀井と雲野。画面の奥に、実は三人の影が薄っすら見えているのだ。

 雲野「ガキには似合いの場所だぜ」
 と言うのだが、この場所を提案したのは雲野さんのほうなのでは? まあ、いいけど。
  
 と、待ってましたとばかりに、三人の背後から、強力なライトが照射される。サングラスしてて良かったと思うふたり。
  
 ゆっくりと進み出て、その異様な姿があらわになる。
 ユミ「そのお金は学園に返してもらうよ」
 名乗る前にユミがそう言うのはあまりないパターンである。

 金の入ったバッグを抱きかかえる亀井だが、先程も言ったけど、この場合1000万しか持って来てないと思うんだけどね。
 亀井「お前ら何モンだ!」
 その問い掛けに、待ってましたとばかり、ルリが自己紹介の口火を切る。
 ルリ「闇の中でのさばり続ける悪党ども」
 頬のハートマークが可愛い。
 ケイ「てめえらのようなワルは許せねえ」
 まだちょっとたどたどしいね。
  
 ユミは、先に拳をお腹の前でクロスさせ、「天に代わって」まで言い、
 腕を構えながら、「成敗する!」
 ユミの台詞と同時に、カメラがさっとひいて、
 三人「セーラー服反逆同盟!」
 まだ慣れていないのか、最後の決め台詞がやや揃ってない感じがする。
 雲野の反応は冷静で、
 雲野「ふん、子供騙しが! やれ」
 ま、確かにそうなんだけどね。それを言っちゃあ……。

 雲野の指示で、若いモンたちが一斉に飛び出す。 
 しかし、何故かこの時、若いモンは3人しかいない。さっき4人いたはずだが。一人帰ったのかな。
 それはともかく、ここから「Don't stop lullaby」がスタート。
 最初は三対三の乱戦。中央で飛んでるのはユミ、のスタントさん。

 一方、亀井は少し戦いを見ていたが、カバンを抱えてさっさと逃げ出す。このドラマの戦闘シーンで、これだけ素早く逃走を図る悪者は、彼くらいだろう。

  
 ユミは相手の振ってきた棒を奪い、思い切り反動をつけて殴り返す。ここは仙道さん本人がやってます。
 さらに、すぐさまダッシュして亀井を追いかけるあたりも惚れ惚れするかっこよさ。
  
 しかし、武闘派の雲野が亀井とユミの間に割り込み、ユミの進路を塞ぐ。

 ユミは雲野を張り倒し、くるっと一回転するのだが、コマ送りすると、明らかに仙道さんとは別人だと分かる。菊池さんかな。
 まあ、撮ってる時は、25年以上のちに、管理人のような暇人にコマ送りでチェックされるとは誰も思ってなかっただろうからね。
 ユミは再び亀井を追撃。雲野もすぐユミを追う。
  
 ルリは別の敵と戦っている。遊具の陰から鉛筆を投げるが、あっさりかわされる。
  
 (スタントにスイッチして)ルリは、追ってきた相手を一旦は蹴り飛ばすが、
 追撃しようと近付いたところ、逆に足を払われて背中から倒れてしまう。黒いタイツがあらわになる。

 相手の攻撃を体を回転させてしのぎ、
 ← 
 (山本さんに戻って)先程投げて地面に転がっていた鉛筆をつかむや、
  
 相手の右太腿あたりにぐさっと刺す。そのままの体勢から、右脚でワキ腹と側頭部を連続蹴りする。
 あまりの勢いにぶっ飛ぶ敵。
 最後にとどめの立ち蹴りを一発。
 ここの一連のアクションはとてもかっこいいですね。

 さて次はおケイちゃん。
 とりあえずチェーンを投げる。
 相手の体に絡ませて、引っ張るケイ。
 しかし男との力比べでは分が悪く、逆に引っ張られてしまう。
 ただ、他の回では、大の男をチェーンで吊り上げるほどの怪力を見せるケイにしては、いささか情けないかな。
 ← 
 で、男と体を入れ替えるようにしてカメラの左側に向かって突っ込んでいくのだが、ここで、画面左にフレームアウトするまでは、確かに後藤さん本人が演じている。

 が、
 → 
 やや不自然な間を置いて、再びフレームインしてくるのだが、
 ここから俄然、ケイのアクションが高度になる。遊具の手摺を支点にして後ろ足で蹴り、
 → 
 前転して相手の足元から蹴りを放ったり、別人のように強くなるのだった。

 ま、別人なんだけどね。

 もちろん、これは、一瞬後藤さんがカメラから見えなくなった際に、スタンバイしていたスタントの女性にチェーンの端を手渡すことで、カットを変えないでスタントと後藤さんが入れ替わっているのだ。

