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第09話 パソコン逆転計画! 前へ 次へ 目次へ
放送日時 1986年12月8日
裏番組 ●月曜ドラマランド「おニャン子捕物帖・謎の村雨城」
監督 帶盛迪彦
脚本 大川俊道
準レギュ 藤岡重慶、中島はるみ、竹中直人
ゲスト 古角謙弥/豹藤史朗、菅原健/沼田、宿利千春/内田ノリコ(美術部部長)、遠矢佳雅里(ミスセーラー服)/北野ヨウコ、清水麻子/ナオミ
予告 ゲームに夢中になっていた雄太のパソコンに突然ラブレターが打ち出された。他人の秘密を知ってしまって驚く雄太。そんな折、明らかに嫌がらせと思われる事件が起こった。疑いを持ったユミたちはパソコンに次々と打ち出されるラブレターに注目したが……。「セーラー服反逆同盟」、お楽しみに!
備考 OPでのケイのチェーン攻撃に効果音は無し。タイトルの!は正確には45度に傾いて表記されたもの。
評価    シナリオ ★★★★★ 犯人探しの興味が終盤まで持続する、抜群に面白いストーリーである。
演出 ★★★★★ ストーカーの不気味さが丁寧に描かれている。パソコンの使い方も面白い。
映像 ★★★★ パソコン画面、美術部、地下道、喫茶店、資材置場と、見た目に変化がある。
キャスト ★★★★  ゲストが意外と充実している。竹中直人の熱血教師ぶりも楽しい。
アクション ★★★★ 相手は一人だが、ケレン味のあるアクションが展開される。
総合 ★★★★★ 個人的には全23話中の白眉と言える内容。
アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 さて、いよいよこのエピソードの出番である。

 何がいよいよかと言うと、個人的なことだが、筆者はこのエピソードが大好きで、もう何十回となく見返しているからだ。「反逆同盟」23話で特に好きなエピソードを三つ選ぶとすれば、この第9話と第4話、第14話あたりになるだろうか。

 当時はまだ一般的ではなかったストーカー犯罪や、原始時代のパソコン通信を意欲的に盛り込んだシナリオ、終盤まで犯人の正体が分からないミステリーとしての面白さ、ユミたちレギュラーの会話シーンが充実しているところなど、とにかく素晴らしい、と思うのだ。

 今回は、木枯らしの吹き荒れる屋外の雰囲気がしつこいくらいに強調されているが、これはストーカーの不気味さを際立たせるための演出である。
  
 冒頭、カンコンカンと靴音を響かせて、枯葉の舞うアスファルトを歩く不気味なシルエット。
 静止画では分からないが、数秒のシーンに過ぎないのに、何故か途中でカットが切り替わっている。
  
 そこからカメラはどこかの部屋を映し出すが、この際も、カーテンに風で揺れる枝葉の影がしっかりと映し出される。
 極めて乙女チックな部屋の様子だが、不釣合いなパソコンが机を占領している。
 プルルルルルと言う呼び出し音が鳴っている。 
 パソコンの隣にある電話の受話器を取ったのは、誰あろう、我らがルリ。
 ルリ「もしもし、弓削ですけど……あぁ、雄太ぁ?」
 と、弾んだ声で応じる。

 そう、ここはルリの部屋だったのだ。

 カーテンに映る木の影からして、一軒家なのだろう。この電話は、ルリの為の専用回線だろうか。当時のパソコン通信には電話回線は不可欠だから考えられなくはない。
 当時のパソコンは今で考えられないほど高かったので、ルリの家は割と裕福だったのだろう。 しかし、12話では母親の病気の為、経済的に苦しくなっていると言う描写があるので、無論、そんな大金持ちではあるまい。

 ちなみにパソコンは、沖電気のif800シリーズで、1986年5月発売のRXと思われる。ちなみに、歴史的には全然売れなかったこの機種だが、何故かこの界隈では人気らしく、ルリも雄太も、そしてストーカーもこれを使っていた。
 ルリ「うん、ユミもケイも一緒よ」
  と、セーラー服姿の時とは打って変わってまろやかな印象のルリ。この私服も女の子らしい。

 ルリの台詞に合わせて、ケイとユミも画面に入ってくる。
  
 ルリ「へえ、パソコン買ったのぉ〜?」
 やや驚くルリだが、自分の目の前に自前のパソコンがあるのに、そう言う反応はちょっと変かも知れない。「雄太も」と言う一語があれば良かった。

 ユミは、すぐに受話器を取って、
 ユミ「じゃ今夜はテレビゲームに夢中って訳ね、ふふっ」
 パソコンなんだから、パソコンゲームって言おうよ。
 しかし、当時はどんなゲームがあったのだろう。if800はビジネスモデルなので、ゲームはあまりなかったらしいが。

 尚、このシーンではケイには台詞が一切ありません。
 で、雄太の自室に切り替わる。こちらも一軒家だということは第4話で判明している。
 パソコンを買ってもらってるし、ここでも専用電話が引いてある。これを見ても、雄太はかなりいいところの坊ちゃんだということが推断できる。12話で寄付金もしっかり払っていたようだから、少なくともルリの家よりは金持ちそうだ。

 雄太「よしてくれよユミちゃん、テレビゲームなんてガキの遊びだぜぇ。いいかい、電話とパソコンをドッキングさせてスイッチ入れて待っててくれよ。すごいことしてみせっから」
  
 ユミ「うん、分かった。……何かパソコンに送り込んでくるんだって」
 ルリ「ほんとぉ?」
 話しつつ、慣れた手つきで受話器を上向きにセットする。
  
 ついで、ルリがプラグを差し込み、パソコンの電源を入れる。
 直後にCR(コントロール?)ボタンを押しているが、当時のパソコンはそんなに素早く起動していたのだろうか。まあ、実際にこの役者の動きでパソコンを操作する訳じゃないので撮影上は問題ないのだが。
 ルリ「入れたわよっ」
 仰向けに固定されている送話器に向かって報告するルリ。
 雄太は「オッケイ」と軽く答え、受話器を何かの装置の上に乗せ、スイッチを入れる。音響カプラと言う装置だろうか。
 雄太はついで、パソコン本体の前に移動する。
 モニターには、「Grape」と言うソフトの起動画面が映し出されている。
 雄太「うまくいきますように!」と拝んでから、
 かなり適当にキーボードを叩く。親指で「R」中指で「U」親指で「N」だから、「RUN」か。あ、意外とちゃんと操作していたのだ。

 で、これから雄太の取る行動がいささか不自然と言うか、不可解なのだが、後述するような「黒鳥学園の周辺地図」を送信すると言うような素振りは一切なく、
  
 この、まったくもって意味不明のタイトルから、番組のために日本ソフトバンク(協力企業)が開発したようなゲーム画面が表示される。
 ゲーム画面の左隅には、「KURU KURU HOBIT」と言う文字が見える。
 で、それを楽しそうに遊ぶ雄太。

 最初は、この遊んでいるゲーム画面をルリのパソコンに送り込むつもりなのかと思ったが、先程言ったように、地図情報を送るのが狙いだったわけで、ではこのゲームは一体なんなんだということになる。その前の「ゲームなんかガキの遊び」という雄太の台詞にあわせて、そういうシーンが欲しかったのかもしれないが、はっきり言って編集ミスであろう。まあ、このゲームやっている裏で、送信していたと言うことなのかもしれないが、だとしても非常に分かりにくい。
 あるいは、日本ソフトバンク(当時、孫正義が社長だったらしい)にこういうゲーム画面を映してくれと頼まれて、強引に挿入しているのかもしれない。

 ま、「弁当強盗事件」うんぬんというのは、ドラマにおける、このゲームのタイトルなんだろう。

 で、調子よく遊んでいた雄太だが、
 急に画面が乱れてしまう。
 雄太「あれっ、どうしたんだ、あれ、おかしいなぁ、なんだこれ」
 つぶやきながら、適当にキーを叩くが、事態は変わらない。

 最終的には「あれーっ、ろっぺえなー」(としか聞こえない)という訳の分からない嘆声を放つ。
  
 一方、ルリたちはひたすらモニターを睨んで待っていたが、画面にはこのような画像が繰り返し出て、コンピューターが機械的な声で「タ、タ、タ、タダイマ準備中」などと、お茶目なことを言っている。懐かしい表現だ。
 痺れを切らしたルリは、
 ルリ「あのボケ、何やろってのかねぇ、……雄太ぁーっ?」と、電話に呼びかける。
 雄太「あれっ、どうしちゃったのかな、あれぇ……壊れちゃったのかなぁ」
 雄太はそれどころではなく、ひたすらパニクっていた。
 画面手前にわざとらしく置かれているのは、「Grape」というソフトバンクのソフトらしい。
 小さくて読みづらいが、「グラフィックアニメーションツール」と書いてある。当時はムチャクチャ高かったんだろうなぁ。
  
 と、急に画面が紅白の市松模様のパターンになり、昔の良くあるコンピューターの効果音(ピロピロピロピロ〜みたいな)が鳴り、
 当時としては頑張っているんだろうが、現在においては笑うしかないCGが表示される。
 雄太「なんだこれ?」