 チェーンの反対側をずっと男が持っているだけに、なかなかうまい誤魔化し方だと思う。

 男を攻めていたケイだが、もうひとりの敵が現れて受身一方になる。このカットではスタントの顔がはっきり見えてしまっているが、恩田さん……だと思うのだが、彼女は元々後藤さんと似たような顔立ちなので、あまり気にならない。
 挟み撃ちされて、背中をまともに蹴られたりと、なかなかハードである。
 画面右手のジャングルジムまで蹴り飛ばされて、体を押し付けられて一方的に殴られる。
 そしてカメラがアップになると、またまた後藤さん本人にチェンジ。
  
 一方的に攻撃されるケイ。せいぜい2、3秒のカットだが、それでも後藤さんには荷が重く、リアクションも棒立ち状態に近い。
 それでも、「うっうっ」とお腹を押さえて懸命の演技。

 ルリは、さっきの相手と何故かまだ格闘していた。しぶといのう。
  
 最後は凄まじい手刀を首にたたきこみ、相手を面白い顔にしながらやっと倒す。
  
 そして、ケイを助けるために遅滞なく鉛筆を投げるのだが、その際、左手でスカートをめくり、右手でホルダーから鉛筆を抜く仕草が、画面の下で演じられている。普通は、ホルダーから抜き取るカットを挟むところだが、その余裕がなかったか。
 とにかく鉛筆を投げて、
  
 ケイを攻撃していた二人の指の間に突き刺す。相変わらずの名人芸である。
  
 ケイはその隙を衝いてひとりの敵の腹を殴り、前かがみになったところに、チョップを振り下ろす……のだが、厳密には振り上げるだけで、そこでカットが切り替わり、
  
 再びスタントにスイッチしたケイ、その男の背中を撃ってから、もうひとりの相手にも蹴りを見舞う。

 しぶとく起き上がってきた最初の敵も、華麗に投げ飛ばす。
 そこへルリも加わり、二人で棒を受け止め、それを回して相手の体を宙に舞わせる。
 この時、黒服の方が、やや手持ち無沙汰の感じで、ケイを背後から襲うフリをしているのがちょっと悲しい。
 気付いたケイに棒で払われるのでホッとしたことだろう。
 残る茶色のジャケットの男は、二人がかりでボコボコにされて死亡。
 頭数が少ない割に、BGMがフルコーラスだったせいか、妙にしぶといザコたちだった。

 ここから場面がユミと雲野の戦いに移行。それにあわせて、「Don't Stop Lullaby」も終わり、BGMのない状態になる。虫の音が聞こえる。
  
 ユミと雲野は一進一退の互角の戦いを見せている。
 ルリとケイが割と長いこと戦っていた間も、こうやってずっと格闘していたとすれば、雲野は相当の強さであるようだ。
 雲野はこのタイミングでドスを出す……と言いたいところだが、上の映像の時点で、既に彼はドスを持ってユミを殴ったりしていたようだ。さすがにそれは危ないだろう。本来は、このアップになったときに初めてドスを出さないといけない。
 それはともかく、ドスをつきつけられて、喘ぎながらあとずさりするユミ。
 「うわーっ!」
 雲野が思いっきりふりかぶってドスを突き刺そうとする。
 この時、ユミは丸太の遊具に密着するくらいの位置だったのに、次のカットではまた数歩離れたところに戻っている。これは明らかなミス。
 雲野の攻撃を、一旦体を回転させてかわすユミだが、
  
 執拗に攻められ、反対側の木の幹に退路を塞がれ、まともに雲野に腹を刺されてしまう。
 ……かと思われたが、無論、ぎりぎりでかわして、ドスは幹に食い込んでいた。
 ただ、ここ、ブシュッと言う明らかに人体を刺したようなSEが響いてるんだけどね。

 ユミは、ドスを握った手を真上から叩いて、ドスを手放させ、
 数発顔にパンチを見舞うのだが、なんとなく笑顔になってるなぁ。この瞬間そう見えてるだけだと思うが。
 裏拳アッパーで雲野を弾き飛ばし、さらに掴みかかる時にも、笑ってるように見える。メイクのせいでそう見えるのかもしれない。
  
 それから、相手の体を木の幹に押さえつけ、渾身の右ストレートでとどめをさす。
 その流れで、雲野のサングラスを外す。もっともユミにとっては初対面の相手なのであまり意味はない。
 まあ、夜にサングラスかけたまま戦ってたら勝てんわな。
 一方、亀井さんはまだ公園の中を走っていた。戦闘開始から結構時間が経つが、どんだけ広い公園やねん。

 しかもこいつもサングラスを外そうとしない。
 
 と、行く手に、死んだはずの小宮の姿がライトを浴びて浮かび上がる。このライトは雄太があててるんだろうか。
 すすり泣くような声を上げている。
 亀井「ぎゃあっっっっ」
 大仰に叫ぶ。振り返って後戻ろうとするが、そこへも小宮が現れる。
 