 右のキューピッドが矢を放ち、左のハートマークに刺さると言う素朴なアニメーション。でも、1986年としてはかなり大変だった、のか?
 雄太「やっばいなぁ〜どこの誰だかわかんないやつのパソコンに侵入しちゃったぞ!」
 と、急に理解が早くなって(視聴者に)説明してくれる雄太。まあ、実際には、どう考えてもそんなことは起きないのだが、そうしないと話が成立しないので目をつぶろう。
  
 で、このような文章が表示される。音読する雄太。
 「僕は君に夢中だ  君のほほえみが僕のすべて ノッコ 君は僕のビーナス 僕から離れないでおくれ」

 一見ワープロの文書のようだが、文章が全部表示されてから、打ち込みプログラムにはつきものの、Break in 50というような表示が左上に出る。
 と、何故か勝手にその画面がプリントアウトされる。if800シリーズはプリンタが内蔵されていたらしいのでこの辺は自然であるが、自動的にプリントアウトされるというのはちょっと変だろう。雄太がプリントアウトの操作をした形跡はないし。
 雄太「ラブレターじゃんかこれ、ドキドキすんな、人のラブレター盗み読みするなんて」
 相変わらず暢気な雄太だった。
  
 そしてもう一度窓のショットと風のSE、雨の降る中、再び謎の人物が、今度は階段を下りるショット。ここでも何故か1回カットが切り替わる。

 そしてOPへ。

 この導入部は、かなり視聴者の期待を煽る見事な編集である。もっとも、前述のように雄太の行動がちょっと不自然なのが気になるし、パソコンやパソコン通信を知らないと話についていけない可能性もありそうだ。当時の一般的な認識がどうだったかは分からないので、なんとも言えないが。

 さて、今回はパソコンが何回も使われているので、クレジットの協力ページでは、
 一番下にいつもとは毛色の違う企業名が表示されることになる。

 また、あとで詳述するが、今回は女性キャラ3人のキャストと役名の同定がかなり難しかった。

アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 さて、その翌朝であろう、正門の登校シーンはなく、いきなり校舎内の廊下から始まる。
  
 実はこの冒頭のカットから、ちょっと変なことがあるので、先にそれを解説する。

 この二人、どう考えても2-Aの生徒なのだが、右側の生徒が「じゃあな」と言い、むかって右側の2-Aの教室に消える。左のいがぐりボーイは、手を挙げて応じて、さらに手前側に歩いていく。
 つまり、左のいがぐりボーイはどこへ行ったのだと言う疑問が生じてしまう。

 ……まあ、いがぐりボーイは、部活の朝練か何かで教室外の用事があったのだと言うこともできるのだが、順序が逆だが先に書いておくと、
 この後、雄太たちの会話の後景で、アキコが黒板を消していると、さっきのいがぐりボーイともうひとりの生徒が、黒板に悪戯書きをするという映像が映されるのだが、このもうひとりの生徒、明らかに上記の、右側の生徒と同一人物なのだ。だから、冒頭で、「じゃあな」と言って二人が別れているのが、すべての矛盾の原因と言うことになる。

 話を戻す。 
  
 朝のだらだらした2-Aの風景が全体的に映し出される。

 レギュラー生徒たちの雑然とした会話の中で、
 ヒロコ(森口博子)がでかい声で「今日朝(ご飯)抜きなの〜」と言い、ビン入りの牛乳を飲もうとしているのを銘記しておく必要がある。
 ルリ「私のパソコンに侵入しようとしたのぉ?」
 朝っぱらから色っぽい唇のルリ。昨夜のことについて聞いている。
 雄太「ウン、電話回線を使ってね(『今日朝抜きなの〜』)、俺んちのパソコンとお前ん家のパソコンをドッキングさせて情報を送りこんで驚かしてやろうと思ったんだ」

 雄太の台詞の間に、ここで何故かまた森口博子の声がバッチリ入っている。しかもこの会話のシーンで何度も聞こえてくるから、かなり耳障りで気になる。これは、最初の雑然としたシーンの実際の音声をSEとして収録し、ルリたちが会話をしているシーンでは、森口たちクラスメイトには動いているけど声は出させないようにし、ルリたちの会話に、あとからそのSEを加えているものと思われる。それが特に意味のないザワザワした声なら、繰り返し流しても気にならないのだが、森口博子が甲高い声で、妙にはっきりとした台詞を喋っているせいで、こういうおかしな現象になってしまったのだろう。
 ついでに、よほど注意しないと聞き取れないが、『今日朝抜きなの〜』の後に、山口の声で「ヨッ、ヨッ」と挨拶している声も繰り返し聞こえる。こちらは全く気にならないので問題ないのだが。

 また、さっきも書いたが、三人の背後では、黒板を消すアキコ、それに悪戯書きして喜ぶいがぐりボーイとその友達、さらにはアキコに叱られて自分でそれを消すことになる二人、と言うコントのような小芝居が行われているのだが、これでは悪の集まる高校というより、中学校、いや小学校のような光景ではないか。ほのぼのしてるなぁ。

 さらに、この消された黒板についても、記憶にとどめておいていただきたい。
 座りながら、
 ユミ「へえー、パソコン同士ドッキングできるのぉ?」
  雄太「ウン、理論的にはね(『今日朝抜きなの〜』)。他人のパソコンから情報を盗むことだって出来るんだぜ」
 と、知識の乏しいユミ相手に堂々と嘘をつく雄太。そんなことできるわけないだろ。
 ルリ「そんなのお前の頭でうまくいくわけないんじゃんかぁ!」
  ルリの剛速球が炸裂。ま、ルリは自分のパソコンがあるから、その辺の知識はユミよりあったのかもしれない。
 雄太「おっしゃいますねぇ。ドッキングする相手は間違ったけど(『今日朝抜きなの〜』)、一応成功したんだぞっ」
 口尖がらして反論する雄太。ところで、この教室内でのシーン、雄太の頭の金髪部分が今までになく色鮮やかなのがちょっと気になる。
 ユミ「それで、雄太の情報ってなんなの?」
 雄太「あ、これだよ、こっちは足で集めた情報だけどね」
 と言いながら、折り畳んだ紙を取り出して広げる。冒頭の雄太のパソコン画面に、これが表示されていてれば、見てるほう理解しやすかったのだが。

 背景の小芝居は、アキコが悪戯した二人をつかまえて、頭を叩き、本人たちに消させようとしている。実際に二人が消す姿は映されないが。
 雄太「黒鳥マークの喫茶店(『今日朝抜きなの〜』)やゲームセンターは学校側の息がかかってっから、気をつけたほうがいいってことさ」
  
 雄太の台詞に合わせて、カメラが地図を横切るが、ちょっと早すぎて貴重な資料なのにはっきりと全貌が見えないのが残念だ。

 それでも、学校周辺にやたら喫茶店やゲームセンターが多いのが面白い。「喫茶ドングリ」とか「とんかつ次太郎」なんてのは、実際にロケ地やスタジオの近くにあった店名をもじっているのではないだろうか。また、バスストップという表示も多く、バス通学説を補強する。

 最後に、恐らく京王線だろうが「嘉見駅」と言うのが見えるが、これは小田急線の「喜多見駅」のもじりではないかと推測している。スタジオ撮影を行っていた筈の国際放映から二駅目だし。

 それにしても、
 雄太「話を盗聴されたり、校長にタレこまれたりする危険がいっぱいだからね」

 黒鳥学園って、一体何考えてるんだろう。校外での生徒の言動にそこまで監視の目を光らせることにどれだけ意義があることやら。それに周辺の店舗にそれだけ影響力を及ぼそうとしたら、結構な財力が必要だろう。だいたい、雄太はどうやってそんな情報を得たのだろうか? それも謎だ。
 ルリ「さっすがぁ〜、情報収集能力にかけては(『今日朝抜きなの〜』)天才的だね」
 雄太「だろぉ?」
 ルリ「頭使わなくていいもんねぇ」
 雄太「チェッ、ひっでえの」

 一旦誉めてから落とすと言う、ルリの高等戦術が冴える。
 ただ、ルリはそう言ってるが、頭は一応使うんじゃないかと言う気もする。単に聞き込みすれば済む話じゃないからね。

 ここで背景に森口博子が映っているのに、『今日朝抜きなの〜』が聞こえるのには笑ってしまう。注意しないと聞こえないけどね。
 ユミ「はあっ、でも良かったー、あたしの行くトコ安全なようだから」
 と、場面が切り替わり、どこかの草原の上を歩くトレッキングシューズ(?)が映しだされる。冒頭の怪しい影と同一である。
  
 ここでわざとらしく花を踏み潰して歩くのがキャラクターの表現。
 再び場面変わって、校内の廊下を歩く女生徒。これだけだと分からないが、彼女はかなり背が高い。
    
 すたすたと歩いてきて、右側の教室の扉を開けて入る。それにあわせてカメラも横に動くのだが、そのために手前側の扉が開いたままになっている。
 ここは美術室らしいのだが、どう見ても、2-Aの教室を模様替えしただけのように思える。鬱陶しいくらいに配置されたイーゼルや胸像などがそれを物語っている。

 先に書いておくと、彼女は美術部の部長で内田ノリコと言う。

 しかし、そもそも彼女は何しにここに来たのか、よく分からないのだ。イーゼルの間を歩いて、何かを探していると言うより、何か問題はないかチェックしている感じである。部長と言うことで、毎朝、何か問題がないか見回っているのだろうか。しかし、だとすると、
 まずこの開けっ放しになっている扉に気付いて貰いたい。ちなみに反対側は放送室だ。 
  
 で、何気なく下を見ると、床に赤インクが垂れている。見ている間にもボタボタと垂れていく。
 不審に思って上を見上げる。

 さて、ちょっと話を止めて、自分は最初、彼女がクレジットにある「ミスセーラー服」の遠矢佳雅里という珍しい名前の人なんだろうと思っていた。ちゃんとセーラー服姿を披露しているし、それもかなり似合っている。出番も、三人の女性ゲストキャラの中で一番多い。が、この後、同時期に放送されていた「超新星フラッシュマン」という番組の中で、
 「超新星フラッシュマン」第14話「恋?! ブンとスケ番」1986年5月31日放送より

 メインのゲストとして出演しているのだが、こちらはクレジットを見るとどう考えても「宿利千春」という普通の女優さんなのだ。
 よって、彼女は「ミスセーラー服」ではないと言うことになる。
 で、彼女の視線の先には、棚の上のヴィーナス像があり、その唇から血(のように見える赤インク)を流していた! 
 びびるノリコさん。
  
 彼女は喘ぎながら、必死に声を出すのをこらえていたが、このタイミングで首の切断面から頭部がぐらっと揺れて、床に落ちて砕ける。
 しかし、これはどう見ても人の手が関与している動きで、ちょっと不自然。それに、
 その後、切り口から溢れるようにインクが流れているのはどういう仕掛だ?
  
 ノリコさんは、「きゃーっ!」と叫んで、入ってきた扉から廊下へ飛び出すのだが、この時、真後ろの扉が開けっ放しになっているのだから、普通はそこから直に廊下に逃げるだろう。まあ、それだけ気が動転していたのか。

 廊下に出て、「ねえ、誰か来てぇ!」と叫んで助けを求める。

  
  その頃、我らが反逆同盟のメンバーは、依然として地図を広げてあれこれ話していた。
 ルリ「この店は大丈夫だよね〜」

 で、ルリの台詞の後半に重なるように、教室の外から「大変だーっ!」という男子生徒の声が響く。
 後ろで手鼻ポーズを取ってイヤらしく自己アピールしていた森口博子が、ここでもまた「どうしたのどうしたのーっ」とけたたましく声を発しつつ、みんなと一緒に教室から飛び出していく。ユミたちも慌ててその後に続いて教室を出て行く。
 野次馬たちが美術室に集まってくるが、そいつらが全員2-Aの生徒なのは笑ってしまう。しょうがないけどね。
 生徒の声「なになにどうしたのーなにかあったのー」
 雄太「おケイ、何かあったのか」
 ケイ「うん、ヴィーナスの首が切り落とされたんだって」
 ユミ「ヴィーナスの首ぃ?」

 雄太の「おケイ」は「お、ケイ」かもしれない。
 小さくて見えにくいが、内田ノリコもケイの横に立っている。
 ← 
 恐らく美術部員だろう、男女一人ずつが壊れた像を抱えて廊下へ出てくる。
 「うわー」とか「気持ち悪い」とか敏感に反応する2-Aの生徒たち。
 どこかに捨てに行くのか、あるいは教師に報告しに行くのか、向こう側へ歩いていく二人について、野次馬や内田ノリコが画面からはけていく。
 現場に残ったのはユミたち4人。
 雄太「うわー、ひでえ悪戯!」
 ルリ「美しさを妬まれたのかしらねえ……」
 柄にもないことを言うルリに、

 雄太「いいね、オタクら、妬まれる心配なくて」

 おおっと、雄太の予想外の攻撃。
 ちなみに雄太がユミたちのことを「オタクら」とよそよそしい二人称で呼ぶのはこのシーンだけである。
 ルリ、振り向いて一言、
 「刺すよっ」
 何を、どこに刺すのか省略しているのが面白い。
 まあ、この中にほんとに不美人がいたら、冗談にならないのだが、1986年のドラマとしては奇跡的な美貌の持ち主ばかりなので、問題なし。
  
 ケイ「ノッコへの嫌がらせかもね」
 ひとりだけ内田ノリコと個人的な付き合いのあるらしいケイがぼそっとつぶやく。
 ユミ「ノッコって?」
  
 ケイ「内田ノリコ、美術部の部長よ。彼女も学園の正常化を、願ってる生徒なの」

 じゃあ、「反逆同盟」に誘わんかい!
 と、思うのだが、どうも彼女たちはこれ以上メンバーを増やす気が微塵もないらしい。

 ちなみにケイの指摘は、シナリオには特に影響はない。学園サイドの仕業と言うミスディレクションは最初から機能していないからだ。
  
 雄太「ノッコ?」
 ひとり雄太は、その呼び名に反応し、前日のパソコンの件を想起し、わざとらしく深刻な顔をして見せるのだった。

 次では場面が変わり、
 雄太はひとりで屋外に出ている。ここは、学園の敷地内だろう。
 で、先程の不自然なほど明るかった黄色い前髪部分だが、ここではいつものくすんだ感じに戻っている。まあ、屋内と屋外では見え方が違うとは言え。

 雄太「『ノッコ、僕から離れないでくれ。長い黒髪が揺れるたび、僕の心も揺れるのさ』……ノッコ……ヴィーナス……確かに内田ノリコの髪は長いけどなぁ。まさかそんなことないよなぁ」
 持参した「ラブレター」を読み、美術室の事件と関連があるのではないかと声に出して疑う雄太。
 それを持参していたのは、ユミたちに見せるつもりだったのだろうか。あの騒ぎで取り紛れてしまったか。

 再び場面が変わり、今度は校長室。
 校長「誰の仕業かわからんちゅうわけか?」
 さっきの事件と言うか、悪戯の報告を受けての言葉。
 九条「はい、しかし心配は御無用です。被害に遭ったのは、我々に反抗する生徒ですから」

 って、そういう問題じゃないだろ。
  
 校長「くっふふふ、まあ、……薄気味悪い話だのう」
 立ち上がって、窓の外を見る校長。九条は喋りながら校長と真下教頭の間に立つ。
 九条「そうざんしょう〜、薄気味悪いでざんしょう! ほんと美しいものが狙われた日にゃあねえ、他人事ではないでざがしょう。フフッ」
 校長「バカモン、お前の方がよっぽど薄気味悪いわ」
 と、突っ込まれて、
 最後は竹中直人の顔オチ。ここはほとんどコントである。
  
 真下「とにかく、しばらく様子を見るしかありませんね」
 クールな表情で自分の仕事をこなす中島はるみ。だが、至近距離に竹中直人の顔オチが存在しているわけで、内心、噴き出しそうになっていたんじゃないだろうか。竹中直人はしばしば、本気で共演者を笑わしにかかっている節がある。

 しかし、様子を見るとか言ってないで、教頭だったら、まず学園のセキュリティをしっかりしろと言いたい。無論、この段階では、部外者がやったとは分からないわけだけど。とにかくこの黒鳥学園は、セキュリティが甘いので有名なのだ。ストーカーが校舎内に入り込んでも、誰一人として気付いていないのだから、ある意味凄い。
 そして、最後は三人揃って窓の外を見詰める。

 どうでもいいが、何を見てるの?

 次は、下校シーン。仲良く三人横並びで帰るユミたち。
  
 ルリ「ところでさあ、雄太の奴どうしたのー?」
 ケイ「なんだかぁ、様子が変だったけどぉ」
 ユミ「ふーん、そう言えば今朝からなんか変だった」
 ルリ「アイツの変なのは今に始まったことじゃないの」
 今回もルリの悪口は冴える。冴え渡る。特に雄太に対しては容赦なし。

 ところで、これらの画像を見て、お気付きだろうか? 霊が映ってるとかそういうことじゃなく、ユミのスカーフが異様に長いことに。それに比べるとルリとケイのスカーフは妙に短く感じられる。ま、これは出演者が自分で締めてるんだろうから、その時々で個人差が生じるのは当然のことである。
 ユミ「要するに今流行りのパソコンフリークスねっ」
 ケイ「なにそれぇ?」
 ルリ「パソコン病患者のこと」
 ユミ「うんっ」

 当時は、実際流行っていたのだろうか。今だったら「パソコンフリーク」になるんだろう。「パソコン病患者」と言う堅苦しい表現も、数年後に「オタク」という言葉が流布するまでは仕方のない表現だろう。
  
 一方、その「パソコンフリークス」の雄太は再び例の「ラブレター」を受信していた。
 このキューピッドのアニメがそのしるしになっているらしい。
 しかし、一度ならず二度までも雄太とストーカーのパソコンがつながるというのはさすがに無理のある設定だ。
 これは、ストーカーが相手に送っているものなのか、自分のパソコン上に表示させているだけのものなのか、分からない。当時、パソコン通信やってる女子高生なんてほとんどいなかっただろうから、後者だろうか。