 小宮「事務長〜成仏できない〜」
 おののく亀井だが、わざわざこの足止めのための幽霊芝居だったとしたら、なんか意味があるような、ないような気がする。
 足止めだけなら、雄太でもできることだろうからなぁ。それに、亀井がひとりでこちらに逃げてこないと待ち伏せても意味ないわけで。

 ただ、このシーンで、明らかに小宮が瞬間移動してる(A→B)のは、どうやってるの? まあ、野暮な突っ込みだけど。
 Aは雄太が等身大のパネルでも立てていたのか? あるいは雄太の変装? とでもしておくか。

 それにしても、この幽霊、番組開始から(正味)23分での登場は、いかにも遅い。それまでは声だけだしね。
 亀井「幽霊……そんなばかな……」
 で、亀井さんもやっと、小宮が生きていることを悟る。
 亀井「じいさん、生きてたのか? こぉのやろうーっ!!」

 椎谷健治さん、一世一代の名演技であります。
 亀井は相手が幽霊じゃないと分かった途端強くなって、いきなり飛び掛って馬乗りになり、小宮の首を絞めて殺そうとする。
  
 亀井「死ね、死ねぇ〜、ぐぐぐぐっ」
 小宮「あ゛あ゛あ゛あああ……」
 それで、ここで結構長いこと首を絞めているのだが、一歩間違えると本気で殺されていたかもしれない。彼をそんな危険な目に遭わせてまで幽霊を出す必要があったのかどうか。それに、雄太も確実にここに来ていて、恐らく小宮の幽霊出現のサポートもしているはずなのだが、何故か助けに現れない。

 中盤以降ならば、確実にここでミホのでバラが飛んでくるのだが、今回はミポリンお休みだし、バンク映像を使うと言う手法も確立されていないので、かわりに、例の「ジャンッ」というSEとともに、ユミが飛んでくるという展開。ここから「Shadow of Love」のインストが始まる。
  
 ユミ「えいっ」
 まず駆け寄りざまに強烈な右キックを見舞い、
 ついで、右フックが見事に決まる。
 三人の中では、やっぱり仙道さんが一番アクションができるようだ。
  
 さらに左手から走ってきたケイが、チェーンで亀井の首を締め上げる。この時、後藤さんがちょっと舌なめずりしているのが可愛い。
 また、この動きが、妙にテキパキして流れ作業のようで面白い。何回も練習したんだろうなぁ。
 ルリも、鉛筆をつきつけて、ジ・エンド。この時、ルリの制服がやや崩れて、左肩が見えかかっている。
 ユミにサングラスを外され、素顔の亀井。それを見て、

 三人「やっぱり事務長」
 と、声を揃えて言うのだが、それはとっくにわかってたんじゃないの?
 そこへ、雄太が右手から「やったね! さすがセーラー服反逆同盟」と言いながら参上。
 スタイルは3話と同様、鉢巻をつけている。
 ただ、小宮のいた方向とは逆から来ているので、やはり小宮のサポートはしていなかったようだ。ますます小宮が危ないところだったではないか。
  
 雄太「あとはおいらに任せといて」
 雄太の台詞の間に、おケイちゃんが、亀井の体を冷たく押しのけるように右手を動かす。

 しかし、今気付いたが、後ろ姿でユミに殴られているときの亀井は、椎谷さんではなく、別の人がやってるようにも見える……。若干髪型が違うような。
 ただ、椎谷さんと奥村さんは確実に同じ現場にいるのだが、考えれば、このシーンでユミたちが小宮のことを介抱しないのも不自然なので、椎谷さんと奥村さんの絡みだけ、別の日(あるいは時間帯)に撮っていたのかも知れない。憶測ばかりで申し訳ないが。

 亀井がサングラスをずっとかけていたのも、それを気付かれないための苦肉の策だったのではないかとも思う。
 それと、亀井がサングラスを外されるカットで、チェーンを握るケイの右手の袖に、糸がほつれているのが見える。だが、他のシーンで、後藤さんの右手の袖を見る限り、そういうのは確認できなかった。つまり、この手は後藤さんではなく別の人の手かもしれない、と言うわけだ。
 話を戻して、三人揃って右手でピースサイン。
 三人「イェイ!」

 バトル後のこういう軽めの雰囲気は、他の回ではあまり見られないものだ。

  
 で、翌朝。
 木の幹の下に縛られた亀井と雲野の姿が。

 自分は最初このシーンを見たとき、てっきり彼らは最寄の警察署の前にいるんだと思ったのだが、よくよくみたら、さっきまで戦っていた児童公園なんだよね。
 この「警察署長」の文字を見て、咄嗟にそう思ってしまったのだろう。
 この看板にあわせて雄太の文章を読み上げる声がかぶさる。
 さらに、証拠品の数々も添えてある。……のだが、お金まで剥き身で置いているのがあまりに無用心。
 この場合は、黒鳥学園に直接亀井たちと金を渡してやるほうが手っ取り早く、確実だ。
 あと、「若いモン」はどこいったの? 死んだの?