 雄太「おっ、また来たぞ」
 無邪気に喜ぶ雄太。
 再び、「ビーナス」に対する想いが綴られる。
  
 今度は、最後に「break in 40」の表示が出る。
 雄太「ビーナスよ 君が他の男と歩いているのを見た 僕は許せない!!」

 内容的には再び「ビーナス」に対する怒りの表明であるが、これが前夜だったらまだ分かるのだが、既にあの悪戯をやった後なので、ちょっと変ではある。この後、さらに「ビーナス」すなわち内田ノリコへの嫌がらせや犯罪行為が続くのなら分かるが、何故か、彼女についてはそれっきり何も起きなくなるのだから。
 ストーカーの割に、飽きっぽいのだ。

 雄太「なんてこったい、ラブレターの送り主がふられた腹いせにやったってわけか……でもなんで俺んトコに送ってくんだろ?」

 自分でつないでおいて、それはないだろうと言う雄太の台詞だが、具体的にストーカーがパソコンで何をしているのかいまいち分からないのは確かである。あとでユミが言うように、単に自分で打って自分で読んでいただけなのだろうか。
 何となく、シナリオを書いている人も、パソコンやパソコン通信のことがよく分かってない感じ。
 さて翌朝、教室で、昨日のメッセージをプリントアウトしたものをユミたちに見せる雄太。
  
 ルリ「おっどろいたね、こりゃあ」
 ケイ「ノリコがビーナスだって言う訳?」
 雄太「偶然とは思えないだろ。もしこれが本当なら大変だぜ、ほら昨夜もまた第2のラブレターさ」
 うーん、しかし、「内田ノリコ=ビーナス」とするにはあまりに情報不足で、これだけで決め付けるのは無理がある。
 実際に内田ノリコが彼氏と歩いているシーンとかが必要だったと思うが。

 また、撮影は冒頭のシーンと同じ日に行っていると思うのだが、ここでは雄太の前髪が普段のようなややすすけた感じの色に戻っている。
 何か思惑があってあえて色の違う付け髪を使ったのか、実は別の日に撮影しているのか、はっきりしない。
 なお、この時も、後ろでは、いがぐりボーイとその友人がじゃれあっている。
 雄太は言いながら、新しい文章をカバンから取り出して披露する。
 ルリ「朝日を浴びて白い犬と散歩する君の姿 まるで空から舞い降りた天使のようだ エンジェルよ 君の心が欲しい」
  
 黙って聞いているケイの顔が凛々しいので意味もなく貼っておく。
 ルリ「今度はエンジェルかよー!」
 相変わらず口の悪いお人。
  
 ケイ「本当に事件と関係あるのかしら?」
 ユミ「ノリコさんに聞いてみるしかないわねぇ」

 この流れはいいのだが、ここでまだノリコにこだわっているなら、エンジェル云々はこの後の雄太の部屋のシーンで表示させるべきだったと思う。ストーカーにしても、一晩にビーナスエンジェルそれぞれに「ラブレター」を書くのは浮気性過ぎるだろうし。

 で、ユミの言葉を受け、次のシーンでは(即席の)美術室でノリコとケイが話している。
 それにしても授業のない学校だな。
 ノリコ「ビーナスよ……許せない!!」と、2枚目の文章を読み上げる。
 そして首を横に振りながら、「こんな手紙貰ったことないわ」
 ケイ「誰が書いたか、心当たりは?」
 ノリコ「……全然!」
 ケイ「変ねえ……」

 ところで画面が小さくて分かりにくいが、二人の背後に映る黒板だが、全体的に字を消した跡がうかがえる。大胆な推測だが、これは、最初の教室のシーンで、ユミたちの話している背後で、アキコが黒板を消しているシーンがあるのだが、それがそのまま残っているのではないか。

 また、ノリコ役の宿利千春さんは、ケイより更に背が高いのだった。170以上ありそうだ。この二人が並ぶと絵になる。
 しばし沈黙の後、何かが軋む音がして、二人が同時に顔を向ける。
  
 と、ロッカーの上にたてかけてあった変な絵が、パタッと倒れる。
 思わず、ノリコに抱き付くケイ。指が長い。
  
 何となく不気味なムードになり、二人はもつれあうようにして出て行ってしまう。

 もっとも、今のは単なる偶然なんだけどね、どう考えても。
 雄太「ビーナスよ……ビーナスよ……ビーナスってノリコのことじゃねえかなぁ」

 再び雄太の部屋にシーンが移る。
 で、いまだにビーナス問題について悩んでいる雄太。ストーカーの関心は既にエンジェルに移ってるんだけどね。
 ユミ「つまり、これは犯人が勝手に書いた日記みたいなもので彼女に書いたものじゃないってことね」
 ルリ「でも、誰が書いたか見当も付かないなんて……そんなことってあるぅ?」
  ケイ「ノリコが隠してるとは思えないけどなぁ」

 事件にかこつけて、雄太、ユミたち三人を自分の部屋に呼ぶことに成功。
 今回は、反逆同盟のメンバーが集まって話し合うシーンが多いのでポイントが高いのだ。
 それにしても、やたらとポスターの貼ってある部屋だな。貼りゃいいってもんじゃねえぞ。

 しかし、今だったら、いや数年後だったら「ストーカーね」の一言で片付いている話だ(ストーカーと言う言葉が定着したのは1990年以降)。
  
 と、絶妙のタイミングで再びパソコンがピポピポピポパポ……と言う効果音と共に動き出して、「ラブレター」を送り込んでくる。
 しかし、雄太はずーっとパソコンの電源つけていたのか? 上の画像では明らかに切ってあるが。
 ルリ「また来たよ!」

 いつものように、キューピッドが矢を打つアニメーションが描かれる。モニターの前に集まり、固唾を呑んで見詰める面々。

 そして、文字が打ち込まれて行く。
 雄太「エンジェルよ 君も他の女と同じなのか どうして僕を無視するんだ 絶対に許せない」
 打たれる端から、文面を読み上げる雄太。
 ケイ「大変だわ! 今度はこの彼女が狙われてるのよ」
 どうでもいいけど、おケイちゃん、クマが出来てますな。
 ルリ「でもエンジェルって誰なんだよーっ!」
 苛立って叫ぶルリ。
 雄太「手掛かりは白い犬、それだけだぜ」
 最後に、
 ユミ「探し出さなきゃ! なんとしてでも」
 と、言って意気込むユミだが、この段階では、ノリコに対する悪戯くらいしか予見できないわけで、そこまでムキになるのはちょっとおかしいかも。

 それに、そもそも「エンジェル」が黒鳥の生徒とは限らないわけで、それを「白い犬」の手掛かりだけで対象の女性を探すのはほぼ不可能に近いはずだが……。
 さて、場面変わって、再度登場の、アスファルト道路の上をコツコツ歩く謎の人物。ま、ストーカーさんですな。

 とある住宅の門の前で止まり、中を覗きこむように背伸びする。そして門扉を開けて敷地に入っていく。
 表札には北野とある。

 今回のシナリオ、Aパートもそろそろ終わりという段階でさえ、犯人の手掛かりを(ユミたちにも視聴者にも)ほとんど与えない演出方針はとても良い。
 6話とは大違いである。

 その表札を映しつつ、ユミの台詞が始まり、同様に住宅街を歩くユミたちの映像につながる。
 ユミ「北野ヨウコ?」
 雄太「そうさ、あいつの家じゃあなんとかかんとかって血統書付の白い犬飼ってるらしいんだ」

 先ほどのシーンからどれくらい時日が経過したのか不明なのだが、とにかく、雄太は「エンジェル」に該当する女の子を探し出したらしい。
 確かにルリの言うように、「情報収集にかけては天才的」と言っていいだろう。
 そこへ、北野ヨウコの様子がイメージとして挿入される。犬の鳴き声。
 雄太「そいで毎朝一緒に散歩してるそうだぜ」

 そりゃまあ、犬の散歩はたいてい一緒にするわな。
 そういう揚げ足取りはともかく、こうしてちゃんとイメージ映像まで用意しているスタッフの良心的な仕事に敬服。
  
 ユミの「急ぎましょ!」と言う言葉を合図に、走り出す面々。しかし、今まさにストーカーが彼女の自宅に迫っていることなんて分かるはずもなく、実際のところは急いでもしょうがないと思うんだけど。ま、これはドラマなので、それが空振りに終わることはない。
  
 ストーカーがかなり広い北野家の庭を進んでいく。庭と言うよりは、ほとんど林である。金持ちだ。黒鳥学園は金持ちじゃないと入れない。
 ただ、ちょくちょく感じる疑問だが、なんでこういうところのお嬢さんが黒鳥学園になんか通っているのだろう。雄太が探し出したと言うからには、黒鳥の生徒なんだろう?

 で、犬小屋の前で北野ヨウコの愛犬が、クンクン鳴いている。

 自分は犬には知識も興味ないので、なんて種類なのか分からない。マルチーズ?
 ストーカーの持参したナタが振り上げられ、眩しい陽光に画面が真っ白になる。それに、キャンキャンと鳴き喚く犬の声が重なる。
 実際に振り下ろす映像はないけれど。
 と、その声に2階の窓が開いて、北野ヨウコと思しき女の子がベランダに現れて、庭を見下ろす。
 「誰か来てー、誰かー、誰か来てー、誰か来てー」
 と、助けを求める。

 さて、この女の子、彼女こそ番組開始前の企画で募集された「ミスセーラー服」に選ばれた遠矢佳雅里さんです。手元にある、当時のテレビジョンで確認が取れた。
 しかし、折角の「ミスセーラー服」なのに、劇中でセーラー服を着せないと言うのが理解に苦しむところだ。ストーリー上、セーラー服を着せることが難しかったのだろうが。
  
 とにかく、屋敷の近くまで来ていたユミたちにもその悲鳴が届き、ユミたちはスピードを上げて走る。
 静止画ではわかりにくいが、この時、ケイの左腕がぐるぐる体の横でまわる、典型的な女の子走りになっている。
 それにしても絶妙のタイミングではある。北野家の門のところに駆けつけたユミたちだが、既に犯人はいなかった。
 ここで、彼らは(恐らく犬の死体を見て)顔をしかめているのだが、実際はこの位置からは、広い北野家の庭が見渡せたとは思えない。
 険しい表情のユミのアップでCMへ。

 それにしても、はっきりと犬が殺されるのは結構、衝撃的な展開だ。さすがに直截的な描写はないけれど。
 「反逆同盟」は、動物がちょくちょく出てくるドラマだが、動物が殺されるのはこのシーンだけである。

アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 引き続き、北野家の庭内の様子から始まる。
  
 横倒れになった犬小屋と、空になったリード、指紋を採取している鑑識員。
 それに、北野ヨウコの「えーんえーん」という素人臭い泣き声がエンドレスでかぶさる。

 しかし、ナタでぶっ殺したのなら、首輪はそのままついてると思うのだが……。
  
 ビニールシートがかけられた犬の死骸。
 そばに立って、顔を覆って泣いている北野ヨウコ。事情を聞いている風の警官たちにも台詞はない。

 ちなみにこのドラマで警察が登場するのはかなり珍しく、今回を除くと、他は11話くらいだろうか。

 しかし、この素人っぽい演技は、いかにもミスセーラー服コンテスト優勝者、エントリーナンバー6、遠矢佳雅里さんと言う感じだ。
 それにしても、この名前、妙にかっこいいんだよね。これはたぶん、カガリと読むんだろうが。あるいは平凡にカオリかな。
 未だに門の前で見物しているユミたち。野次馬もいっぱい集まって覗き込んでいる。
 ヨウコは、しゃがみこんで、延々泣き続けている。
 さっき、その位置からは犬小屋は見えないのではないかと書いたが、このアングルだと、はっきり視界に収まるようだ。ただ、ストーカーが庭を進んでいく際の感じでは、もっとこう、鬱蒼とした林みたいなんだけどね。
  
 ユミたちがそこを離れると、待ってましたとばかり助監督の指示で空いたスペースに詰める新手の野次馬たち。
 こういう芸の細かさが好きだ。

 犬の死骸を見て凹みながら、北野邸をあとにするユミたち。一足違いで防げなかったことが悔しい。
  
 ケイ「可愛がってた犬を……」
 ルリ「人間のすることじゃないよぉ!」
 雄太「ああ、あんな恐ろしいこと、誰が出来るっていうんだ」

 妙に大袈裟なことを言うルリと雄太。毎日保健所でたくさんの犬が虐殺されてるんだけどね! それは言わない約束。
 なお、ここで、電柱のプレートに「世田谷区」とはっきり見える。
 ルリ「でもぉ犯人は彼女たちに恋をして失恋している……一体どうなってんのぉっ?」
 ルリの問い掛けだが、ちょっとここは前後の会話が噛み合ってないような気もする。
 ここも、今だったら、「ストーカーでしょ」の一言で片付いてしまうだろう。
 で、再び雄太の部屋に戻ってみると、またまた「ラブレター」が届いていた。
 ちなみに背景から、時間帯は夜のようである。

 この辺で、雄太の母親なんかが出てくると物語に奥行きが出るんだけどね。
 雄太「君は僕のマドンナ 君のそばにずっといたい (ピーッと言う電子音) ソッと垣間見た胸の傷 その秘めた痛みを僕も一緒に分かち合いたい」
 文面を読み上げる雄太。今度の対象は「マドンナ」である。

 エンジェルこと北野ヨウコのことは既に終わり、また別の女性に恋をした模様。
 それにしてもほんと移り気のストーカーである。諸星あたるか。
  
 ユミ「胸の傷?」
 と、相手を特定する唯一のデータに、敏感に反応するユミ。
 反射的に自分の胸の辺りをギュッと押さえる。ただし、1話の特殊メイクによる傷はこの時はされてない筈だ。
 分かりづらいと思うが、スカーフがちょっとほつれている。
  
 雄太「胸の傷って、ユミちゃんのことじゃないのか?」
 ユミ「でも、一体誰が?」
 雄太「ユミちゃんにも心当たりがないって言うのかい?」
 無言で頷くユミ。
 ユミのアップで次のシーンへ。
 これも非常に分かりにくいが、この時、仙道さんの鼻の右横に小さなおできと言うか、にきびと言うか、とにかくポツンと赤くなっている箇所がある。

 場面は再度、校長室。恐らく翌日の日中だろう。メンツは前回と同じ。
  
 真下「校長、豹藤史朗から復職願いが出ていますが」
 校長「豹藤史朗か……」
 封筒を受け取り、つぶやくと、
 九条「豹藤はまだ刑務所に入ってるんじゃなかったのか?」
 ガバッと立ち上がり、いつになく険しい表情と声で問い質す九条。最初は真下の下僕みたいだった九条だが、ここでは何故か真下より上の立場で喋ってる感じだ。
 真下「先月、出所したそうです」
 それに対する真下の言い方も、目上の人間に対するようで、やや違和感あり。もっとも、真下の(そうです……の時の)顔は校長の方を向くんだけどね。
  
 冷静に書類に目を通そうとする校長だが、
 九条「復職だなんてそんな! また問(パン!)題が起きたらどうするんですかっ!」
 と、激昂のあまり、(パン!)のところで左手を激しく動かしたため、校長の読んでいる書類に当たって、書類が校長の手から落ちそうになる。
 これ、完全にアクシデントだろうが、藤岡重慶は眉毛ひとつ動かさず演技を続けるのだった。
 九条「私は許せない、こいつは昔ね、女生徒に次々乱暴して、恐ろしいことを起こしてるんだ!」
 と、今度は教頭に向かって説明している。と言うことは、九条の方が真下より黒鳥での経歴は長いのだろう。

 しかし、九条先生、急にフェミニストの熱血教師になってしまっているが、女生徒に対してリンチまがいのことをさせた過去(第3話参照)があるので、説得力はあまりない。ただ、ここでは、女生徒の身を案ずると言うより、また問題を起こして警察沙汰になるのを恐れていると言うようにも受け取れる。あるいは、個人的に豹藤のことが嫌いだっただけかも。
 それにしても、そんな過去がありながら、豹藤は教員免許をまだ持っているみたいで、さすがに変かな。
 校長「こいつは一歩間違えば殺人鬼だが……、使いようによっては役に立つ」
 と、いかにも悪の巣窟・黒鳥学園のトップらしい含みのある発言と笑い。
  
 校長の物騒な言葉に、思わず振り向く九条……だが、すぐ眉毛をピクピク上下に動かし、
 九条「いけず!」と、急にいつもの悪徳教師の顔になって一言(※いけずと言うのは関西弁で『意地悪』の意)。
 自分はこの大人のやり取りがとても好きなのだった。

 もっとも、この校長の「使いよう」が実行に移されることは結局無いんだけどね。そもそも、どうしようとしていたのかも定かではない。まあ、反抗する教師や生徒、保護者を豹藤に襲わせるとかかな……。

 ま、この会話は、ストーカーの正体についての重大なヒントを視聴者に与えるためのものなので、別にいいんだけど。
 それでもまだ、名前だけで顔については一切隠しているのが苦心のシナリオである。


 ついで、唐突に場面はとある喫茶店の内部に移る。女子による作戦会議中。
 ケイ「ノッコも、それにヨウコも、やっぱりこの店をよく利用するって言ってたわ」
 ユミ「黒鳥の息のかからない安全な店ですもの」

 ここで、最初の方に出てきた雄太の地図情報が使われるのには感心した。もっとも、「安全な店ですもの」と言っても、ノリコやヨウコはその情報を共有していたとは思えないんだけどね。また、おケイちゃんがそういう情報を得ているのも少し意外だ。友達のノリコはともかく、愛犬を殺されたばかりのヨウコに話を聞けるとも思えないのだが。
  
 ルリ「見てあの男……見たことない?」
 ケイ「この店の常連らしいよ、ノッコもヨウコも、窓際からサングラスの男が見てたって言ってたよ」

 つまり、怪しいと睨んでいるわけだが、そんな細かいことまで二人から聞き出していると言うのは変?

 それはさておき、
 人を外見で判断するな!
 しかもこの場合、彼、サングラスをかけてるだけなんだけどね。
 ついでに言うと、ここのケイの台詞、「〜よ、〜よ」の反復がちょっと可愛く聞こえる。
 ケイの台詞の途中で、タイミング良く席を立ち、店から出て行く男。
  
 ユミ「確か見たことある……つけましょう」
 後ろを通って出て行く男の尾行を開始する三人。
 と、そこへウェイターが「お待たせしました」と、コーヒーを持ってくるが、
 ユミ「あ、ごめんなさい、いいわ」
 と、軽く言って出て行く。



 いいことあるか!