 パトカーのサイレンが聞こえている。



アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 小宮のアパート。
  
 小宮「いらっしゃい」
 ルリ「こんにちは」
 花束抱えて入ってきたルリと、小宮が挨拶を交わす。
  
 ルリ「うわーっ元気になって良かったねえ〜、お見舞いよ、はいっ」
 と、何故か病気が治ってる孫娘に花束をあげるルリ。
  
 と、この時、一瞬、子役がカメラの横をまるで誰か指示している人間がいるかのように見てから、ルリの方を見て礼を言うのが大笑い。
 「どうもありがと」
 演技は出来ないけど、よくよく見たらこの子結構可愛いね。
  
 小宮「どうぞ……良かったね。お姉ちゃんに来て貰って、ユリ」
 ルリに座布団をすすめ、孫に話しかける小宮。おお、そういう名前だったのか。どうでもいいけど。
 小宮「いろいろとお世話になりました」
 深々と頭を下げる小宮に対し、ルリも丁寧に頭を下げる。

 学園に金が戻り、亀井たちも断罪され、小宮も用務員として今までどおり働けるようになったのだろう。しかし、あの偽装自殺は結局なんだったんだろう。やはり、アパートの人たちにも協力してもらっていたのだろうか。ただ、海千山千の亀井たちを騙すには、それだけでは不足だったのではないか。また、死んだふりをしている間、小宮はどこにいたのか、孫の面倒は誰が見ていたのか、種々の疑問が残る。なお、小宮はルリたちが反逆同盟と言うことを知っているのだろうか。亀井に襲われたときに意識を失っていたとすれば、明確には見ていないので、知らないままかもしれない。

 最後は学園のバラ園。
   
 ユミ「自殺したふりをするなんて、頭いい!」 
 おでこに人差し指を当て、
 ルリ「あたしの、アイデアです」
 ケイ「わたしたちも騙されたしね!」
  
 突如怒り出すユミ。
 ユミ「もうただじゃおかないよ、ルリ」
 ルリ「キャーッ、助けて〜」
 ユミ「待って」
 小宮「はははっ」
 ユミが小さな熊手(?)をかかげてルリに突進していく。ルリが逃げ、ケイも一緒に追い掛ける。
  
 低い垣根を飛び越す際に、ケイの背中が少し見える。ついでに、ユミのスカートがめくれぎみになって、中がちょっと見える。
 笑って見送る小宮。
  
 ルリ「キャーッ」
 ユミ「待てーっ」

 向こう側の芝生の上まで来る三人。ケイのぐるぐる回す腕がよく見える。なんか踊ってるみたいだが。
 ルリが立ち止まり、「返り討ちだ」と言って、反撃に出る。
 ま、この辺はほぼアドリブだろうなぁ。15〜18歳の女の子たちにしか作り出せない空気が漂ってきそうだ。
  
 ルリ「えいっ」
 ケイの頭をスコップで攻撃するが、ケイは頭を下げてかわす。この時、小さな熊手をバットのように構えたユミのお尻が意外と大きい。
  
 今度はユミが、ルリのお腹を熊手で切るようにスイングする。斬られたふりをするルリ。ここでも、踏ん張ったユミのお尻が大きい。
 それを見て大ウケするケイ。
  と、思わず貼りまくってしまったが、「つづく」が表示される中でこれだけ動きがあるのはたぶんこの回だけだ。

 特にもう、小さくて分かりづらいが、後藤さんが完全に素で笑い転げている様子! 昇天するほど可愛い。



アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 予告編
  
 予告編                               本編

 今回もほとんど映像面で差はない。事務室の外で盗聴している雄太の様子が少し違う程度。



 まとめ

 タイトルや予告編からはかなり期待できるエピソードなのだが、肝心の幽霊が学園に出なかったり、幽霊を出す必然性が薄かったりと、いまひとつの出来だった。季節外れだしね(幽霊は夏と決まってるわけじゃないけど)。

 それでも、ルリの優しい意外な面が強調されていたり、三人の仲の良さもたっぷり表現されていたり、芸達者のゲスト陣の顔触れがあったり、見所がないわけでは決してない。アクションシーンも、相当安定してきて、安心して見ていられる水準にまできていると思う。また、いわゆる「ルリの回」と言っていいくらいに、ひとりのキャラに焦点が当てられている最初の回でもある(主役のユミは別にして)。


 また、学園との戦いとは直接関係のないストーリーが採用された初めてのエピソードであることも留意したい。
 ついでに、初めて中山美穂が撮影に来なかったエピソードであるが、特に支障はなかった。