 注文したものがもうできているのに、「いいわ」の一言でキャンセルするんじゃねえ。
 コーヒーだから、つい見過ごしてしまいがちだが、仮にこれがカツ丼三人前だったら、見てる方も、アレ?と思うのではないだろうか。
 ユミたちが伝票を取っている様子もないから、これは一種の食い逃げではないのか?

 ここはコーヒーを持ってくるのではなく、注文を取りに来るところだったら、そういう疑問も生じなかっただろう、惜しいことだ。
 しかし、実はこのカットが重要な意味を持っているのだが、このシーンではユミたちと視聴者の関心は、サングラスの男に向いているので、意外な伏線としてちゃんと機能しているのが心憎い。
  
 サングラス男の後を楽しそうに尾行する三人。
  
 カバンを胸に抱いて走るおケイちゃんがラブリー。
  
 さらに、ここで、ユミのアップから、彼女のカバンについている変なマスコットが意味ありげにクローズアップされる。また、それについている小さな鈴の音もしっかり聞こえる。
 この段階では意味の分からないカットであるが、これも後のストーリーに関係してくる伏線なのだ。
 さて、男が角を曲がると、
 向こう側から、若い女性に連れられた二頭の犬がワンワン吠えながら登場。
 男は「うわっああああーっ!」とみっともない叫び声を上げるや、
  
 元来た方へ、踊るように走って逃げてくる。そんなやつぁいねえよと思うほどの犬嫌いを演じているのは菅原健さんです。
 あと、犬を引っ張っている女性、一瞬しか顔は見えないが、JACの女性スタントっぽくもある。違うかな。
 呆気に取られてサングラス男を見送る三人。
 シリアスムードで攻めて来て、ここで一転してコミカルなシーンを挿入するのも良い演出。BGMも、コミカルなものが使われている。

 再度、雄太の部屋。
 時間帯は夜である。なんか毎晩女の子たちが遊びに来ている感じで、雄太としてはホクホクであろう。
 雄太「ハズレかぁ……」
  
 ケイ「あのサングラスの男はね、沼田って言うガードマンなんだけど……事件の起こったときには、間違いなく勤務先にいたみたいなの」
 と言うケイだが、ここでもまた彼女が情報源となっている。しかしそういうのって、意外と調べるの難しいぞ。喫茶店で聞いたのかな? さらに、アリバイまで調べるなんて、普通の女子高生にはちょっと無理じゃないかなあ。しかも、昼間に沼田を見て、その夜には既に情報を揃えていると言うのも手際が良過ぎる。 
  
 ルリ「それにあのザマじゃねえ〜」
 の一言で、沼田犯人説は却下された。
 まあ、あの情けない様子ではそう判断しても不思議ではない。あれだけ極端な犬嫌いでは北野ヨウコの愛犬を殺すのは無理だろうしね。

 ただ、天邪鬼な見方をすれば、犬は殺していないが、いやがらせ行為はしていたかもしれない。つまり、犬を殺したのはストーカーとは関係ない別の人間で、他の件はやはり沼田がやっていたという可能性も捨て切れないのでは? ま、それ以前に、見た目が怪しいと言うだけで沼田のことを容疑者扱いしたことを反省しましょう。
  
 さて同時刻、某所ではストーカーさんがパソコンに向かっていた。しかし殺風景な部屋で、とても私室とは思えない。どこかの会社の資料室みたいだ。
 奇しくも犯人のパソコンも、雄太やルリのと同じ沖電気のif800RX110Fという機種だった。
 しかし、犯人にしても、うらみつらみの文章をただ打つより、それこそラブレターのように相手に送りつけたほうが気が済むのでは?
 黙りこくっていた四人のところへ、またちょうどいいタイミングで「ラブレター」が送られてくる。一斉にそちらを振り向くユミたち。
 雄太「また犯人から入ってるぞ」(何と言ってるかはっきり聞き取れない)

 つまり、上のストーカーの動作が、ここにつながっているということだろう。
 ただ、やっぱり、相手に見せるためじゃなく自分の気持ちを打ち込むと言うだけなら、オンラインにする必要はないと思うんだけどね。
 雄太「マドンナよ 君も他の雌豚どもと一緒だったのか どうして(ピーッ)なぜ僕を無視するんだ 許せない 殺してやる!!」

 過激な表現を作ってくるストーカー。しかし、雌豚って……。
 マドンナ→雌豚へと垂直落下式に評価が暴落してガクッとするユミ
 ケイ「殺してやる……」
 下唇のぷりっとした感じが美味しそうなケイ。
  
 雄太「殺人鬼だよ、コイツは」
 ルリ「ユミぃ、アンタ今日誰かを無視するようなことした?」
 と尋ねるルリだが、実際のところマドンナ=ユミと決まったわけじゃないんだけどね。
 ユミ(かぶりを振って)「いいえ(別に?)、そんな……」
 ルリ「誰なんだろう……あの店には沼田のほかには怪しい男はいなかったし」

 あのう、ルリさん、
 沼田さんは、まだ怪しい男グループ所属なんですか?
 サングラスかけているだけで、立派な勤め人だと判明したじゃないですか。かわいそうですよ。
  
 と、ここでやっと、ユミが犯人の正体に思い当たる。
 「いたわ一人だけ」
 ここで先程の喫茶店のシーンがプレイバックされ、さらに、後ろ姿しか見えなかったウェイターのその後の様子が映し出される。
  
 うわー、わかりやすい

 もっとも、注文したコーヒーが来たのに「ごめんなさい、いいわ」の一言で金も払わずトンズラした女子高生たちへの怒りの表情なのかもしれないが。

 まあ冗談はさておき、番組開始から(正味)17分経って漸く犯人の顔を出すという焦らしぶりは、ミステリードラマとしては模範的である。
 それに、その正体が、ブラウン神父的な「インビジブルマン」だったと言うのも素晴らしい。ただ、出来ればもう少し早い段階でウェイターとしての姿を出しておいて欲しかった。
 ユミ「ウェイターよ」
 ルリ「ウェイター?」
 ユミ「……気にしたことはなかったけれども、あの男ならいつも私を見ていたはずだわ」

 なんか急に自意識過剰になるユミ。視聴者としては上の表情でコイツが犯人だとすぐ分かるのだが、それを見ていないユミが、どうして彼が怪しいと睨んだのか、ちょっと説明不足かもしれない。ウェイターなら他にもいるだろうしね。
 うーん、それに、普通に接客していて、ユミの胸の傷が見えるだろうか?
  
 で、その翌日、多分放課後だろうが、ユミと同じマスコットをつけた女子生徒が歩いている。
 その背後に、例の靴を履いた男が不気味に迫っている。
 いや、初めて見ているほうとしては仙道さんだと思ってしまうんだろうけどね。はっきりと顔とかを映さないし、髪型や背格好も似ているから。
 このドラマでは珍しく、地下道へ降りていく女子生徒。
 地下道と言っても自然光が入っているので、それほど暗くはない。
 しかし、これだけ近くを歩いているのに、女子生徒が気付く素振りすら見せないと言うのは不自然かもしれない。
 トレッキングブーツだから、足音もガンガン聞こえるし。
 と、ストーカー、つまりウェイターだが、「貴様、高坂ユミだな?」と言いつつ背後から抱き付く。
 それに対し、女生徒は「違います、ユミじゃありましぇん」と明らかに仙道さんとは別人の声で否定する。

 ウェイター「嘘をつけ、よくも俺を無視しやがったな!」
 女生徒「あ、痛い、ああ」
 ウェイター「うるせえっ」
 激昂のあまり、聞く耳持たないストーカー。

 うーん、しかし、あれだけはっきり顔を見ているユミを、ここまで大胆に人違いするだろうか。
 しかも偏執的な愛憎を抱いているはずの、ストーカーが、だよ。いくらカバンのマスコットが同じだからって……。

 ストーカーは遂に、
 「黙れーっ」
 と、持っていた刃物をふりかざし、
  
 女生徒の背中を叩き切る。
 「キャーーーッ」と叫んで、糸の切れた操り人形のようにその場に倒れ込む女生徒。
 ストーカーはさっさと逃げてしまう。
  
 地面にうつ伏せて恨みのこもった視線を上げる女生徒。そして「うっ、ううっ」と呻いて、くたっと気絶する。この仕草がちょっと可愛い。
  
 クローズアップされるマスコットに被せて、救急車のサイレンのSEが入る。
 街中を走る救急車の映像が映し出されるが、これは第4話で使われたものと一緒かな。

 さて、この女生徒、最初は彼女がミスセーラー服なのかもしれないと考えた。ストーカーに斬られると言う、扱いとしてはかなりひどい役柄で、顔も薄暗い地下道でちらっと映るだけで、ゲストとしてはさすがにないだろうと思ったのだが、ただ、北野ヨウコが私服だったのに対し、一応こちらはセーラー服を着用しているから、判断がつきかねていた。なにしろ、ミスセーラー服だからな。

 追記・最終的には、上の女生徒を演じているのが清水麻子さんであり、北野ヨウコ役がミスセーラー服・遠矢佳雅里さんだということで決着した。

 この殺傷事件を受けて、
  
 ユミ「ナオミがぁ?」
 と立ち上がりながら叫ぶユミ。ナオミというのは今の女生徒の名前らしい。しかし、下の名前で呼ぶほど親しかったのか?
 ここは、ちょくちょく出てくる、黒鳥学園の建物のそばの砂利道。
 雄太「今病院に運ばれたんだけど、背中をバッサリだってさ」
 ケイ「きっと、豹藤の仕業に違いないよ」
 結局、ナオミの怪我の程度はどうだったのか、不明である。さすがに死んではいないのだろう。
 ん、しかし、今、と言うことは、さっきのシーンは放課後ではなく、朝だったのかな。それともユミたちは放課後、学校に居残っているのか。

 それにしても相変わらず情報が入るのが早い。それに、ケイはいつの間にかウェイターの名前まで調べ上げている。
 これはまあ喫茶店で聞けば分かるだろうが。
 ただ、マスコットのことを知らない段階で豹藤が犯人だと決め付けるのは根拠薄弱だろう。
 ルリ「でもどうしてナオミが?」
 という疑問の声に応じるように、再びカバンにぶらさがったマスコットの映像が挿入される。
 ユミ「豹藤は人違いしたのよ! 私と……」
 雄太「ええっ?」
 超人的なスピードで事件の真相に辿り着くユミ。詳しくは説明しない。
 ユミ「許せない、絶対に許せない!」
 ここで、ユミの決まり文句。

 ただ、水を差すようだが、ユミと同じマスコットをつけているナオミが襲われたからって、即座に豹藤犯人説を確信してしまうのは、やっぱり論理的に考えておかしいと思うのだ。結果としては、全く正しいんだけどね。

 ユミたちがそう信じるに足る手掛かりが用意されていれば、尚良かったかな、と。
 力強く頷く雄太。……ま、頷くだけで、別に何もしないんだけどね。戦場にすら来ないからな、コイツは。
 (ただし、ユミの身代わり人形を作ったり、豹藤をドラム缶に詰めたり、と言うような補助的な仕事はしたかもしれない)
  
 同じく決意を込めて頷く二人。
 ユミ「あたし、豹藤をおびきだすわ」
  
 殺風景な部屋で入念に靴紐を結ぶ豹藤。いっちゃってる顔で笑うと、部屋を出て行く。
  
 で、次のシーンでは早速おびきだされていた。

 どんだけ、手際がいいんだ、ユミ。

 直前のユミの台詞からは、豹藤に対し、何らかの仕掛けや誘いをかけるような印象を当然受けるのだが、そういう描写は一切ない。折角今までパソコンを活用してきたんだから、まさにこの時こそ、逆にユミたちがパソコンを使って豹藤のおびき出す絶好の機会だったろう。
 また、そうしないと、サブタイトルの「パソコン逆転計画!」が意味不明になる。

 それにしても、一体どうやったら、こんな見事に引っ掛かったのだろう、豹藤は。
 まあ、ストーカーだったら、向こうからこちらの動きをマークしている筈だから、ユミがひとりで夜の街を歩けば、ほいほいとついてきてもおかしくない……かな?
  
 ユミが曲がり角で少し立ち止まって後ろを見ても、微動だにしない豹藤さん。ユミはそれを確かめてから、角を曲がる。
 土管やコンクリートの色んなブロックが積んである資材置き場らしいところへ入っていくユミを見て、不気味に笑う豹藤。

 女子高生がひとりで夜中にそんなところに入っていく時点で、おかしいことに気付けよ。



アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 今回は、明確な戦闘シーンの区切りがないので、便宜上、ここからとさせてもらう。
 ← 
 様々な資材が置かれている間をゆっくり進む豹藤。
 ところどころ、白い蒸気が出ている。
 実相寺的なアングル(どこがじゃ)でユミを探してうろつく豹藤をとらえるカメラ。
  
 と、その視線の先にユミの後ろ姿が見える。

 ここで、ユミは上のように体を少し左に傾けるのだが、個人的に、この後ろ姿が妙に不気味に感じられる。無論、仙道さん本人が立っているだけなのだが、首の感じなんかが人形っぽくて、何か得体の知れない存在に思えてしょうがない。人間の後ろ姿と言うのがこれほど怖いとは知らなかった。
 まあ、ドラマとしては既にここでは仙道さんではなく人形に変わっていると言う設定なので、仙道さんもそういう気持ちで演技しているから余計そう見えてしまうのかも知れない。
  
 豹藤「ハッハッハ、お前は俺の憧れだったんだ。俺のマドンナだったんだ。それなのに、俺を無視しやがって……許せない、殺してやるぅ!」」
 言いながら、背中に吊っていた袋から出したのが何故か青竜刀、それも二本。どういう趣味だ。
 右手で、柄に付いた紐を持ってヒュンヒュンと回転させながら、ユミに近付く。
 依然として、ユミは人形のように動かない。
 豹藤は、その後ろに立つと、振り回していた刀を持って、「チョーッ」と奇声を発しながら、その背中にふりおろす。
 この瞬間までは仙道さんが人形のふりをしているのだが、次のカットでは、
  
 切り離された胴体からは血ではなく、羽毛が飛び出てくる。ま、これは羽毛布団か、枕だろう。
 強い風に、羽毛が雪のように舞う。
 豹藤「うぉーっ、なんだこのやろーっ!」
 刀を振り回し、荒れ狂う豹藤。
 しかし、羽毛布団にセーラー服を着せただけであんなリアルな人形を作るとは、なかなか侮れないテクである。雄太が作ったのだろうか?

 それにこの乱舞する羽毛が犯人の狼狽を表現していて効果的なのだ。
 きょろきょろと周囲を見回し、積まれた資材の上に上がる豹藤。と、視線の先に、
 怪しいシルエットが浮かび上がる。ここでも、舞い散る羽毛が映像に彩りを添えている。
 三人が、ゆっくり手前に歩いてくると、その姿がはっきりと見える。
 演劇的なライトを後ろから照らすよりは自然である。
 そして、いつもの前口上。
 ルリ「闇の中でのさばり続ける悪党ども」
 文章では分からないが、いつもは、「闇の中で」で一旦間を置いているのだが、今回は最初から最後までほぼ一息で台詞を言っている。
 また、今回も相手がひとりだが、「ども」になっているが、これはしようがない。「悪党」や「悪党め」ではさまにならない。
 ケイ「てめえのようなワルは 許せねえ!」
 対照的に、いつもはスーッと行くケイの台詞が、今回は上記のように一呼吸置いている。
 ケイと違い、複数相手には「てめえら」だが今回はひとりなので「てめえ」に変えている。
  
 お腹の前で拳をクロスさせ、ユミ「天に代わって」まで言い、
 拳を構えてから、「成敗する!」
 ユミの動きはいつもとだいたい同じだ。

 ……しかし、今考えたら、別に天に代わらなくても、警察に通報すれば良かったんじゃ
 豹藤「何だ貴様ら!」
 と、合いの手を入れてくれる優しいストーカーさん。
 三人「セーラー服、反逆同盟!」
  
 そしてカメラはユミにズームする。そして、ユミが飛び上がるポーズをとると、それにあわせてカメラが素早く上下する。
 次には、高所から飛び降りる三人の背中に切り替わる。ここで既にスタントにバトンタッチされているのだ。
 ここから戦闘シーンのBGM(激闘のテーマ)がスタート。
  
 豹藤「ええーい、ちぇーいっ」
 相手は一人だが、最初はいつものように軽い小競り合い。ただ、暗くて遠めなのでよく分からないのだが、豹藤も、スタントが演じているようだ。
 右の画像では、やたらユミが高く跳んでいるが、資材の背後にトランポリンがあるのだろう。
 しかし、考えたら、二本の青竜刀をふりまわしてくる相手に、ほぼ素手で立ち向かうと言うのは、彼女たちもだいぶ無謀である。
 青竜刀を二本ともグローブで受け止めるユミ。丈夫だなぁ。
  
 ケイが、やや離れた位置から助走をつけてジャンプする。
  
 空中で右手を伸ばす直前で、後藤さん本人の投げるカットにつなぐ。
 闇の中をチェーンとスカーフが舞い、
 ユミを攻めていた豹藤の首に後ろからしっかり巻きつく。
  
 そしてその状態のまま、ケイはかなり高い位置に着地する。
 しかし、豹藤はひるまず、チェーンを巻き付けられたまま、ユミのどてっぱらにまともに蹴りを入れる。
 豹藤「くそっ!」
 ユミ「きゃっ」
 更に、ケイも首でチェーンを引っ張って、下の袋の山に落としてしまう。かなりのパワーである。
 チェーンを巻きつけたまま、刀を振り回すが、
  
 ルリ「いやーっ」
 ここでルリの華麗な蹴りがクリーンヒット。ここは山本さん本人が演じている。
  
 豹藤「ああーっ、うっ」
 その蹴りの威力は凄まじく、豹藤は吹っ飛んでコンクリートブロックの向こう側に落ちる。
 この場面、スタントは、両手に刀を持ち、しかも固いブロックの上で、チェーンがぶらさがったまま演じているのだが、これはかなり難しかったのではないだろうか。
 もっとも、向こう側に倒れ込むと同時に、チェーンは(スタッフが引っ張って)外れるんだけどね。
 豹藤が落ちたせいか、再び羽毛が舞い上がる。
 追撃のために接近する三人だが、ブロックの向こうに豹藤の姿はなかった。ほんとは、いたと思うが……。

 と、反対方向から「ハッハッハッハッハッ」と言う豹藤の笑い声と、刀が風を切る音が聞こえてくる。
 振り向くと、
  
 豹藤「ひゃっはっはっはっは」
 コンクリートブロックを積み上げた結構高い場所に、豹藤がいつの間にか移動している。

 そう、彼はエスパーだったのだ!

 ……いや、そうでも考えないと説明つかないんだよね、このシーン。
  
 が、ユミたちは特にびっくりもしないで冷静に戦い続ける。ポーズを決めてからその場でジャンプし、ユミ(のスタント)が空中回転し、
  
 ユミ「うー、ふっ、えいっ」
 同じところまで飛び上がる。その上で豹藤を何度も蹴りまくる。豹藤は最後の蹴りをかわしながら、自ら下へ降りる。
  
 豹藤、一旦地面に仰向けに倒れるものの、そのまま攻撃してきたルリを蹴って退け、立ち上がってケイと戦う。
 しかし、二人から連続攻撃を受け、やや不利。
 豹藤が倒れたところで、ユミが「ルリ、ケイ!」と叫んで合図する。
  
 ユミは、さっきの場所から、ちょうどたてかけられていた細長いコンクリートブロックを蹴り倒して、それで豹藤を押し潰そうというえげつないことをする。
 合図は、ルリとケイに危ないからそこを離れろという意。
 で、作戦は図に当たり、まるで木材の倒れるような軽いSEでコンクリートブロックが倒れ、豹藤の上にのしかかっていく。
 しかし、普通だったら、これって人殺しにならないか?
 勝利を確信してユミに微笑みかける二人。実際は終わってないのだが、バトルの途中でこういう表情を三人が見せるのは珍しい。
 ユミも微笑んで、その場でピョンとジャンプする。
 で、下に降りたユミと合流して、三人でブロックを取り除いて、豹藤がちゃんと死んだか確認しようとするのだが、
 ここで三人ともひょいひょいとあたかもそれがコンクリートではなく軽い発泡スチロールであるかのように軽々と持ち上げて取り払ってしまうのが、ちょっと失敗。特におケイちゃんがありえない怪力を発揮してしまっている。ユミとルリなんかは、二人で一緒に持ったりしてるんだけどね。
 で、あらかた取り除いたが、下には誰もいなかった。まごつく三人。
  
 すると、またまた背後から「ふっふっふっ、はっはっはっはっはははははっ……」と地の底から響くような不気味な笑い声がする。振り向くと、
 整然と積み上げられたブロック上で高笑いする豹藤の姿が! この瞬間移動、だからどう考えても変だろ。

 なお、ここから何故か刀が一本に減っている。ブロックに潰された時に一つ落としたのか。
 即座に三人が駆け寄って、ブロックをよじ登ろうとした瞬間、豹藤はさっさと向こう側に飛び降りてしまう。
 と、カメラが右にパンして、
 反対側のブロックの隙間からにゅっと顔を出す豹藤を映す。ここはカットがかかってないので、最初に飛び降りたのがスタントで、こちらが役者である。
 これも、テレポート能力でもなければ出来ないことなんだけどね。
 同じような目に遭いながら学習能力のない三人はブロックのあたりをうろうろうろうろ探していた。ルリさん、せめてブロックの向こう側へ行こうよ。
  
 豹藤はブレードに頬擦りするような仕草をしながら、ゆっくりとブロックの上にのぼり、獲物を狙うケダモノの表情を浮かべる。
  
 で、満を持して背後から飛び掛って斬りかかるのだが、これがあまり奇襲になっておらず、いまいち意味がないような……。
 本来はこのタイミングで、ミホがバラを投げるべきではなかったかと思う。
 顔面にまともにユミの蹴りがヒット。豹藤さん、強いんだか、弱いんだか。ま、単体の敵としては強い方だとは思うけどね。
 ユミ「えい、えい、あっ」
 それでも、何回蹴られてもへこたれず、遂にはユミの体を積んであるセメント袋の上に倒す。
 思わず手で守ろうとするユミ。
 大きく振りかぶってぇ〜
 だが、ここで案の定、ミホのバンク映像が挿入される。

 ただ、この時のミホの背景、電柱の横から投げているのだが、敷地の結構奥深いところで戦っているユミたちに届くだろうか。
 ま、これは4話の映像だが、他に適当なバンク映像がなかったのかもしれない。2話は遊園地、7話は公園だったし。
 そして、このタイミングで「Don't Stop Lullaby」がスタート。
 花びらで視界を奪われる豹藤。
 ← 
 そのチャンスに、ルリがかっこよく鉛筆を投げる。何で今まで投げなかったのだろう?
 振り返った豹藤の指に刺さる、と言いたいが、振り返る前からばっちり刺さってますね。正確には挟んでるんだけど。
  
 ユミ「えいっ」棒立ちになった豹藤に対し、ユミの華麗な回し蹴りが炸裂する。
  
 スモークみたいなのが漂っているが、背後のセメントの袋が破れて粉が舞っているのだろう。
 ユミの蹴りを三連続で喰らい、さしもの豹藤もダウン。詰んであったセメント袋にもたれるように倒れる。
 負けはしたが、これだけ何発も蹴りを喰らった敵は、他にいないのではないだろうか? タフで、身軽で、瞬間移動も出来るし、その強さは10話のオードリーや18話の大男以上で、15話の逆刀に次ぐのではないだろうか。
  
 先程とは違い、戦いが済んでも表情は緩まない二人。左から、ユミがフレームイン。
 ユミの心の声「ミホさん、やっぱり来てくれたのね(バンク映像で)
 相変わらず、ルリとケイはバラに関心を示さない。

 単調になりがちな単体の敵との戦闘シーンだが、今回は豹藤の瞬間移動と言う特殊能力を使って、ある程度変化をつけることに成功している。



アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 エンディングだが、よく考えたら、これってエピローグと言うべきだったかもしれない。今更言うのもなんだが。

 引き続き、「Don't Stop Lullaby」が流れている。
 翌朝、黒鳥の正門前でドラム缶に詰められ転がされ、2-Aの生徒たちにさんざんなぶられる豹藤のみじめな様子。
 いつものパターンで雄太がやったのだろうか。しかし、いくら撮影とは言え、これはちょっとヤな感じである。
 と言うか、そんなことしないで、警察に連れて行ったほうがいいのでは?

 それに、以前のような立て看板もないのだから、他の生徒たちにすれば別に豹藤は悪人でもなんでもないわけで、無邪気にこうやっていじめるというのはちょっとおかしいだろう。そもそも、黒鳥学園自体、悪の巣窟と呼ばれてる悪の軍団の筈なんだけどね。
 俳優人生で最悪の時を迎えている古角さん。そう言えば、書き忘れていたが、この俳優さん、古角謙弥と言う人でした。

 それを見て、反逆同盟が締めの寸評。
 雄太「驚いたねえ、大人になってもこんなやつがいるなんて」
 ルリ「卑怯だよ、最低だよ、女に声かける勇気もないくせに」
 ケイ「思い通りにならないと暴力に出るなんてね!」

 ……あれ、なんか、自分(管理人)のことを言われてるような気がするが、気のせいだろう。うん、そうに違いない。 
  
 そこで、ルリが雄太の肩を軽く小刻みに叩いて、
 ルリ「パソコンだけが友達だったらしいよ、コイツ」

 この時のルリの「パソコン」の発音がいかにも山本理沙さんらしい独特の節をつけた発音で、これは実際に聞いてもらわないと分からない。
 その前の、軽くポンポンと肩を叩く動作も、彼女ならではの柔らかさがよく出ている。

 その言葉に雄太、
 雄太「ユ、ユミちゃん、俺もうパソコンやめたからね」
 いきなりパソコン廃絶宣言する雄太。しかし、パソコン好き=ダメ人間という偏見に満ちた発想は、沖電気などの協力企業に失礼じゃないの?
  悪いのはストーカーの豹藤であって、パソコン通信ではない。
  
 ケイ「本当かなぁ?」
 半畳を入れつつ、雄太を軽く睨むケイ。可愛いのう。
 それを受けたユミの笑顔で、「つづく」。

 ちなみにこの時の右側の男子生徒の唇の色が、いつも見るたびに気になってしょうがない。病気なんか?

  で、戦闘シーンからずーっと流れていた「Don't Stop Lullaby」がそれにあわせて終わる。



アバンタイトル Aパート Bパート 戦闘シーン エンディング 予告編+まとめ
 
 予告編

 さて、予告編だが、今回は全く記すことがない。探せば本編との違いはあるかもしれないが、わざわざ取り上げるほどの違いは無いのだ。
 別に面倒だから端折っているわけではない。



 まとめ

 最初に書いたように個人的にはもっとも好きなエピソードのひとつである。
 全篇を渡って流れる不気味なムードや、犯人探しの楽しさ、無名だが多彩なゲスト、レギュラーメンバーの会話が充実していることなど、傑作の条件が揃っている。一方で、犯人の行動や、パソコン通信に関してはいくつも突っ込みどころがあって、完成度は最初思っていたより低いようだ。

 また、ゲストの(三人の女性の)同定についてもかなり頭を悩まされた。今となってはいい思い出(笑)だが。



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